【書評】『仕事がうまくいく人の小さなコツ』(野澤卓央)
お薦めの本の紹介です。
野澤卓央さんの『10年間、1000人の成功者に聞いてわかった 仕事がうまくいく人の小さなコツ』です。
野澤卓央(のざわ・たくお)さん(@chiisanakotu)は、「小さなコツの専門家」として知られている事業家、講演家です。
「小さなコツ」は、“問題の扉を開ける鍵”
野澤さんは、中学生のとき、年間300日休む不登校児となってしまいます。
いわゆる“落ちこぼれ”ですね。
人づきあいに対する苦手意識が身についてしまった野澤さん。
それでもなんとか大学へ入学はしますが、卒業しないまま25歳で海外へ“逃亡”。
「自分探し」という放浪の旅に出ます。
しかし、この体験が野澤さんを変えました。
帰国後、昨日の自分より成長するため、“気づき”と“失敗や悩み”を手帳に書き出します。
そして、それらを一つ一つ解決していこうと決意します。
野沢さんは、多くの困難を乗り越えて成功を収めた人たちに会い、悩みの解決方法を学びました。
話を聞いた人の数は、10年間で1000人を超え、試した解決方法は3000個以上。
野澤さんは、結局、仕事、人間関係、人生がうまくいくかどうかは、才能や闇雲な努力ではないこと。目の前に現れた問題という扉を開ける鍵(小さなコツ)を見つけ、回しさえすれば、どんな状態からでも好転する
ことを実感します。
本書は、野澤さんが学んで体験した「小さなコツ」の中から、仕事がうまくいくために必要だったきっかけや気づきを中心に取り出し、具体例を交えてまとめた一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。
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本物になれる人は、自分への問いかけを忘れない
“一流”と呼ばれて輝いている人と、そうでない人の違いはどこからくるのか。
野澤さんは、美容室を経営する友人の言葉の中に、その問いに対するヒントを見つけます。
「普段、どんなことに気をつけて仕事をしているの?」
「そうね、いつも“私は本気を出しているか?”って自分に問いかけてるよ。誰かに言われる言葉は表面的。自分で問いかけると、自分の本音が出てくる。目の前のお客さんのことを真剣に考えて仕事をしているか? 仕事をしながら瞬間瞬間、何度もそう自分に問いかけながら、今まで仕事をしてきたよ」と話してくれました。
さらに僕は、「なぜそんなにも自分に厳しくするの?」と聞きました。
「目の前のことに手を抜けば、後でその苦しさが別の形で返ってくる。目の前のことを120%でも80%でもなく、ただ100%やるだけ。100%が一番楽しいから。それから、一日の反省を毎日必ずしているわ。ああなったらいいなとか、自分本意な反省ではなくて、目の前のお客さんのことを本気で考えたかに集中して反省するの。目の前の人のことをどれだけ真剣に考えられたか? それを突き詰めることが大切だと思ってる」と話してくれました。
目の前にいる人のことを真剣に考え続けて、結果が出ないわけがない。同時に普段、軽口やオーバーなことを口にしない友人なので、余計に彼女の本気度が伝わってきました。
この瞬間この瞬間目の前のことを一生懸命やらなければ、学んだことは意味を成さない。何より大切なことは、目の前のことに意識を集中し、真剣になることなのだと思います。『仕事がうまくいく人の小さなコツ』 第2章 より 野澤卓央:著 PHP研究所:刊
100%の本気を出す。
それは、目の前の人や仕事や課題を真剣に考えることです。
普段から100%の本気を出せない人は、いざという時にも本気を出せません。
“今、この瞬間”に、どれだけ集中できるか。
それが本物になれるかなれないかの分かれ目です。
テンションに左右されない、やる気が生まれるコツ
熱しやすく冷めやすく、テンションの上がり下がりも激しかった野澤さん。
あるとき、次の師匠の言葉に気づかされたといいます。
「テンションを上げて始めたことは、テンションが下がるとやめてしまう。上がったものは必ず下がる」
何事をするにしても、工夫しながら徐々に慣らしていかないとリズムは作れません。リズムを作るためには、目的に気づくこと、平常心で淡々とやり続けることが大切です。
他人の言葉や本、セミナーなど外からの刺激で生まれたやる気は、数日たてば自然と消えてしまいます。最初のきっかけとして外からやる気を刺激するのはいいのですが、外にやる気を求めてばかりいると、一時的に上がったテンションと、内側から湧き上がる思いの違いがわからなくなります。
また、なんのためにやるのか、本当の目的がわからないままテンションを上げて何かを始め、テンションが下がりやめてしまうという行動を繰り返していると、自分はやる気になっても続かないと勘違いして落ち込みます。
一気にやろうとする人は、挫折も一気。何か始めるときは、なんのためにそれをするのか、自分はどうなりたいのかを先に考えることが大切です。『仕事がうまくいく人の小さなコツ』 第3章 より 野澤卓央:著 PHP研究所:刊
「物体は動き続けようとし、静止する物体は静止し続けようとする」
運動法則には、このような“慣性の法則”があります。
この法則は人間にも当てはまります。
野澤さんは、やる気が定着するまでは、自分の本当の気持ちを何度も確認しながら、心の中心に火を丹念に灯す必要があります。心の底に火が灯ると、淡々とした気持ちで目の前のことにコツコツ打ち込むことができます
と述べています。
無理に頑張ろうと思わずに、できることから淡々とコツコツと、続けたいですね。
相手をコントロールしようとすると、思い通りいかなくなる
相手を自分の思い通りにコントロールしたい。
そう思えば思うほど、逆に思い通りにいかず、人間関係は悪化します。
野澤さんは、その理由を人間は他人にコントロールされるのを嫌う
からだと指摘します。
人を愛することと、人を自分の思い通りにしたいのは違うもの。自分のことばかり考えていると、ついつい相手をコントロールしたくなります。
恋愛だけでなく、友人、親子、上司と部下の関係でも、知らず知らずのうちに、相手を自分の思い通りにしたいという心が原因で、人間関係が悪くなることがあります。「◯◯をやめるぞ、◯◯するぞ」と自分が決めたことですら、自分で自分をコントロールできないのに、相手のことはなんとしてもコントロールしたいと思う。その矛盾が必要のない苛立ちや不安を生み出し、また相手を遠ざけます。
大切なのは、自分は自分のできることをやりきり、後は天に預けること。見返りを期待したり、成果をコントロールしたりしないことが、流れに乗る方法なのだと思います。『仕事がうまくいく人の小さなコツ』 第4章 より 野澤卓央:著 PHP研究所:刊
相手のことを思ってやったことでも、ありがた迷惑であることは、よくあります。
親が子どもの進学や就職について干渉する。
それは子どものことを考えた、当然のことのようにみえます。
しかし、実は、思い通りに子どもをコントロールしたいという親のエゴだということ。
家族といえども、「自分は自分、他人は他人」です。
自分のできること、自分で変えられることに意識を集中したいですね。
都合の良いことからしか学ばない人の現実は良くならない
いろいろなことに興味を持って学んでいる。
でも、現状がなかなか変わらない。
そのような悩みを持つ人は多いです。
野澤さんは、都合の悪いことから学ぶ姿勢がない人は、それが原因で同じような問題が何度も起きていることに気づいていません
と指摘します。
都合の悪いことが起きたときは、これから先、何をすればよいのかを学ぶ絶好の機会です。「嫌な人がいれば、自分はその人と同じことをしないぞ」と学ぶ機会です。
僕が出会った成功者たちは、どんな状況に置かれても現実をより良いものにしていく人たちで、良いことからも、都合の悪いことからも前向きに学ぶ人ばかりでした。
また、都合の悪いことに対して、「あの人が悪い」「会社が悪い」と、何かのせいにする人は、裏を返せば、「私は良いことばかり起これば幸せになれる。周りの人がすべて良い人でなければ、幸せになれません」と言っているよなものです。そんな他人任せ、運任せの考え方で生きていれば、当然、他人や出来事に左右され、振り回され続ける一生を送ることになります。
人生は自己責任。たとえ親であってもその人を幸せにすることはできません。人生を良いものにするのは、他の誰でもなく自分自身です。楽しいことだけでなく、都合の悪いことからも前向きに学び、何があっても幸せだと感じられる自分を作っていくことが、本当の学びだと思います。『仕事がうまくいく人の小さなコツ』 第6章 より 野澤卓央:著 PHP研究所:刊
自分の欠点や弱点を指摘されるのは、誰でも嫌なものです。
しかし、自分にとって都合の悪いことからも前向きに学んで解決していく。
そうしない限り、問題は問題のまま残ってしまいます。
自分の身に起きたことは、他人のせいではなく、自分のせい。
そんな謙虚な気持ちを持ち続けたいですね。
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☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
野澤さんは、多くの人から多くのことを学ぶうちに、仕事も人生もうまくいく方法は、シンプルで簡単なもの
だと気づかれます。
仕事や人生は、学べば学ぶほど奥が深く、複雑に見えます。
しかし、よくよく目を凝らしてみると、簡単なことの積み重ねです。
「幸せ」という建物は、「小さなコツ」というレンガを根気よく組み上げることで完成します。
難しく考えず、できることからコツコツと組み上げたいですね。
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