本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

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【書評】『改訂版 金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント』(ロバート・キヨサキ)

 お薦めの本の紹介です。
 ロバート・キヨサキさんの『改訂版 金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント:経済的自由があなたのものになる』です。

 ロバート・キヨサキ(Robert Kiyosaki)さんは、米国の起業家、教育家、投資家です。

「キャッシュフロー・クワドラント」とは?

 経済的な自由を得る。
 そのためには、「お金」に対する意識を、大きく変える必要があります。

 そこで重要なのが、「キャッシュフロー・クワドラント」の考え方です。

 キヨサキさんは、キャッシュフロー・クワドラントについて、以下のように解説しています。

 キャッシュフロー・クワドラントは、図③(下図を参照)のような4つのクワドラント(円を4等分したもの)から成り立っている。
 私たちはみんな、この4つのクワドラントのうち少なくとも一つに属している。どこに属するかは、お金がどこから入ってくるかによって決まる。たいていの人は給料がおもな収入源だから従業員(E)だ。そのほかに、自分の雇い主は自分だという自営業者(S)もいる。この従業員と自営業者がキャッシュフロー・クワドラントの左側に来る。右側にいるのは自分が所有するビジネスや投資から収入を得ている人たちだ。
 キャッシュフロー・クワドラントは、「どこからお金を得ているか」に基いて人々を分類するための簡単な方法だ。クワドラントはそれぞれが独自の特徴を持っていて、そこに属する人々には共通する特性がある。キャッシュフロー・クワドラントを理解すれば、いま自分がどこに属しているか、経済的自由に続く道を選んだとしたら、将来どこに属したらいいか、そこに到達するにはどんな道をたどったらいいか、そういったことがわかってくると思う。
 4つのクワドラントのどこに属していても経済的に自由になることは可能だが、ビジネスオーナー(B)あるいは投資家(I)が持つ技術を使えば、より速くゴールに到達することができる。Eとして成功している人は、引退後の経済状態を安定したものにするために、Iとして成功する必要がある。

『改訂版 金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント』 はじめに より ロバート・キヨサキ:著 白根美保子:訳 筑摩書房:刊

図3 キャッシュフロー・クワドラント それぞれの文字の意味 P25はじめに
図3.キャッシュフロー クワドラント それぞれの文字の意味
(『改訂版 金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント』 はじめに より抜粋)

 本書は、『改訂版 金持ち父さん 貧乏父さん』の続編で、4つのクワドラントの左側から右側、すなわち、従業員(E)や自営業者(S)からビジネスオーナー(B)や投資家(I)へ移り、経済的自由を得るためのノウハウをまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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あなたは、どのクワドラントに属しているか?

 キャッシュフロー・クワドラントの、どこに属するか。
 それは、「どんな人生を送るのか」と同義語です。

 キヨサキさんは、それぞれのクワドラントの違いを、以下のように述べています。

 キャッシュフロー・クワドラントの図をもう一度見てみよう(上図③を参照)。
 キャッシュフロー・クワドラントは収入を得るための、つまりお金を生み出すための4つの異なる方法を表している。たとえば、従業員は自分以外の個人あるいは会社のために働いて給料をもらう。自営業者は自分のために働いて収入を得る。ビジネスオーナーは自分が所有するビジネスから収入を得、投資家は投資から収入を得る、つまりお金にお金を生ませるのだ。
 収入を生み出す方法が違えば、そのために必要な心構え、技術、教育も違ってくる。クワドラントはそれぞれに異なるタイプの人をひきつける。
 お金そのものは同じでも、それを稼ぐ方法は大きく異なる。四つのクワドラントの違いについて知ると、あなたも「自分の収入は主にどのクワドランドから生み出されているのだろうか」と考えるようになるかもしれない。
 クワドラントが違うといろんなことが違ってくる。異なるクワドラントで収入を生み出すためには、異なるスキル、異なる人間性が必要だ。それは1人の人がクワドラントを変えた場合でも同じだ。1つのクワドラントから別のクワドラントに移るのは、午前中にゴルフをして夜はバレエを観に出かけるようなものだ。
 たいていの人には、4つのどのクワドラントからでも収入を生み出せる力が備わっている。最終的におもな収入源をどのクワドラントにするか、その選択に影響をあたえるのは学校で習ったことではなく、その人がどんな人間か、つまりその人の価値観、得意不得意、興味などだ。4つのクワドラントの好き嫌いは、このような人間としての根本的な違いによって決まる。
 どんな職業の人でも自分が望むクワドラントから収入を得ることは可能だ。たとえば医者でE(従業員)として働きたい人は、大きな病院に勤めたり、政府の公衆衛生サービス部門で働いたり、軍医になったりすればいい。
 同じ医師でもS(自営業者)として収入を得たい人は、事務を任せられる人を雇って開業し、自分で患者の治療にあたればいい。あるいは、B(ビジネスオーナー)になる道を選ぶことも可能だ。つまり、医院あるいは研究所を自分で所有し、医者やその他のスタッフを雇って働かせる。組織の運営を任せられるビジネスマネジャーを雇うのもいいだろう。この道を選んだ場合、ビジネスオーナーである医者は医療ビジネスを所有するだけで自らそこで働く必要はない。また、医療とはまったく関係ないビジネスを所有するかたわら、どこか収入を得ることになる。
 またこの医者がI(投資家)として収入を得ようと考えた場合は、ほかの人が所有するビジネスに投資したり、株式や投資信託、不動産などに投資して収入を得ることが可能だ。
 ここでのキーワードは、「収入をどこから生み出すか」だ。職業やどんな仕事をしているかは関係ない。問題はどうやって収入を生み出すかだ。

『改訂版 金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント』 第一章 より ロバート・キヨサキ:著 白根美保子:訳 筑摩書房:刊

 自分の能力を、最大限に発揮する。
 経済的にも、精神的にも、豊かで幸せな人生を送る。

 それには、「自分が最も適したクワドラントはどこなのか」を把握する必要があります。

 そのためにも、まず、それぞれのクワドラントで必要なスキルや考え方を身につけること。
 とくに、クワドラントの左側から右側に移ることが重要です。

 そのためには、思考回路を180度、変える必要があります

一つより二つのほうがいい

 経済的に、いまより安定した状態になる。

 そのために、キヨサキさんが勧める方法が、EやSのクワドラントで仕事をする一方で、BやIのクワドラントについて学ぶことです。

 Eに属する人が経済的安定を確立した状態は図㉓(下図を参照)のようになる。
 この図の楕円の輪は、退職後に備えた口座にお金を貯め、あとはなんとかうまくいくように祈るだけではなく、従業員として働くと同時に投資家としての教育もしっかりと受け、その両方の能力に自信を持っている状態を示している。いまEクワドラントにいる人には、仕事につくために学校で学ぶのと同じように、プロの投資家になるための勉強をすることをぜひお勧めしたい。

(中略)私の経験から言わせてもらうと、収入の多い少ないにかかわらず、2つ以上のクワドラントから収入を得ている人は、そうでない人より安心感を持っている。経済的に安定した状態とは、キャッシュフロー・クワドラントの両方の側にしっかりとした足場を持っていることにほかならない。
 キャッシュフロー・クワドラントの両方で成功した例として、私の2人の友人の話をしよう。2人とも福利厚生のしっかりした、安定した仕事を持っているが、それと同時にキャッシュフロー・クワドラントの右側で大きな富を築きあげた。2人は消防士で市の職員として働いている。給料もかなりもらっていて、しかも安定している。年金プランなどもしっかりしていて、おまけに1週間にたった2日働けばいい。だから2人とも1週間のうち3日はプロの投資家として働き、残りの2日はのんびりと家族と過ごしている。
 友人の1人は古い家を買い、それを修理して人に貸して家賃収入を得ている。いまこの原稿を書いている時点で、この友人は貸家を45件持っていて、ローン返済、税金、維持費、管理費、保険料などを差し引いた純益で月1万ドルを得ている。消防士としての給料は3500ドルだから、月収の合計は1万3千ドル以上になる。年収にすればおよそ15万ドルだ。その年収はいまも増え続けている。あと五年で退職する時期を迎える彼の目標は、56歳で年収20万ドルを達成することだ。4人の子供がいる公務員としては悪くない額だ。
 もう1人の友人は、勤務時間外にいろいろな会社の業績を分析し、株とオプションを長期に保有している。今この友人のポートフォリオの合計は300万ドルにのぼる。それを現金化して、1年に10パーセントの金利で利子を貰うとすると、年収30万ドルになる。これは、たとえごく普通に起こる市場の変動を計算に入れてもそうなる。これも2人の子供がいる公務員としては悪くない年収だ。
 どちらの友人も20年にわたる投資の結果としてかなりの額の不労所得を得ていて、40歳のときには退職しても充分食べていける状態だったが、2人とも消防士の仕事が好きだったし、年金や給付金をしっかりもらって退職したいと思っているので、いまも働いている。退職後は2人とも完全に経済的に自由になれるだろう。なぜなら、2人はキャッシュフロー・クワドラントの右と左の両側で成功した結果得られる恩恵を充分に受けることができるからだ。

『改訂版 金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント』 第三章 より ロバート・キヨサキ:著 白根美保子:訳 筑摩書房:刊

図26 Eクワドラントの人が経済的安定を確立するパターン P101 第三章
図23.Eクワドラントの人が経済的安定を確立するパターン
(『改訂版 金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント』 第三章 より抜粋)

 片足で立つより、両足で立つほうが、安定します。

 収入も同じで、2つ以上のクワドラントからお金が入ってくれば、精神的に余裕ができます。
 いざ、というときにも、パニックになることはありませんね。

 投資の勉強を始めるのは、早ければ早いほどいいです。
 将来のために、今できることから手を付けたいですね。

「資産」と「負債」の違いは?

 キャッシュフロー・クワドラントの、BあるいはIに入る。
 そのためには、お金を見るために目を使うのは5パーセント、あとの95パーセントは頭で見るように自分を訓練する必要があります。

 “お金が見える”ように、頭を訓練する。

 そのために必要なのが、ファイナンシャル・リテラシー(お金に関する読み書き能力)をマスターすることです。

 ファイナンシャル・リテラシーがないと、専門家のアドバイスを鵜呑みにするしかありません。

 キヨサキさんは、自分の考えではなく他人の意見に基づいてお金を運用するのは危険だと指摘します。 

 銀行家が「持ち家は資産だ」と言うとき、彼らはうそをついているわけではない。ただ、本当のことを全部話していないだけだ。あなたの持ち家はたしかに資産だ。ただ、銀行家はそれが「だれの」資産家を言わない。財務諸表を見ればすぐにわかるが、あなたの持ち家はあなたの資産ではない。あなたがローンを支払っている銀行の資産だ。『金持ち父さん 貧乏父さん』で何度も紹介した、金持ち父さんによる資産と負債の定義をもう一度思い出してほしい。

 資産はあなたのポケットにお金を入れてくれる
 負債はあなたのポケットからお金をとっていく

 キャッシュフロー・クワドラントの左側の人たちは、この違いを知る必要はあまりない。そういう人たちの大部分は会社に守られていると感じ、こぎれいな家に住み、その家がほんとうに自分のものだと信じ、誇らしく感じることで満足している。たしかにローンの返済をきちんとしていれば、だれも家を取り上げたりしない。そして、こういう人はもちろんきちんと返済を続ける。
 一方、キャッシュフロー・クワドラントの右側の人たちは、資産と負債の違いを知る必要がある。ファイナンシャル・リテラシーとファイナンシャル・インテリジェンスを身につけるには、お金に関する全体像が見えるようにならなければいけない。お金にくわしい人は、家の抵当部分は貸借対照表の欄ではなく負債の欄に属することを知っている。実際には、その抵当部分は町のはるか向こう側で資産の欄に登場する。つまり、銀行の貸借対照表の資産の欄におさまっている(図㉜、下図を参照)。
 会計を学んだことのある人はご存知だと思うが、貸借対照表は「バランスシート(balance sheet)」というその名の通りバランスがとれていなければならない。だが、いまあげた例の場合、ほんとうにバランスがとれていると言えるのだろうか? 実際のところ、たしかにバランスはとれている。だが、それはあなたの貸借対照表のなかでのことではない。数字の意味をほんとうに理解するには、町の向こう側にある銀行の貸借対照表をのぞいてみなければいけない。
 両方の貸借対照表を比べれば、バランスもとれるし、筋道も立つ。これがBとIのクワドラントにおける会計だ。だが、会計の基礎クラスではこういうふうには教えない。普通の会計処理では、家の「価格」の資産の欄に、住宅ローンを負債の欄に入れておしまいだ。ここでもう一つ注意しなければいけないのは、家の「価格」は市場の動きによって変わる単なる「意見」にすぎず、一方、住宅ローンは市場の影響を受けることのない固定された負債だということだ。BやIのクワドラントの考え方でいくと、持ち家はキャッシュフローを生み出さないから、その「価格」は資産とはみなされない。

『改訂版 金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント』 第六章 より ロバート・キヨサキ:著 白根美保子:訳 筑摩書房:刊

図32 貸借対照表はどこでバランスがとれているか P167第六章
図32.貸借対照表はどこでバランスがとれているか
(『改訂版 金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント』 第六章 より抜粋)

 ファイナンシャル・リテラシーを身につけないで、お金を使う。
 それは、目隠しして歩くことと、同じです。

 危険極まりない、ということですね。

 自分にとって、何が正しくて、何が正しくないか。
 自分にとって、必要なものは何で、必要でないものは何か。

 自分の頭で判断するためにも、ファイナンシャル・リテラシーは、必須です。

「頭」だけでなく、「心」の変化が大切

 BあるいはIのクワドラントで、成功する。
 そのためには、学問的な知識や技術的な知識以上のものが必要です。

 つまり、心の奥底にある感情的な思い、考え方、信条、心構えなどを変えなければなりません。

 金持ちの「やっていること」は比較的簡単だ。ほかと大きく違うのは「どういう人間か」だ。違うのは考え方、つまり自分自身との内なる対話の仕方だ。金持ち父さんが次のような言葉を言ってはいけないと教えてくれたのは、そのためだった。

「そんなものを買うお金はない」
「私はそんなことはできない」
「安全第一でやれ」
「損をしないようにしろ」
「失敗して、それを取り戻せなかったらどうする?」

 金持ち父さんがこういった言葉を使うことを禁じた理由は、人類が利用できる道具のなかで最も強力なのは言葉だと心から信じていたからだ。人が言ったり考えたりしたことは現実のものになる。
 金持ち父さんは、私たちが心の奥底で自分に言ったこと必ず現実のものになると信じていた。お金で苦労している人たちの場合、感情が言葉を支配し、人生の舵取りまでしていることが多いと私が思うのも同じ理由からだ。そういう人たちは感情に左右された考え方を克服することを学ばなければいけない。そうでないと感情に支配された言葉が肉となってしまう。つまり、次のような言葉が現実のものとなる。

「私は絶対に金持ちになれない」
「その考えは絶対にうまくいかない」
「それは私には高すぎる」

 感情に支配された言葉は大きな力を持っている。だがありがたいことに、そういう言葉は新しい友達や新しい考えの力を借りたり、またちょっとした時間をとって自分で努力することで変えることができる。
 損をすることに対する恐怖をコントロールできない人は、決して自分の判断だけで投資をしてはいけない。投資はその道のプロに任せて、何も口出ししないでいるのがいちばんいい。
 私はこれまでに多くの投資の専門家に会ってきたが、他人のお金を使って投資をするときは大胆になれて、お金をたくさん儲けることができるという投資の専門家は多い。だが、こういう人もいざ自分のお金を投資して、危険にさらすとなると、損をすることに対する恐怖心が強くなって結局は損をする。論理ではなく感情が思考を完全に支配してしまうからだ。
 また、自分のお金を投資して着実に儲け続けているのに、誰かに「私のお金を使って投資してくれ」と頼まれるととたんに冷静さを失う人もいる。
 お金を儲けたり損をしたりというのは感情に関わる問題だ。金持ち父さんは私に感情をコントロールする秘訣を教えてくれた。金持ち父さんはいつもこう言っていた。「投資家やビジネスオーナーとして成功するためには、勝ちに対しても負けに対しても感情的に中立の立場でいなければいけない。勝ったり負けたりは単にゲームの一部にすぎないのだから。

『改訂版 金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント』 第八章 より ロバート・キヨサキ:著 白根美保子:訳 筑摩書房:刊

 技術やスキル、知識。
 それよりも大事なのは、「心」です。

 投資は、一種のゲームです。

 1回1回のゲームの結果で、一喜一憂しないこと。
 大事なのは、最後に、勝者として生き残ることです。

「頭はクリアに、感情は冷静に」

 つねに心がけたいですね。

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 EあるいはSクワドラントは、バケツで水を運ぶ働き方。
 一方、BあるいはIクワドラントは、水を運ぶシステムを構築するやり方。

 自分がいなくても、お金が入ってくる仕組みを、いかに作るか。
 それが、お金持ちになるための秘訣です。

 お金の流れは、目には見えないもの。
 それを見えるようにしてくれるのが、「ファイナンシャル・リテラシー」です。

「投資は怖い」

 そう言う人は、正体がわかっていないだけです。

 投資に対する偏見を捨て、投資の魅力を知る。
 そのために、ぜひ、お読み頂きたい一冊です。

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