本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『「心の掃除」の上手い人 下手な人』(斎藤茂太)

 お薦めの本の紹介です。
 斎藤茂太先生の『「心の掃除」の上手い人 下手な人』です。

 斎藤茂太(さいとう・しげた)先生は、精神科医、エッセイストです。

「心の掃除」も技術だ!

 斎藤先生は、心の掃除も技術だと考えています。

 つまり、やり方次第で上手くもいくし、いくら頑張っても、まったく片付かずに散らかったままの場合もあるということです。

 斎藤先生は、最初に、以下のように述べています。

 自信のなさ、心のとまどい、無気力、コンプレックス、品性の欠乏・・・・など、相手の目には、「みてほしくないもの」のすべてが映し出されているのではないか? そういう恐れる心が、不安とストレスを増大させ、知らず知らずのうちに、イライラ、ベソベソ、グズグズを生み出す悪循環の中に入っているからのように思う。 ここから抜け出すには、どうすればいいのか。そのヒントを考えてみたのが本書だ。
 
   『「心の掃除」の上手い人 下手な人』 まえがき より  斎藤茂太:著  集英社:刊

「何となく、人に会いたくないな」

 そう思う時は、自分の心がモヤモヤしたり、イライラしたりで、整理されていないときです。

 本書は、「心の掃除」の達人、斎藤先生流のテクニックをまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「立派な人」ではなく、「愛される人」を目指す

 失敗しないようにとか、ミスを隠そうとかしていれば、存在感がない。存在感がないから、光が当たらない。失敗してもいい、いや「失敗してやろうじゃないか!」というくらいの気持ちで挑戦するのがいいのだ。
(中略)
「立派な人」ではなく、「愛される人」を目指してほしい。失敗しても、あははははと笑って、あっけらかんとしていれば、いいのだ。
(中略)
 自分のおっちょこちょいを隠さず、むしろ見せるくらいの強い心が大切だ。
それもまた、自分の魅力のひとつと考えればよい。実際、そういうものだ。
 
   『「心の掃除」の上手い人 下手な人』 第1章 より 斎藤茂太:著 集英社:刊

 自分の欠点や失敗を、自分で笑い飛ばせれば、もう怖いものはありません。

 欠点と見るのではなく、個性と見ること。

「自分は、こういう人間だ」

 それがしっかり伝わった方が、相手は安心します。

 自分を隠そうとするのではなく、あえてオープンにする。
 これも習慣ですから、意識次第で身につけることができます。

 もうひとつ、イヤな思いをしない方策としてイヤミな相手にイヤミなことをいわせないように、ケチをつけられないくらいの質の高い仕事を見せつけることだ。そして、やることをきっちりやったら、クールにふるまい相手との距離を置く。これも「クール・ビズ」だ。
「私はあなたに個人的な興味はない」けれど、「仕事としては、きっちり受け入れますよ」という姿を印象づけてしまえば、傷つけられる度合いは格段に減る。
 
   『「心の掃除」の上手い人 下手な人』 第2章 より 斎藤茂太:著 集英社:刊

 きっちりやらなければいけない、というプレッシャーも掛かります。
 しかし、いい意味でのモチベーションに繋がりますね。

落ち込んだときこそ、行動する

 いつまでもウジウジと考えている人は、暇な人だと自覚しよう。
(中略)
 ハツラツと生きている人は、とても多忙だ。 みなさんの周りにいる人を、思い浮かべてほしい。土日は家でゴロゴロタイプはグチっぽいけれど、土日にダイビングに行ったり、習い事をしたり、「どこにそんな時間があるの?」というくらい活動的な人は、気持ちの切り替えが上手で、ウジウジもしてなければ、グチを聞いたこともないだろう。
「気持ちが停滞してきた」と思ったときほど、自分を忙しくさせよう。友人と会う約束をとりつけ、自分を活動的にしてやろう。 ぼんやり時間をなくせば、「充実している」と思える日が来る。

   『「心の掃除」の上手い人 下手な人』 第2章 より 斎藤茂太:著 集英社:刊

 時間があるから、余計なことを考えてしまうのです。

「これをしたら、将来役に立つか・・・」

 落ち込む癖のある人は、そんな損得勘定を抜きに、やりたいことをどんどんやりましょう。

 時間が足りなくて、やりたいことが全部出来ない。
 それくらいの方が、精神的にはいいです。

 先に私は、どんな失敗だろうと人生においてムダなことなど何ひとつない、といった。それは「前向きに生きていこう」という姿勢があってこそ、ムダにはならないのである。
 前向きに生きてさえいれば、今の失敗も、あとで「あんなこともあったなあ」と笑って思い出せる日が必ず来る。それどころか、将来、「あの失敗があったおかげで、今の自分がある。いや、自分だけでなく、今そばにこんな人たちがいてくれるのも、あの失敗のおかげ」「あの失敗を経験することなく、何も考えずに生きていたらどんな人間になっていたかと思うと、われながらゾッとする」と思えるくらいになっている。

   『「心の掃除」の上手い人 下手な人』 第4章 より 斎藤茂太:著 集英社:刊

「前向きに生きていこう」

 そう意識すれば、過ぎたことは、貴重な経験となります。
 そして、自分の血となり、骨となります。

 そう考えれば、失敗自体を恐れずに、生きていけるようになります。
 健康的に生きるためには、大事な心構えですね。

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 最後に、斎藤先生は、以下のようにおっしゃっています。

 結局、未来はおろか、一寸先も見えず、何が災いして、何が幸いするかもわからない一個の人間としては、決してあきらめることなく、前を向いてひたすら生きていくしかないのではないか。 その「あきらめずにひたすら生きていく」ことができるところが人間の強さである。
そして、今日、「人事を尽くせ」ば、明日はきっと「素晴らしい天命が下る」と信じられる強さこそ、人間の最大の武器のように思うのだ。

   『「心の掃除」の上手い人 下手な人』 第6章 より 斎藤茂太:著 集英社:刊

 まるで、今日の日本の閉塞した状況を、見通していたかのような文章です。

「あきらめず、前向きに、ベストを尽くせ!」

 これは、日本が立ち直るために、もっとも必要な精神です。
 明るい社会は、そこに住む人々の、明るい心から生まれます。

 天国から斎藤先生が優しく応援してくれています。
 私たちも、この本を手にとって、「心の大掃除」始めましょう。

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