本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『すべてを手にする人が捨てている41のこと』(伊庭正康)

 お薦めの本の紹介です。
 伊庭正康さんの『すべてを手にする人が捨てている41のこと』です。

 伊庭正康(いば・まさやす)さんは、セールスコンサルタント・ストレスコーピングコーチです。

“とらわれ”を捨てるだけで、あなたの人生は劇的に変わる!

 生活するのに、困っていない。
 けれど、漠然とした、将来への不安を抱えている。

 今の世の中、そんな人は多いでしょう。
 伊庭さんも、そんなモヤモヤを抱えていたひとりでした。

 独立をきっかけに、「不得手なことはしない」と決意をした伊庭さん。
 すると、自分でも想定していないほど大きな成果が出て、驚いたそうです。

 でも、不思議なことがある。
 じつは、私自身の能力は会社員時代ととくに変わっているわけではないのだ。
 独立前のモヤモヤしていたときと、まったく一緒だ。

 この本を書いた目的はここにある。私は別に、あなたに「独立をしよう!」と提案するつもりはまったくないし、そんなことは人それぞれでいいと思う。
 私が言いたいのは、
 能力はそのままに、
 転職をしなくても、
 ましてや独立なんてしなくても、
 どんな人でも、本書で紹介するちょっとした“とらわれ”を捨てるだけで、フワリと上昇気流に乗り、今とはまったく別の世界にいけるということだ。

 よく、自分を変えようと、資格や語学、ビジネススキルなど、あれこれ手をつける人がいる。もちろん、本当にあなたがやりたいことなら問題ないのだが、そうでない場合、どんなにやることを増やしても、決してモヤモヤは消すことはできない。
 自分の望む理想の人生を手に入れるための近道は、やるべきことを増やすのではなく、捨てることだからだ。

 こんなこともある。
 私は仕事柄、経営者をはじめ、エグゼクティブ、トップセールスといった、いわゆる世間から「一目置かれる人」と接する機会が多い。
 そこでも、先ほどとまったく同じ気づきがあるのだ。
 私の知るエグゼクティブ、トップセールスと呼ばれる人たちの「能力」は、私たちとそれほど差があるわけではない。
 言っては悪いが、むしろダメな部分がある人のほうが多い。
 たとえば、私の知る屋根を修理する会社のカリスマ社長は、高所恐怖症だ。
 また、ハワイナンバーワンのフリーペーパーを発行する会社の名物社長は、英語で商談ができないという。
 さらに、ある大手企業で伝説と呼ばれるトップセールスは、自らを「人の気持ちを読めない学習障害」だと言っている。
 でも、彼らは上昇気流に乗り、他の人がマネできない「異次元の世界」にいる。
 そんな彼らが言うこと決まっている。
「自分は、本当にたいしたことのない人間だ。ただ、不得手なことはやらないと決めている」と。そう、彼らも捨てているのだ。

『すべてを手にする人が捨てている41のこと』 はじめに より 伊庭正康:著 かんき出版:刊

 本書は、“とらわれ”を捨てることで人生を劇的に変えるためのノウハウをまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「叱られないようにしよう」という“賢い選択”

 叱られないように、「ちゃんと」する。
 自信がないことに、あえて挑戦しない。

 多くの人は、それを「賢い選択」と考えます。

 実は、その考え方も、捨てるべき“とらわれ”のひとつです。

 はっきり言おう。そのような姿勢を「消極的」と人は受け取る。消極的な人が報われるほど、世の中は甘くない。
「叱られないように」。そんな消極的な気持ちはとっとと捨てたほうがいい。
 思いあたる人は、こうしてみてはどうか。
 いつもの仕事に「1センチのおせっかい」を加えるのだ。

 1センチのおせっかいとは、こういうことだ。
 以前、私は求人広告の営業をしていた。ひとりの社員を採用するのに数十万円の提案をするだが、もちろん採用できないときもある。広告の営業マンにとってはこれがいちばん怖い。
 だから、お客様の言うとおりに「ちゃんと」やれば叱られないと考える人もいる。
「余計な提案をせず、相手の言いなりになって動いていれば、仮に採用できなかったとしても責任を回避できる」と考えるのだ。
 でも、不思議なことが起こる。お客様の言いなりになって、「ちゃんと」やればやるほど、お客様が離れていくのだ。
 逆に、お客様から頼まれたわけでもないのに「自分が本当にいいと思うプラン」をダメもとで提案に加える、そんなおせっかいな営業マンのほうが愛される。
 さらに面接の方法から選考の方法まで、きめ細かなアドバイスをすると、たとえそのときは採用がうまくいかなくても、次から仕事をもらえるようになる。

 あなたは、どうだろう。
 叱られないように「ちゃんと」しよう、と思っていないだろうか。

 とはいえ、積極的なおせっかいには勇気がいる。迷ったときはこう考えてほしい。

 我々が恐れるのは「叱られる」ことではない。
 本当に恐れるべきは、消極的な人という「レッテル」を貼られることだ。

 レッテルは怖い。
 このレッテルをベタっと貼られると、とたんに上昇気流に乗れなくなるからだ。
「消極的」のレッテルを貼られる前に、1センチでいいから踏み出そう。
 それだけで、周囲からあなたに対する評価は激変する。

『すべてを手にする人が捨てている41のこと』 第1章 より 伊庭正康:著 かんき出版:刊

 叱られないように、「ちゃんと」しよう。
 そう考えて、言われたことだけを忠実にしようとするほど、結果は出ない。

 さらには、「消極的だ」というレッテルを貼られて、相手からの評価も落ちる。

 まさに、踏んだりけったりです。

 叱られてもいいから、何か自分らしさを加える工夫をする。
「積極的なおせっかい」をする勇気、手に入れたいですね。

「イスに座って仕事をする」という常識

 私たちは、ほとんど無意識に、イスに座って机の上のパソコンと向かいます。

 イスに座ることで失っているもの、それは「時間」です。

 以前、ある実験をしたことがある。
 そのとき、私がいた職場は残業が常態化していた。そこで、無邪気に閃いてしまった。
「ひょっとしたらイスに座らなければ仕事ははやくなるのではないか?」と。
 もちろん、やってみた。
 結論から言おう。
 イスに座らなければ、仕事はメチャクチャはやくなる。
 その実験とは、こんな感じ。
 まず、自分のイスを倉庫に片づけ、立って仕事をせざるをえない状況に、自分を追い込んだのだ。当然、周囲は困惑した。ひとりだけ、ロックバンドのキーボーディストのように、仁王立ちしながらPCのキーボードを叩いていたからだ。
 私には、幼いころから変な反骨心があり、つい「ルールを壊したくなる」クセがある。まあ、困った性格である。
 私の性分はさておき、イスに座るのをやめたことで、明らかに仕事がはやくなったし、集中力も高まった。

 これは、私だけの考えではない。それを裏づけるデータがある。
 テキサスA&Mヘルス・サイエンス・センターの実験結果だ。
 小学生300人を対象に、立った状態と座った状態で授業を受けた場合を比較したところ、立ち姿勢の子どもの授業への参加度は座り姿勢の子どもより12%高く、学習に没頭する時間も7分長かったという。
 この結果を総合すると、立つだけで集中力が10%程度向上することになるらしい。
「でも、ひとりだけ立って仕事をするのは恥ずかしい・・・・・」
 あなたは今こう考えたことだろう。それが普通の反応だと思う。恥ずかしいなら部分的にトライしてみるといい。
 たとえば、「打ち合わせは立ったままする」と。
 ちょっとした相談や報告なら、わざわざ会議室やミーティングスペースにいかず、立ち話ですませる。これだけでもずいぶんと効果がある。
 ほかにもある。メールを立って打つのもいい。
 スマホの音声入力機能を使えば、スマホに話しかけるだけで文章が入力できるので、エレベータの待ち時間で1通くらいのメールを送ることができる。
 また、歩きながらでも文章が打てるので、報告書などの書類作成も、事務所に戻るまでの帰路ですますことができる。

 朝、出勤して「よいしょ」とそのイスに座る前に何かひとつ作業をする、そんな小さな積み重ねが、生産的な1日を作るのだ。
 当たり前の裏に隠れたムダがきっとあるはずだ。

『すべてを手にする人が捨てている41のこと』 第2章 より 伊庭正康:著 かんき出版:刊

 机に向かうときには、イスに座る。
 別に、誰が決めたことでもない、いわゆる「世間の常識」です。

 ただ、この「世間の常識」が、いつも正しいとは限りません。

「みんなはこうしているけど、こうした方がいいのでは?」

 自分がそう感じたなら、それを実行してみることが大切です。

 当たり前の裏に、隠れたムダ。
 それに気づき、少しずつでもなくしていきましょう。

“簡単なこと”をバカにする小さな驕り

 仕事は、簡単なことほど、差がつきやすいです。

 伊庭さんは、その理由を、簡単なことほどその人の「人格」「仕事のセンス」となって現れるからだと説明します。

 たとえば、お茶汲み、コピー取り、メールの返信といった仕事を「誰にでもできる簡単な作業」とバカにしているなら、その考えはすぐに捨てないとマズい。
「簡単なことほどあなたの心は見透かされ、人はそこを評価する」からだ。
 たとえば、メールを返すタイミング。よく、忙しいからとわずか数分の時間を惜しみ、なかなか返信しない人がいるが、これでは相手を不安にさせてしまう。
「了解!」だけでもいいからすぐに返すべきだ。たったこれだけで相手は安心する。わかっていてもやらないから、陰で「天狗」「雑」「自分勝手」と誤解されるのだ。
 メールの文面も同様だ。
 相手は会議と会議の間の10分間でメールチェックをしなければならないのかもしれないわけだ。であれば、相手の時間を奪う長文のメールは避けるのが賢明だ。
 断りを入れるなら、「長文を失礼します」ではない。
 むしろ、「略式(短文)で恐縮です」だ(ただし、感謝の気持ちはしっかり伝えよう)。
 ほかにもある。
 訪問先の企業で応接室にとおされたとしよう。さて、あなたはカバンをどこに置くだろうか? カバンをソファの上に置く人もいる。でも、仕事のセンスがある人は必ず床に置く。カバンはけっしてキレイなものではない、と考えれば理由がわかるはずだ。もちろん、カバンだけでなく、靴の汚れにも敏感になるべきだ。
 訪問先の事務所や玄関を、相手の「部屋」だと考えるとわかりやすい。「汚しちゃいけない」という気持ちがあるかどうか、相手からはそのデリカシーを見透かされているのだ。
 まだまだいこう。
 仮に、あなたのクライアントが「NEC」だったとしよう。パソコンで有名なあのNECだ。彼らのオフィスで打ち合わせをするとき、iPadを取り出すのはセンスがない。阪神の応援席で巨人の帽子をかぶるくらいセンスがない。
 説明資料がiPadに入っているのなら、プリントアウトして打ち合わせに臨む。メモ帳代わりに使っているのであれば、手帳に書き留めればいい。
 まだ、終わらない。これはどうだ。
 会議の資料を作成する際、あなたは文字の大きさに気を配っているだろうか?
 参加者のなかに40代以上の人がいるなら、10pt未満は避けるべきだ。彼らには、10pt未満の文字は、「蟻(🐜)」にしか見えないからだ。老眼を侮ってはいけない。
 私は、ある会社の役員会に出席したとき、事務所から資料は14pt以上で作るよう指示を受けた。文字の大きさにも仕事のセンスが現れるのだ。

『すべてを手にする人が捨てている41のこと』 第3章 より 伊庭正康:著 かんき出版:刊

 電話のとりつぎやメールのやり取りなど、ビジネスの基本的な部分ができていない。
 そんな人は、どんなに仕事ができても、相手から見下されてしまいます。

 伊庭さんは、相手がどう思うかを真剣に考える想像力が差となると指摘しています。

 相手の立場から、ものを考える能力。
 ぜひ、身につけたいですね。

今の1万円

「節約家」と「ケチ」。

 この2つは、似ているようで、まったく違います。

 節約家は、ムダを省き、その分のお金を大事な物事に回す人です。
 ケチは、たとえ大事な物事であっても出し惜しみする人です。

 節約家はこう考える。
「他人が喜ぶことにお金を使うことをムダだとは思わない」
「自分の未来のための投資なら大胆な判断をする」

 なぜなら、それが人生を豊かにするためには必要なことだとわかっているから。
 しかし、ケチは違う。他人のためにお金を使わないし、それどころか自分の未来のためにも使おうとしない。目先の「得」が大事。それがケチだ。
 はっきり言おう。ケチな人にはお金も人も寄ってこない。
 こう考えるといい。

 もし、財布に1万円が入っていたとしよう。そのうちの1000円を“誰かのため”、または“未来のため”に使えば間違いない。
 もちろん、できる範囲でかまわない。1000円がムリなら500円でもいい。
 とにかく、目先の「得」以外の物事にお金を使うのだ。

 年金で暮らす、ある老夫婦のエピソードを話そう。
 あるときその老夫婦は、とあるディーラーの営業マンから国産の小型車を買った。
 どうも、その営業マンの対応がよかったらしい。満足した老夫婦は、お礼にと営業マンに1万円のネクタイをプレゼントした。
 その営業マンは驚くと同時に、こんなにうれしいことはないと喜んだ。
 もちろん、老夫婦の財布から1万円は消えた。ケチな人からは、この老夫婦がお金をドブに捨てているように見えるかもしれない。
 でも、この老夫婦にはよく不思議なことが起こる。
 たとえば、駅までの道をゆっくりと歩いていると、スッと目の前に車が止まり「乗ってくださいよ」声をかけられる。
 さらに、家を建てようかと迷っていた際には、大工が集まってきて、好意で家を建ててくれた。かかったお金は建材費と手間賃だけ。こんなことが日常的に起こるのだ。
 面白いのは、この老夫婦は億を超える資産を持つ、いわゆる富裕層だということだ。
 ただ、この老夫婦は、そのお金を自分たちのためだけには使っていない。
 だからまた、新たな循環が生まれるのだ。
 あるとき、老夫婦にたずねたことがある。
「お金は大事ですか?」と。
「大事だとは思うけど、別に・・・・・」

 お金は砂場の砂と似ている。多すぎても余らせるだけだし、ひとりで遊んでいてもつまらない。
 繰り返しになるが、ケチと節約家は似ているようでまったく違う。
 上手な節約を知れば人生はうまくいく。

『すべてを手にする人が捨てている41のこと』 第4章 より 伊庭正康:著 かんき出版:刊

 お金の使いみちは、その人の生き方の選択であるといえます。
 私たちは、自分が重要だと思っているものにしか、お金を使いません。

 未来に投資するのは、自分の未来に希望を持っているから。
 他人に投資する人は、周りの人たちが喜ぶ姿が見たいから。

 逆も、また真なり。

 お金の使いみちを変えれば、人生は変わります。
 日常でのお金の使い方を、改めてチェックしてみるのも大事ですね。

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 伊庭さんは、最後に「捨ててはいけないこと」をひとつだけ挙げられています。
 それは、「常に自分が決める」ということです。

 世の中の常識や、他人からのアドバイス。
 それらは、ほとんどの場合、根拠がありません。

 それよりも、「自分で考えて、行動する」ことの方が、何十倍も大事です。

 伊庭さんは、自分の頭で考えて、決めることができる人は、ほかの誰よりも多くの選択肢を見つけることができるとおっしゃっています。

 捨てるべきものは、すべて捨てて、身軽になる。
 そして、自分の意志で行き先を決めて、大空へ飛び立つ。

 私たちも本書の内容を実践し、上昇気流に乗って「自分」という“気球”を、天高く舞い上がらせたいですね。

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