本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『驚くほど目がよくなる! たった10秒の「眼トレ」』(日比野佐和子)

 お薦めの本の紹介です。
 日比野佐和子先生の『驚くほど目がよくなる! たった10秒の「眼トレ」 「近視」「遠視」「老眼」が9割治る』です。

 日比野佐和子(ひびの・さわこ)先生は、内科・皮膚科・眼科・アンチエイジングがご専門の医学博士です。

私たちは「目を酷使する時代」に生きている

 インターネットやパソコン・スマホなどのIT機器の普及などにより、「視覚から得られる情報」は、以前とは比較にならないほど増えています。

 大量の情報を受け止める、私たちの「目」は、想像以上に大きな負担を強いられています。

 目の酷使は、近視や老眼などの目のトラブルを引き起こします。

 日比野先生は、まずは自己防衛のために私たちが自ら対策を打つことが大切だと指摘します。

 私たちの目は、とても働き者です。
 目を閉じて寝ている以外の時間は、ずっとなにかにピントを合わせています。
 そして、知らず知らずのうちに大量の情報にさらされ、ハードワークを余儀なくされているものです。
 そのため目の疲れが蓄積し、20〜30代ですでに「本や新聞は遠ざけないと読めない」「照明が暗いと見えにくい」といった老眼の症状が出る人も少なくありません。
 それほどまでてはなくても、
「スマホでメールを打つと、よく打ち間違える」
「薬のラベルなど、細かい文字を読むのがツラい」
 などと、目の不調を自覚する人はたくさんいます。

 でも、「パソコン仕事だから、しかたがない」「そんな年になったのかな」なんて、あきらめないでほしいのです。

 前述のように酷使し続ける現代人の目の悩みは、環境の変化にともなう。新たな生活習慣によって生まれたものです。
 こうした現象は、目だけに限ったことではありません。
 肥満、高血圧、糖尿病など、「生活習慣病」と呼ばれる病気も原因は同じです。どのように自分でコントロールしていくのかが、とても重要になってきます。

 代表的な生活習慣病である肥満も、日常的に活動量を増やしたり、食べる順番を変えたりするだけで、驚くほど改善します。
 目も、肥満となんら変わることはありません。
 生活習慣を整えることで、今感じている目のトラブルをやわらげ、よい状態に改善することができるのです。

『驚くほど目がよくなる! たった10秒の「眼トレ」』 Part1 より 日比野佐和子:著 林田康隆:監 SBクリエイティブ:刊

 本書は、毎日の生活のなかで、誰でも手軽にできる「目をよくするためにできること」をわかりやすくまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「スマホ老眼」は、なぜ起こる?

 最近話題になっているのが、20〜30代の「スマホ老眼」です。
 一般的に、老眼の症状が出るのは、40代半ばからといわれています。

 日比野先生は、スマホ老眼が起こる理由を、「目がものを見る仕組み」から解説しています。

 目に入ってくる映像(光)は、「角膜」と「水晶体」という透明な組織を通過して入ってきます。これらはカメラでいうところの「レンズ」のような役割です。
 その後、眼内を通過して、その奥にある「網膜」に映し出されます。網膜はカメラでいうところの「フィルム」です。
 それが視神経を通じて脳に伝わり、そこではじめて映像として認知されます。この視神経から脳へ伝わる過程は、「フィルム現像」のようなものです。
 その過程で、「毛様体筋」という筋肉が伸び縮みして、水晶体の厚みを調整。角膜と水晶体の間にある薄い膜である「虹彩(こうさい)」が、網膜に映し出す映像ピント合わせ(絞り)をしているのです。

 目も私たちの体の一部ですから、年齢を重ねると、少しずつ機能が衰えてきます。
 ピント合わせをするための毛様体筋が弱まり、レンズである水晶体が硬くなってくると、ピント調節の機能が低下します。
 前述したように私たちの目の機能は、そもそも遠くの獲物をいち早く発見したり、危険を察知したりするために「遠くを見やすく」できています。
 そのため、手元や近くを見るときは、距離が離れたものを見るより、毛様体筋と水晶体が、がんばってピントを自動調節しなければなりません。
 つまり、ピント調節の機能が衰えると、近くが見づらくなることにつながるのです。
 これが、年齢にともなう「老眼」の状態です。
 では、毛様体筋や水晶体がまだ元気なはずの20〜30代で、なぜスマホ老眼になってしまうのでしょう。
 スマートフォンの操作で手元ばかり見る時間が長いと、毛様体筋は緊張し続けます。この状態がずっと続くと、毛様体筋に疲労が蓄積して、こり固まります。
 そして、老化した毛様体筋のようにこわばって、ピント調節がうまくできなくなってしまいスマホ老眼になるのです。

『驚くほど目がよくなる! たった10秒の「眼トレ」』 Part1 より 日比野佐和子:著 林田康隆:監 SBクリエイティブ:刊

図1 ものが見える目の仕組み PART1P19
図1.ものが見える目の仕組み

図2 老眼 の仕組み PART1P20
図2.「老眼」の仕組み
(『驚くほど目がよくなる! たった10秒の「眼トレ」』 Part1 より抜粋)

 小さな画面のなかの、細かな文字や映像を見続ける。
 それが目にとって、最も大きな負担になる、ということですね。

 スマホ老眼にならないよう、日頃からスマホの使いすぎには十分注意したいですね。

目が悪くなる大きな原因は「酸素不足」

 体の内側から起こる、目が悪くなる最大の原因は「酸素不足」です。

 私たちの体は、37兆個ある細胞で形づくられている、といわれています。
 酸素は、その1つひとつの細胞のエネルギーを生み出す役割を果たしています。

 体内の酸素不足を解消する、一番よい方法は、「血流を促す」ことです。

 酸素は血液の流れに乗って、全身の細胞に運ばれます。
 そのため、血流が滞ると、末端にある血管に酸素が届きにくくなります。
 また、血液は栄養素や酸素を運搬する以外にも、二酸化炭素や老廃物を回収し、排泄する役割も果たしています。
 つまり、血液は体内に「ある」だけでは、その役目を十分に果たすことができません。末端まで滞ることなく、全身をぐるぐると流れていなければならないのです。
「近視」「遠視」「老眼」、そして「眼精疲労」などの目のトラブルの原因は、複雑に絡み合っています。
 たとえば、毛様体筋がこわばると”スマホ老眼”の症状が出るばかりでなく、目がショボショボしたり、かすんだりします。
 さらに緊張が続けば、毛様体筋に過度な負荷がかかります。するとピントの調節ができにくくなる「調節痙攣(けいれん)」という症状を招くことがあります。

 遠視の場合、遠くも近くもピントが合いにくく、常に調節しなければならないので眼精疲労を招きがちです。
 頭が痛くなったり、集中力が衰えたりすることも少なくありません。
 ただ、原因が重なっているということは、根本的な問題を解決すれば、近視、遠視、老眼、そして眼精疲労まで、まとめて軽減できる可能性が高いということです。

 その根本的な問題を解決できるのが、血流を促すことなのです。

『驚くほど目がよくなる! たった10秒の「眼トレ」』 Part2 より 日比野佐和子:著 林田康隆:監 SBクリエイティブ:刊

 目の不調は、目だけの問題ではなく、体全体の問題です。

 目は、全身の血液の流れからみると、下流に位置します。
 上流のどこか別の部分で、血流が滞ると、目に届く血流の量も減ってしまいます。

 目の働きの衰えは、体全体の働きの衰え。
 全身の若さを保つためにも、目の健康の維持は欠かせませんね。

「血流」と「腸内環境」の密な関係とは?

 全身の血流をよくするための大切な器官のひとつが、「腸」です。
「腸内環境」と血流には、密接な関係があります。

 腸内にはたくさんの細菌が生息しており、その数はおよそ500〜1000種類、少なくとも100兆個はいると考えられています。
 この腸内細菌は、大まかに「善玉菌」と「悪玉菌」の2つに分けられます。
 善玉菌は、ビタミンをつくったり、排便活動を促したりして、体をよい状態に維持してくれます。

 ところが、悪玉菌が増えると腸内の腐敗が進み、有害物質が生み出されます。
 こうした有害物質は、腸壁から吸収され血液にとり込まれます。そして、血液の質を悪化させてしまうのです。
 ドロドロになった血液は、当然、流れが悪くなります。
 そして、体全体はもとより、細かい血管が集中している目に、血液が十分に行き届かなくなってしまうのです。

 腸内環境が悪化すると、血流が悪化する理由がもう1つあります。
 善玉菌が多いと消化活動がスムーズに行われますが、悪玉菌が増えると腸の正常な活動が滞ります。
 つまり、食べ物を食べ、栄養を吸収してエネルギーとして利用する、不要なものを排泄するという消化のサイクルが乱れ、代謝が衰えて血流が悪化してしまうのです。

 全身の血流を促し、目の機能をアップさせようと思ったら、腸内環境を整えておくことが欠かせません。

『驚くほど目がよくなる! たった10秒の「眼トレ」』 Part3 より 日比野佐和子:著 林田康隆:監 SBクリエイティブ:刊

 腸は、木でいうところの「根っこ」に相当する器官です。
 根っこから新鮮な水や養分を吸い上げられなければ、枝に付いている葉や花は枯れてしまいます。

 腸は、「第二の脳」ともいわれています。
 全身の血流を左右するということからも、その重要性がわかりますね。

「首」をほぐして目の血流をグンとアップ!

 目の血流をよくするためのポイントは「首」です。

 パソコンやスマホを長時間使用したりすると、首を前に突き出す姿勢になりがちです。
 すると首の筋肉は、その姿勢を保とうとして、過剰に緊張します。

 日比野先生は、首のこりを解消するマッサージやストレッチをいくつか紹介しています。

 首は、心臓から目と脳につながる血管が通っている、重要な部分です。
 首がこり固まってしまうと血流が悪くなり、目と脳に届くはずの血液が不足してしまいます。
 また、脳から出て首や胸を通り、お腹まで達している「迷走神経」は、ほぼすべての内臓を支配する重要な神経です。
 副交感神経は、この迷走神経が大部分を占めているのです。
 そのため、首がこると、副交感神経の働きが鈍くなり、さらに血液の流れが滞ります。
 ここで紹介するマッサージとストレッチで首のこりを解消し、目と脳に新鮮な血液をどんどん送り込みましょう。

◯首のウォーミングアップ「ホットネックタオル」
 ストレッチをする前にホットタオルで首を温めておくと、より効果的です。

◯首と目に血液を送り込む「耳ひっぱり」
 目や顔、そして頭皮や首の筋肉ともつながりあい、隣り合っているのが耳です。
 その耳を優しく引っ張ることで、こわばった筋肉を伸ばし、血流を促します。
 耳には、全身の200あまりのツボが集中しています。
 耳全体をまんべんなくもみほぐすことで、全身の血流も促します。

◯鎖骨の下をほぐす「鎖骨マッサージ」
 首が傾きがちだと、鎖骨の下がこってきますから、やさしくほぐしてあげましょう。

◯首の後ろの筋肉をほぐす「胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)マッサージ」
 耳の下から、胸骨と鎖骨までつながり、首を斜めに通っているのが「胸鎖乳突筋」です。顔を左右どちらか横に向けると、浮き出す筋肉がそれです。
 首の後ろがこり固まっている人は、必ずこの筋肉も同時にこわばっています。
 胸鎖乳突筋をほぐすことで、首の後ろの筋肉を緩めることができます。

◯首の横をほぐす「首横ストレッチ」
 首の後に加えて、首の横も優しくほぐしてあげましょう。

『驚くほど目がよくなる! たった10秒の「眼トレ」』 Part4 より 日比野佐和子:著 林田康隆:監 SBクリエイティブ:刊

図3 ホットネックタオル PART4P105
図3.ホットネックタオル

図4 耳ひっぱり PART4P106
図4.耳ひっぱり

図5 鎖骨マッサージ PART4P107
図5.鎖骨マッサージ

図6 胸鎖乳突筋マッサージ PART4P108
図6.胸鎖乳突筋マッサージ

図7 首横ストレッチ PART4P109
図7.首横ストレッチ
(『驚くほど目がよくなる! たった10秒の「眼トレ」』 Part4 より抜粋)

 どの方法も、誰でも簡単にできるものばかりです。
 気軽に試してみたいですね。

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「一度悪くなった視力は、元に戻らない」
「視力が悪くなるのは、遺伝だ」

 一昔前は、そんな思い込みが支配的でした。
 しかし、近年では、近視は環境が主な原因だという考えが主流になっています。

 目は、機能の衰えが真っ先に現れる器官です。
 逆にいえば、目の機能を保つように訓練を続ければ、体全体を若々しく保つことができます。

 本書で紹介されているエクササイズは、1回わずか10秒からできるものばかりです。
 細切れの時間を使って、日頃酷使ししている目をいたわってあげたいですね。

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