本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『壁を越えられないときに教えてくれる一流の人のすごい考え方』(西沢泰生)

 お薦めの本の紹介です。
 西沢泰生さんの『壁を越えられないときに教えてくれる一流の人のすごい考え方』です。

 西沢泰生(にしざわ・やすお)さんは、神奈川県生まれの会社員です。
 クイズ愛好家として知られていて、数々のクイズ番組に出場されています。

一流の人はどのように壁を乗り切るのか?

 常に前向きな、ネガティブな考えに縁がないような人がいます。
 その人たちも、当然、悩みや不安はあるはずです。
 それを乗り越えていけるのは、ネガティブな考えを排除し、何事も前向きに考える思考法を手に入れているからです。

 西沢さんは、世間で「一流」と言われている人たちには、圧倒的にこの「前向きな人」が多いと指摘します。

 一流の人と同じ成果を残すには、彼らと同じような「考え方」を持つのが最短距離です。
 
 本書は、一流の人たちが壁を乗り越えたときの考え方を、クイズ形式にまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

スポンサーリンク
[ad#kiji-naka-1]

「幸運の女神が微笑む人」の条件

 芝居の舞台や歌舞伎の講演で、主役が倒れたとき、しばしば抜擢される無名の新人。
 そのような幸運な人たちには、ある共通する理由があります。

問題
 代役で新人が大抜擢される時、多くの場合、その最大の条件となる共通の理由とはいったい何でしょう?

答え
 その新人だけが、主役のセリフを全部覚えていたから

 その新人は、いつかはこんなことがあるのでは?と、いつもいつも主役のセリフまで全部覚えていたのです。いや、主役だけではありません。異性や年齢が離れたキャストの代役は無理でも、自分が代役をつとめられそうな出演者については、その全員のセリフを、毎回毎回、全部覚え続けてきた。
 いつ誰が、急に出演できなくなっても、「あっ、〇〇さんのセリフなら全部覚えています!」と、手を挙げられるように準備を怠(おこた)らなかった・・・・。気が遠くなるような努力です。
 幸運の女神は、ちゃんと努力している人を見ている。そして、「あの子、頑張っているみたいだから、そろそろ微笑んであげようかしら・・・」なんて思ってくれる。その新人が大抜擢を受けたのは、偶然ではなく必然なのです。
 それだけの準備をできる人は、ちゃんと役者としての鍛錬も怠っていないから、それなりの実力を身につけています。だから、「よっぽどすごい新人なんだ」という見方も、半分当たりなのですね。

 『壁を越えられないときに教えてくれる一流の人のすごい考え方』 第1章 より 西沢泰生:著 アスコム:刊

「チャンスがない」
 そう嘆いている人は、そもそもそれに見合うだけの実力がないだけの可能性が高いです。

 まずは、実力を磨くこと。
 そして、一流ストライカーのように、つねにシュートのイメージを持ち続けること。

 それがチャンスを引き寄せる秘訣です。

平野レミの肩書きは「料理研究家」ではない

「自分がなりたい人」に簡単になる方法は、「名乗ってしまうこと」です。

問題
 美味しい料理だけでなく、自ら料理の道具も考案してしまう元気なマダム・平野レミ。さて、彼女が自ら名乗る、その肩書きが何だったでしょう?(※ヒント:小林カツ代さんをはじめ多くの方が使っている肩書きは「料理研究家」。中にはストレートに「料理家」と名乗る人もいますが、平野レミさんはどちらでもありません)

答え
 料理愛好家

 あの方、料理を研究するのではなく「愛好」していたのですね。いつ見ても、とっても楽しそうなわけです。この「料理愛好家」という肩書き、彼女の「料理を楽しんじゃおう」という姿勢が出ていて、なかなかグーです。

 かつて、孔子はこんなことを言いました。
「これを知る者はこれを好む者に如かず、これを好む者はこれを楽しむ者に如かず」(ただ知っているだけの人は、それが好きな人にはかなわない。好きな人も、それを楽しんでいる人にはかなわない)
「好きこそモノの上手なれ」ということでしょう。「愛好家」って素晴らしい・・・。楽しんでいる人が一番強いということですね。
 たかが肩書き。されど肩書き。あなたも、自分だけの肩書を考えてみてはいかがですか。名乗るだけで、肩書き通りの人物になれるなんて、簡単だし素敵じゃありませんか! それに、ずっと名乗り続けることで、そういった仕事が舞い込んでくるチャンスだって増えるのですよ。
 例えば、物書きになりたいという人に、編集者や作家はこうアドバイスします。「ライターでもジャーナリストでもいいから、そういう肩書きの名刺を作って配りなさい」。これだけで、あなたが何をしたいのかを周囲に知らせることができます。

 『壁を越えられないときに教えてくれる一流の人のすごい考え方』 第2章 より 西沢泰生:著 アスコム:刊

「自分はこういう人間だ」と思い込むと、実際にその通りになってしまいます。
 これは「自己催眠」の一種で、潜在意識のなせる業です。

 潜在意識の力は、私たちが思っている以上に強力です。
 それをプラスに使わない手はありません。

 肩書きは人をつくります。
 自ら名乗ってしまうというのは、素晴らしいアイデアですね。

米長邦雄が名人になるためにやったこと

 実力勝負の厳しい世界である将棋界。
 その中で、最高位のタイトルである名人位に6回挑んで、6回負けた棋士がいます。
 米長邦雄さんです。

 米長さんは、それでも諦めずに40代半ばである決断をします。
 そして、念願だった名人位を手に入れました。

問題
 どうしても名人位が欲しかった米長邦雄が、40代の半ばを過ぎた頃に一大決心をしてやったことは何だったでしょう?(ヒント:「中原名人の弱点を徹底的に研究した」ですって? 違います。相手ではなく、自分をどう鍛えたかです)

答え
 今まで培ってきたものをすべて捨てて、一から自分の将棋を作り直した

 驚きの決断です。ちなみに彼は、この決断によって、後に念願の名人位に就くことができたのです。

 40代半ばと言えば、棋士としてはもうベテラン。そんな年齢で大変革に挑戦したのです。米長邦雄は、すべてを捨てて、恥も外聞もなく、若手の棋士にまで教えを乞うて、最先端の将棋を一から学びました。そして、50歳を目前にして、周りから「年齢的にも名人をとる最後のチャンス」と言われた中原戦に勝ち、念願の名人位を獲得したのです。
(中略)
 40代後半といえば普通なら、今まで培ってきたものを集大成する時期です。にもかかわらず米長さんは環境の変化に対応し、生き残るために豊富なキャリアを一度ゼロベースにしてリセットしたのです。培ってきたスキルが、新たなことを学ぶ妨げになりがちな年齢にも関わらず、壁を乗り越えるために行った英断。例えるなら、高層ビルをダイナマイトで壊して、そこにまた高層ビルを建てるようなイメージでしょうか!? 羽生善治は米長邦雄をリスペクトしていますが、その気持ち、わかります。
 若い棋士にまで教えを乞うなど、年長者にありがちなプライドを捨てた潔さも注目に値しますね。

 『壁を越えられないときに教えてくれる一流の人のすごい考え方』 第3章 より 西沢泰生:著 アスコム:刊

「ベテラン」といわれる年長者ほど、自分のやり方にプライドを持つ人は多いです。
 しかし、時代の流れの変化はますます激しくなっています。

 昔は通用したけれど、今は通用しなくなった。
 そんなことは、世の中にいくらでもありますね。

 仕事でも何でも、伸び悩んでいたり、下降線をたどっている。
 そのような場合、積み上げたものすべてを壊して、根本から作り直す。

 ときには、そんな勇気を持つ必要があります。

安藤百福のカップヌードル開発秘話

 日清食品創業者であり「カップヌードル」の発明で有名な安藤百福さん。

 安藤さんが、カップヌードルを開発する上で一番苦労したこと。
 それは、『麺をカップの中間で浮いた状態にすること』でした。

 台形の麺をカップの中間で固定することは至難の業です。

問題
 試行錯誤の末に見つけた「麺をカップの中間で固定する方法」とは、どんな方法だったでしょう?

答え
 麺を上下逆さにして固定し、 カップの方を上からかぶせた

 この方法により、麺を上から入れていた時の微妙なずれが消え、麺はピタッとおさまりました。まさに、逆転の発想! そう言えば、同じく麺類の冷やし中華も確か、逆転の発想による発明品だったと思います。熱いラーメンが夏に売れないから、「冷たくして売っちゃえ」って、お見事な発想です。
 新しい発想を得たい時は、見方を180度変えるのが有効です。あっ、間違っても360度変えないでくださいね。ガッツ石松の「ボクはボクシングをはじめて、考え方が360度変わったんだ」という伝説のギャグになってしまいますから・・・。
 「発想の転換」で有名なのは、何と言ってもコロンブスのエピソードですね。「新大陸なんて、船に乗ってひたすら進めば誰にでも発見できたじゃないか!」と言われたコロンブスが、「あなたはこのゆで卵をテーブルに立てる事ができますか?」と言い返した、あの話です。悪戦苦闘する相手に対し、コロンブスはテーブルに勢いよく卵をぶつけて、殻を割って卵を立ててしまいました。はっきり言って反則もいいところ。でも、「誰にでもできる簡単なことも、最初に思いついて実行に移すのは難しい」と強烈に反論したわけです。
 コロンブスが割ったのは、「卵の殻」ではなく「固定観念の殻」でした。

 『壁を越えられないときに教えてくれる一流の人のすごい考え方』 第4章 より 西沢泰生:著 アスコム:刊

「世紀の発明」といわれるものほど、「なんで、今まで誰も気がつかなかったのだろう?」と思うような単純なものが多いです。

 この事実は、発明には「発想の転換」が何よりも重要だということの証拠です。
 逆にいうと、普段、私たちがいかに固定観念にとらわれているかということでもありますね。

 壁にぶち当たったときこそ、180度見方を変えること。
 そうすることで、見えなかったことが見えてきます。

スポンサーリンク
[ad#kiji-shita-1]
☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆

 一流といわれる人とそうでない人の差。
 それは困難やトラブルに遭遇したとき、それをどう感じるか次第です。

 目の前に高い壁がある。
 そのとき、「無理」「怖い」と思うのか、「ワクワクする」「楽しみ」と思うのか。

「人生の壁は越えるためにある」

 どんな困難やトラブルも、必死に手を尽くせば、必ず突破する方法はあります。
 一流の人のポジティブな考え方を見習い、壁に立ち向かう勇気を持ちたいですね。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です