本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『究極の疲れないカラダ』(仲野広倫)

 お薦めの本の紹介です。
 仲野広倫先生の『世界の最新医学が証明した 究極の疲れないカラダ』です。

 仲野広倫(なかの・ひろみち)先生は、スポーツカイロプラクターです。
 米国政府公認カイロプラクティクドクター、カイロプラクティク認定スポーツ医として、米国を中心にご活躍中です。

「究極の疲れないカラダ」とは?

 最近、カラダが硬くなって、あぐらができない。
 片足立ちで、靴下が履けなくなった。
 デスクワークをしていると、すぐに腰が疲れる。

 これらは、すべて、カラダの「機能障害」からくる症状です。

 仲野先生は、なぜ機能障害が起こるかと言えば、カラダのキャパシティが足りないからだと指摘します。

 カラダのキャパシティのことを、機能運動性と言います。

「最近、体力が落ちたなー」
「いつもなんとなくカラダが重い、だるい」
「少し長い距離を歩くと腰やひざが痛くなる」

 これらはすべて機能運動性の低下です。多くの人はその対策としてラジオ体操を始めたり、ウォーキングをしたり、ジムに行くわけですが・・・・・。
 1日に何百回スクワットをしても、1万歩を歩いても、それほど高い効果は見込めません。疲れないカラダを手に入れるために、ジムに行くようなハードなトレーニングもバランスボールのようなトレーニング器具も一切不要です。
 これまで10万人以上を診てきて、老若男女関係なくハリウッドスターにもオリンピックメダリストにも同じ方法を指導してきました。機能運動性を高める運動を日常のちょっとした合間におこなうだけで、究極の疲れないカラダは簡単に手に入ります。

 トップアスリートを除けば、カラダが本来もつ機能運動性を100パーセント発揮している人はいないわけです。
 仮に40歳まで運動の習慣がなかった人が機能運動性を高めれば、30歳のときよりも動ける元気なカラダを手にすることができます。これは疲れ知らずの若返ったカラダを手にしたようなものです。

 治療もしていないのに機能運動性を高めるだけで「長年苦しんでいた痛みが嘘みたいに消えた」「カラダが疲れにくくなって仕事に集中できるようになった」「週に1回は欠かせなかったマッサージに通う必要がなくなった」という人が続出しています。

『究極の疲れないカラダ』 はじめに より 仲野広倫:著 アチーブメント出版:刊

 仲野先生は、年齢とともに疲れやすくなるカラダも、きちんとチューンアップしていけば生涯元気に働きますと述べています。

 本書は、機能運動性を高めることで「究極の疲れないカラダ」をつくるための方法を、医学的なエビデンスに基づいてまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「カラダの老化」ってどういうこと?

 人間のカラダは、年齢とともに衰えていくものです。
 この現象を「老化(エイジング)」(Aging)と呼びます。

 エイジングは、生まれた瞬間から、すべての人に進行する自然現象です。

 よく、カラダの調子が悪くなったのを、加齢のせいにする人がいます。

 しかし、仲野先生は、実際は加齢により不調になったのではなく、元々悪くなっていた部分があって、自己治癒が追いつかなくなったことが原因だと指摘します。

 年齢とともに筋肉量や筋肉につながる神経量が落ちます。すると、筋肉の中にあるグリコーゲンの量が少なくなってパワーが出なくなります。当然、カラダも動きにくくなります。血液循環も悪くなり、細胞の回復も遅くなっていく。これが老化です。誰にも止めることはできません。
 もちろん、運動、食事、ストレスマネジメント、睡眠などさまざまな方法で老化を遅らせることができます。元々、長寿遺伝子をもっている人もいます。
 ご年配の患者さんにトレーニングを指導すると「今からでも間に合いますか?」とよく聞かれます。わたしは「みんなつねに老化しているのです」と答えます。毎日機能障害を起こす動きをしていれば正す。加えて、将来の機能障害を防ぐトレーニングをする。これは20歳にとっても90歳にとっても大切なことで、実践すればいくつの方でも必ず効果が出るものです。

 世の中で老化をもっとも実感する人はアスリートでしょう。最高のパフォーマンスを出せるよう、機能運動性を極限まで高めるので、トップレベルになればなるほど新記録を出すこと、もしくは落ちはじめた記録を戻すことは困難です。
 反対に運動していない人ほど、衰えを自覚したときにはかなりの機能運動性が落ちていると言えます。

 ニューヨークのマラソンコミュニティで有名人の馬二郎さん(仮名)は、驚くべきことに、50歳を超えてからはじめてサブスリー(フルマラソンを3時間以内に走ること)を達成しました。30年以上フルマラソンを続けてきて、さすがに昔と同じ練習をしても3時間を切ることができなくなったと話してくださいました。
 マラソンは30代前半がピークで、それを過ぎればタイムは落ちていく一方と言われる競技です。馬二郎さんのように60歳を超えたいまも3時間台を出せる人間は地球上でもあまりいないのではと考えてしまいますが、ご本人にとっては3時間を切らなければ納得いかないそうです。
 わたしにとっては、いくつになってもトレーニングの価値があることを教えてくれるお手本のようなアスリートです。

 いつまでトップパフォーマンスを維持できるか、何歳までパフォーマンスを上げられるのかには個人差があります。また競技による差もあるため、どういう選手がいつまで現役を長く続けられるのかはわかりません。しかし、機能運動性を高めれば馬二郎さんのように60代でも一般の20代以上の体力を維持できます。

『究極の疲れないカラダ』 第1章 より 仲野広倫:著 アチーブメント出版:刊

 大事なのは、機能運動性を高めること。
 今の自分の最高のパフォーマンスを維持することが目標となります。

 20代には20代の、60代には60代の、体力やカラダの機能があります。
 それをベストな状態に保つことが、生涯現役を続ける秘訣だということです。

腰痛を防ぐ「片足立ち筋肉リリース」

 デスクワークなどで、長時間座りっぱなしで動かない。

 そんな人は、股関節がいつも曲がっているので(屈曲ポジション)、前太ももの筋肉が短く硬くなって股関節をロックされています。
 そのような状態で、急に立ち上がったりすると、腰に痛みが出ます。

 仲野先生は、股関節まわりのロックを外す方法として「片足立ち筋肉リリース」を紹介しています。

 腰痛の人は電気治療したり、腰にさまざまな処置をします。しかし、前太ももの筋肉をリリースして、股関節のロックを解かなければ腰痛は解消されません。人間のカラダはまず軟部組織(筋肉や靭帯)が癒着し、次に関節可動域の低下が起こります。負荷がかかり、硬く癒着した筋肉を動かすことで血液循環を改善させ、よく働くようにするのです。154ページの片足立ち筋肉リリースは、現代人に多い股関節の機能障害を回復させるための運動です(下の図1を参照)。

 まず股関節まわりの筋肉を触って、筋肉に硬いところがないかチェックします。押してみて痛いところが見つかったら、その場所を指で押しながら反対側の足で片足立ちになり、前後に5回足を振ってリリースします。その後また別の痛い場所を探して同じように5回リリースをします。痛みが増すようであれば止めてください。

 片足立ちが苦手の方は何かにつかまっておこなうか、横向きに寝ながらリリースしてください。ゆっくりと筋肉のハリがゆるむのを感じましょう。
 腰の痛みを感じる場合は、腰やお尻に力が入っているか、骨盤をまっすぐにできていません。前に出す足に突っ張りを感じる際は、その足をもう少し前方へ出して突っ張りのない状態でおこなってください。必要に応じて小さな台を用意してもかまいません。
 腰まわりより足まわりの筋肉の癒着を取ったほうが、腰椎の圧がリリースされて腰の痛みがラクになります。

『究極の疲れないカラダ』 第3章 より 仲野広倫:著 アチーブメント出版:刊

図1 片足立ち筋肉リリース① 究極の疲れないカラダ 第4章
図1 片足立ち筋肉リリース② 究極の疲れないカラダ 第4章
図1.片足立ち筋肉リリース
(『究極の疲れないカラダ』 第4章 より抜粋)

 1日3セット、毎日の習慣にしましょう。

カラダを支える筋肉を鍛える「椅子スクワット」

 機能障害を防ぐには、カラダを支える筋肉を鍛える必要があります。
 仲野先生は、弱った機能運動性を強化する方法として「椅子スクワット」を紹介しています。

 158ページの椅子スクワットは、両足でカラダを支えながら、ひざと股関節を曲げる全身運動です(下の図2を参照)。正しいフォームでできない人は、できないくらいまでカラダが衰えている証拠です。腰、ひざ、背中、股関節などあらゆる場所に痛み、故障、変形性関節症がおよぶリスクがあります。首に派生すれば頭痛を引き起こす可能性もあります。簡単に言ってしまうとカラダを支えられていないのです。
 ひざが「内側に入る」「外側に開く」「前に出る」、どれもスクワットをするときに典型的な機能障害です。俗に言うランナーひざ、ジャンパーひざになる可能性もありますし、半月板や靭帯の故障リスクもあります。
 とくにひざが前に出ることで大腿四頭筋(だいたいしとうきん、前太ももの筋肉)と膝蓋腱(しつがいけん、大腿四頭筋とひさのお皿をつなぐ靭帯)の負荷が上がり、痛みを出す症状は多いです。
 ひざの前方に痛みがある人は、前に出すひざの使い方を変えるだけでも痛みが軽減します。ポイントはひざではなく、股関節を動かすように歩いたり、スクワットなどで機能運動性を高めることです。ひざの間の軟骨である半月板やひざの軟骨を痛めるのも基本的にはこの機能障害が原因です。

 キネティックチェーンと言って、カラダは鎖のように頭の先から足の先までつながっていると考えます。1ヵ所で問題が起きると連なったところにも影響がおよびます。
 ですから、半月板が壊れたところを削ってよくなっても股関節まわりの機能障害を改善しないと、何度でも同じ故障をしてしまいます。
 また、チェーン全体に負荷がかかったときには弱い場所から故障します。椅子スクワットでも足の裏が筋肉痛になったり、背中が痛くなる人がいるはずです。
 反対に言えば、椅子スクワットのような全身運動はこの弱いチェーン部を強くするのに役立ちます。足の指から意識して、あごを引いて、股関節から足を曲げてスクワットしましょう。上半身がまっすぐキープできているかも大事なチェックポイントです。正しいフォームなら、筋力の弱い部分は自然と強化されます。

『究極の疲れないカラダ』 第3章 より 仲野広倫:著 アチーブメント出版:刊

図2 椅子スクワット① 究極の疲れないカラダ 第4章
図2 椅子スクワット② 究極の疲れないカラダ 第4章
図2.椅子スクワット
(『究極の疲れないカラダ』 第4章 より抜粋)

 最初は、椅子に座って、両足で。
 慣れてきたら、椅子なしで両足で。
 さらに、片足ずつで、と、少しずつ、強度を上げていきましょう。

 こちらは、週に2回。
 時間を決めて、確実に続けたいですね。

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 人間誰しも、少しずつ年齢とともに筋肉量や落ちて、回復力が落ちていく。
 それは自然の摂理であり、ある意味、仕方のないことです。

 では、歳をとると必ず、体のあちこちが痛くなったり、動かなくなったりするのか。
というと、それは違います。

 その時点での、体の機能運動性を、十分に発揮する。
 それさえできれば、年齢関係なく、快適な生活を送ることができます。

 機能運動性を高めるには、厳しいトレーニングを重ねる必要はありません。
 1日に数分程度のエクササイズだけで十分です。

 もっとも大切なのは、継続すること。
 本書の内容を習慣にして、いつまでも衰え知らずの『究極の疲れないカラダ』を手にしたいですね。

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