【書評】『で、ほんとはどうしたいの?』(岡田哲也)
お薦めの本の紹介です。
岡田哲也さんの『で、ほんとはどうしたいの?』です。
岡田哲也(おかだ・てつや)さんは、心身調律セラピストです。
で、ほんとはどうしたいの?
岡田さんが、本書で伝えたいことは、たった1つ。
「で、ほんとはどうしたいの?」
です。
そして、「お金がないから今はできない」とか「地位がないから私にはムリ」とかいいわけしてるヒマがあるならさっさとやりたいことやれ、です。
ここに意識を向けて実際に行動できるかがかなり重要になります。
なぜかと言えば普段セミナーを開催する身としてたくさんの人を見てきましたが・・・・・
そんなふうにいいわけして「やらない」を選択している人たちみんな、自作自演の苦労人コントをやっているだけですから。
勝手にいじけて、孤独だわコント。
本音を言っていないのに、分かってくれないわコント。
・・・・・などなど、例を挙げたらキリがありませんが、私から見れば残念ながら、
勝手に自分のこと不幸にして→その不幸を嘆く
という謎の一人芝居をしてるようにしか見えません。
え? 失敗が怖い? じゃあ、やらなくてもいいんです。その代わり、このままあなたの人生の主導権は他の誰かのものになって、変わらない日々を送り続けるだけですが。
それに安心してください。どうせ失敗するし、不安にもなるし、罪悪感も出ますから。それもひっくるめて体験であり、人生の面白いところではないでしょうか。
だって、ずっと平坦な道が続くジェットコースターや、誰も死なない『名探偵コナン』なんて誰が魅力を感じると思います?
どうせ感じるものは感じるのですから、見ないフリとか元気なフリとか、はたまた気持ちや思考の切り替えをしようとか、いらないんです。いつまでも「弱い自分を隠して強がってるのに誰も分かってくれない」と絶望してても構いませんが、
「で、ほんとはどうしたいの?」
ですよ(大事なことなので何度も言います)。
ただすぐにできることじゃないんで、何回も何回もこの質問に答えて、やりたいことを実践してあげることで自分を満たしてあげてください。
こんなこと言うと「やりたいことやっちゃうなんて他人に迷惑なのでは?」といつもの癖で不安になるかもしれません。が、やりたいことをやってしまっても大丈夫です。その理由はこの本にたっぷり書いたつもりです。
だからさっさと読んで、さっさと一度きりの自分の人生を謳歌(おうか)しちゃってください。『で、ほんとはどうしたいの?』 はじめに より 岡田哲也:著 ワニブックス:刊
本書は、「自分が本当にやりたいこと」をやる人生の、最初の一歩を踏み出す方法をわかりやすくまとめた一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。
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ちゃんと「自分の本心」は聞けてるか?
「生きていること」に、どんな意味があるのでしょうか。
岡田さんは、究極的には全部無意味。どうせ無意味なんだから、楽しんじゃえば?
と述べています。
極端なことを言えば、人生に意味なんかありません。
もちろん、私たちが今ここにいて、誰かと関わりながら生きていることはとてもステキなことだと思います。「生きていても意味がない」なんて意味で言っているわけじゃないので、誤解しないでくださいね。
でも、何か大きなことを成し遂げたとか、たくさんお金を稼いでいるとか、そんなどうでもいいことを【人生の意味】だと思っているなら大間違いです。
大切なのは、その「何か」を成し遂げる時に魂がワクワクしているかどうか。お金を稼ぐ時に楽しんでいるかどうかです。今を楽しむことが、生きていく上で一番大切なんです。
サラッと「楽しむ」と言いましたが、普段ちゃんと自分を楽しませていない人にとっては、これが意外と難題です。何をすれば自分が楽しいのかが分からないからです。
「じぶんにとって楽しいことが分からない人なんているの?」と思うかもしれませんが、実は結構たくさんいます。もしかしたら、そう思っているあなた自身がそうかもしれません。「丹田(たんでん)」の声に忠実に、自分の欲求をその時々で叶えてあげないと、気づかないうちに欲求に対する感受性が鈍ってしまうんです。
では、いきなり登場したこの“「丹田」の声”とはいったい何を指しているのでしょうか。
丹田とは、東洋医学でおへその下、腹筋の奥の方にあるとされる、「気」の集まる場所。詳しい場所が重要なわけではないので、この本では単に「肚(ハラ)の声」と呼ぶことにします。「肚の声」は、「魂のワクワク」と言い換えてもいいでしょう。つまり、自分が直感的にしたいこと、「欲求」を知らせるシグナルのことです。
具体的には「無意味」で「無邪気」で「無目的」。なのに「やりたい!」とワクワクすることがそれに当たります。
例えば私なら、自分の子どもと遊ぶこと。家にいる時は大抵子どもと遊んでいますが、それは「この子が大きくなって親孝行してくれたらいいな」なんて下心があってのことではありません。
ただ単純に、かわいくて仕方がないから遊んでしまうんです。子どもがいない人にとって分かりやすいところで言えば、食べ物の好き嫌い。
みなさんは、どんな食べ物が好きですか? それのどこが好きなのか、理路整然と説明できますか?
「おいしいからなんとなく好き」
そう、説明できなくていいんです。肚の声が教えてくれるのは、ただ「好き」「やりたい」という直感だけ。「ヘルシーだから」「彩りが良いから」なんて後付けで考えた理由です。『で、ほんとはどうしたいの?』 第一幕 より 岡田哲也:著 ワニブックス:刊
人は誰でも、本当に好きなことは、時間を忘れるほど熱中します。
「理由は、ない。やりたいから、やる」
それが、「魂のワクワク」することです。
子どものときには、誰もが持っていた、この感覚。
今こそ、それを取り戻すべきときですね。
「喜怒哀楽」の使い方を忘れたあなたへ
喜怒哀楽の感情がない人は、いません。
ただ、感情をどこかに置き忘れたかのような人。
何を感じているのか、自分でわからなくなっている人は、多いです。
パターンの一つに、自分では自分の感情を自覚しているけど、社会的な常識や今まで受けてきた抑圧からそれを表現することを恐れている
場合があります。
思い切って出てきた感情を表現しましょう。この一言に尽きます。
感情を表現したら批判されたり、冷たくされたりして落ち込むことも時にはあるかも知れません。
しかし、なんのことはない。もともと自分の中に落ち込む種があっただけです。多くの場合、そんな弱い自分を子どもの頃に否定された経験から「もう同じ思いはしたくない」と自分を抑えることを学んだわけなのですが、この本を読んでいる以上、あなたはきっともういい大人になりました。ご機嫌を損ねたらママのおっぱいがもらえなくて命に関わるかもしれない赤ちゃんならまだしも。
なので、誰から否定されようが、嫌われようが、それだけで命に関わることはありませんので、どうぞ安心して落ち込んでほしいと思います。この分野については精神神経免疫学の分野でも研究が進んでいて、免疫性疾患になりやすい人は感情表現に乏しいそうです。
これは意識して作り笑顔をしているからオッケー、というものではなく、自分が感じていることを素直に表現できているかどうかが大切です。
よくありがちなのは、「ネガティブな感情は悪いものだ」と思い込んでいる人が寂しかったり、ムカついたりした時にそんな自分を否定して、平気なフリをしたり、ポジティブに思考を切り替えようとあれこれすることです。
残念ながら、これは一見有効に見えますが効果は一時的です。
感情というエネルギーを抑え込むために思考を使ったり、作り笑顔をして気持ちを切り替えることによって、本来表現すれば解放されたはずのエネルギーが体内にこもることになります。そしてその抑え込まれたエネルギーは不自然なバイブレーションとなり、自分の周りの現実がそのモヤモヤ感を引き出させるために問題や敵を発生させるのです。
『で、ほんとはどうしたいの?』 第二幕 より 岡田哲也:著 ワニブックス:刊
ネガティブな感情を持つことは、誰にでもある、当たり前のことです。
それを否定して、「なかったこと」にしようとしても、無理です。
消えてなくなったはずの感情は、心の中に、どんどん溜め込まれていきます。
それが、いつも心が晴れない、モヤモヤした状態を創り出しているのですね。
感情を押し殺さず、素直に表現すること。
自分らしく生きるためには、欠かせない要素です。
呼吸するみたいに「お金」を使うには?
岡田さんは、自分の好きなことだけやっている流れの中で自然とお金が循環していく状態になった時、お金への意識が消える
と述べています。
「お金へのブロックを外すためにお金を使う」というのは恋愛で例えるなら、「元彼に対する未練を断ち切るために彼のことだけを考える」ようなもの。
この場合、解決するためにはまずその【対象(お金・元彼)に対する気持ちがあるのをちゃんと自覚した上で、あえて踏み込んでいく】というプロセスが必要になるんです。
そうすることで、
自分にはどんな感情があるのか?
寂しいのか?
不安なのか?
心の穴埋めなのか?
という自分自身のありのままの状態を自覚することができますし、さらにはその体感まではっきりと体験することができるんです。昔の私の場合、自分がそんなにケチケチ君だということは女友達から言われるまで全く気がついていませんでした。
でも、自分のときめくものに対してお金を惜しまない人からしたら、実にブロックだらけに見えていたことでしょう。だからこそ、それこそまず夕食のお惣菜をちょっと良さげなものにしたり、スーパーであと5分で割引シールが貼られることが分かっていてもさくっと買い物をしてみたりと、本当にささやかなところから実践していったんです。
これはお金を使うことへの抵抗がない人にとってはちょっと引くくらいしょうもない話だと思いますが、この程度でザワザワする人が本当にいるんです(ここにもすでに一人います)。
お金へのブロックを外すにはそういった日用品からの練習を重ね、少しずつそのランクをアップさせていくと感覚がつかみやすいと思います。
私の場合も洋服屋さんに行ってあえてお高めな洋服を買ったりして、自分に対してお金を使うという許可を少しずつ重ねていきました。
参考までにちょっとまとめておきます。食事
安めなお惣菜
→高めなお惣菜
→お店に入る
→コースを頼む
→ワインを入れてみる
→おごってみる
→高級ホテルのラウンジに行ってみる交通手段
高速バス
→新幹線(ぷらっとこだま)
→グリーン車の速いやつ
→LCC航空会社(セールの時に予定を組む)
→LCC航空会社(行きたい時に行く)
→ANA/JAL(クラスJ→プレミアムクラス)宿泊
ゲストハウス・カプセルホテル
→ビジネスホテル
→シティホテル
→一流ホテルのスタンダード
→ジュニアスイート
→スイートルーム(その時の宿泊人数に応じて)こんなところでしょうか。そうやって少しずつ金額的な抵抗感がなくなった時に、ある時フラットになる瞬間があるんです。
【お金】のことが頭(意識)から消える瞬間ですね。『で、ほんとはどうしたいの?』 第三幕 より 岡田哲也:著 ワニブックス:刊
私たちに、最も身近で、大切なものである「お金」。
そのお金に、どんな感情を抱いているのか、自覚できている人は少ないです。
お金に対する、ネガティブな感情。
お金を使うことに対する、抵抗感や罪悪感。
それらとしっかり向き合ったうえで、心理的なブロックを少しずつ外していく。
それが、お金の流れをスムーズにするためのコツです。
ビジネスは「起こすもの」ではなく「起こっちゃうもの」
岡田さんは、ビジネスは、【起こす】ものではなくて【起こる】もの
だと述べています。
「起業しましょう! では何を売りましょう? こんなふうに売りましょう!」ではなくて、「絵を久しぶりに描いてみたら楽しかった〜♪ え? 買いたいんですか?」がビジネスが起こるということ。
- 「これで稼いでやろう」と肩に力が入った状態ではなく、自然に夢中になっているうちに気がついたら顧客が現れた
- 紹介してくれる人が現れた
- なんか軌道に乗っちゃった
という流れですね。
「結果を出さないと意味がない」とビジネスの世界では言われているかもしれません。
ですが、そもそも「結果を出す人間にならないと私には存在する価値がない」など、どっぷりと劣等感や無価値感に苛まれている人が結果を出したところで、「次も結果を出さないと!」と、次なるゴールに向かってまた走り出すだけ。
これからのビジネスでは結果は出ちゃうものであって、決して結果を出す・利益を出すためにビジネスをしようという順番ではないのです。
ただし、自分が好きでやっていることに対して、
「これは趣味だから値段は付けないのよ〜」
「これはタダであげるわよ〜」
というぬるま湯的なビジネスの仕方はあまりオススメしません。例えばアクセサリー作りが大好きな人の場合。
その制作には時間も材料費もかかるわけです。ものすごく単純にその時間を最低賃金に換算したって値段は付くのですから、自分というすばらしい存在、そして自分がワクワクしている時間という価値あるものに対して、敬意を払って値段は自分の望む値段を設定してあげるといいでしょう。また、会社員の場合でもこの意識はすごく大切なところです。
①「営業ノルマを達成してボーナスをもらうために頑張る!」という人。
②会社で取り扱っている商品が大好きで人にそれを話すことが大好きだから、どうやったらもっと楽しく分かりやすく話せるかな? と頑張る人。表面的には同じように頑張っている人ですが、意識の方向性がまるで違います。
大切なのは「自分が何に一番ワクワクするのか?」を自分で知っていること。
そこを掘り下げて構成要素に分解していくと、自分が一番輝ける仕事だけに夢中になっているうちに、気がついたら結果が出ているという状況になるんです。『で、ほんとはどうしたいの?』 第四幕 より 岡田哲也:著 ワニブックス:刊
「好きこそものの上手なれ」
どんなことでも、とことんまで突き詰めれば、ビジネスになるということです。
好きなことに、夢中になる。
時間を忘れて、のめり込む。
その先に、自分にしかできないこと、オンリーワンの商品が用意されています。
魂の声の導くまま、肩の力を抜くこと。
好きなことに、どんどんチャレンジしていきましょう。
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☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
凄まじい勢いで変化し続ける、今の世の中。
その変化の波に乗っていくために必要なこと。
それは、「身体感覚」、つまり、肚の声に敏感になっていく
ことです。
岡田さんは、その自分の感覚こそが絶対であると知り、いざ実現しようという時に思考を使って実現させていってあげる
ことが重要だとおっしゃっています。
「自分が本当にやりたいことは何か?」
「自分が本当に好きなことは何か?」
それを、頭ではなく、身体に聴く。
思考ではなく、感覚に従う。
これからの時代、そんな意識の大変革が必要とされています。
「で、ほんとはどうしたいの?」
その問いかけに、躊躇したり、考え込んだ人。
本当の自分を生きていない可能性大です。
要注意ですね。
本書を読んで、偏見や思い込みに支配された頭の中を、さっぱりとリセットしましょう。
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