【書評】『世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?』(戸塚隆将)
お薦めの本の紹介です。
戸塚隆将さんの『世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?』です。
戸塚隆将(とつか・たかまさ)さんは、ビジネスコンサルタントです。
ゴールドマン・サックスでM&A(事業譲渡)アドバイザリー業務に従事された後、ハーバード経営大学院にてMBA(経営学修士)を取得。
転職先のマッキンゼー・アンド・カンパニーで多国籍企業の戦略立案、組織改革などの戦略コンサルティング業務に従事されています。
トップエリートが実践する四つの「基本」とは?
ゴールドマン・サックス=「世界最強の投資銀行」
マッキンゼー・アンド・カンパニー=「世界最高のコンサルティング・ファーム」
ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)=「世界最上級のビジネス・スクール」
それぞれが各分野のナンバーワンとして世界的に有名な企業でありビジネス・スクールです。
戸塚さんは、彼らには共通する基本の考え方、価値観、仕事の流儀があることに気づきます。
ゴールドマン、マッキンゼー、ハーバードに共通する「基本」。
それは、大きく分けて次の四つのポイントに整理できます。
- 人との「つながり」を大切にする
- 「自分磨き」を一生継続する
- 「日々成果出し」に強くこだわる
- 「世界的視野」をつねに意識する
本書は、これら四つのポイントから、「世界のエリート」が身につけている「基本」のスキルや考え方をまとめた一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。
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人間関係は「名前」を覚えることから
ハーバード・ビジネス・スクールの学生は、他の学生との交流に多くの時間を費やし、別名、「パーティースクルール」と揶揄(やゆ)されているほどです。
それほど、彼らが『人との時間に投資することを重要視している』ということです。
人間関係をつくるためには、まず「名前を覚えること」です。
久しぶりに会った相手が自分の名前を覚えてくれている。
そんなとき、自分に興味を持ってくれているのだと親しみを感じますね。
戸塚さんは、相手の名前を覚えるコツとして、以下の三つを挙げています。
①口に出す
自己紹介時に相手の名前を口出して、自分の口と耳で必ず確認する。②名前を呼んで質問する
自己紹介が終わった後に、間髪をいれずに相手に質問をする。その際に、必ず相手の名前を呼び掛けながら質問をする。例えば、「ところで、◯◯さんは、どちらのご出身ですか?」という具合に。③別れ際にも名前を言う
ひとしきりの会話が終わり、その場を立ち去る際に最後に一言。必ず、相手の名前を呼びながら挨拶をする。「それでは、◯◯さん、本日はありがとうございました。次回お会いできるのを楽しみにしていますね」。初対面時に最低三回は相手の名前を声に出す機会があるので、記憶に残りやすくなります。仮に名前の読み方を間違えてしまっても、最初の三回までは許してもらえます。初対面の人に会ったら、そのタイミングで三回敢えて名前を口に出す。これが、人脈作りの鍵です。
『世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?』 第1章 より 戸塚隆将:著 朝日新聞出版:刊
人の名前は、覚えようとしないとなかなか覚えることができないものですね。
ただビジネスの場では、「最優先で覚えるべきこと」として認識すべきです。
初対面時に最低三回、相手の名前を声に出すこと。
忘れないようにしたいですね。
「すみません」よりも「ありがとう」を伝える
人に素直に「ありがとう」と言える人を見ると素敵だな、と感じますね。
感謝を表現できる人には、どこか秘められた自信が感じられます。
その人たちは、「ありがとう」という言葉を意識的に口に出しています。
逆に、日本人がよく使う「すみません」は、謝罪の言葉でもあります。
この言葉には、どことなく卑屈な印象を受け、自信のなさが感じられます。
「すみません」はとても便利な言葉ですが、私はなるべく使わないようにしています。
「すみません」には、「ありがとう」という感謝の意味と「ごめんなさい」という謝罪の意味の両方があります。どちらともいえない、あるいはどちらも含んでいる、そのニュアンスが、「すみません」の便利なところです。
一方で、不便なところは、感謝の気持ちを述べるのには、不十分で伝わりきりません。また、謝罪の気持ちを伝えたくても、その中途半端さから、心からの謝罪に聞こえないこともあります。
私は、「すみません」という言葉が口から出てきそうなときには、一瞬だけ間をおくようにしています。そして、感謝を述べるのであれば、「ありがとうございます」を選ぶようにします。逆に、謝罪を述べる時は、「申し訳ありません」と丁寧に伝えるようにしています。
「申し訳ありません」は、英語で言えば“I’m sorry”です。英語にすると、軽々しく謝ってばかりいる姿は変に感じますね。謝る度に、自分の言動を改めようという気が湧いてきます。
感覚的には、我々が日頃口にする「すみません」のうち、八割〜九割が占め、謝罪の意味合いは二割に満たないように思います。『世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?』 第2章 より 戸塚隆将:著 朝日新聞出版:刊
「すみません」は便利な言葉ですから、つい多用してしまいますね。
ただ、この言葉には、感謝と謝罪の両方のニュアンスがある。
だからこそ、はっきり感謝の気持ちを述べたい場合には、不適切な言葉です。
感謝の気持ちを伝えるときは、素直に「ありがとうございます」。
そう言える習慣を身につけたいですね。
朝一にメールのチェックはしない
仕事のできる人には朝型が多いと言われています。
戸塚さんの周りの仕事のできるビジネスパーソンも、朝型の人が圧倒的に多いとのこと。
朝は、頭がフレッシュな状態で、しかも電話が鳴らず、訪問客もありません。
静かで誰にも邪魔されず、自分の仕事に集中できる時間帯ですね。
時間帯ごとの生産性の高低を、積極的に意識してスケジューリングを組むことで、効率性は明らかに上がります。私は三つのことを意識しています。
- 朝一の1時間は他の仕事をシャットアウトし、集中した作業やアイデア出しなどに使う
- メール処理は朝一にやらない。移動中や午後の生産性の下がる時間帯に取り組む
- その日のToDo確認は前日までに整理し、朝一は確認だけに留める
朝一の頭の冴えている1時間は、行き詰まった作業の打開策を見出す。あるいは新しいアイデアを考える時間とします。または、集中した作業が求められる仕事にあてます。
やってしまいがちなことは、せっかくの貴重な朝の時間帯にメールの返信をすることです。あるいは、その日のタスク整理にあててしまうことです。最も頭の冴えている時間帯に、いわゆる作業的な仕事に取り組まないことが効果的です。朝一は脳みそをフル回転する必要がある仕事にあてたいものです。『世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?』 第3章 より 戸塚隆将:著 朝日新聞出版:刊
朝出社して、自分のパソコンを立ち上げると、ついメールの受信箱を確認してしまう。
そんな人も多いのではないでしょうか。
受信したメールの中の優先順位の低い仕事や雑務に気をとられ、結局、朝一でやろうと思っていたことができなかった。
よくありがちな話ですね。
朝一は、インターネットやSNS、メールのチェックをしたくなる気持ちを抑えること。
そして、再優先でやるべき仕事に集中する。
その割り切りが、一日の生産性を大きくあげる秘訣ですね。
引き受けた仕事は、5分限定ですぐやる
戸塚さんは、『仕事を引き受け、自分の席に戻ったら、とにかくすぐに取りかかること』が、仕事の効率を落とさないコツだと述べています。
仕掛かり中の仕事あっても、一瞬その仕事を置いて、たった今引き受けた仕事に5分だけ集中する
ことがポイントです。
その5分でやるべきことは、上司からの指示を再整理し、作業計画を立て、それを実行する時間を確保すること
です。
5分間取りかかってみることで、作業効率が劇的にアップする理由は他にもあります。取りかかってみると、疑問点が生まれるものです。こういった場合は、すぐに上司に確認しにいきましょう。
初歩的な確認事項であればあるほど、その場ですぐに確認する方が傷口を最小限に抑えることができます。翌朝になって初歩的な事項の確認にやってくる部下の評価は下がるでしょう。締切日に間に合わないという最悪の事態に陥る可能性もあります。
5分間取りかかり、作業計画を作ってみましょう。その時点で疑問があれば、すぐに確認しましょう。
ここまでやれば、あとは作業計画に従って進めていくだけです。仕掛かり中の別の仕事に戻っても大丈夫です。5分間だけ、すぐに取りかかる癖をつけましょう。
そして、もう一つ気をつけることがあります。それは、締切日を自分の中で一日前倒しに設定することです。これで取りかかるスピードが早まります。
また、自分で作業に取りかかってみてぶつかる課題があれば、早めに上司に相談することができます。早めの締切日を設定し、すぐに取りかかることで仕事の効率性は劇的に上がります。『世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?』 第4章 より 戸塚隆将:著 朝日新聞出版:刊
「仕事は、段取りが8割」といわれます。
最初に道筋をしっかり確認してから走りだすこと。
それが、最短でゴールまでたどり着くための重要なポイントです。
是非とも、覚えておきたいですね。
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ゴールドマン・サックスとマッキンゼー・アンド・カンパニー。
世界中のエリートの中でも最高のエリートが集まる両企業。
そこで活躍する社員は皆、特別なスキルを持っているというわけではありません。
意識したり訓練しだいで、誰にでもできる「基本」。
彼らは、それを積み重ねているに過ぎないことが、本書を読むとよくわかります。
両社が、世界的な人材を数多く輩出している理由のひとつに、新人に、徹底的にその「基本」を叩き込んでいることがあるのでしょう。
世界のトップエリートたちが大事にしている習慣。
私たちも日々の仕事の中で、少しずつ取り入れていきたいですね。
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