本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『すべては股関節から変わる』(南雅子)

 お薦めの本の紹介です。
 南雅子さんの『すべては股関節から変わる』です。

 南雅子(みなみ・まさこ)さんは、美容家・整体師・エステティシャンです。

12万人を整えてわかった「股関節」のすごさ

 南さんは、股関節は、からだのなかで一番といっていいほど重要な部分だと強調します。

 股関節って、そもそもどこにあるかご存知ですか?
 人間のからだを、つなぎ目でわけて考えてみましょう。
 子どもが粘土で人形をつくるイメージです。
 すると、頭と胴体、そして、腕と脚のパーツになりますね。
 次に、パーツをつなげて、からだをつくっていきましょう。
 頭と胴体をくっつけたら、次は腕を胴体に、そして脚も・・・・・。
 はい、ストップ。
 頭と胴体、そして腕のついた上半身を下半身につなげるところ、ここが股関節なのです。
 頭と上半身を支え、脚とつなぐキーポイントが股関節です。
 だから、立つのにも、座るのにも、しゃがむのにも、脚を上げるのにも、上半身をひねるのにも、股関節が重要なのです。
 股関節は、からだを動かす要となっているだけではありません。
 じつは股関節は、全身の血流・リンパの流れや、神経やホルモン、そして内臓の働きにも、密接に関わっているのです。

 わたしは、45年以上、美容家として、髪、肌、からだと関わってきました。
 まだ骨盤(こつばん)などが注目されていなかった時代から、カイロと整体を美容にとり入れ、さまざまな研究を重ねながら、多くの人のからだづくりのお手伝いをしてきました。
 そのなかで気づいたのが、美しさはもちろん、からだの健康まで、なんらかの悩みを抱えている人のほとんどが、股関節がズレたりゆがんだりして、不調を招いているということです。

『すべては股関節から変わる』 プロローグ より 南雅子:著 SBクリエイティブ:刊

図1 股関節とは すべては股関節から 1章
図1.股関節とは?
(『すべては股関節から変わる』 1章 より抜粋)

 南さんは、股関節を正しく整えれば、性格も明るくなり、元気で活動的になれると指摘します。

 本書は、誰でも簡単にできる、股関節を整えるストレッチや体操を、わかりやすく解説した一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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猫背の理由は、「股関節」にあり!

「よい姿勢を保とう」

 と頑張っても、気を抜くと、すぐにねこ背に逆戻りしてしまう。

 その原因も、実は、「股関節」にあります。

 一生懸命、背筋を伸ばそうとしてもねこ背がなおらないのは、正しい姿勢を維持する方法を知らないからです。
 みなさんは、姿勢を正そうとするとき、肩や腕や背中をどうにかしようとしていませんか?
 しかし、その方法では、長時間姿勢をキープすることはできません。
 じつは、逆なのです。
 姿勢をキープするためにまず意識すべきなのは、下半身なのです。
 下半身を整えてから上半身を整えれば、長時間姿勢は正しいままでいられます。しかもこちらのほうが楽なのです。
 下半身を整えるための根本は、なんといっても股関節です。
 股関節が整っていれば、脚は上半身の重みをバランスよく受け止め、姿勢を正しい位置に保つことができます。
 股関節は、骨盤を支える大きな関節です。そのため、股関節がズレると、骨盤もゆがんでしまいます。
 骨盤が前に傾くと、腰から背中のSカーブが深くなります。ひざが曲がって、太ももが太くなり、お尻が出て、背中が丸くなってねこ背になります(ねこ背①、下の図2左を参照)。
 また、反対に、骨盤が後ろに傾いても、ねこ背になります。
 骨盤が後傾すると、ひざが曲がり上半身が後ろに傾きます。すると、後ろに反りすぎないよう、反動で背中の上の部分と肩が丸くなるのです(ねこ背②下の図2右を参照)。
 どちらもひざが曲がり、頭が下がって、「前首(まえくび)・前肩(まえかた)」のねこ背体型になります。
 こうしてねこ背ができあがるのです。

 ねこ背でいると、「だらしない」「みすぼらしい」「仕事ができなさそう」「自信がなさそう」「声をかけにくい」など、マイナスの印象を与えます。
 また、見た目だけではありません。姿勢が悪いと、疲れやすくなります。
 なぜなら、ねこ背だと、重力に対してバランスよく立ち続けるために、必要以上に筋肉を酷使するからです。
 さら、疲れやすい体では、ものごとに集中するのも難しくなるでしょう。
 無理によい姿勢をつくっても長続きしません。
 すっと伸びた背筋でエネルギーにあふれ、まわりによい印象を与えるためには、股関節が正しくなければならないのです。

『すべては股関節から変わる』 1章 より 南雅子:著 SBクリエイティブ:刊

図2 股関節がズレると骨盤が傾く すべては股関節から 1章
図2.股関節がズレると骨盤が傾く
(『すべては股関節から変わる』 1章 より抜粋)

 建物は、基礎がしっかりしていないと、地震などで倒れてしまいます。

 人間も、下半身がしっかりしていないと、安定した姿勢が保てません。
 なかでも股関節は、頭を支える首の骨、頚椎(けいつい)をふくむ背骨の土台ですから、重要です。

ズレやすいから、整えやすい

 全身に影響を及ぼす力のある、股関節。
 真っ先にゆがみをなおすことで、硬くこわばった筋肉が少しずつほぐれ、硬い筋肉に覆われていた骨や関節が、ほんらいの位置に導かれていきます。

 関節は、からだの各パーツをつなげる、大切な部分。
 でも、関節の役目は、骨と骨をボンドのようにぴったりとくっつけることではありません。
 骨と骨のあいだには、すき間があります。
 すき間には軟骨(なんこつ)があり、まわりを覆うようにして筋肉や靭帯(じんたい)という、伸び縮みする組織が骨と骨を結びつけています。
 そうして、さまざまな方向に骨を動かすためにあるのが関節なのです。

 関節の形状には、いろいろな種類があります。
 背骨のように、骨が積み重なり、左右にねじったり前後に曲げたりすることができるもの。
 また、手の指やひじなどのように、一定の方向に曲げることができるもの。
 関節をつくる一方の骨が丸く、受け止める骨がくぼんでいる関節を球関節といいます。股関節は球関節のため、前後に動くだけでなく、あらゆる方向に動かすことができます。
 つまり、複雑な動きができる、繊細なつくりであるからこそ、ちょっとしたことでゆがみやすいのです。
 また、股関節は、同じ球関節である肩関節に比べると、重力による負担がかかりやすい関節です。
 ですから、同じ形状をしていても、よりズレやすいといえるのです。

 でも、反対にいえば、ズレやすいから整えやすいといえます。
 ズレてしまっても、ゆがみが固定する前に元に戻してあげればいいのです。
 また、重力から解放してあげて、横になったり座ったりしながらほぐせば、股関節はほぐれやすく、整えやすいといえます。

『すべては股関節から変わる』 2章 より 南雅子:著 SBクリエイティブ:刊

図3 股関節まわりの靭帯 すべては股関節から 2章
図3.股関節まわりの靭帯

図4 股関節は左右前後に動く すべては股関節から 2章
図4.股関節は左右前後に動く
(『すべては股関節から変わる』 2章 より抜粋)

きほんの股関節ストレッチ

 南さんは、股関節をほぐす、基本的なストレッチとして「股関節ほぐし」を紹介しています。

 股関節をほぐしてゆがみを解消します。
 さらに、横になって行うため、背骨まわりの緊張もほぐれ、同時に、ひざ関節とひざ裏までゆるめます。
(基本姿勢)
 あお向けになり、肩や背中の力を抜いてリラックス。おなかだけ引き上げておきましょう。
 両足のあいだはこぶしひとつ分くらい空け、つま先を天井に向けます。足の中指と薬指がまっすぐ上を向くようにしましょう。
 これが、股関節をゆがませない、正しい足の位置です。座ったときだけでなく、立っているときも、この位置を意識しましょう。
 ストレッチを行う脚と同じ側の手をおなかに乗せ、反対の手を背中のくぼみに差し入れます(ここでは右脚からスタートするため、右手をお腹の上に乗せます)。
 あなかの上の手は、つねにおなかを意識するために置き、また、差し入れた左手に背中をあずけることによって、背中の緊張をやわらげます。

 効果
 股関節が整い、脚がまっすぐになります。また、関節のつまりが解消されるため、リンパの流れが促され、太ももがすっきりと細くなります。

『すべては股関節から変わる』 3章 より 南雅子:著 SBクリエイティブ:刊

図5 股関節ほぐし① すべては股関節から 第3章
図5 股関節ほぐし② すべては股関節から 第3章
図5.股関節ほぐし
(『すべては股関節から変わる』 3章 より抜粋)

 股関節のストレッチは、夜寝る前に行うと、より効果的です。

 南さんは、関節が整い、筋肉がやわらかくなると、からだの負担が減って睡眠が深くなると述べています。

 1日1回、寝る前に5分の「股関節ほぐし」。
 ぜひ、習慣にしたいですね。

股関節が整うと、おなかが凹む!

 南さんは、股関節が整うと、男性は男らしい、そして女性は女らしいからだつきに変わると指摘します。

 とくに女性は、股関節がほんらいの形になり、正しく働くようになると、みるみる女性らしいしなやかなからだになります。

 わたしが考える、男性と女性のからだの一番大きな違いは、背中の形です。
 男性のからだは、どちらかというと直線的です。
 広い肩とたくましい胸があり、縮まったウエストに続くのが理想でしょう。
 後ろから見ると、逆三角形の背中が男性らしいといえます。
 といっても、股関節が整うと、筋肉隆々のマッチョ体型ではなく、どちらかというと野球選手のイチローのように、しなやかな筋肉がついた「細マッチョ」に近くなります。
 反対に女性のからだは曲線的です。バストやヒップにほどよく脂肪がついて、女らしいカーブを描いています。
 そのカーブを生み出すのが、小さく縮まった背中なのです。

 機能的にも、男性はもともと、重いものを持ち上げたり、狩りをしたりと、筋肉の発達した広い背中が必要です。
 でも、女性のからだはそうした肉体労働をするようにはできていませんから、広い背中は必要ないのです。
 反対に、バストをぐいっと持ち上げるためには、肩甲骨が下がった、キュッと縮まった背中がふさわしいといえます。
 股関節体操をして、正しい股関節にクセづけすると、男性も女性も、ほんらい持つからだのラインや機能に沿った体型に変わります。
 もちろん、男女とも共通して起こる、よい変化もあります。
 そのうちのひとつが、ウエストにくびれができて引き締まってくることでしょう。
 股関節が整うと、ズレていた恥骨の位置が前に出ます。
 すると、前に傾きがちだった背骨がまっすぐ上に伸びるようになり、つながっている肋骨も持ち上がります。
 そして、背骨と肋骨のあいだに、くびれるスペースが生まれてウエストが細くなるのです。

『すべては股関節から変わる』 4章 より 南雅子:著 SBクリエイティブ:刊

図6 ウエストがくびれるしくみ すべては股関節から 第4章
図6.ウエストがくびれるしくみ
(『すべては股関節から変わる』 4章 より抜粋)

 土台である股関節が、姿勢を保つうえで、どれだけ重要なのか。
 それを示していますね。

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 南さんは、股関節は、2階建ての家のいわば、1階と2階の柱をつなぐポイントだとおっしゃっています。

 人間という“建物”を、安定させる。
 そのためには、下半身と上半身のつなぎ目となる股関節が正しい位置にあることが重要です。

 股関節がほぐれると、姿勢を楽に保つことができます。
 背筋も伸びて、視線が上がり、気持ちも前向きになりますね。
 肩や背中、首などのコリも改善します。

 いいことずくめの「股関節ほぐし」。
 誰でも、簡単に、どこでもできる整体メソッドです。

 ぜひ、身につけて、毎日の習慣にしたいですね。

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