【書評】『自分のことだけ考える。』(堀江貴文)
お薦めの本の紹介です。
堀江貴文さんの『自分のことだけ考える。: 無駄なものにふりまわされないメンタル術』です。
堀江貴文(ほりえ・たかふみ)さん(@takapon_jp)は、実業家であり、起業家です。
元・ライブドアの代表取締役CEOで「ホリエモン」の愛称で親しまれています。
現在は、民間でのロケット開発を行う会社のファウンダーとしてご活躍されています。
「自分のことだけ考えて生きる。」の真意
「自分のことだけ考えて生きる。」
ただ単に、自分勝手な、わがままな生き方のようにもみえます。
しかし、堀江さんは、“自分のことだけ”考えて生きない、だなんて「おこがましい」としか思えない
と強調します。
“自分のことだけ”考えて生きる、という言葉に込めた思い――。
それは表面的に「自己中心的」「利己的」に生きる、という意味ではない。つまるところ、僕らは「自分のことだけ考えて」生きるしかないのだ。
人は「自分のことだけ」に集中して、生きるしかないはずだ。
だってそうだろう。
他人の心や行動を、コントロールできる人なんていない。
ビジネスがアイデアがうまくいくかなんて誰にもわからない。
天災や景気を言い当てられる人もいない。
1秒先の未来だって、誰にもわからない。だとしたら・・・・・。
自分が「正しい」と信じることを、やるしかない。
自分が「必要だ」と感じるものを、手に入れるしかない。
自分が「後悔しない」と言える、好きな道を行くしかない。
自分が「こうだ!」と決めたことを、努力し続けていくしかない。もちろんその結果、失敗するかもしれない。
もしかすると、誰かに裏切られるかもしれない。
さらに言えば、大きな損失を負う羽目になるかもしれない。でもそれは、自分の責任だし、失敗したってそのとき反省して、また自分を信じて真剣にやるだけだ。
そう、だからこの本であなたに伝えたいのは「他人や、ほかのことに言い訳をつくるな」ということだ。でもほとんどの人は、まるで条件反射のように「できない言い訳」を考えてしまう。だから、ポプラ新書の『好きなことだけで生きていく。』や『多動力』(幻冬舎)などで、「行動しろ」「やってみろ」「一歩踏み出せ」「手をあげろ」・・・・・。
言葉を尽くしてさんざん伝えたつもりだけれど、実際にアクションをおこしてくれた人は、まだまだ多くない。本書には、そうした「思い込み」「常識」「言い訳」などを振り払って、今すぐ前に進んでほしいという願いを込めた。
そのために「メンタルを変えること」に特化した本だ。
自分のやりたいことにブレーキをかけてしまっている人が、まずは常識、考え方を変えるきっかけにしてほしい。『自分のことだけ考える。』 はじめに より 堀江貴文:著 ポプラ社:刊
本書は、常識を打ち破り、自分が生きたいように生きるためのノウハウをまとめた一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。
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人の目なんか、気にする暇はない!
「こんなことをしたら、人にどう思われるだろうか?」
と、うじうじと考えてしまう人。
堀江さんは、そんな人たちは、結局、それをやりたいのではなくて、自分の中でやらないための言い訳を探しているだけ
だと指摘します。
例えば、丸1日何も食べていなくてお腹がペコペコだったとしよう。それで目の前にご飯が出てきたら、誰だって、何も考えずに食べるに違いない。
それと同じで、心の底からやってみたいことであれば、やってみればいいし、周囲に引き止められても押し切るくらいでないとダメだ。
人がやっていなことをやったり、人が言わないことをあえて言ったりすると、それを面白く思わない人は必ず出てくる。でも気にすることは一切ない。
今はSNSなど誰でも簡単に情報発信できる。
ちょっと人と違った意見を言ったり、他の人がやらないことを始めたりすると、ツイッターのフォロワー数が減ったり、知り合いがフェイスブックで自分の悪口を書いているのが目に入ったりすることだってある。
けれども、そんなことは関係ない。誰だって人と価値観や考え方合わなくて、ツイッターのフォローを外すことはあるし、「悪口」ともとられかねないことを軽い気持ちで文字にしてしまうことだってある。
そんなことにいちいち過剰反応していたら、1ミリも前に進めない。
だから僕は、他人の反応なんてまったく気にしないことにしている。
重要なのは「自分がどう言われるか」「どう思われるか」ではなくて、「自分が何をするか」「それによって何が変わるのか」ということ。
価値のあること、信念を持てることなら、人の目は気にせず、ぐいぐい前に進んだほうが絶対「勝ち」だし、面白い。自由に生きたいと願うなら、常にそんな心構えでいてほしいと思う。『自分のことだけ考える。』 第1章 より 堀江貴文:著 ポプラ社:刊
この世の中で、最も貴重な資源は「時間」です。
人の目を気にして生きることは、それを無駄に使うことと同じです。
「どう思われるか」より「何をするか」。
人の目を気にせず、自分のやりたいことを、堂々とする。
そんな人が報われる時代になってきたということです。
失敗を受け入れない、悪しき日本の「風土病」
堀江さんは、飽きっぽい性分で、「あ、この仕事は合わないな」と思ったら、きっぱり捨てて別のことを始める
そうです。
なかなか一つのことが長続きせず、次から次へと新しいことをやっています。
だが、僕のそういうやり方に、しかめっ面をされることは少なくない。
例えば、以前ミュージカルに出たことがあった。そうすると、世間からは「何で堀江がミュージカルに出てるんだよ!」とディスられる。選挙に出たときには、「金儲けの次は権力かよ!」とディスられる。何か新しいことにチャレンジすると、悪口を言われるのだ。僕は悪口を言われても気にならないが、普通の人は萎縮してしまうだろう。
僕が親しくさせていただいている脳科学者の茂木健一郎(もぎけんいちろう)さんは、そういう日本の空気を「日本の風土病」と評していて得心がいった。僕にとっては、ミュージカルも選挙もロケット事業もその他多くの事業も、どれも本気で取り組んできたもので、それぞれ真剣に向き合うことで得られるものがたくさんあった。そうした経験をより多く積むほうが人生は実りがあるものになると僕は考えている。
僕は社会に対しても同じように考えている。問題があれば、どんどん改善していったほうが社会のためになるのではないだろうか。ところが、僕がツイッターなどで日本を変えたいと思って提言をすると、「現状のままのほうがいいです」と言ってきて、その理由を述べてくる人が必ずいる。新しいこと始める人間の足を引っ張ろうという人が大勢いるのだ。
そんなことをしたところで、何か得することがあるわけがない。要は、一歩を踏み出す勇気のない者にとって、新しいことを始める者が羨ましいのだろう。
僕も他人に対して「羨ましい」と思うことは多々ある。そんなときは、「では、どうやって勝とうか」と考えを巡らすのだ。そんなことを考えしていると、実に楽しいものだ。だから、僕は「妬ましいから、引きずり下ろしたい」などと考えたことは、生涯で1秒もない。『自分のことだけ考える。』 第2章 より 堀江貴文:著 ポプラ社:刊
「一つの道を究める」
もちろん、それもひとつの考え方だし、生き方です。
ただ、それ以外の道も、あってしかるべきです。
みんなと違うやり方を許容しない。
そんな日本の風土病こそ、今の時代に合わない「無用の長物」です。
真っ先になくすべきですね。
無心になって、没頭できるものは何か?
必要のないことに心とらわれず、自分のことだけ考えて生きる。
そのための秘訣は、その時々で自分ができることに集中する
ことです。
そうすれば、何も不安に思うことがなく、今、やっていることの効率を最大限に高める
ことができます。
堀江さんにとって、無心になって没頭できることのひとつが、「肉磨き」です。
肉磨きというのは、例えばフィレ肉の塊を持ってきて、お客さんの目の前で脂肪と筋を外しながら、部位の名称や美味しい理由を丁寧に説明するもの。
肉をバラしながら、「ここがフィレで、ここがシャトーブリアン。フィレ肉は使われていない筋肉だからすごく柔らかいんですけど、その中でも舌触りがいいのがシャトーブリアン」なんて説明をすると、お客さんが喜んでくれる。
僕は、この肉磨きの作業をしているとき、無心だ。雑念は消え去り、目の前の肉の塊に集中している。この時間が本当に心地いい。仮にイライラするようなことがあっても、肉磨きのあとは不思議と気持ちもすっきりしている。また、無心になって没頭することは、人からも評価されやすいのでお得だ。
僕はこれまでに何度もトライアスロンに挑戦しているが、これも自分が無心になれて完走すると人から賞賛される。トライアスロンのコツは、単純だ。事前に準備をしておいて、レース本番ではあきらめないで頑張る、というだけ。僕は1回のレースで体重が6キロも落ちたりするからダイエットにもなる。
他にも成功者の多くが「無心になる時間」を大切にしている。
アマゾンのジェフ・ベゾスは皿洗いについて「私がすることの中で最もセクシーなことだと、確信している」と語っている。
また、マイクロソフトの創業者、ビル・ゲイツも毎晩、夕食後に皿を洗う。他の人が代わりにしたいと申し出ても、ゲイツは自分の皿洗いのやり方が好きだと言って断るそうだ。
フェイスブックのマーク・ザッカーバーグは、毎晩、ユダヤ教に伝わる祈りの歌を歌って、娘を寝かしつけることを日課にしているという。
人は無心になると、精神的な満足度が高まり、人にもそれがシェアされる。やっていることは単純でも得られるものが多い。無心になれるものをいくつか見つけておくだけで、人生は楽しくラクになる。『自分のことだけ考える。』 第3章 より 堀江貴文:著 ポプラ社:刊
普段、思考力をフル回転させて、バリバリ仕事する。
そんな人たちほど、頭を休ませる必要があります。
「無心になって没頭できること」は、活動的な彼らにとって、大事なエネルギー補給の時間です。
何があっても、絶対に欠かさない理由がわかりますね。
「マンネリ」が、やる気をなくす!
「何もやる気が起きない」
「モチベーションが上がらない」
堀江さんは、その理由は、ただひとこと「マンネリ」ということに尽きる
と述べています。
これだけ日々いろんなことをやっている僕だって、「なんかつまらないな」「面白くないな」「やめちゃおうかな」と思うときがある。自分がやりたいと思って始めたことにもかかわらずだ。
そんなときは、新しいアイデアを試してみたり、違うことを始めてみたり、意識的にマンネリ感を打破するように行動している。こういう話をすると必ず「ホリエモンだから、そんな自由な生き方、好きに仕事ができるんだ」という見当違いの思い込みで反論する人が現れる。
でもマンネリなんて、誰にでも簡単に打破できるはずだ。
やりたいことや実現したことを少しやるだけで世界は変わるというのを、皆知らない。
何かと理由をつけて、やらない人が大多数なわけだが、ではそんな人たちにやる気をおこさせるにはどうしたらいいか。
これもよく聞かれる質問だが、ひとつの方法として「マメに褒める」ということは有効だと思う。
僕自身、会社を経営していたときは、部下を積極的に褒めるタイプではなかったが、今思えばもう少し意識的に褒めればよかったかなと感じている。
そもそも僕が、褒められて育ってきたわけではなく、どちらかといえば貶(けな)されて、その反骨心をパワーに成長してきたので、「褒められて育つ」という感覚にピンときていなかったのだろう。
でもやはり、人は褒められると嬉しいしやる気も出る。褒められて嫌な気分になる人はいない。
僕だってトライアスロンを完走して「すごいね」「頑張ったね」と言われると単純に嬉しいので次もやってやるぞと思うし、先日「R―1ぐらんぷり2018」に出場したときも、「面白かった」「よかったよ」と言ってもらったりすると、俄然(がぜん)やる気が出た。子どもは、機会を与えられて好きなことを褒められれば、どんどん主体的になって成長していく。僕ら大人だって、根本は子どもと同じだ。
ささいなことでも、小さな変化でもいいので、自分がやりたいことをやってみる。そして、それが人に褒められたり評価されたりするようなことであれば申し分ない。
日常で小さな自信を得るだけで、やる気は出るし、無気力になんかならないはずだ。『自分のことだけ考える。』 第4章 より 堀江貴文:著 ポプラ社:刊
「転がる石には苔が生えぬ」
そういう言葉もあります。
たしかに、つねに新しい刺激を与え続ければ、マンネリを感じている余裕もないです。
今、自分がやりたいことは何か。
自分の心に耳を傾けて、それを素直にやってみる。
まさに、それが「自分のことだけ考える」生き方ですね。
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☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
堀江さんは、「周囲にふりまわされない心」と同時に「感謝する心」を持っている人は最強
だとおっしゃっています。
「自分のことだけ考える」生き方。
それは、決して、自分勝手な振る舞いをして、ワガママに生きることでありません。
自分がやりたいことをやり、それが周りの人に喜ばれ、社会のためになる。
それが堀江さんの実践されている生き方であり、私たちが目指すべき生き方です。
人間には、「認められたい」「感謝されたい」という欲求が、心の底に必ず眠っています。
あとは、いかに自分の「やりたい」ことと、それらを組み合わせるかです。
答えは、自分の心の中にしかありません。
自分が心からやりたいことを、気の置けない人たちと、とことんやり尽くす。
皆さんも、本書を片手に、そんな新しい時代の生き方に触れてみてください。
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