本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『年収1億円になる人の習慣』(山下誠司)

 お薦めの本の紹介です。
 山下誠司さんの『年収1億円になる人の習慣』です。

 山本誠司(やまもと・せいじ)さんは、会社経営者です。
(株)アースホールディングの取締役で、うち70店舗をフランチャイズ展開する、(株)サンクチュアリ代表取締役も兼任されています。

年収1億円以上の人には「共通のルール」がある!

 年収1億円以上を稼ぐ人の「習慣」には、ある「共通のルール」があります。

 山下さんは、その「習慣(ルール)」を行うのに、特別な才能もいりませんし、最初にお金が必要になることもないと述べています。

 ただ、誰でもできるけれど、誰もやっていない「習慣」を、やり続ければいいだけだと強調します。

 あるとき、その成功者と「有名・牛丼チェーン店」に入ったことがありました。
 私は「60円の生たまご」を追加するつもりでしたが、彼は、

「生たまご1個に、60円を払うだけの妥当性がない・・・」
「生たまごを頼んでも、会社の目的に近づくことはない・・・」

とつぶやきながら、15秒ほど真剣に悩むと・・・・・、最終的に、注文するのをやめたのです。
 彼は、年収3億円を稼ぐ一流経営者ですが、

「生たまご1個のコストパフォーマンス(投資効率)を、15秒も考えている」

 ことに、私は唖然(あぜん)としました。
 また、私のクルマの助手席に彼を乗せて長野に向かっているときに、こんなことを言われたことがあります。

「ずいぶん燃費の悪い運転をするね。2000回転を超えると燃費が悪くなるから、もう少しアクセルを緩めたほうがいい。それに、目を血走らせて追い越し車線を飛ばしても、到着時間はそんなに変わらないから大丈夫」

 たとえ「数百円」でもガソリン代を節約すれば、その分「目的」のためにお金を使うことができる。彼が経営者として、社員のためにお金をかけることができるのは、床に落ちている「輪ゴム1本」まで大切にする堅実さを持っているからなのです。

 その成功者とは、私、山下誠司がナンバー2として取締役を務める、日本最大級・240店舗の美容室チェーン「EARTH(アース)」を展開する「(株)アースホールディングス」の創業者である、國分利治(こくぶんとしはる)社長のことです。
 國分は、テレビや雑誌でも、数多く取り上げられ、華やかな生活が目立ちますが、それもすべて「自分のビジョンを視覚化して、社員に見せるのに必要だから」です。

 國分には「100人の経営者をつくる」「100年以上続く会社をつくる」という「ビジョン」があります。フェラーリを所有するのも豪邸に住むのも、「夢を形として、社員に見せるため」であり、欲しいから所有しているわけではないのです。社員の「夢」を刺激することで、向上心に火をつけたいと思っているからなのです。

 國分は「ビジョン」をかなえるための投資は惜しみません。「億単位のお金」を平気で使うこともありますが、それ以外は「徹底して最低限のお金しか使わない」のです。
 普段の國分は、じつに慎ましい。通勤は電車。プライベートで使う月の生活費は10万円以下です。フェラーリに乗るのは、「社内のイベント」のときのみ(年に2、3回)。

 それが、年収1億円以上になる人の習慣であり、國分が決めた「ルール」なのです。

『年収1億円になる人の習慣』 はじめに より 山下誠司:著 ダイヤモンド社:刊

 山下さん自身、國分社長をはじめとして、多くの成功者から学び、実践することで、年収1億円を達成することができました。

 本書は、年収1億円を現実にする、誰にもできけれど誰もやっていない「習慣」をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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仕事は「質」よりも「スピード」

 仕事で大切なのは、「質」よりも「スピード」です。
 とくに、超一流の世界では、フライング以外はすべて遅刻とみなされるそうです。

 山下さんは、フライングぐらいは、余裕でしないと、そもそも勝負の土俵に上がれないと述べています。

 以前、化粧品メーカー・A社のミーティング(コンペ)を見学させていただいたことがあります。このコンペは、「A社のプライベートブランド(化粧水)」の開発に携わる受注業者を選定するもので、数社が参加していました。
 この日は、A社から、各社に対して商品に関するオリエンテーションが行われ、参加した業者は、1週間後までに、「企画書」を提出する段取りになっていました。
 ところが、受注業者は、コンペが終了した「1時間後」に決まりしました。受注したのは、B社です。選定理由は、「たった今、企画書が送られてきたから」だそうです。
 企画書の提出まで1週間の猶予(ゆうよ)があるにもかかわらず、B者の担当者は、コンペが終わって、わずか「1時間後」の鬼スピードで、企画書を送ってきたのです。
 私がA社の社長に、「他者の企画を見ずに、決めてしまっていいのですか?」と尋ねると、次のような答えが返ってきました。
「スピードの速さは、本気度と情熱のあらわれです。情熱が冷めないうちにすぐに行動する人間は、間違いなくいい仕事をします。だから私は、仕事のスピードを見て、これはいい仕事をしてくれるだろうと、判断したのです」
 後日は、B社の担当者とお話しする機会があったので、「どうして、あそこまで鬼スピードで、化粧水の企画を出したのか」をうかがってみると、この担当者は、「速さは、それだけで、アドバンテージになる」という考えを持って、いつも仕事をしていることがわかりました。彼は、こう続けました。
「一流の人や社長は、たいてい『せっかちな人』が多いので、どんなにいい企画を出しても、仕事が遅いと、その時点で、もう勝負になりません。だから、少しくらい企画が荒削りでも、私は、鬼スピードを優先しているんです。先方が『これは、ちょっと、時間がかかるだろうな』と考えている仕事こそ、相手の度肝を抜くレベルのスピードを見せる。そうすれば、企画の内容がパーフェクトでなくても、選んでいただけます」と。
 経験が浅くて未熟なうちは、「仕事が遅い」のはしかたがありません。けれど、「スタートが遅い」のは致命的です。
「仕事が遅いのは能力の問題」ですが、「スタートが遅いのは姿勢の問題」だからです。
 コンペ参加者の中で、B社の担当者は、もっもとキャリアが浅かった。だから内容勝負ではなく、「鬼のスピード勝負」に持ち込んで、ぶっちぎりのフライングを決めた。そして、その「姿勢」が評価され、見事、「受注」という勝利を勝ち取ったのです。

『年収1億円になる人の習慣』 第1章 より 山下誠司:著 ダイヤモンド社:刊

 私たちは、仕事に完璧を求めてしまいがちです。

 期限ぎりぎりまで推敲を重ね、間違いがないかチェックしてから提出する。
 たしかに質は高いかもしれませんが、スピード感は欠けますね。

 スピードの速さは、本気度と情熱のあらわれ。

 競技でのフライングは反則ですが、ビジネスにおいては、そうではありません。
 むしろ、積極的にやることが評価を高めるということですね。

最後に「負けておくこと」ができる人

 リーダーの能力や資質には、「一流のさらに上」があります。
「一流」の上にあるのは、「達人」の領域です。

「達人」とは、部下に存在すら感じさせないリーダー(空気のような域に達したリーダー)のことです。

 山下さんは、そんな「達人」のひとりとして、ソニー生命保険の安藤国威(あんどうくにたけ)名誉会長を挙げています。

 安藤名誉会長は、拍子抜けするくらい、「オーラ」を感じさせない方です。
 それは、存在感が薄い、というより、気配の消し方や身の引き方がうまいからです。

 ソニー生命の幹部の方からうかがったのですが、安藤名誉会長は、最後は「自分が引く」ことを心がけているのだそうです。意見を戦わせるときも、決して相手を論破しようとはしません。部下を打ち負かすリーダーのもとでは、人は育たないからです。最後に必ず「自分が身を引く」ことで、相手の意見を受け止めているのです。
 トップが「負ける」ことができる組織は、風通しの良い組織です。ゴリ押しをせず、引くときは引く。「最後に負ける(相手に勝たせる)度量がある」からこそ、安藤会長は社員から信頼されているのだと思います。

 年収6000万円の内田社長(仮名)も、「負けることができるリーダー」です。
 内田社長のオフィスを訪ねたとき、私は意外な光景に出くわしました。社長が、年配の女性社員に「叱られていた」のです。
「社長! 経費を使いすぎですよ! なんですか、この銀座のクラブの領収書は!」
 内田社長が銀座のクラブを利用したのは、決して遊びではありません。仕事のため、取引先をもてなすためです。けれど、内田社長は言い訳めいたことは一切言わず、「いやぁ、すみません」と頭を下げたのです。
 私が「どうして言い返さないのですか?」と尋ねると、内田社長は「山下さん、リーダーは、最後は、負けておいたほうがいいんですよ」と教えてくださいました。

「山下さん、私は『リーダーはクルマ』で、『社員は歩行者』だと思っているのです。歩行者が『赤信号」で横断しているからといって、轢(ひ)いていいわけではありません。たとえ歩行者が赤信号を無視していたとしても、力のある車のほうが止まるのが正しい。そうすれば、事故が起きることはありません。どんな状況でも、事故が起きたら、100%、力が強い側の責任になるのですから」

 安藤名誉会長や内田社長に、私が「オーラ」を感じなかった(空気のような感じを受けた)のは、彼らが「身を引く」ことを、完全にマスターしていた達人だったからです。
 達人は、「個人の勝ち負け」にこだわりません。こだわっているのは、「会社として強いチームをつくること」です。そのためには、ときに部下に花を持たせ、リーダーが負ける必要があります。

 リーダーは、「自分はクルマである」ことを常に意識する。意見がぶつかりそうになったら、自分がブレーキをかけて衝突を回避する。そうすれば、無意味な敵をつくらずにすむでしょう。「金持ちケンカせず」なのです。つまり「年収1億円ケンカせず」なのです。
 周囲から反感を買って無意味な敵をつくっているようでは、圧倒的な成果を生み出すリーダーなることは到底できないのです。

『年収1億円になる人の習慣』 第2章 より 山下誠司:著 ダイヤモンド社:刊

 威張り散らして、周囲から恐れられているのは、まだまだリーダーとして二流です。
 周りから信頼されて、ようやく一流のリーダー。
「達人」の域に達するには、存在感すら消す必要があります。

 いるのか、いないのかわからない。
 それでも、ないと困る。

 そんな「空気」のような存在を目指したいですね。

超一流は、「素直で、行動力のある人」を応援する

 成功するには、本人のたゆまぬ努力が必要です。
 しかし、自分ひとりでできることには、限界があることも事実です。

 人生のステージを上げるためには、「自分よりもランクが上の人に引き上げてもらう」必要があります。

 山下さんは、自分より「1ランク上の人」よりも、さらにランクが上の人、すなわち、「2ランク上の人」とのご縁を大切にしたことで、「1ランク上」にいる直接の上司から、チャンスをもらえるようになったと述べています。

 2ランク上の人とは、「自分が尊敬する人が尊敬する人」のこと。
 つまり、上司の上司、社長の恩師、取引先の経営者などです。

 私は、「2ランク上の人」からのお誘いは、絶対に断ることはありません。途中で、先に、帰ることもありません。新潟に出張中に、東京にいる2ランク上の人からの電話で、3時間後に駆けつけたこともあります。「2ランク上の人」からのお誘いは、めったにない上に、一度断ってしまうと、二度と誘ってもらえない可能性があるからです。
「2ランク上の人」が声をかけてくださるのは、私に対して、何らかの「興味」や「期待」を持っているからです。その興味や期待に報いないことは、「成長のチャンスを捨てる」ことと同じです。
「2ランク上の人」から誘われたら、私の返事は、もちろん「はい」か「イエス」か「喜んで」だけです(笑)。

 あるとき、尊敬する人が尊敬する化粧品会社の松田社長(仮名)(私にとって2ランク上の人)から、食事のお誘いをいただきました。
 ですが、松田社長とは一度しかお会いしたことがなかったので、どうして私に声をかけてくださったのか、その理由がわかりませんでした。
 松田社長に理由をお尋ねすると、「山下くんには、成長意欲が感じられたから」とお答えいただきました。
「山下くんは、前回、お会いしたときに、手帳に『10年計画』を貼っていたよね。自分の人生をどうしたいのかを考えながら、目標を持って生きている人は、見込みがある。それに、山下くんは、私が前回教えたことを、すぐに実践したと聞いたよ」

 以前、一度だけ松田社長と会ったときに、私は松田社長から、「身だしなみ」について、次のようなアドバイスをいただいていました。
「美容師は見た目も大事だから、その目の下のクマも、その洋服もなんとかしたほうがいい。とりあえず、仕立てのいい洋服を『月曜から、日曜まで』1週間分(7セット)買って、着回してみたらどうかね?」
 私は、翌日、即座に1週間分の洋服を、まとめて買ったのですが、松田社長を紹介してくれた方が、松田社長に「山下くんは、松田社長に言われたとおり、洋服を揃えた」と伝えていたようなのです。松田社長が見ていたのは、私の実力や実績ではありません。「成長意欲があるか、ないか」という部分です。
 松田社長は、すぐに洋服を揃えた私を「成長意欲がある」と評価してくださったのです。その後も、松田社長からのお誘いには、二つ返事で「イエス」とお答えしました。そして、「2ランク上」の松田社長からいただいた助言を実践した結果、「1ランク上」にいた上司から、多くの仕事を任せてもらえるようになったのです。上司は、「松田社長から高い評価をいただいている山下になら、任せられる」と思ってくれたのでしょう。
「ランクが上の人」に目をかけてもらうには、「誘いは断らないこと」です。そして、アドバイスをいただいたら、「超特急で、即座に実践すること」です。
「素直で、レスポンスが早くて、行動力がある人」になれば、「ランクが上の人」からの助力が得られ、上のステージに引き上げてもらうきっかけをいただけるのです。

『年収1億円になる人の習慣』 第4章 より 山下誠司:著 ダイヤモンド社:刊

 誘われたら断らずに、すぐに駆けつける。
 アドバイスは、必ず実践する。

 そんな姿勢を見せることが、成功者から贔屓(ひいき)される秘訣です。

「素直で、レスポンスが早くて、行動力がある」

 私たちも、そんな心構えをつねに持っていたいですね。

「圧倒的な本気」とは、退路を断つこと

 年収1億円を超えるような、大きな成功を手に入れる。
 そのためには、「本気」になる必要があります。

 絶対に引かない、強い覚悟が求められる「本気」を出す。
 そのためのひとつの方法が、腹をくくって、覚悟を決めて、思い切って、「退路を断つ」ことです。

 都内で十数店舗の飲食店を経営する星野社長(仮名)は、「本気」を発揮できる経営者です。以前、私がよく買い物をするブランドショップに、星野社長をお連れしたことがあります。星野社長は、ディスプレイされていたレザーのジャケットとパンツ、シャツの3点セットを気に入ったのですが、残念なことに、サイズが合いませんでした。
 小太り気味の星野社長は、「XLサイズ」。けれど在庫は「Sサイズ」しかなかったのです。試着をしようとしても、袖さえ通すことができません。
 ところが星野社長は、この3点セットを、いっさいの躊躇(ちゅうちょ)なく購入しました。限定品だったので値段は高く、総額で「50万円」です。
 50万円支払って、サイズの合わない服を買ったわけです。
 今、この3点セットはどうなっているのでしょうか。
 星野社長が見事に着こなしています。
 星野社長は、この服を着るために、半年間で「本気の20キロ・ダイエット」に成功したのです。

 星野社長は、かねてから、「ダイエットをしたい」と思っていました。
 そこで、「サイズが合わない洋服」を50万円支払って買うことにしました。ダイエットに成功しなければ、50万円がムダになります。
 星野社長は、ダイエットに成功してから洋服を買うのではなく、先に50万円支払い、「退路を断ち」逃げ道をふさいだのです。
 これが「本気」というモードなのです。この、「圧倒的な本気」になれるからこそ、「圧倒的な結果」が出せるのです。

 99℃のお湯も、100℃のお湯も、どちらも「熱い」。
 けれど、この1℃の差は、とてつもなく大きい。99℃と100℃は、まったく違う世界です。なぜか?

 99℃までは「液体」ですが、100℃になった瞬間に「気体」となって、空へと舞い上がることができるからです!
 自分の努力が、本当に結実するのは、100℃になって、空へ舞い上がってからです。

 ですから「一所懸命」の限界は、99℃まで。しかし、ほとんどの人は、98〜99℃で諦めてしまうのです。でも「夜明け前」がいちばん暗いのです。あと一歩、あと1度、がんばれば100℃に到達して、空へと舞い上がれるのです。
 99℃から100℃に変わるためには、本気になって、「退路を断つ」ことです。そして、退路を断つひとつの手段が、「徹底的に捨てる」ことなのです。さて、あなたは、今から「何を捨てる」ことを決断しますか?

『年収1億円になる人の習慣』 第5章 より 山下誠司:著 ダイヤモンド社:刊

「圧倒的な本気」だけが「圧倒的な結果」を生み出す。

 成功者は、例外なく、その単純な事実を身をもって体験した人たちです。

「努力しても、報われない」
「頑張っても、結果が伴わない」

 そんな悩みを抱えている人は、「あと一歩」が足りないだけかもしれません。

 99℃のお湯から100℃のお湯になるまで、自分自身を完全燃焼させる。

「圧倒的な本気」が出せるかどうか。
 それが、まさに成功への“分岐点”となりますね。

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 年収1億円超えの人が「応援したい」と思える人。
 それは「利益の少ない仕事にこそ、全力を尽くすことができる人」です。

 目の前の仕事に、本気で、フルスイングする。
 その姿勢が、多くの応援者を引きつけるということですね。

 山下さんは、誰でもできるけれど、誰もやっていない習慣こそが、「年収1億円への習慣」だと強調されています。

 特別なことは必要ない。
 ただ、できることを「本気」で、とことんまでやり続ける。

「ローマは一日にしてならず」ですね。

 私たちも、本書を片手に、年収1億円超えを目指して、一歩ずつでも進んでいきたいですね。

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