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【書評】『荷重関節をゆるめれば首・腰・ひざの痛みが消える!』(酒井慎太郎)

 お薦めの本の紹介です。  酒井慎太郎さんの『荷重関節をゆるめれば首・腰・ひざの痛みが消える!』です。

荷重関節をゆるめれば首・腰・ひざの痛みが消える!

酒井慎太郎 永岡書店 2019年06月
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 酒井慎太郎(さかい・しんたろう)さんは、柔道整復師です。整形外科や腰痛専門病院、プロサッカーチームの臨床スタッフとしての経験を生かし、「関節包内矯正」を中心に、難治の腰痛、首痛、ひざ痛の治療を手がけられています。

人は「関節」から衰える!

 腰痛、首や肩の痛み、ひざ痛・・・・・。  これらの関節が痛むは、つらいものです。  その状態が長く続くと、体を動かすのがおっくうになってしまいます。  そして、行動範囲が次第に狭まっていき、ゆくゆくは家にとじこもりがちになってしまうでしょう。  すると、ますます足腰が弱って、体を動かすのがつらくなります。

 酒井さんは、関節のトラブルが、その人の“老化スピード”を速めるのにとても大きく影響してくると述べています。

 だから、人は関節から衰える。
 関節が衰えて可動範囲(かどうはんい)が狭くなると、人の体の動く範囲、行動できる範囲も狭まります。そして、それとともに、活発に活動する力が失われ、だんだん動けなくなっていってしまうものなのです。
 これはなにも、お年寄りだけの問題ではありません。
 若い人にも大いに関係があることです。
 なぜなら、関節は、若いうちから老化をはじめているから。
 たとえば、みなさんは、床に転がった本や地面に落ちたモノ、舗道にできたわずかな段差などにつまずいて転んでしまった経験はありませんか? いままではラクに飛び越えられていたはずの「低いもの」。そんな、楽勝でひょいっとまたげるはずのものにつまずいてしまった経験です。
 思い当たる人は、関節が衰えてきた可能性大。腰やひざの関節の動きが悪く、足の上がり具合などが微妙に鈍くなっているのでしょう。だから、「ラクにまたげる」と思ったものにつまずいてしまうわけです。
 こういう“関節の老化現象”はだいたい40代、早い人では30代から自覚するようになります。関節は、日頃の姿勢の悪さなど、生活習慣の悪い癖が積み重なって、若い時分からの年々少しずつ衰えていくもの。ですから、中高年はもちろん、若い人も他人事では済まされない問題なのです。
 ただしーー
 こうした問題を解決する手段はあります。
 日頃から関節をセルフケアしていれば、いつまでもスムーズな関節の動きをキープすることが可能なのです。
 関節を常にスムーズに動かしておくケアのノウハウを身につければ、痛みともおさらばできますし、老化の進行も食い止められます。体も軽快に動くようになって、末長く健康な生活を送れるでしょう。

『荷重関節をゆるめれば首・腰・ひざの痛みが消える!』 はじめに より 酒井慎太郎:著 永岡書店:刊

 本書は、誰でも簡単にできる、関節からのアプローチによるアンチエイジングのノウハウをわかりやすくまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「関節のひっかかり」を解消するのがポイント

 酒井さんは、関節のひっかかりというのは、知らず知らずのうちにできてしまうことが多く、それが可動域を狭めたり、関節にかかる荷重(かじゅう)バランスを狂わせたりした結果、痛みなどのトラブルにつながっていると述べています。

 そもそも、関節は「関節包(かんせつほう)」という袋におさまっていて、その滑液に満ちた袋の中で動くからこそ、すべるようになめらかな動きができるようになっています(下の図1を参照)。しかし、関節包内でちょっとでも骨同士がひっかかると、とたんに動きがぎこちなくなったり、しっくりこない動きになってしまったりします。そして、しっくりしないまま、いつの間にか固まってしまうと、いろいろなトラブルの種を生むことになってきます。すなわち、そういう“関節のひっかかり”を手技(しゅぎ)療法によって解消させるのが関節包内矯正なのです。
 手技による矯正ですが、決して痛くはありません。
 関節包内矯正の知識と技術を習得したプロフェッショナルであれば、どこに“ひっかかり”があるかを的確に見極め、大きな力をかけずとも、その“ひっかかり”をとることができるのです。たとえて言うなら、建てつけの悪い雨戸を開けるような感じです。あれって、力持ちの人が押しても引いても動かないことがめずらしくありませんが、開けるコツを知っている人がやると、力を入れずともスッと開くものですよね。そういう感覚と似ています。
(中略)
 ただし、“関節のひっかかり”の問題は、私の治療院に来院することでしか治せないのかというと、必ずしもそうではありません。
 軽度の症状であれば、セルフケアでもできることなのです。
 くわしくは第2章で紹介いたしますが、自分でできる簡単な関節包内矯正の方法もありますし、自分で関節の動きをよくしたり、自分で関節がひっかからないように予防したりすることも可能です。
 つまり、日頃からケアを怠らなければ、関節トラブルに悩まされなくて済む。
 私は、これからは「自分で自分の関節を管理していく時代」なのだと思います。こういう管理意識を持っているのといないのとでは、きっと、後々大きな差が出てくるのではないでしょうか。

『荷重関節をゆるめれば首・腰・ひざの痛みが消える!』 第1章 より 酒井慎太郎:著 永岡書店:刊

図1 関節の基本的な構造 荷重関節をゆるめる 第1章
図1.関節の基本的な構造
(『荷重関節をゆるめれば首・腰・ひざの痛みが消える!』 第1章 より抜粋)
 つなぎ目の部分が一番壊れやすい。  それは、人間に限らず、すべてのモノに共通します。
「ひっかかり」をなくし、体中の関節の働きをよくすること。
 それがいつまでも若々しさを保つ秘訣だということですね。

「仙腸関節」は体全体のクッションの役割を果たしている

 体の重みがかかってくる関節のことを「荷重関節(かじゅうかんせつ)」と呼びます。
 具体的には、首、腰、骨盤、ひざの関節や股関節などが相当します(下の図2を参照)。

図2 体の中の荷重関節の位置 荷重関節をゆるめる 第1章
図2.体の中の荷重関節の位置
(『荷重関節をゆるめれば首・腰・ひざの痛みが消える!』 第1章 より抜粋)

荷重関節は、いずれも痛みなどのトラブルが出やすい部位です。

 ところで、こうした荷重関節のうちでも、とりわけ“ひっかかり”などの機能異常を起こしやすい関節があります。
 それが、骨盤の仙腸関節
 骨盤はいくつかの骨が組み合わさってできています。左の図(下の図3を参照)のように、真ん中に仙骨(せんこつ)と尾骨(びこつ)があり、腸骨(ちょうこつ)がその左右両側にくっついて、独特のハート型をつくっているのです。仙腸関節は、その仙骨と腸骨との間にある縦に長い関節です。
 この仙腸関節は、前後左右にほんの数ミリほどしか動きません。
 ただ、この数ミリの動きがあることは、体全体の重心やバランスをとるために大変重要な役割を担っています。というのは、仙腸関節は体全体のクッションのような役割をはたしていて、体の重みや外部からの衝撃をやわらかに吸収して受け止め、負担を軽減しているのです。
 つまり、この数ミリのクッションがあるおかげで、首、腰、ひざなどの他の荷重関節は、より負担を感じずによりスムーズな動きをとることができているわけです。
 逆に、このクッション機能が働かなくなってしまうと、首、腰、ひざなどの荷重関節は一気に大きな負担を背負わされることになります。仙腸関節にたった数ミリの動きがあるかないかで、関節の動き方や痛み方は、驚くほど違ってくるものなんです。
 たとえば、車やバイク、自転車などの乗り物でも、「サスペンション」と呼ばれるクッション機能なしででこぼこ道を走っていたら、あっという間に駆動部がガタガタになっちゃいますよね。それと同じように、腰やひざなどの関節の痛み方が早くなってしまうのです。
 そして、この仙腸関節はたいへん機能異常を起こしやすい。
 ほんのちょっとしたことで、“ひっかかって”しまい、しかも、それに気づかない場合がほとんどなのです。
 関節のひっかかりというものは、動きの幅が小さいほど自覚できにくい傾向があります。肩やひじなどの動きの大きい関節であれば、ちょっと“ひっかかり”ができただけでも違和感を覚えます。でも、その違和感から回したり動かしたりしているうちに自然に“ひっかかり”がとれてしまうことが多い。ところが、仙腸関節の場合は、動きが少ないために骨同士がひっかかったり乗り上げたりしても何の違和感もありません。それで、自分でもまったく気づかないまま、ひっかかりが固まっていってしまうのです。
 つまりーー
 首、腰、ひざなど、各関節の痛みなどのトラブルは、仙腸関節の機能異常に端を発しているケースが非常に多い。
 このため、私の行なう関節包内矯正も、仙腸関節のひっかかりを解消することが治療の中心になっています。また、首痛やひざ痛にも、仙腸関節がからんでいることが多い。現に、仙腸関節に関節包内矯正を施すことによって、“腰痛だけでなく、首やひざの痛みまでとれた”という患者さんがとてもたくさんいらっしゃるのです。

『荷重関節をゆるめれば首・腰・ひざの痛みが消える!』 第1章 より 酒井慎太郎:著 永岡書店:刊

図3 骨盤の構造 荷重関節をゆるめる 第1章
図3.骨盤の構造
(『荷重関節をゆるめれば首・腰・ひざの痛みが消える!』 第1章 より抜粋)

 仙腸関節は、数ミリしか動きません。  しかし、その数ミリの動きがクッションとなり、体全体を衝撃から守ってくれています。
 体のどこかに痛みがある人は、まず、この仙腸関節の動きをスムーズにすることから始めましょう。

朝晩2回の「仙腸関節矯正」を習慣にしよう!

 では、具体的な「仙腸関節矯正」の方法です。

 首の関節エクササイズのときと同様に2個の硬式テニスボールを準備して、この2個を動かないようにガムテープで固定します。
 あとは、このくっつけたボールをお尻の仙腸関節の位置にあてがいい、そのままフローリングや畳など硬い床の上に仰向けに寝そべる。そして、心身をリラックスさせながら、この姿勢を1〜3分キープする。
 これでおしまいです。どうです? じつに簡単でしょう。
 いくつか注意点を挙げておきましょう。
 まず、枕はしないで、必ず硬い床の上で行なうこと。ふとんやベッドの上では効果を上げられません。「硬い床」「テニスボール」という条件で得られる“イタ気持ちいい”くらいの刺激の強さが、仙腸関節をゆるめるのにいちばんちょうどいいのです。
 それと、ボールを当てる位置を間違わないこと。仙腸関節の位置を探るには、お尻の割れ目のまっすぐ上のところにある尾骨(びこつ)をまず探してください。尾骨の位置を逆さにした正三角形の下の角として、その上の2か所の角に相当する位置が仙腸関節の場所です(下の図4を参照)。
 もうひとつ。やりすぎは禁物です。首の場合と同様に1回のエクササイズは長くても3分まで、1日に行なう回数は3回までにしてください。これさえ守っていただければ、毎日行っていただいて結構です。やはり、朝、起床後と、夜、寝る前に1回ずつ行なうのが、習慣化しやすく、もっともおすすめです。
 みなさんも、ぜひお試しください。軽い腰痛なら、これだけで改善することも多いですし、下半身の健康トラブルに対する効果も期待できます。なによりも、続けるうちにだんだん腰が軽く感じられるようになってくるはずですよ。

『荷重関節をゆるめれば首・腰・ひざの痛みが消える!』 第2章 より 酒井慎太郎:著 永岡書店:刊

図4 腰の関節包内矯正エクササイズ 荷重関節をゆるめる 第2章
図4.腰の関節包内矯正エクササイズ
(『荷重関節をゆるめれば首・腰・ひざの痛みが消える!』 第2章 より抜粋)

 酒井さんは、仙腸関節は、体のなかでもとくに足やおなかなど、「下半身」の健康のカギを握っていると述べています。
 仙腸関節がスムーズに動くようになることで、冷え、むくみ、便秘、胃腸の不調、生理痛、生理不順といった悩みが解消されます。
 1回3分、テニスボール2個あれば誰でもできる「仙腸関節矯正」。  ぜひ、習慣にしたいですね。

関節を冷やすのは、やっぱりいけないの?

 関節を冷やすのは、絶対に禁物です。
 酒井さんは、とくに、首、腰、ひざの重要関節3か所は、冷やさないようにふだんからしっかりガードするよう心がけるべきだと指摘します。

 具体的に注意すべきは、まず服装。たとえば、女性であれば、寒いときはなるべくスカートよりもパンツスタイルを選ぶようにするといいでしょう。腰のくびれやおへそを出すようなファッションはもちろんダメ。上半身も、首や胸元が大きく開いた服よりも、ハイネックなど、できるだけ首を冷やさないようなファッションを選ぶことをおすすめします。
 また、冬場であれば、外出時のマフラーやネックウォーマーは必須です。それに、夏場の冷房対策も欠かせません。首にスカーフを巻いたり、肩掛けやひざ掛けを用意したりするなど、極力、首、腰、ひざの3つのポイントを冷気からガードする工夫を凝らすようにしてください。

 それと、「冷やさない工夫」とともに「温める工夫」も大切。肌寒い日などに、携帯用カイロや温熱サポーターなどを用いて関節部分をよく温めるのは、たいへんおすすめの習慣です。
 ポイントは「圧痛点(あつつうてん)」と呼ばれる、痛みが出やすい部分をよく温めることです。首であれば「首の後ろ」と「耳と鎖骨の間あたり」の部分、腰なら「腰痛」と「仙腸関節」の部分、ひざなら「ひざの内側の少し下あたり」の部分です。なお、「寒くなると、フシブシの痛みが出てくる」という方は、その痛む部分を中心に温めるようにするといいでしょう。
 ちなみに、関節が痛むときに「冷湿布をするか、温湿布をするか」で迷われる方がよくいらっしゃいます。これにお答えしておきましょう。
 急性期で患部が熱を持っていたり腫れなどの炎症が目立っていたりする場合は、冷湿布をしてください。ただ、それ以外の慢性の痛みの場合は、温湿布を選択したほうがいいでしょう。
 もっとも、温湿布は温める効果が以外に小さいので、私は手軽なカイロをおすすめしています。ただし、携帯用使い捨てカイロを用いる場合は、長時間の使用を避け、低温やけどに十分注意するようにしてください。

『荷重関節をゆるめれば首・腰・ひざの痛みが消える!』 第4章 より 酒井慎太郎:著 永岡書店:刊

図5 関節を温めるときのポイント 荷重関節をゆるめる 第4章
図5.関節を温めるときのポイント
(『荷重関節をゆるめれば首・腰・ひざの痛みが消える!』 第4章 より抜粋)

 最近は、貼るタイプの使い捨てカイロもあります。
 上手に使って、一年を通しての「冷え対策」を怠らないようにしたいですね。
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☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆
 関節は、基本的に“消耗品”であり、年をとってガタがきてしまったら、もう“取り返し”がききません。
 酒井さんは、関節という“歯車”がうまく回り出すと、人生の“歯車”もうまくかみ合って動き出すとおっしゃっています。
 つまり、関節ケアという潤滑油さえ切らさなければ、自分で自分の人生の歯車をよりよい方向へ回していくことができるということ。
 体の不調は、関節という“歯車”が悲鳴を上げているサインです。  本書にある関節ケアで、潤滑油をしっかり注いで、いつまでも若々しく活動的な人生を送りたいものですね。

荷重関節をゆるめれば首・腰・ひざの痛みが消える!

酒井慎太郎 永岡書店 2019年06月
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