【書評】『なぜあの男は空気で人を動かせるのか 』(内野彩華)
お薦めの本の紹介です。
内野彩華さんの『なぜあの男は空気で人を動かせるのか 昼も夜も結果を出す男の習慣』です。
内野彩華(うちの・あやか)さん(@uchinoayaka)は、新宿・歌舞伎町のキャバクラ「クラブアップス」のオーナーです。
それ以外にも、複数の会社を経営する事業家としてもご活躍中です。
「空気で人を動かす」習慣は、存在する!
まるで空気がそうしているように、簡単に周りの人を自分の思い通りに動かしてしまう。
「人を動かす男」とは、どのような人たちなのでしょうか。
内田さんが25歳で起業し、10年以上の付き合いになる起業家・会社役員は3万人以上。
空気で人を動かせる男たちには、ある“独特の考え”を持っていることに気づきます。
その考えのもとに習慣があり、その習慣にしたがって、毎日同じような行動をとっているから、簡単に人を動かせる
のだと知りました。
本書は、内野さんが、数多くの「人を動かす男」から学んだ「空気で人を動かす不文律」をまとめた一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。
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オーラは「自信」でできている
「あの人は、オーラがある」という言葉をよく耳にします。
オーラとは、「人が放つ霊的エネルギー」のことです。
では、どのような人がオーラを放つことができるのでしょうか。
内野さんは、以下のように説明しています。
オーラに金持ちかどうかは関係ありません。ギリギリで踏ん張っているからオーラが出るのです。
では、オーラはだれでも放つことができるのでしょうか?キャバクラ好きな男と嫌いな男
キャバクラでは、キャバクラ好きほうがオーラを放っているように見えます。パソコンに詳しい男と苦手な男
パソコンの前では、詳しい男のほうがオーラを放っているように見えます。自分の家にいる男と他人の家にいる男
自分の家にいる男のほうが、オーラを放っているように見えます。オーラは、自信がある場所では、だれでも出せるのです。
つまりオーラは、自信でできています。自信には、根拠のある自信と根拠のない自信があり、役職も、経験も、お金も、根拠がある自信です。根拠がある自信は、根拠が消え去るとなくなってしまいます。
一方、小さな成功体験を積んでいくと、だんだんと、なんでもできるような気がしてきます。ピンチを乗り越えると、この先、なにが起こっても大丈夫な気がします。これが根拠のない自信です。
火事場のバカ力を発揮するとき、「絶対なんとかしてやる」と踏ん張るのに根拠なんかありません。どんなときも、「もっともっとすごいことができる」と信じるのに根拠は必要ありません。
自信のある場所では、だれもがオーラを放ちます。どんな場所でも、オーラを放つ男は、根拠が全部消え去っても、自信が持てる男なのです。『なぜあの男は空気で人を動かせるのか』 第一章 より 内野彩華:著 阪急コミュニケーションズ:刊
オーラの源は「自信」です。
自信のあることや自信のある場所では、人はオーラを出すことができます。
どんなときにも消え去らないオーラを漂わせる。
それには、「なにが起こっても大丈夫!」という“根拠のない自信”が必要。
まずは「自分を信じること」が第一歩だということです。
「アイツをクビにしろ」と言うヤツとは距離を置く
空気で人を動かせる男は、自分が責任を持てることにははっきりと意見し、自分が責任を持てないことには意見しません
。
責任を持てないことに意見すると、意見された当人が困ることをわかっているからです。
適当な意見をしてしまうことで、相手から不当な恨みを買うこともあります。
不当な恨みを買うと、人を動かすときに不利になります。そのため、人を動かす男は、不用意な発言は絶対にしないのです。
グチを言う当人の立場になった場合も同じです。
人を動かす男は、自然と「責任が持てないことに意見する人」とは距離を置きます。間違った意見だとしても、何回も聞いていると、正しい意見のように聞こえてくることを、よくわかっているからです。
責任を持てない人に、当てずっぽうで意見されたくないのです。自分の意志で、状況を把握しながら決めたいのです。
距離を置けば、一時の気の迷いで、間違った行動を取らなくてすみます。距離を置かずに、なんとなく流されて、なんとなく恨んでしまうことを避けるのです。
人を動かす男は、代わりの彼女になれないのに「別れろ」とは言いません。代わりの社員になれないのに「アイツをクビにしろ」とは言いません。グチを聞いたら、いつも、「大変だね。がんばれよ!」って言うのです。
人を動かせない男は、無責任なことばかり言います。そんな男に惑わされないよう、距離を置いていたいものです。『なぜあの男は空気で人を動かせるのか』 第二章 より 内野彩華:著 阪急コミュニケーションズ:刊
相談されると、当事者ではないにもかかわらず、無責任にアドバイスしたくなります。
それは避けたほうがいいし、そのような人とは関わらないほうがいいということ。
「こうすればいい」などと軽々しく言わずに、黙って聞いて相手に共感できる。
そんな器の大きい人になりたいですね。
金の匂いのする男は無口でパッとしない
お金持ちになるために必要なのは、「次の時代を読む力」と「人望」です。
内野さんは、お金持ちの特徴は、オタクで、いい人で、自信満々
だと指摘します。
オタク
彼らは、なにかを追求するクセがあり、大好きな趣味を持っています。大好きな趣味は、仕事と仕事以外で、二つ以上を持っています。
仕事では、「今の時代には◯◯がないから、◯◯を作りたいんだよね」とうれしそうに話します。
仕事以外の趣味でいうと、トライアスロンをストイックに追求していたり、フィギュアをストイックに集めていたり、熱狂的な車好きだったり、ジャンルはいろいろです。趣味について語るときの彼らは、ふだんのパッとしない彼らとは別人なくらい目をキラキラさせています。いい人
彼らは、サービス精神が旺盛で、気遣いが得意です。
彼らが気を遣うと、まわりの男たちがもっと気を使うことになるとわかっているので、いつもは、ずぼらで鈍感なふりをしています。
しかし、落ち込んだり、失敗したりしたときは「あったかい言葉」をかけてくれるのです。元気づけたり、励ましたりするのが得意です。そして、悪意があって近づいてくる男たちに対してもおおらかに接します。
悲しいことや不幸話を見聞きすると、真剣に親身になって世話をします。
世の中の動きや流行に敏感で、人から日々吸収しようとしています。自信満々
どこからどう見ても「普通の男」のはずなのに、彼らはなぜか自信満々です。
堂々としているというか、あまり動きません。目もあまりキョロキョロさせないし、手もあまり動かさないし、トイレにもあまり行かないし、ちょこちょこ動き回ったりしません。どーんと動かずに座っているイメージです。金の匂いのする男は、無口で全然パッとしません。でも、絶対に面倒見がいい「いい人」なのです。
『なぜあの男は空気で人を動かせるのか』 第三章 より 内野彩華:著 阪急コミュニケーションズ:刊
お金持ちは、見た目は普通の「いい人」が多いとのことですね。
外見を過度に飾り立てないことも、周りの人が萎縮しないための配慮なのでしょう。
見習いたいところです。
好きなことをやりきると「カリスマ」になれる
内野さんには、会った瞬間、空気に感染したように好きになってしまった男
が、これまでに数人いました。
正確には、「彼が好きだった」というよりも、「彼になりたかった」とのこと。
カリスマ性とは、「彼になりたかった」という感情を複数の人から抱かれる
ことです。
では、“カリスマ”とは、どのような人のことを言うのでしょうか。
カリスマは、「おもしろいこと」「楽しいこと」「刺激的なこと」が大好きです。
常に、好きな人と付き合い、好きなものに触れ、好きなことをしているので、プラスの空気を放っています。その空気に触れると、彼のまわりの人たちは、落ち込んでいても元気になり、「もっとがんばろう」と勇気がわいてきます。
カリスマは、セカセカしません。ゆったりと、こだわりの「好きなもの」を、味わって食べます。満員電車にも乗りません。少し早い時間に出発して、電車から見える風景を楽しみます。
セカセカしている人は、ピリピリしています。でも、カリスマは、いつもゆったりとしているのです。
カリスマは、好きなことを追いかけるから、どんどん進化します。
本人は、仕事をしている、という感覚ではなく、好きなことに没頭していたら時間が過ぎちゃった、という感覚なのです。どんどん進化するカリスマを見ていると、まわりの人たちは、夢と希望がわいてきます。
カリスマだって、ひどく失敗したり、大切なものを失ったり、騙されたりすることはあります。それでも、どこか明るいのです。
失敗しても、好きなことだから、やめようなんて思いません。次は成功するって根拠のない自身を持っているから、腐ったりもしません。
ただ、ひたむきにやり続けるのです。
(中略)
身の回りを「好きなもの」で固めましょう。好きなものは、数が多いとありがたみがなくなってしまいます。ボロボロになっても手放せないのが、本当に好きなものです。部屋のなかを好きなものだけにすると、すっきりします。
付き合う人たちも、整理しましょう。人脈というのは、ただ名刺交換した人の数ではなく、あなたのことを好きになってくれた人の数です。
なるべく自分からは、「嫌いな人」というのを作らないほうかいいですが、どうしても「噛み合わない人」というのはいるものです。無理して付き合っていると、マイナスの空気を放ってしまいます。「噛み合わない人」とはできるだけ距離を置き、「好きな人」との濃い時間を過ごしたいものです。
仕事も、グチが出るようなら辞めてしまいましょう。『なぜあの男は空気で人を動かせるのか』 第四章 より 内野彩華:著 阪急コミュニケーションズ:刊
内野さんは、好きなものに触れ、好きな人に囲まれて、好きなことをしている男は、みんなカリスマ
だと述べています。
嫌いな人やモノを一つずつ削っていき、本当に好きな人やモノだけを残していく。
さまざまなしがらみを断ち切って、勇気をもって地道に進めることができる。
そんな人が、周りの人を魅了し、「空気で人を動かせる人」になるということです。
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☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
内野さんは、自らの経験も踏まえて、「空気で人を動かせる男」とは、営業的感覚と、人を使う感覚の両方を身につけた男
のことだ、とおっしゃっています。
営業的感覚は、「相手が望むものを把握できる能力」。
人を使う感覚は、「相手が何をしたいのか、長所は何かを知る能力」。
内野さんは、この二つの感覚は、頭で理解しているだけではだめで、実際に経験することでのみ磨かれる
と強調されています。
「空気」は、目に見えないものです。
目に見えない力を作用させて、人を動かす。
かなりの高等テクニックですが、考え方や習慣によって身につくものです。
私たちの身近にいる「特別すごくは見えないけれど、不思議と結果を残す人」。
彼ら彼女らも、「空気で人を動かす」達人なのでしょう。
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