【書評】『新しい「男」のルール』(潮凪洋介)
お薦めの本の紹介です。
潮凪洋介さんの『新しい「男」のルール』です。
潮凪洋介(しおなぎ・ようすけ)さん(@shionagi)は、エッセイスト、講演家、イベントプロデューサーです。
二十代後半で脱サラし、さまざまな大手企業、メディアなどとの企画を実現させるなどご活躍中です。
「遊ぶように働き、働くように遊ぶ男」の時代
「ストレスゼロの生き方をしたい」
「好きなことを仕事にしたい」
誰でも、一度はそのような考えを持ったことがあるのではないでしょうか。
潮凪さんは、男とは、そういう生き物だから、これらの欲望から逃れることはできない
と述べています。
現在は、好きなときに、好きなことをだけをして、何不自由ない収入を得ることができている潮凪さんですが、過去には、多くの失敗を繰り返し、数千万円の借金を背負ったこともある、と告白しています。
そんな中、さまざまな試行錯誤を繰り返し、紆余曲折(うよきょくせつ)を経て、ついに「満足のいく人生を送る男のルール」を見つけ出しました。
潮凪さんは、そんな自身の体験から人は、自分の「衝動」に従って行動することで、「精神的自由」「時間的自由」「お金の自由」を手に入れることができる
と強調します。
“衝動に従う”とは、「心に浮かんだやりたいことをやる」という単純なことです。
潮凪さんは、以下のように述べています。
心の中でうごめく願望、欲望、希望、夢、目標があるのなら、それをどうか口にしてほしい。難しくても、面倒くさくても、なんとか言葉にしてほしい。
それを、口にした瞬間から、あなたの本当の人生が始まる
私たちの願望や欲望を満たすもの。
それは、今の仕事の中に隠れているかもしれないし、趣味の延長にあるかもしれません。
いつも通りの生活をしているだけでは、自分でもなかなか気づかないものですね。
成功の突破口を開くには、オンとオフを分けずに、少しでも興味をもったこと、ワクワクすることを試してみること。
仕事とプライベートの境界線がない生き方こそ、これからの時代を勝ち残る条件
です。
本書は、潮凪さん流の“今”の社会環境に合った、「男の生き方」の新しいルールをまとめた一冊です。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。
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「仕事と遊びの境界線がない」男が勝つ
潮凪さんは、いつか自分の天職と巡り会い、天職で輝きたいと心の底から思うのならば、「会社以外の仕事」を持つことだ、と述べています。
そうすることで、本当の自分を見つけ、それを表現できるようになる。だから、結果など自然に出せるようになる
とのこと。
潮凪さんは、「輝く男は二種類しかいない」と述べています。
一つ目は、「天職に就き、その道で輝く男」。
二つ目は、「普段の仕事は稼ぐための仕事として割り切り、プライベートでもうひとつ本当に自分を輝かせるための仕事や活動をしている男」。
私は、後者をおすすめする。なぜなら、自然に天職に就ける人は稀だからだ。
私も、もともと天職に就いていたわけではなかった。そのため、最初は余暇(よか)を充実させるために奔走した。
人生を最高に楽しむため、そして、いつか出会う天職を探すために、会社以外に仕事を持った。
それをきっかけに、天職を見つけることができたのだ。もっと自分が輝ける状態に近づくために、最終的には仕事も替えたのである。
そう、天職に移行したのた。
ONもOFFも、生きることを楽しむ。そんな人生が手に入ったのである。
まずは会社以外で、やってみたいことを素直にやることだ。自分の衝動に正直になり、それを余暇時間で形にする。その全力疾走の後に、本当に輝く生き方が必ず見つかる。
会社の仕事に、あなたの羽をもがれてはいけない。そのために社外行動を重視するのだ。あなたの人生は、そこから必ず変わり始める。
人には、それぞれ自分の命の火を燃やすに値する「魂の活動」が存在する。その内容は、人それぞれだ。それが何であるかに気づいたときに、人生は本当の意味で輝き出す。
「仕事をさせられている」という感覚も消える。
大好きな遊びに没頭する子供のようにその活動に集中できる。
「仕事をさせられている」という感覚は消え、何時間でも「遊ぶように仕事に興じる」ことができる。
さらに、遊びの最中でもあらゆるレジャー行動の中から「魂の活動」、つまり、仕事のプラスになるようなひらめきが自動的にどんどんわき上がる。
つまり、遊びと仕事の境目がなくなり、仕事をするように遊び、遊ぶように仕事をするといった状態が訪れる。
この状態になった人間は最強である。自分の魅力を存分に発揮し、成果も手に入れ、自由自在な人生を得ることができる。
あなたが目指すべきは、この状態である。その第一歩が「会社以外で好きなことをする」ことだ。心の枠を外し、思う存分心を泳がしてみよう。『新しい「男」のルール』 第1章 より 潮凪洋介:著 フォレスト出版:刊
人は「させらされている」感をもっているうちは、全力で取り組むことができないものです。
稼ぐためではなく、それをすること自体に熱中できる。
そんなことを見つけて、オフの時間に集中して取り組む。
そうすることが、湿っていた自分自身に、再び火を灯すことにつながります。
「オフは疲れているから休む」ではなく「オフだからこそ、やりたいことをやる」。
そうという発想の転換が必要ですね。
お金で足を引っ張られる男、人望を得る男
世の中には、成功したり、お金持ちになると、急に横柄(おうへい)な態度をとるようになる人も多いです。
潮凪さんは、そんな男になったとたん、その男の存在価値は地に落ちる。それと同時に、嘲笑(ちょうしょう)の対象となる
と指摘します。
気のおけない友人に甘えて、このような残念で、イタい男になってしまう人が思いのほか目につく。しかし、そうなってはいけない。
収入が増えたり、出世したり、社会的影響力が強くなったときこそ、逆に以前よりも謙虚になることが大切だ。もちろん、過剰な自慢もやめておこう。
人生において、本当に大切なものを失わずに済むからだ。
これまで、昔からの仲間から干された人を何人も見てきた。
「◯◯はすごく成功しているのに、いつも謙虚で昔と変わらないね」
目指すべきは、そう言われる男である。
「変わらないね」
その言葉の中には、ブレない男、浮足立たない男を称える尊敬の念が込められている。
お金を持っていそうな空気を漂わせるだけでも、よろしくない。あなたは自慢するつもりがなくても、劣等感を持ちやすいタイプの人は、自分のほうが豊かでないことに敏感になり、マイナスの感情を抱いてしまう。
「どうせ自分なんて・・・・・」とふさぎ込み、あなたと疎遠になろうとしたり、その逆に「お金持ちになったことで自分を見下している」などと、勝手に敵意を抱いたりすることもある。
これまでは利害関係など度外視で、お互いの収入や社会的地位など気にしない良好な関係を築いていたもの同士が、「経済活動の成果」によって壊され、ギクシャクしてしまうのである。こんなに残念なことはない。
ほめ称え会える関係だと思って、報告した成果に嫉妬されたり、敵意を持たれたり、といったボタンの「掛け違い」がしばし起きることがある。
こういうことが自分がアピールしなくても起こってしまうのだから、自分からアピールすることなど、まさに破壊行為以外の何ものでもない。
お世話になった人に報告することはいいだろう。しかし、「優位に立とう」という魂胆で、自慢をするのは絶対にやめよう。
尊敬されるどころか、嘲笑され、バカにされてしまいかねない。さらに、敵意や憎悪を抱かれていまいかねない。そして、人は次第に離れていく。
うまくいったときこそ、涼しい顔をして、謙虚に、昔と変わらぬ態度で旧友と接するようにしよう。
自慢したい衝動に負けてはいけない。
清々(すがすが)しい交友関係を維持するために、しっかりとセルフコントロールしなければならない。『新しい「男」のルール』 第2章 より 潮凪洋介:著 フォレスト出版:刊
地位や権力、財産には、人を惑わす強い力があります。
自分では気づかないうちに、主従関係が逆転し、それらに使われている人が本当に多いです。
「人のふり見て我がふり直せ」
社会的立場に関係なく、つねに謙虚で。心がけたいですね。
人生に「魅力的な舞台」を見つけること
潮凪さんは、人生が輝くかどうかは、人生に魅力的な舞台が見つかるか、見つからないか
に尽きると述べています。
その舞台さえ見つかれば、血のにじむような努力などはいらない。自分に合った舞台を見つければ、痛みや苦しみ、憂鬱を感じずに、疲れ知らずの努力を継続することができる。
舞台が見つかれば、遊びにワクワク没頭する気持ちで、まるで中毒になったかのように仕事や活動にのめり込むのだ。
一種のトランス状態、ハイな状態になり、眠っている間もその仕事に「向き合っていたい」と思えるようになる。
自分のリズムで充実した日々を過ごし、成果や達成感がどんどん膨らみ出す。そういうときは、痛みや苦しみなどは感じにくいのである。
いい人生を送りたければ、無駄な意味のない努力、牛歩の努力は一度休んでしまった方がいい。そして、自分が輝ける舞台を探したほうが10倍効果的である。
舞台がないまま頑張っても、その努力は小手先のものにしかならない。
同じ10の努力と労力をかけたとしても、その環境が自分に合っていなければ、成果は10以下にしかならない。最悪の場合、ゼロになるかもしれない。
しかし、自分の得意分野、周波数が一致する場所、環境、テーマを舞台にすると、成果も達成感も100にも1000にもなる。一晩で成功の青写真を描くことだってできてしまう。
まずは目を閉じ、「もっと自分に合った環境はないか」を考えてみよう。最適な環境に行くための、移るための作戦を画策してほしい。その舞台を見つけるための最大の労力をかけるべきなのである。
この先の人生を好転させる舞台を見つけるためのキーワードは、「衝動」である。さらにはその衝動から導き出される行動が、人生を変えていく。
私自身、人生の重要なターニングポイントでは、この「衝動」の力を借りて、行動を創造してきた。
小さな小さな「衝動」が人生を大きく変えた。
ダブルワークで書く仕事を始めた瞬間、家のローンを組もうと思った瞬間、事務所を借りようと思った瞬間、イベントを事業としてやってみようと思った瞬間・・・・・。
そのすべてにおいて、「小さな衝動」が正しい羅針盤となった。
そして、正しい舞台へと導いてくれたのである。『新しい「男」のルール』 第4章 より 潮凪洋介:著 フォレスト出版:刊
好きで熱中できることならば、他の人から大変そうに見えても、辛くは感じません。
環境によって、同じ努力でも、やる気も成果も、雲泥(うんでい)の差となって現れます。
自分が今やっていることが辛すぎる、死ぬほど努力しているのに成果が上がらない。
そう感じている人は、自分の能力を疑う前に、環境に合っていないのかもしれません。
自分の中に押し込んでしまっている「衝動」に耳を傾けてみましょう。
「怒りの方向性」を変えること
心の中では「こんな会社、辞めてやる」と思いつつも、ズルズルと会社の言われるまま酷使(こくし)され続けている人がいます。
いわゆる「社畜」と言われている人たちですね。
潮凪さんは、ただ社畜生活を耐え続けた人の未来は、確実に暗い。ほぼ廃人である
と述べています。
廃人はとにかく面倒くさい。希望を持つ人の話が気に食わないのか、ネチネチとネガティブなことばかり口走る。同世代の成功者、あるいは、自分らしい人生を手に入れた人とも水と油の関係になる。
自分の理論を正当化し、まわりの人間をつまらない言葉遊びにつき合わせる。
そんなおやじのひとりや二人、あなたの周りにもいるだろう。二十代のころ、こんなオヤジにはなりたくないと思っていた人だ。彼らは、怒りのエネルギーを前向きに使うことができず、そのまま腹の中で腐らせた連中だ。
あなたは、そんなふうにはなりたくないだろう。
もしそう思うなら、心の叫びに耳をすませて、その声に忠実に生きるしかない。そして、怒りのエネルギーを、未来をつくるエネルギーに変えるしかない。
怒りのエネルギーは強烈だ。
「やりたいこと」と巡り会った瞬間、ジェット燃料に変わる。すさまじい勢いであなたを押し上げてくれる。
「心の声が聞こえない。やりたいことがわからない」
こんな人でも、現在の暮らしの場を離れ、自然の中で一泊してみれば、現状を打開するヒントが必ず見つかる。
大丈夫! 30歳になっても40歳になっても、あるいは60歳になっても、心の声はなくならない。
拾い上げるなら今だ! その声に従って生きた者だけが幸せになれる。
心の声を無視し、押し殺した人は、永遠に幸せになれない。金があろうと地位があろうと学があろうと、滑稽(こっけい)で痛々しい迷惑な存在になってしまう。
どうするかは、あなた次第である。
心の声に従い、「やりたいこと」に胸を躍らせる。怒りの感情をジェット燃料にしてその願望を叶える。
私にも経験があるが、あのときのエネルギーは凄まじかった。
なにも「会社を今スグやめろ」と言っているのではない。変えるのは、あなたの脳内だ。それも、オフタイムの脳内である。
それが変われば、あなたの人生の景色は変わっていく。『新しい「男」のルール』 第5章 より 潮凪洋介:著 フォレスト出版:刊
「怒りのエネルギー」自体は、誰もが持つもので、悪いものではありません。
大切なのは、そのエネルギーの向け先が、前向きなのか、後ろ向きなのかです。
怒りの感情が強烈であればあるほど、そのエネルギーは膨大な量になります。
うまく自分を成長させるための力にすれば、これほど心強いものはないですね。
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☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
自分の信念で行動し、自分のやりたいことをやる。
そのためのキーになるのが、「衝動的に生きること」です。
潮凪さんは、以下のようにおっしゃっています。
衝動的に生きなければ、人生のリスクは高まる。
衝動的に生きなければ、満足いく人生はつかめない。
その他大勢からはみ出すことでしか、自由はつかめないし、多くの人を幸せにはできない
「自分を殺して、周りに合わせるのがいい」
「周りと同じ道を同じ方法で進むべき」
そのような、古くからの習慣に従って生きていると、早々に立ちゆかなくなってしまう。
そんな時代の潮流であるのは間違いありませんし、その動きはますます加速していきます。
私たちも、新時代に対応した『新しい「男」のルール』を自分の頭にインストールし、ストレスのない、自由な人生を送りたいですね。
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