本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『「なぜか人に好かれる人」の11の法則』(ミシェル・ティリス・レーダーマン)

 お薦めの本の紹介です。
 ミシェル・ティリス・レーダーマンさんの『「なぜか人に好かれる人」の11の法則』です。

 ミシェル・ティレス・レーダーマンさんは、エグゼクティブ・エッセンシャルズの創業者兼CEOです。
 同社は、コミュニケーションとリーダーシップを専門に教えている会社です。
 実業界でご活躍する一方、フォーチュン500社やNPO、大学など多くの場で講師を務められています。

「なぜか人に好かれる人」には共通点がある!

 レーダーマンさんは、人間関係を築くのはビジネスの取引ではなく、相手の気持ちを理解することだと述べています。
 人から好かれることは、ありのままの自分を見せ、誠実な人間関係を築くこと、関係者のだれもが得をするようにはからうこと

 私たちは、一人ひとりの個性は異なり、好感がもてるところも人によって異なります。
 しかし、好感度を高める要因には共通点があります。
 レーダーマンさんは、そうした共通点を「人に好かれる人の11の法則」としてまとめました。

 本書は、この法則を一つひとつ丁寧に説明し、ビジネスや社交の場でどう活用すればいいか、そのノウハウについて書かれた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「自然体の自分」を見せることが好感度アップの大前提

 レーダーマンさんは、ありのままの自分、ほんとうの自分の姿を見せれば、もてる力を存分に発揮し、良好な人間関係を築くことができると述べています。

 ほんとうの自分は最高の自分だ。
 ほんとうの自分でいれば、ごく自然にふるまうことができる。だから当人は、そう自覚していないかもしれない。反対に、自然体でいられないときの自分のことなら、だれにでも覚えがあるだろう。居心地が悪く、不安で落ち着かず、多大なストレスを感じる。そして結局、ぐったりと疲弊してしまう。疲労と疲弊(ひへい)とは、似て非なるものだ。疲労は、ただ肉体が疲れた状態を指す。だが疲弊は、自分にとって不自然なことを無理に続けた結果、精神的にまいってしまい、うつろな気持ちになった状態を指す。
「ほんとうの自分を押し殺して人と接しているとき、頭のなかではなにを考えていますか?」私はこの質問を、長年、多くの人にぶつけてきた。すると、たいてい次のような答えが返ってきた。

  • この状況は気に入らないが、礼儀正しくふるまおう。
  • この人のことは好きではないが、失礼のないようにしよう。
  • ひとかどの人物のようにふるまわなければならない。
  • 相手が感じよく接してくれないのなら、こちらも自分らしくふるまう必要はない。
  • たしかに居心地は悪いが、どうふるまえばいいかわからない。

 こうした答えの共通点はなんだろう? なにかを「しなければならない」という義務感、そして自信の欠如だ。理由はどうであれ、状況を恐れているときや、自分には太刀打ちできないと不安を感じているとき、私たちはつい仮面をつけてしまう。

 『「なぜか人に好かれる人」の11の法則』 法則1 より ミシェル・ティリス・レーダーマン:著 栗城さつき:訳 日本経済新聞出版社:刊

 周囲に打ち解けようと自分を演じているときほど、ストレスが溜まることはありません。
 自分の心の中にある“居心地の悪さ”は、隠そうとしても相手には伝わってしまうもの。

 素のままの自分、自然体でいるときの自分が、その人が最も輝いている瞬間です。
 どんなときでも、飾らない、ありのままの自分で勝負できる自信を持っていたいですね。

話の内容より、口調や表情が大切!

 コミュニケーションをはかる際、人は以下の3つのシグナルを送っています。

  • 口からでる言葉(バーバル)
  • 声色や口調(ボーカル)
  • 表情やしぐさ(ビジュアル)

 レーダーマンさんは、この3つがちぐはぐだと、あなたは言いたいことを伝えることができないし、何かを偽っている、混乱していると相手に思われてしまうと指摘しています。

 その昔、母からよく、「大切なのはね、なにを言うかじゃない、どう言うかなのよ」と言って聞かされた。心理学者アルバート・メラビアンが提唱した法則について学んだとき、私の頭に、母のセリフがよみがえった。メラビアンは広範な研究をおこない、相手と実際に顔をあわせた状態で、どんな印象を相手にもつかを調べた。著書『サイレント・メッセージ(無言のメッセージ)』でメラビアンは、初対面の人物の好感度は次のように決まると述べた。

 話の内容7%+口調38%+表情55%

 つまり、あなたが何を言おうと、それをしぐさでも的確に表現しないかぎり、言いたいことは相手にほとんど伝わらないのだ。たとえば十代の少年が腕組みをし、天井をにらみつけたまま「いいよ」と言ったとしよう。だが、そこから伝わってくるのは「いいわけないだろ」である。
 あなたは初対面の相手に「はじめまして」と言うとき、笑みを浮かべ、明るい声をだし、相手の目をまっすぐ見ているだろうか。それとも恥ずかしくて目をそらし、まるで時間がないとでもいうように、早口で挨拶をしているだろうか。あなたは相手にどんな印象を与えているだろう? あなたのボーカル(口調)とビジュアル(表情やしぐさ)は、あなたの伝えたいことをよりいっそう強く相手に印象づけているだろうか?
 自分のことをどんなふうに見てもらいたいか、あらかじめ想定しておこう。そして、そう見てもらえるよう工夫しよう。ボディランゲージが、実際にはあなたが無関心であることを暴いてしまう場合もあるし、反対に、あなたが思いやりにあふれ、自信をもっていることをうまく伝える場合もあるのだから。

 『「なぜか人に好かれる人」の11の法則』 法則3 より ミシェル・ティリス・レーダーマン:著 栗城さつき:訳 日本経済新聞出版社:刊

 姿勢や態度、目や声の表情は、口以上にものを言うということです。
 人の外面には、心の動きや気持ちの余裕のようなものがダイレクトに表れます。
 目の前の話を伝えたい人に意識を集中し、3つのシグナルを送ることを心掛けたいですね。

「なにが」、「どうやって」、「なぜ」を使いこなそう

 初対面の相手と話をするときに最も重要なことは、『相手に対する「好奇心」を示す』ことです。
 レーダーマンさんは、純粋な好奇心を示せば、自然に会話がはずみ、継続する関係を結ぶことができると述べています。

 相手に対する好奇心を示すには、「自由に回答できる自由回答式の質問」が効果的です。

 自由回答形式の質問とは、簡単にいえば、一言、二言ですませることのできない質問だ。こうした質問にはたいてい「なにが」、「どうやって」、「なぜ」といった言葉が含まれる。たとえば、「こちらには、どういったご用でいらしたんですか?」と尋ねれば、「実はこれこれこういう用事があって・・・・・」と相手は文章を考え、応じることになる。
 ところが「こちらへは、ご出張で?」と尋ねれば、イエスかノーの返答しか返ってこないし、場合によっては「そちらもですか?」と、反対に質問されてしまう。
 このように、イエスかノーで答えられる質問、あるいは一言で答えられる質問を投げかけると、オウム返しの質問をされるおそれがある。「◯◯なんですか?」、「◯◯をなさいますか?」という質問を、「なにが◯◯なんですか?」、「どうやって◯◯なさいますか?」といった質問に変えれば、もっと深い会話をはじめることができる。
「アトランタの暮らしはいかがです?」を「アトランタのどんなところが気にいっていますか?」と変えよう。「あの業者はおすすめですか?」ではなく、「あの業者のおかげで、どのくらい生産性が上がりましたか?」と訪ねよう。
 会話をはじめるときには、会話が途絶えたときにそなえ、あらかじめいくつか話題を考えておこう。もちろん最初の話題は、相手やその場の状況によって決まってくる。自分が話しかけようとしている相手はどんな人物なるか、そしていま、どんな状況にあるのかを、よく見きわめよう。
 相手は、あなたと同じ業界で働いている人? 同じイベントに参加している人? 近所の人? ごくふつうのことでもかまわない、なにか共通する話題をとりあげよう。そして会話の糸口をつかんだら、そこから話を発展させていこう。
「はじめまして、◯◯と申します」と挨拶をすませたら、これまでに説明したような質問を投げかけ、会話をはずませよう。もてる能力を発揮し、うまくコミュニケーションをはかるよう努力しよう。

 『「なぜか人に好かれる人」の11の法則』 法則5 より ミシェル・ティリス・レーダーマン:著 栗城さつき:訳 日本経済新聞出版社:刊

 同じような内容の質問でも、質問の仕方で会話が進む場合もあるし、途切れる場合もあります。
 会話を途切れさせず、質問を重ねていきながら、自分と相手との共通点を探し出すこと。
 それが、初対面の人と親近感を深めるコツです。

自分の考えを素直に口に出して伝える

 レーダーマンさんは、ある人物との経験やある状況での経験は、実際にそれが終わったあとも、長く心にとどまるとして、これを「気分の記憶」と呼んでします。
 相手に好感をもってもらいたいのなら、自分にまつわる「気分の記憶」をできるだけポジティブなものにしなければなりません。

 このとき基本的な考え方のひとつが、「相手に誤解されないこと」です。
 レーダーマンさんは、相手にポジティブな気分の記憶を植えつけるために、自分が考えていることを素直に口に出そうと指摘しています。

 私自身が「気分の記憶」を意識するようになったのは、同僚のローリーが乳がんになったときだ。それほど親しかったわけではないが、ユーモアの精神を忘れず、果敢に病気と向き合う彼女の姿を見て、声をかけずにいられなくなった。見当違いなことを言ってしまうかもとは思ったが、どうしても自分を抑えることができず、「あなたには感銘を受けているわ」と、私は素直に自分の気持ちを伝えた。すると、ローリーも「あなたの言葉がとてもうれしかった」と言ってくれ、乳がんになって多くのものを失ったが、得たものも大きい、あなたの言葉もそうして得た贈り物のひとつだと感謝してくれた。そうした彼女の考え方に触れ、私は思わず頭(こうべ)を垂れた。ほどなく、彼女は帰らぬ人となった。
 私はローリーのことを思うたびに、人生のはかなさを痛感する。そして、言いたいことや言わねばならぬことがあるのなら、それを言うチャンスを逃してはならないと、自分に言い聞かせている。
 生死に関わる状況に直面すると、人は自分の思いを言葉にして残したいと思うものだ。だがローリー亡きあと、私は考え方を改めた。たとえ生死に関わるような状況に置かれていなくても、できるだけ素直に自分の思いを言葉にしよう、と。なんだかまるで、長い午睡からようやく目覚めたような気がした。それから私は、ちょっとした時間を共有しただけの相手にも、それがふさわしいと思えば素直な気持ちを伝えることにした。そして以前であれば頭のなかにとどめておいたであろう感謝や尊敬の気持ちを、はっきりと口にするようにした。
 たとえば、バス停に向かって猛ダッシュする私を運転手さんが待ってくれていたとしよう。これまでなら「ありがとう」という1言ですませていたところを、運転手さんの目をきちんと見て「おかげさまで助かりました」、「ご親切に感謝します」と伝えるようにしたのだ。そのうえで「おかげさまで時間にうるさい上司に怒られずにすみます」などと、少し個人的なことを愛想よく添えるようにしました。
(中略)
 大切なのは、つねに周囲にあるはずのいいことに目を向けるよう、心をひらいておくことだ。さもないと、いまあるものに気づき、称賛し、感謝することができなくなってしまう。ただ頭のなかで考えているだけではいけない。素直に口に出そう。

 『「なぜか人に好かれる人」の11の法則』 法則8 より ミシェル・ティリス・レーダーマン:著 栗城さつき:訳 日本経済新聞出版社:刊

 日本人は「空気を読むこと」に敏感です。
 はっきり口に出して伝えずに「言わなくても察してほしい」と考えてしまいがちですね。

「いつでも言える」と思っていると、二度と相手に伝える機会がなくなることもあります。
 ほんの些細(ささい)な誤解が原因で、人間関係が壊れてしまうこともあります。

 つねにポジティブなエネルギーを発し、素直に自分の気持ちを伝えること。
 大切なことですね。

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 人は誰からも好かれるひとでありたいと願うものです。
 しかし、実際に接するすべての人から好かれる人は存在しません。
 自分を殺して相手に合わせようとすればするほど、相手から嫌われなくなります。
 しかし、自分本来の良さが伝わらず、印象の薄い「どうでもいい人」と思われてしまいます。
「なぜか人に好かれる人」というのは、“ありのままの自分”でいることが、自分が最も魅力的であることを、意識的にしろ無意識的にしろ、実行している人です。

 人から好かれたいのなら、まず、人を好きになること。
 人を好きになるには、自分を好きになることが大前提となります。
 “ありのままの自分”を愛し、“ありのままの自分”でいる勇気を持ち続けたいものですね。

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