【書評】『ブレイクスルー!』(ジャネット・アットウッド他)
お薦めの本の紹介です。
ジャネット・アットウッドさん、マーシー・シャイモフさん、クリス・アットウッドさん、ジェフ・アフレックさんの『ブレイクスルー!』です。
ジャネット・アットウッドさんは、情熱に関するエキスパートで、世界的な指導者や成功者と数多くの協業経験をお持ちです。
クリス・アットウッドさんは、自己啓発分野のエキスパートで、世界中のトップクラスの成功者と協業経験をお持ちです。
マーシー・シャイモフさんは、世界的に知られる変革的リーダーであり、ベストセラー作家です。
ジェフ・アレックさんは、講演家、トレーナー、作家で、マーケティングのエキスパートです。
「ブレイクスルー」を体験する秘訣とは?
「ブレイクスルー」とは、突然あっと驚くような気づきを得る体験
のことを指します。
一般的には、科学的大発見、哲学的な発見などを表す言葉です。
また、個人的に「それまでとは別のより深い観点から、問題が理解されるようになる」といった場合にも使われます。
ブレイクスルーは、通常、問題についてじっくり思索するというプロセスを経た後に訪れるもの。
問題についての知識を深めておくことが、ブレイクスルーを起こす条件です。
ただ何もせずにいても、価値観を根底から覆すようなアイデアが降りてくることはありません。
個人のブレイクスルーに関していうと、自分たちと同じような問題をすでに克服した人たちの経験や知恵から学ぶことで、新たな知識を得るプロセスを短縮することが可能
になります。
私たちが抱えている問題は、たいてい、同じような問題をすでに克服した人たちがいます。
彼ら/彼女らが、どのようにして「ブレイクスルー」を経験したのか。
それを知ることが問題解決につながります。
本書は、「自分の人生を飛躍的に進歩させる方法」について、12人のエキスパートたちが、具体的な方法を交えて解説した一冊です。
取り上げられているテーマは「感情」「幸せ」「成長」「お金」「キャリア」「子育て」「健康」など多岐にわたっています。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。
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「ノーテンション」の重要性
アットウッドさんは、望み通りの未来を手に入れるための公式を「パッションの公式」として、次の3ステップにまとめています。
『インテンション(意図)― アテンション(注意)― ノーテンション(柔軟)』
この中で最も大切で、ほとんどの人に欠けているのが「ノーテンション」です。
多くのビジネスパーソンにとって、休みを取るということは、恐ろしくて勇気のいること。
勤勉で優秀な人ほど、休みを返上して働き詰めてしまいます。
成功を謳歌(おうか)してきた人なら、おそらく注意深く万全の準備を怠(おこた)らず、予期せぬ結果が出た場合を想定し、少なくとも一つは確実にうまくいくよう複数のプロジェクトを同時に進め、その結果へとへとになっていることでしょう。
それでも、ほかに選択肢はないと考え、続行しようとしてしまいます。
あなたが悪いわけではありません。私たちの文化には、ブレイクスルーしたければ「やり遂げ」なければならないとか、成功するには「もうひとがんばり」しなければならないというような考え方をよしとする風潮があるからです。
まるで、ぜんまい仕掛けのおもちゃの車がスピードを出して走り、壁に激突しても、壁を突き抜けようとして空回りするようなものです。
しかし、自分の大好きなこと、大切に思っていることをしているなら、すなわち自分のパッションに従って生きているなら、「努力」は必要ありません。人は自分を抑えられないものです。障害が発生すれば、しばらくは後退するかもしれませんが、やがて順応し、もとに戻ります。あたかも、あなたを前へ前へと駆り立てる不可抗力が働いているかのようです。
実際、そういう力が存在するのです。
人は誰でも自分だけの生きる目的を持っており、パッション、すなわち自分にとって最も大切だと思うものこそが、その目的の遂行へとあなたを導いてくれます。
(中略)
リラックスして、自分のパッションを「どのように」実現しようかと考えるのをやめた時、あなたの脳の網様体賦活系(もうようたいふかつけい)が活性化し、神経刺激が働いて、無意識と意識の間がつながります。したがって、自分が抱えている問題について考えていない時でも、無意識のうちに答えを探し続けていることになるのです。『ブレイクスルー!』 第1章 より ジャネット・アットウッド、マーシー・シャイモフ、クリス・アットウッド、ジェフ・アフレック:著 鶴田豊和:訳 フォレスト出版:刊
自分にとって最も大切だと思うものをはっきりと思い描くこと(インテンション)。
それを、つねに頭の中にイメージしていること(アテンション)。
そうすれば、頑張らなくても、自然と目的の場所へ向かって進んでいけます。
さらに、力を抜いてリラックスした時ほど、素晴らしいアイデアが生まれるもの。
それも脳が無意識のうちに答えを探してくれているお陰です。
「ノーテンション」の力を上手に利用して、軽々と目的地を目指したいですね。
「無条件の幸せ」とは、どのようなもの?
シャイモフさんは、世界中の数多くの専門家や幸福な人々にインタビューを行い、「幸福」についての研究していたとき、シンプルながら深いひらめき
を得ます。
それは、幸福とは連続体なのだということ
です。
私たちのいう通常の幸せとは、自分の望む健全なものを手に入れたことから派生する喜び
のことで、よき人間関係、仕事上の成功、経済的安定、自分の才能、長所を活用していること
などを意味しています。
ただ、この幸せは外的な状況次第で失われてしまいます。
シャイモフさんは、幸福の連続体にはもう一つ上のレベルがあり、それが無条件の幸せ
なのだと指摘します。
無条件の幸せ:これこそが本当の幸せで、外的状況に左右されない安らぎと幸福に満ちた神経生理学的状態をいいます。
無条件の幸せとは、四六時中ばかみたいにニヤニヤしていたり、うわべだけの高揚感を感じていたりすることではありません。無条件の幸せは感情ではないのです。もっと言えば、無条件の幸せを感じていながら、同時に悲しみや恐れ、苦痛を含めた、いかなる感情にもなることができるのです。しかし、そのような感情を味わっていても、根底には心の平安と幸福が存在します。
たいていの人は、できるだけ多くの幸せな経験をネックレスのビーズのようにつなぎ合わせることで幸福な人生を生み出そうとして、正当な幸せに焦点を合わせます。「幸せのネックレス」を作るためのビーズを見つけることに、多くの時間やエネルギーを費やすことになるのです。
無条件の幸せとは、ネックレスのたとえで言えば、幸福な糸を持っているようなものです。よいビース、悪いビーズ、どちらともいえないビーズ、どんなビーズをつなぎ合わせようと、ビーズの芯を貫いている糸に相当する経験は幸福であり、そこから幸福な人生が生み出されるのです。『ブレイクスルー!』 第2章 より ジャネット・アットウッド、マーシー・シャイモフ、クリス・アットウッド、ジェフ・アフレック:著 鶴田豊和:訳 フォレスト出版:刊
本当の幸せは、外部から手に入れるものではなく、自分の内部から湧き出てくるもの。
シャイモフさんは、心の中に持続的な安らぎと幸福を生み出すための方法として、次の3つを挙げています。
- 喜ばしいことを味わう
- 比較をやめる
- 静寂(せいじゃく)に身を置く
「今」を本気で生きているだろうか?
スージー・ステッドマンさんは、25歳で悪性リンパ腫を患い、生死をさまよう経験をします。
放射線治療によるガンとの闘病生活に疲れ果てて、将来への希望をなくしかけた彼女を救ったのが、親友からのある“プレゼント”でした。
ある夜のこと、もうすぐ病院の面会時間が終わるという頃、私は孤独で、現実の非情さに打ちのめされていました。これから先のことを考え始めた時、思いがけなく親しい友人が訪ねて来てくれました。
彼女は私をひと目見るなりこう言いました。
「ずいぶん疲れて、具合が悪そうね。長居はしないわ。
ちょっとこれを渡しに来ただけだから」
ああ、お願いだから、もうカセットや本はやめて! しかし、彼女が大きめのハンドバッグから取り出したのは、ピンク色の子ども用の水筒で、外側には、中身を隠すように星やテディベアの絵が描いてありました。彼女は私に水筒を手渡しました。
ふたを開けると、たちまちあの香りが立ちのぼり、氷がビンのふちに当たってカラカラ鳴る音が聞こえました。言っておきますが、レモネードではありません!
友人は私を見て、「楽しんでね。あなたにはその価値があるわ」と言いました。
その頃、病院に「ソフト」ドリンク以外の飲み物を持ちこむことは固く禁じられていました。お酒なんて、もってのほかです! 友人は大きなリスクを冒して、私を幸せにする飲み物を持ってきてくれたのです。
ピンクの水筒からほんのひと口飲んだだけですが、私にとって、それは大きな啓示に等しい体験になりました。そして、その時から私の人生は大きく変わったのです。
この体験を「水筒の瞬間」と名づけよう! 友人が私のためにリスクを冒し、私には幸せになる価値があると信じてくれたのなら、私だって自分に同じことをするわ!
その瞬間、私は誓いを立てました。私も欲しいものを追求しよう。自分が幸せになることをしよう。自分の人生をコントロールし、内なる声に耳を傾けよう。
自分にあとどれだけ明日が来るかわからないと気づいた私は、仕事をしている瞬間、そして人生を、充実したものにしようと思いました。幸せになれる仕事に就き、みじめでやりがいのない仕事は勇気を出して辞め、転職しようと決心したのです。
夢の職業を追求する。
これは私にとって、大きな転機になりました。これからどのように人生を歩んでいくかについて、新たな決意をしたのです。
私は私の中に存在していた、内なる反逆者を解き放ちました!
たちまち暗闇が晴れていきました。はっきりした自覚と目標ができ、体中の細胞が生き生きと動き始めました。『ブレイクスルー!』 第5章 より ジャネット・アットウッド、マーシー・シャイモフ、クリス・アットウッド、ジェフ・アフレック:著 鶴田豊和:訳 フォレスト出版:刊
人生の転機は、いつ、どこで訪れるかわからないものです。
大事なことは、勇気を出してリスクをとること。
自分の内なる声に耳を傾けて、自分の幸せへの一歩を踏み出したいですね。
一日一回、頭の中を空っぽにする
クリフ・トーマス博士は、一日一回、頭の中を空にし、『「今この時」に存在すること』の重要性を強調します。
私は、70年代の初めにスキューバダイビングの資格を取りました。たくさんの経験を積んでいても、パニックに陥ることが時々あります。たいていは、潮の流れに逆らって泳いでいて、知らぬ間にがんばりすぎていた時に起こります。いつも魚やカメを追いかけるのに夢中になっているのですが、突然、息切れしていることに気づきます。水深25メートル付近では、それは非常に怖いことです。
水面に急浮上すれば、死んでしまいます! そこで、どうするかというと、珊瑚(さんご)か何かを見つけ、気持ちを落ち着け、できる限り体の動きを止め、珊瑚の中の小さな生き物たちを一心に見つめるのです。私の身も心も生き物たちと一緒に在ることで、ゆっくりではありますが確実に呼吸が追いついてきます。
「身も心も今この時に在る」ということは、あなたの頭も体も、過去や未来のことを考えたりしていないということです。そしてこれは習得できることですし、ぜひ習得すべきです。
(中略)
スキューバダイビングでパニックに陥った時、私は未来のことを心配していました。「もし〜だったらどうなるか」という死につながりかねないシナリオが心に浮かんで恐ろしかったのです。私の体はアドレナリンを噴出していたのでしょう、このアドレナリンというのは恐怖を駆り立てる燃料になります。でも、私が珊瑚の小さな生き物の細やかな動きに集中し、未来と死ぬことについて考えることをやめた時、こうした化学物質が体中に送り出されるのが止まり、私は落ち着きを取り戻して、呼吸も追いついて来ました。
今では、息が切れて、アドレナリンが闘争・逃避反応を引き起こす時、どんなプロセスを使えばリラックスできるかがわかります。要は、過去や未来を生きるのではなく、今この時を生きるということなのです。
蜜蜂や、珊瑚の小動物を眺めたりする行動は「状態の変化」を引き起こしました。こうした行動は、過去や未来の状態から現在の状態へと私たちを変化させます。状態の変化を引き起こす、あなた独自の方法を見つけることをおすすめします。『ブレイクスルー!』 第8章 より ジャネット・アットウッド、マーシー・シャイモフ、クリス・アットウッド、ジェフ・アフレック:著 鶴田豊和:訳 フォレスト出版:刊
「今、この時に集中する」
そのためには、「自分のまわりの現実の世界に意識を向けること」が重要です。
トーマス博士が具体的な方法として挙げているのは、以下の方法です。
- 目を閉じて物に触り、暖かさ、冷たさ、固さ、柔らかさを意識的に感じ取る。
- 屋外に出て、できるだけたくさんの自然の音に耳を傾ける。
- 空気の匂いを嗅ぐ。
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☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
ブレイクスルーを経験し、壁を突破したエキスパートたちが共通して大事にしていること。
それは、「自分のパッション(情熱)に沿って生きること」です。
訳者の鶴田さんは、世間体や他者の目が気になったとしても、自分らしい生き方を追求する、それこそが人生でブレイクスルーを起こす最大の秘訣
だとおっしゃっています。
目の前をふさいでいる壁が、どんなに強固で高いものでも、じっくり注意深く調べれば、必ず“突破口”は見つかるものです。
いちばん大事なことは、チャレンジし続けること。
一度や二度、壁に跳ね返されただけで、簡単に諦めてはいけません。
パッションさえあれば、どんな壁も乗り越えるアイデアは必ず見つかります。
私たちも、パッションに生き、パッションを武器に自分の人生を切り開いていきたいものです。
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