本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『座り方を変えれば、身体の疲れがイッキに取れる!』(仲野孝明)

 お薦めの本の紹介です。
 仲野孝明先生の『座り方を変えれば、身体の疲れがイッキに取れる!』です。

 仲野孝明(なかの・たかあき)先生は、柔道整復師、アスレティックトレーナーです。
 自ら整体院を経営し、「姿勢が変わると、人生が変わる」をモットーに、カイロプラクティック、鍼灸などの長所を融合した施術を行われています。

座り方を変えれば、人生が変わる!

「腰がいたい」「肩や膝(ひざ)が痛い」といった関節や筋肉の不調。
「よく眠れない」「どうもやる気がでない」といった慢性的な疲労による不調。

 仲野先生によると、多くの場合、この二つの不調の原因の根っこは同じです。
 その原因とは、間違った座り方をする習慣によって、姿勢がくずれ、脊椎(せきつい)のかたちがゆがんでいることです。

 仲野先生は、座り方を改善して「正しい座り方」をするだけで、多くの身体の不調を治すことができると強調します。
 正しい座り方とは、「坐骨(ざこつ)を立てて座る」ことです。

 本書は、正しい座り方を身につけることで、健康的な生活を送るための方法をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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背骨がゆがむと内臓もゆがむ

 悪い座り方をしていると、身体にどのような悪影響を及ぼすのでしょうか。

 私たちの身体を支えて、まっすぐに立てているのは脊椎とそれを取り巻く筋肉です。
 脊椎は、一本の棒ではなく、26個の椎骨が歯車がかみ合うような状態でS字につながっています。
 
 椎骨の歯車は一箇所でもバランスが崩れると、他のすべてが連動して崩れてしまいます。
 すると、脊椎を支えようとする周囲の筋肉に負担がかかり、痛みとなってあらわれます。

 脊椎のバランスが崩れると、体の内側の空間が狭くなります。
 胸には、肺や心臓、胸腺などといった大切な器官が集中しています。
 胸椎が曲がれば、それらの器官が圧迫され、機能が低下する恐れがあります。

 脊椎には、「神経の通り道」としての役割もあります。

 脊椎の中には、脳からつながる神経の束、脊髄が通っています。そして、順次枝分かれし、脊椎のつなぎ目のすき間から外に出て、身体の各器官へとつながっています。(下図1参照)

脊椎を通る神経
図1.脊椎を通る神経
(『座り方を変えれば、身体の疲れがイッキに取れる!』 第1章 より抜粋)

 ここでもし、間違った座り方をして、脊椎のある部分が曲がりつづけると、どうなるでしょう。
 骨のつなぎ目にあるすき間は、曲がった分だけ押しつぶされ、中を通る神経を圧迫します。
 ただし、押しつぶされても、すぐ元に戻れば、問題は起きません。しかし、脊椎が同じ状態のまま曲がりつづけていると、そこを通る神経は、ずっと圧迫されつづけることになります。
 当然、脳からの司令をキチンと伝えられません。

 『座り方を変えれば、身体の疲れがイッキに取れる!』 第1章 より 仲野孝明:著 学研パブリッシング:刊

 積み木を高く積み上げるとき、一番下の積み木をしっかり組み上げることが大事です。
 脊椎についても同じです。

 一番下に位置する腰椎と坐骨や骨盤のバランスを正しくとって座ること。
 それがもっとも重要だということですね。

「坐骨」が脊椎のバランスをとる

 骨盤は、脊椎の最下部にあたる仙骨と尾骨、それに二枚の寛骨(かんこつ)が集まったもの。
 実際に身体を支えているのは、寛骨です。

 寛骨の上部は大きく広がり、仙骨を両側からはさみこんで、がっしりと支えています。
 寛骨が正しく仙骨を支えていれば、仙骨は上の腰椎を受け止め、脊椎のバランスはくずれません。
 そのバランスをとっているのが、寛骨のいちばん下にあたる「坐骨」です(下図2参照)。

坐骨の位置
図2.坐骨の位置
(『座り方を変えれば、身体の疲れがイッキに取れる!』 第3章 より抜粋)

 正しく座るうえで、もっとも大事なのは「坐骨を立てること」です。

 坐骨は、上が広がっている寛骨のバランスをとるかたちとなり、きわめて不安定で、意識せずに力を抜いて座るとすぐに転んでしまいます。
 坐骨が転ぶと、骨盤が寝てしまい、脊椎もバランスが崩れてしまいます。

 坐骨を立てるコツは、椅子に深く座ることです。それだけで、自然に坐骨は立ってきます。
 深く座ろうとすれば、お尻を後ろに押し出すイメージになります。その意識が、骨盤が寝るのを防ぎます。
 また、深く座って、お尻を背もたれにくっつけてしまえば、寛骨の上部が背もたれで支えられるかたちになります。背中のウエストあたりをさぐって、やはりコツンと触れる骨を背もたれにあてるのです。ここを背もたれに固定すれば、坐骨が後ろに転ばず、安定します。
 椅子の座面に坐骨をつき立て、背もたれで寛骨を支える。これが原則です。
 ただし、最初にその状態をつくっても、その後、背中まで背もたれにあずけてしまうと、ずるずるとお尻が前に出て、坐骨は転んでしまいます。
 そうならないように正しい座り方をキープするには、坐骨だけでなく、お腹のインナーマッスルにも、少し意識を向ける必要があります。
(中略)
 インナーマッスルは、自然が与えてくれた自前のコルセットです。
 坐骨を立てて座ったら、両腕を上に伸ばしてみましょう。お腹がきゅっとひきしまる感じを意識できたら、腕を下ろして、肩の力を抜いてそのままでいてください。
 これが、インナーマッスルがうまく使えている状態です。
 実は、坐骨を立てていれば、自然に、インナーマッスルはうまく機能します。みなさんも、腕を上げる前から、なんとなくお腹がひきしまっている感じがあったのではないでしょうか。
 坐骨を立てなければ、コルセットはゆるゆる。しかし、坐骨を立てれば、コルセットがきゅっと利きます。
「お腹に力を入れなくては」と力まなくとも、坐骨を立てようと意識しつづければ、自然にインナーマッスルが使われ、姿勢を良くしてくれるのです。

 『座り方を変えれば、身体の疲れがイッキに取れる!』 第3章 より 仲野孝明:著 学研パブリッシング:刊

「椅子の座面に坐骨をつき立て、背もたれで寛骨を支える」
「お腹のインナーマッスルを利かせる」

 慣れないうちは少し窮屈な姿勢です。
 しかし、一度身につけてしまえば、もっとも身体に負担の少ない座り方です。
 ぜひ、マスターしたいですね。

「筋肉の癒着」を防ぐマッサージ

 仲野先生は、間違った座り方を長時間していると、筋肉の癒着(ゆちゃく)が起こりやすい、と指摘しています。

 筋肉を動かさないでいると、癒着はいともかんたんに起こります。
 筋肉は、筋組織の束を膜がおおうかたちで、層状になっています。伸び縮みする際には層と層がスライドし、膜どうしが擦れ合うのですが、スライド運動という動きがなくなると、接し合う膜どうし、自然に貼りついてしまいます。
 動かなければ、貼りつく──、それも否応なしにです。
 では、癒着してしまった筋肉は、どうすれば元に戻るのでしょうか。
 はがすのです。
 膜どうしの癒着ですから、紙と紙が糊(のり)でくっついているのと同じなので、これをひきはがします。それで組織の再修復がうながされ、身体はびっくりするぐらい動きやすくなります。

 『座り方を変えれば、身体の疲れがイッキに取れる!』 第4章 より 仲野孝明:著 学研パブリッシング:刊

 筋肉の癒着を防ぐには、筋肉に「いつもはやらない動き」をさせればいいとのこと。

 仲野先生は、座りっぱなしの生活でできる筋肉の癒着を防ぐストレッチいくつか挙げています。
 ここでは、「もも裏マッサージ」を紹介します(下図3参照)。

もも裏マッサージ①  もも裏マッサージ②
図3.もも裏マッサージの方法
(『座り方を変えれば、身体の疲れがイッキに取れる!』 第4章 より抜粋)

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 一日8時間以上机の前に張りつきになり、パソコンとにらめっこしている。
 座っている時間が寝ている時間よりも多い。

 現代社会では、そんな人も珍しくはないでしょう。
「座る」ことは、一日のうちで最も長くとらなければならない姿勢です。
 だからこそ、正しいスタイルを身につけることが重要となります。
 
 すべての健康は、「坐骨を立てて座る」ことから。
 日々の生活において、つねに意識していたいですね。

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