本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『手にとるようにNLPがわかる本』(加藤聖龍)

 お薦めの本の紹介です。
 加藤聖龍先生の『手にとるようにNLPがわかる本』です。

 加藤聖龍(かとう・せいりゅう)先生は、NLPトレーナーです。
 米国NLP協会認定のトレーナーとして、数多くのNLPセミナー講師を務められています。

「NLP」は人生を彩る“キャンディボックス”

 過去に起きたことをに引きずって、モヤモヤと気分が晴れない。
 将来のことが心配で、不安な気持ちを引きずったままだ。

 そんなときに口の中に放り込めば気分が晴れる“感情や行動に合わせた色とりどりのキャンディ”があれば・・・と思いたくもなりますね。
 そんなキャンディのぎっしり詰まった“キャンディボックス”のような存在が、「NLP」です。

 NLPは、「Neuro-Linguistic Programing」の頭文字を取ったもので、日本語では、「神経言語プログラミング」と訳されます。
「五感と言語による体験が脳のプログラムを作り、行動を決定づける」ことにより、原因(もとになる体験)から(現在の状態)へのプロセスに注目していく心理学的手法です。

 NLPにはたくさんの考え方やスキルがあります。
 加藤先生は、その基本にあるものは「幸福で、成功した人間になるために必要なステップを見つけるテクノロジー」だと指摘しています。

 本書は、NLPのエッセンスをギュッと詰め込み、誰にでも理解できるようやさしく解説した一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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脳は「想像」と「現実」の区別をつけられない

 NLPは、人間の本能的な脳のシステムを利用し、望ましい人生を送れるようにできるスキルです。
 NLPを深く理解するためには、「脳」のシステムについて知っておくことが大切です。

 加藤先生は、脳の特徴のひとつとして『「現実」と「想像」を区別できない』ことを挙げています。

 まずは、脳は「勘違い屋さん」だということを覚えておいてください。

 たとえば、あなたが理想の人と素敵なレストランで最高の食事をしているところを想像してみてください。そして、二人で優しく見つめ合いながらスプーンですくったとろけるような味わいの、あの大好物を口に近づけて口の中に入れます。その姿をイメージしていると、なぜかニンマリとしながら勝手に唾液が出てきませんか。

 これこそ、脳の「勘違い」です。
 実は、私たちの脳は「現実」と「想像」を区別することができません
 いま、頭に思い描いているものが「想像」であろうと「現実」であろうと、同じ神経回路を使って処理され、各器官に指令が出されるのです。
 ごちそうを想像するだけで唾液が分泌されたり、好きな人のことを考えるだけで顔がニヤけてくるといった反応が引き起こされるのは、すべて脳の「勘違い」によるものなのです。
 このように、ある体験を思い出したり、想像したりしているときも、脳にとって現実に体験しているのと同じ作用が働いています。何かをイメージするということは、脳にとって現実に体験していることと同じなのです。

 『手にとるようにNLPがわかる本』 Part 1 より  加藤聖龍:著  かんき出版:刊

 スポーツでも、イメージトレーニングの重要性は多くの人が口にしています。
 完璧な動きのイメージを頭の中で描ければ、「現実に体験していること」になるわけです。

「勘違い屋さん」の脳をうまく使って、自分の中に眠っている潜在的な力を引き出したいですね。

五感のすべてを使って相手を観察する

 私たちのコミュニケーションにおいては、「言葉」だけでなく、表情やジェスチャーなどの「非言語」から与えられる情報が非常に多いです。
 つまり、相手の非言語の部分に注意を払うことで、言葉だけではわからない「本音」を理解することができるようになるということ。

 そのためには、相手の姿勢やしぐさなどをよく「観察」することが重要になってきます。
 これを、NLPでは「キャリブレーション」といいます。

 加藤先生は、キャリブレーションを行うときのポイントを以下のように説明しています。

「キャリブレーション」は、会話をしながらつねに行っていることが必要です。丁寧(ていねい)にキャリブレーションをすることで、次の項目で説明する「ペーシング(相手とベースを合わせていくテクニック)」がしやすくなり、相手のことをより深く理解できるように助けてくれます。
 キャリブレーションは相手のことを観察するわけですから、「五感」を敏感に働かせていきます。
 五感とは、「視覚」「聴覚」「身体感覚」「嗅覚(きゅうかく)」「味覚」のこと。さすがに、人間相手に嗅覚や味覚を使うことは少ないでしょうが、この五感をフル活用して相手をリサーチしていくのです。

 そして、相手の動きや表情に変化が見られるときもキャリブレーションの効果が発揮できます。
 今まで身を乗り出して声高(こわだか)に話しをしていた相手の話し声のトーンが変わってきたり、そわそわと落ち着かない様子であいづちを打つだけになるなど、態度が変化したときは何かのサインです。もしかしたら、話題を変えたいとか、時間が迫ってきて切り上げたいとか、相手には訴えたいことがあります。こんなときに、キャリブレーションができていれば、すばやく対応できるのです。
 ただし、相手のことを「よく観察してやろう」とか「心の内を探ってやろう」と思って、じろじろ見るのは不快感を与えてしまうのでNGです。
 目的はあくまでも「ラポール(相手との信頼関係のこと)」を築いて会話を円滑にすることにあります。

 『手にとるようにNLPがわかる本』 Part 3 より  加藤聖龍:著  かんき出版:刊

 キャリブレーションは、使う感覚の種類により、大きく次の三つに分けられます。

  1. 「視覚」を使ったキャリブレーション
     顔の表情、顔色、話を聞く姿勢、視線の方向、ジェスチャー、手のしぐさなど
  2. 「聴覚」を使ったキャリブレーション
     声のトーン、話すスピード、話のリズム、声の抑揚(よくよう)、口数、間のとり方など

  3. 「身体感覚」を使ったキャリブレーション
     体温、空気感、手の感触(握手をしたとき)、身体の感覚(はぐしたとき)など

「優位感覚」によって表現に違いが現れる

 私たちは、自分の「五感」に基いて、ものごとを捉えたり、記憶したり、表現したりします。
 五感とは、「視覚」「聴覚」「身体感覚」「嗅(きゅう)覚」「味覚」の五つの感覚ですね。

 さらに、その五感には「優位感覚」と呼ばれる「利き感覚」が存在します。

 優位感覚には大きく「視覚優位(V)」「聴覚優位(A)」「身体感覚優位(K)」の三つがあります。

「優位感覚」によって分かれる三つの傾向によって、感じ方とアクセス先も違えば、表現する言葉づかいも異なります。

 たとえば、傾向の違う三人が、同じ映画を見たとしましょう。その三人に、どの場面が一番感動的だったのかを聞いてみます。
「視覚優位(V)」の人は、夕焼けの中にシルエットで映しだされる主人公の姿が印象深かったというかもしれません。
 また、同じ場面でも「聴覚優位(A)」の人は、そのときに流れていたBGMや主人公の声、セリフが耳に残っているというかもしれません。
 さらに、「身体感覚優位(K)」の人は、アクションシーンがゾクゾクして、強烈に心に刻まれているというような表現をするかもしれません。

「納得した」という表現ひとつをとっても、「視覚優位(V)」の人は「明確になった」、「聴覚優位(A)」の人は「心に響いたよ」、「身体感覚優位(K)」の人は「腑に落ちたよ」という具合に表現方法が違ってくるのです。

 もちろん、私たちは五感のすべてを使ってものごとを判断したり、感じたりしているわけですから、どれかひとつだけの感覚を使って表現しているわけではありません。VAKを組み合わせながら表現しています。
 ただし、その人が優先的に使う得意な感覚表現があり、その結果、同じ映画を見ていても着眼点が異なったり、同じ場面であっても感動表現が異なったりするのです。
 なお、これは決してタイプ別の分類ではありませんので注意してください。
 あくまでも、その人その人によって優先的に用いられる感覚表現があるということをおわかりいただければと思います。

 『手にとるようにNLPがわかる本』 Part 4 より  加藤聖龍:著  かんき出版:刊

 同じ場所で同じことを体験していても、持っている優位感覚によって印象の残り方が違います。
 相手の心に強く印象づけたいときには、相手の優位感覚を知って、それに合わせた表現方法を用いる必要がありますね。

相手に欠点だと思わせない切り返し方

 誰にでも「この人、苦手だなあ」と思う人はいるでしょう。
 そんな相手とうまく付き合っていくのにも、NLPのスキルは有効に働きます。

 大切なことは「苦手意識」によって生まれる弊害(へいがい)をなくし、それにふりまわされないようにすることです。
 それには、視点を変えて、自分が見える世界を広げてから相手と関わっていく方法が有効です。

「私はいつも優柔不断(ゆうじゅうふだん)だからダメなのよね」と自分の欠点を嘆いている友人がいるとします。こんなときに「きちんと物事を考えて、慎重に決めているのね」と声をかけてあげたらどうでしょう。
 同じ行為であっても、相手にとってプラスになるような捉え方をして伝えてあげることで、相手は逆にほめられたような気持ちになります。捉え方を変化させることで、自分を制限してしまっている「欠点」が「利点」になりうるのです。

 この手法をNLPでは、「リフレーミング」と呼んでいます。
 リフレーミングは、スナックやクラブのママが上手に使っているのをよく見かけるので、参考にしてみましょう。
 彼女たちは、少し太ったお客さんに対して、「貫禄(かんろく)があってステキね」とか「頼りがいがありそうね」といって声をかけます。
 ご本人が欠点だと思っているかどうかはわかりませんが、もちろん悪い気はしないでしょう。むしろ、ほめられたように感じるかもしれません。
(中略)
 大げさかもしれませんが、言葉の選び方しだいで、その人をより輝かせる道に進ませるか、明かりのない真っ暗な道を歩かせるかを決めてしまうことがあるのです。
 そこで、「短気だ」と思っている人には、「時間を大切にする人なのね」とか、「仕事が遅い」と思っている人には、「完璧を期したいのですね」というように声をかけてあげることが、とても有効なのです。
 もちろん、自分にとっての望ましくないと思っている行動や環境についても、「リフレーミング」で見方を変化させることで、すうっと気持ちが軽くなることがわかると思います。

 『手にとるようにNLPがわかる本』 Part 5 より  加藤聖龍:著  かんき出版:刊

 私たちはすべてのものを、その人独自のフィルターを通して見ています。

 ものごとを見る視点のことを「フレーム」と呼んでいます。
 フレームを掛け替える(リフレーミング)ことで、同じことがらでも違って見えます。

 ネガティブな考えに陥ったときには、すぐに視点を変えて気持ちを切り替えられるよう、リフレーミングの習慣を身につけたいですね。

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 NLPを実践する人を「NLPer(ネルパー)」と呼びます。
 高度なスキルを身につけた「NLPer」は、ビジネス、教育、医療など幅広い分野で活躍しています。

 加藤先生は、日常の生活場面こそが「NLPer」の活躍する、本来のフィールドだとおっしゃっています。
 NLPは、自分や他人とのコミュニケーション手段として非常に便利ですが、道具はあくまで道具です。
 使ってあげなければ、宝の持ちぐされですね。

 NLPを使うための資源(リソース)はすべて、自分の中に眠っています。
 あとはそれを呼び起こしてあげればいいだけです。
 私たちも、NLPという“キャンディボックス”を開いて、自分や周りの人を勇気づけたいですね。

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