本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『一瞬でYESを引き出す 心理戦略。』(メンタリストDaiGo)

 お薦めの本の紹介です。
 メンタリストDaiGoさんの『一瞬でYESを引き出す 心理戦略。』です。

 メンタリストDaiGo(めんたりすと・だいご)さんは、「日本唯一のメンタリスト」として有名です。

ビジネスにこそ、「メンタリズム」を!

「メンタリズム」とは、行動や態度、言葉などから相手の心理を読み解き、思うままに誘導する技術のことです。
 メンタリズムは、人と人とがよりよい関係を築くための大きな助けになります。
 なかでも、メンタリズムと親和性の高いのがビジネスの現場なのだそうです。

 ビジネスでもっとも重要なのは、相手との「信頼関係」です。
 DaiGoさんは、「メンタリズムこそ、相手の信頼を得るために活用されるべきツールだ」と強調しています。

 メンタリズムは、心理学やNLP(神経言語プログラミング)と非常に密接な関係がある、れっきとした「科学」であり「技術」です。
 技術ですから、「やり方」があり、簡単なコツさえ覚えれば誰にでも使えるようになります。

 本書は、ビジネスで仕事相手との信頼関係を築くための手法について解説し、その活用方法をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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メンタリズムの基本は「観察する」こと

 相手の心理状態を探るために何よりも大切なのが「観察する」ことです。

 観察の対象はさまざまで、相手の表情(目先や口の動きなど)、体の動き(姿勢や仕草など)、言っていること(よく使う言葉や声のトーンなど)、また相手の持っているものや身につけているものなどです。

 相手の表情や言動、反応などをつぶさにチェックして拾い上げ、それらを組み合わせて情報として最大限に活用しながら心を読んでいくのが、メンタリズムの基本です。

 例えば顔の表情。
 相手が自分と話しているときの表情の変化を観察するだけで、その心理を読み取ることができます。
 簡単な例を挙げると、こちらの話に興味があって面白いと思っているとき、目線は上下に動き、口は軽く開きがちになります。逆に興味がなくてつまらないと、目線は左右にふらふら動き、口は左右に固く閉じられます。
 顔全体から見ればごくわずかな変化ですが、こうした変化を観察しておくだけでも相手の心理状態を把握することができるのです。
 また、仕事の打ち合わせやカフェでの雑談時、同僚との飲み会などで、私はよくこんな「観察」をします。観察のターゲットは相手の持ち物です。
 一緒にいる人がバッグから財布や携帯電話などを取り出すとき、中がチラッと見えることがあります。ここが見逃してはいけないポイントです。
 例えばバッグの中に、単行本の背表紙が見えることがあります。するとこの一瞬の観察で「相手が今、どんな本を読んでいるのか」という情報を得られるわけです。
 もし私もその本を読んでいたら、本の背表紙を確認してからしばらく時間を置いて、その相手にこんな会話を仕掛けていきます。
「そうそう、最近、メチャメチャ面白い本を読んだんですよ」
「へぇ、どんな本?」
「『△△』って本(もちろん相手の持っている本)ですけど、これ当たりですよ」
 すると当然相手は、
「ええ〜、それオレもまさに今、読んでるんだよ、ほら」
 となります。この会話によって、私はその人に「自分と同じ感性を持っている人、同じジャンルの話ができる人」という印象を持ってもらえるわけです。バッグの隙間(すきま)から見えた本の背表紙を見逃さず観察しておくだけで、相手との信頼関係の第一歩を築くことができるのです。
 ここでは本を例にしましたが、もちろん何でもかまいません。相手が使っているペンでもペットボトルのドリンクでも何でもいい。観察することが大事なのです。
 また、中身が見えてすぐに言わないのもポイント。なぜなら、すぐ言ったら「今、バッグの中、見えたでしょ?」となる可能性が高くなってしまいます。これは事前に仕入れた情報を時間差で利用する『ホットリーディング』と呼ばれる話法に近いテクニックです。

 『一瞬でYESを引き出す 心理戦略』 第1章 より  メンタリストDaiGo:著  ダイヤモンド社:刊

 事前の情報のない初対面の人でも、会話をしながら心理や感情を読み取ることは可能です。
 相手との表情や体の動きの変化を見逃さず、交渉を優位に進めたいですね。

名刺を交換するだけで相手の心は読める?

 ビジネスの場では、初対面の人同士が名刺を交換するのが通例です。
 DaiGoさんは、実はこの名刺交換こそ、相手の心を探り、心の距離を縮めて関係性を作り出す大きなチャンスだと指摘しています。

 肝心なのは、思い切り近づくということ。

 そしてここで観察しなければいけないのは、名刺交換した後の相手の行動です。名刺を渡して「よろしくお願いします」となった後、相手が近くなった距離のままその場に留まるのか、それとも一歩下がるのかを見るのです。
 こちらから近づいても抵抗なくその場に留まっている人は、心のバリアが薄く、短時間でも心を許しやすいタイプです。

 逆に名刺を交換するとときに一瞬近づいても、その後また後ろに下がってある程度の距離を保とうとする人は、警戒心が強く、心に壁を作りやすいタイプ。
 一回近づいたのになぜ下がるのか、それは相手との距離にストレスを感じるからです。すごく近い距離で抵抗なくいられるほどまでは、まだ相手のことを信用していない、相手に心を開いてないから下がって距離をとろうとするわけです。

 さらにもう一点。私が注目するのは体の重心です。一歩下がらないまでも、こちらが近づいた瞬間に体の重心が背中側に移ってしまう人。これも警戒心を抱いている証拠です。
 つまり相手との物理的な距離とは、イコール、相手との心の距離なのです。

 もし自分から極端に近づくことに抵抗のある人は、名刺交換をするときになるべく自分からは動かず、相手の出方を観察してもいいでしょう。向こうから近づいてくる人が、一定の距離を保とうとする人がわかります。また、名刺交換に限らず何かを受け渡しする場面でも同様に心の距離を図ることが可能です。例えばプレゼンのレジュメや資料でもいいでしょう。こちらから手渡す場合は、近づいたときの相手の反応、こちらが受け取る場合は、相手が抵抗なく近付いくてるかどうかを観察する。それによって、その時点での心の距離がわかるわけです。
 一歩下がる人や警戒心が強い人には、まずどうやって信用してもらうか、警戒心を解くか、というところからビシネス戦略を考える必要があるということになります。
(中略)
 ここで重要なのは、物理的な距離が心の距離とイコールであるならば、物理的な距離を縮めれば、お互いの心の距離も一気に近くなるということです。
 例えば名刺交換をするときに、あえて自分の手や指を相手の手にサッと触れるようにしてみてください。あからさまにベタッと触ってしまうと別の意味で引かれてしまう可能性もありますので、ちょっと引っかけるくらいでいいと思います。肝心なのは、相手の体に触れるということです。
 私たちの指には多くの神経が集中しており、脳の多くの部分は手や指を司る領域によって占められています。ですから、そういう状況で手と手、指と指が接触したという感覚は、相手が接触自体を気に留めていなくても、相手の脳にインプットされます。
 その感覚が無意識のうちにこちらへの親近感につながることは十分に考えられます。

 『一瞬でYESを引き出す 心理戦略』 第2章 より  メンタリストDaiGo:著  ダイヤモンド社:刊

 たった数十秒で終わってしまう「名刺交換」でも、相手の心理状態を読むことができます。
 相手との距離感、相手の重心の位置を確認し、その後の交渉の手掛かりにしたいです。

ねらい通りに商品が売れていく「選択の暗示」

 商品の価格帯の選択肢が三つある場合、買い手は中間の価格帯を選びやすい。
 この購買心理の法則は、心理学的に実証されており、『ゴルディロックス効果』と呼ばれています。

 この『ゴルディロックス効果』を上手に活用すれば、お店が“売りたい商品”を、お客さんに自発的に選んでもらうという誘導も可能になります。
 つまり、売りたい商品(B)があるなら、あえてBより高額でハイグレードなAと、Bより安価でローグレードなCを一緒に並べて提示します。そうすれば、お客さんは極端性を回避しようと“中を取って”店が売りたいBを選びやすくなるわけです。このときの価格差は「A:B:C=6:4:3」が効果的だと言われています。
 ところが販売員さんの多くは、売りたいBと同価格帯・同グレードの商品を並べる傾向にあります。どれかひとつでも売れればいいという気持ちが働くからでしょう。
 そうするとどうなるか。
 お客さんは同価格・同グレードのものを横並びで見せられるため、ひとつだけを選べなくなるのです。これでは、最終的に「やっぱりもう少し考えてから買いに来ます」となる可能性が高くなるでしょう。売りたいものを買わせたいのなら、グレードに差をつけた選択肢に用意して、横並びではなく、縦並びで提示するのが良策です。
 また選択肢が多すぎるとそれだけで迷いが生まれます。人が迷わずに決断できる選択肢の数は5個が限界です(私は5個でも多いと思っているのですが)。それ以上になると「選択回避の法則」が働いて選べなくなり、選べなくなると今度は『現状維持の法則』が働いて、結果として「買わなくてもいいや」と感じてしまうのです。
 積極的にお客さんのほうに選択してもらうのなら、選択肢は少ないほうがいい。3つ以下に絞ってあげるのがベストでしょう。
 また、3つの選択肢を提示する際は、①もっとも高価な「A」→②すごく安い「C」→③本命の売りたい「B」という順番で見せればより極端性が強調され、お客さんは真ん中をより選びやすくなります。いちばんグレードの低い「C」だとセコイ感じがするから少し見栄を張りたい。でもいちばんグレードの高い「A」では贅沢すぎる。メンタリズムの有効活用法のひとつなのです。

 『一瞬でYESを引き出す 心理戦略』 第3章 より  メンタリストDaiGo:著  ダイヤモンド社:刊

 ターゲットの価格帯が中央に設定されるよう、異なる価格帯の商品を適当に配列する。
 そうすることで、お客さんが選択しやすいよう、誘導することができます。
 シンプルですが、人間心理を逆手にとった効果的なセールスの方法ですね。

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 DaiGoさんは、現代は、知識を持っていることに価値がない時代だとおっしゃっています。
 たしかに、ネット検索で調べれば、たいていの知識は手に入れることができる世の中。

 それ以上に大事になってくるのが、「知識の使い方」
 本書にあるメンタリズムの知識、ノウハウは、相手の心に確実に命中し、あなたの価値を高め、信頼を勝ち取り、ビジネスを成功させる「見えない」実弾です。

 ただ、せっかく手にした実弾も、実際に使わないと意味がありません。
 メンタリズムは、コミュニケーションの場面では、必ず役に立つスキルです。
 使えるものから、少しずつでも自分のものにしていけるようにしたいですね。

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