本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『ゼロ起業』(吉江勝 + 北野哲正)

 お薦めの本の紹介です。
 吉江勝さんと北野哲正さんの『ゼロ起業』です。

 吉江勝(よしえ・まさる)さん(@masaruyoshie)は、経営コンサルタントです。
 一部上場企業から中小零細企業まで全国650社以上の企業コンサルティングを手がけられています。

 北野哲正(きたの・てつまさ)さん(@kitano007)は、「コンサルタント型ビジネス」での独立・起業・集客支援に特化したコンサルタントです。
 主宰されているコンサル・コーチ養成講座は、一度の募集で1億円単位の申し込みがあるほどの人気となっています。

フツーの人でも、「知識差」で稼げる!

「ゼロ起業」とは、低資本・低実績で、ほぼまったくゼロの状態から行う起業・副業法です。

 著者の二人は、これまで数多くのゼロ起業の成功者を生み出していますが、その成功の仕組みは、「自分の知識差や経験を“収入”に換えた」ことです。

 普通の人との、ほんのわずかの「知識差」をビジネスの種にする「ゼロ起業」。

 成功例に共通しているのは、以下の5つの特長を持っていることです。

①コストが限りなく「ゼロ」である
 モノを仕入れたり、在庫を抱えたり、店舗を構えたり、最初から従業員を雇ってということはまったく必要がない。自宅の一室で十分に、いや、極端な話、ノートパソコン一台があればできてしまうビジネスなのだ。
②リスクが限りなく「ゼロ」である
 コストがかからないので、リスクも当然、低くなる。
③今の自分のまま・・・・「ゼロ」の状態でスタートできる
 特別な資格はいらない。ゼロ起業は、今、あなたの中にあるものを活用する。
④競合「ゼロ」でスタートできる
 ゼロ起業はオンリーワン、新機軸のポジションを見つけることからスタートする。
⑤実績「ゼロ」でスタートできる
 新機軸でスタートするのだから、誰もが最初は実績なんてない。さらに、何百人も相手にするビジネスではなく、最初はほんの数名のクライアントでOK。

 『ゼロ起業』 はじめに より  吉江勝+北野哲正:著  実業之日本社:刊

 本書は、さまざまな「ゼロ起業」の具体的な成功例を挙げ、その実践方法をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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お客さまはあなたの「半歩後ろ」にいる

 なぜ、今、「ゼロ起業」なのか。
 吉江さんは、その理由を起業するのに資格も準備もお金も人脈も不要だ。仕事でも趣味でも、あなたの今までやってきた経験を活かせばいいと述べています。
『私たちのこれまでの経験というものは、私たちが考えている以上に価値がある』からです。

 私、吉江のスタート時もゼロ起業だった。
 私は独立当初、営業マンとしての実績を活かして営業コンサルタントとして起業した。
 しかし、このカテゴリーには強力なライバルが多く、思うような集客かできなかった。
 起業当初、私の会員制コミュニティである「スーパービジネスマン養成講座」(SBM)の会員はたったの6人だけだった。そこで、その6人に「他の多くの会員制ビジネスがある中、どうして当会に入会したのか?」と、理由をリサーチしてみたところ・・・・。
「吉江さんのようにMBAも中小企業診断士も持たない普通のサラリーマンがコンサルタントになった方法が知りたい」という声が圧倒的に多かったのだ。
 そこに「新機軸」(競合のないオンリーワンのポジション)があると確信した私は、すぐさま営業コンサルタントから「サラリーマン専門のコンサルタント養成コンサルタント」に転身したところ、SBMに申し込み者が急増したのである。
 現在、SBMは国内のみならずアメリカやアジアも含む600人以上の有料会員が集まるマーケティング組織となっている。これにより私はサラリーマン時代の10倍以上の収入を得て、毎日好きで情熱の湧くことをビジネスにする恩恵を受けられるようになった。
(中略)
 初心者や経験が浅い人に向けて、すでに自分が持っている知識を教える、いわゆる「知識差ビジネス」(自分と相手とのほんの少しの知識の差を埋めることをノウハウにしてクライアントに提供し、対価が発生するビジネス)で成功をおさめたのだ。
 これが反対に教える側が業界の第一人者だったらどうだろう?
 教える側が自分(クライアント)よりもずっと先を行く業界の権威者だとしたら、初心者や経験が浅いクライアントにとって「参加(購入)しづらい」、あるいは「参加(購入)しても身につけることが困難であろう」という参入障壁が生まれやすいものだ。
 もちろん、業界の権威者から習いたいという層も一定数いるが、相応にして、その数は初心者や経験の浅い人よりも少数に落ち着く。「知識差ビジネス」をするにあたり、顧客のニーズがもっとも多いボリュームゾーンは常に下にあり、それゆえ、実績も経験もさほどないゼロ起業家のほうがメリットを享受しやすいことがおわかりいただけるだろうか。

 『ゼロ起業』 第1章 より  吉江勝+北野哲正:著  実業之日本社:刊

 ある分野について、多くの経験や知識を持っているが、圧倒的な実績や才能ではない。
 それが、初心者や経験の浅いクライアントを呼びこむうえでは、プラスに働くということですね。

「誰に、何を、どうやって」がポイント

「知識差ビジネス」を発見したら、次にやるべきことは「新機軸」の創造です。
 ライバル不在の新機軸を打ち立てることで、マーケットにおける自分の相対的な価値を高くする必要があるからです。

 吉江さんが、「早く簡単かつ具体的に新機軸を発見する方法」として勧めているのが、①誰に、②何を、③どうやって、の3つの切り口で考える方法です。

 最初に「誰に」には、自分が顧客にしたいターゲットを当てはめる。
 この場合、サラリーマン専門、コーチ専門、ベーカリー専門、アラフォー専門、アラフォー女性専門、従業員30名以下の中小企業経営者専門、ひとりビジネスのフリーランス専門、30代以上中間管理職専門・・・・・とできるだけターゲットの業種や規模、年齢、性別、志向等を絞り込むことがポイントになる。

 顧客ターゲットは、絞れるだけ絞ったほうが、該当する顧客の関心を引き、集客もずっとたやすくなることを覚えておこう。あなたがこの先ずっとつき合っていきたい顧客をひとり挙げてみてほしい。

 次の「何を」には、あなたがターゲット顧客に提供できる価値を入れてみてほしい。
 集客、営業、コスト削減、人事、会計、労務、債権回収、お掃除、ダイエット指南、イメージアップ、ブランディング、資産運用、副業支援、チームビルディング、モチベーションアップ・・・・あなたが顧客に与えることのできるメリットを書くのだ。
 自分にメリットを与えてもらいたい、または損失を回避したいということが、人間の二大欲求であるから、あなたがそのどちらかを提供することができれば顧客もあなたをむげにはできなくなる(それどころか強烈に求められるようになるだろう)。
(中略)
 最後の「どうやって」は、あなたの持っているノウハウやメソッドのことだ。
 テレアポで、FAXDMで、ニュースレターや小冊子で、あるいはリスティング広告で、フェイスブックで、スマートフォンで、YouTubeで、または不動産投資で、株式投資で、輸入・輸出ビジネスで、コーチングで、ヒーリングで、占いで、出版で、セミナーで、パブリシティやジョイントベンチャー戦略で・・・・になる。
 この場合も、たとえあなたが優秀で多くのノウハウを持っていたとしても、顧客ターゲット同様ひとつに絞ったほうが顧客に与えるインパクトは強くなる。

 『ゼロ起業』 第1章 より  吉江勝+北野哲正:著  実業之日本社:刊

 これらの①から③の切り口をミックスさせると、新機軸が完成します。

 たとえば、「ベーカリー店専門会計コンサルタント」「母子家庭専門住宅ローン貸付アドバイザー」などです。

 吉江さんは、新機軸を具体化させることで、あなたのUSP(ユニーク・セリング・プロポジション=同業他社にない圧倒的な強み)が、誰からもイメージしやすくなるので、あなたへ仕事を依頼する理由も明確になって顧客のほうから問い合わせが入るようになると指摘します。

「専門性」を発見するヒント

 コーチングやコンサルタントとして独自性を生み出す。
 それには、「専門性」を持つと、ビジネスが有利になります。

 北野さんは、「専門性を見つけるための切り口のヒント」として、以下の6つの項目を挙げています。

  1. 業界
  2. 職種
  3. 階層
  4. 地域
  5. 手法・ノウハウ
  6. ジャンル

 まず、①の「業界」。これはわかりやすいだろう。「飲食業界」「自動車業界」「美容業界」「歯科業界」「建設業界」といった風に、業界に特化してコーチングの専門性を決めていく、というものだ。あなたが現在、仕事をしている業界であれば、あなたはその道のプロであろうし、知識も多いだろう。また、注目の「狙い目業界」というものもあるかもしれない。
 次に、②の「階層」。これは、「営業マン専門の」とか「研究開発担当者専門の」「歯科衛生士専門の」「ネイリスト専門の」と職種に専門性を持たせるというものだ(一部、業界と被ることになるが)。
 ③の「階層」。これは、佐藤さんのような「社長向けの」といったコーチングがわかりやすいと思う。他にも「新入社員向けの」「3〜5年目社員向けの」「新人マネージャー向けの」「中間管理職向けの」「店長向けの」と階層別で専門性を持たせるというものだ。
 ④の「地域別」。これはエリアに専門性を持たせるものだ。「東京専門の」「四国専門の」「東南アジア専門の」「シンガポール専門の」とエリアに特化していく。地域限定ビジネスには有効だろう。
 ⑤の「手法・ノウハウ」。これは、たとえば営業であれば、「アポ取り専門の」「新規開拓専門の」「クロージング専門の」「リピート専門の」といった手法やノウハウで分けるというものだ。マーケティングであれば、「SEO対策専門の」「アドワーズ広告専門の」「フェイスブック専門の」「スマートフォン専門の」「ブログ専門の」「メルマガ専門の」「動画マーケティング専門の」というような切り口が思いつくだろう。
 最後に⑥の「ジャンル」。これは「資金繰り」「子育て」「恋愛」「起業」「モチベーション」「出版」といった切り口で専門性を持たせるものだ。

 6つのそれぞれが明確な境界を持っているわけではないが、専門性を考える上でのヒントになるだろう。さらにこの6つの切り口の掛け合わせも考えられる。たとえば「業界」と「階層」を掛け合わせて、「飲食店業界の店長専門の」とか、「美容業界のオーナー専門の」といった切り口をつくっていくのだ。このようにして専門性をつくっていけば、競合が少ない、独自の「新機軸」を打ち出せるコーチング起業が可能になるはずだ。

 『ゼロ起業』 第6章 より  吉江勝+北野哲正:著  実業之日本社:刊

 切り口の選び方とその掛け合わせ方によって、無限の専門性が生まれます。
 それこそ、起業する人の数と同じだけの専門性があるということ。

 自分のこれまでの経験を振り返り、オリジナリティのある専門性を見つけたいですね。

集客は、「2つの究極質問」から始める

 起業が失敗する理由の大半は、「うまく集客できない」ことにあります。
 どんなに役に立つ商品やサービスを提供しても、それらを買ってくれる顧客がいなければ、ビジネスとして成立しません。

 北野さんが、「集客の基本」として挙げているのが以下に説明する「2つの究極質問」です。

 集客とは突き詰めていけば、「あなたのサービスを受けたいと思っているお客さま[見込み客]にいかに出会うか?」というシンプルな一文で表現できる。そこから導き出されたのが、次の究極質問だ。

 ①自分のお客さまはどこにいるのか?
 ②自分のお客さまをすでに持っている人は誰か?

 それぞれ説明していこう。
 ①の質問に答える前に、まずは「そもそも自分のお客さまは誰なのか?」を明確にする必要がある。集客がうまくいっていない人は、この答えが明確になっていないことが多い。なので、「どこに行けばそのお客さまに会うことができるのか?」「どんな人に依頼すればお客さまを紹介してもらえるのか?」「どんな場所に広告すればお客さまが反応するのか?」が考えられないのだ。
 たとえば、「社長」をクライアントにしたい、と思ったとする。それは一部上場企業の社長なのか、中小企業の社長なのか、あるいはスタッフがひとりもいない個人事業主レベルの社長なのか。若手経営者なのか、ベテラン経営者なのか。業界は飲食業界か流通業界かメーカーかサービス業か。そこをまず明確にしていく必要がある。
「中小企業の若手経営者」が自分のお客さまであるのなら、「中小企業の若手経営者は、どんなセミナーや会合に参加するのだろうか?」「どんなスキルを身につけようとして、どんな講座に通っているのか?」「どんな趣味を持っていて、どんなサークルに参加しているのだろうか?」と考えていくことができる。
 金融商品を取り扱う財産形成コンサルタントのSさんの顧客は中小企業の社長で、Sさんの趣味はトライアスロン。Sさんはトライアスロンのサークルに参加しており、大会にも頻繁に出ている。Sさん曰く、「トライアスロンが趣味という人の中には、経営者が意外にも多いんですよ。トライアスロンのサークルや大会で仲よくなって、私のクライアントになっていただいている方も多いんです」。趣味とはいえ、「自分のお客さまはどこにいるのか?」を考えるのはビジネスを展開する上で侮れないことなのだ。
「どこにいるのか?」がわかれば、そこに出向いていけばお客さま候補に出会える可能性はぐんと高まる。インターネット上であれば、どんなキーワードで検索して、どんなサイトを見て、どんなメールマガジン(メルマガ)やブログを読んで、どんな情報を得ようとしているのかも徹底的に考えていこう。どんなサイトを見ているかがわかれば、そこに広告を出すことができる。そのサイトの運営者にコンタクトをとってジョイントベンチャーを持ちかける、というアイデアも湧いてくる。

 『ゼロ起業』 第9章 より  吉江勝+北野哲正:著  実業之日本社:刊

 魚のいない釣り堀に釣り糸を垂らしても、魚は釣れません。
 自分の釣りたい魚の種類を特定し、生態を調べて、その魚が棲んでいるところへ足を運ぶことが必要です。

 手当たり次第に勧誘するのではなく、自分のビジネスプランに興味がありそうな人を調べあげる。
 そしてその人たちをピンポイントで狙っていく。

 それが重要だということですね。

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「普通の人が、リスクが限りなく小さいまま起業・副業する」
 10年位前までは考えられもしなかったことが、情報技術(IT)の進歩などで現実に起こり始めています。

 こうした起業成功者の数は、非正規雇用の拡大などの企業の雇用形態の変化にも後押しされて、今後ますます増えていくことになるでしょう。
「ゼロ起業」は、まさに今の時代が生み出した新しい起業方法といえます。

 今すぐに起業・副業を始めるかどうかはともかく、新しいビジネスモデルに触れることは今後の人生を考える上でとても役立ちます。
 頭のなかの古い価値観を取っ払い、自分の新たな可能性を見つけ出すためにうってつけの一冊です。

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