本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『心配するな。』(池田貴将)

 お薦めの本の紹介です。
 池田貴将さんの『心配するな。』です。

 池田貴将(いけだ・たかまさ)さん(@ikedatakamasa)は、リーダシップ・行動心理学の研究者です。
 セミナーや講演なども数多く開催されるなど、幅広くご活躍中です。

人生をよりよく変えるための、「最大の秘密」とは?

 池田さんは、人生は、心配すればするほど、うまくいかなくなると述べています。

 どうして、心配すると人生はうまくいかなくなるのでしょうか?
 それは、私たちの人間の脳は、無意識のうちに「自分の感じている気持ち」にふさわしい選択をするものだからです。
 じつは脳はなにかをやろうと思ったとき、「今の感情を、ずっと感じ続けること」をいちばんの目標にしているのです。

 たとえば、いつも不安な人は、不安な状態を保つために、より不安になるための選択肢を見つけ出し、不安になるための選択をする。だから、不安な方向に人生が進んでいきます。
 逆に、いつも楽しんでいる人は無意識のうちに、楽しい気持ちを継続させるための選択をしています。だから、楽しい人生が展開していくのです。
 つまり、「人生をよくしたい」と考えるならば、やみくもに努力をする前に最初にすべきことは、「感情」を変えることなのです。

 『心配するな。』 はじめに より  池田貴将:著  サンマーク出版:刊

 池田さんは、人間は気がのらないときにはどれだけがんばってもうまくいかないのに、感情がのってさえいれば、どんどん進むことができる、「感情の生き物」だと指摘しています。

 本書は、行動心理学の見地からみた、人生を成功に導く「感情」の活用法をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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少しだけ「アクセルの感情」を多くする

 人の感情は、「アクセルの感情」「ブレーキの感情」の2つに分けられます。

「アクセルの感情」とは、やるべきことを「やってみたい」とワクワクするときの感情。
「ブレーキの感情」とは、「できないかもしれない」と不安になるときの感情。

 池田さんは、感情のオセロゲームで「アクセルの感情」が少しだけ勝っている状態にする。これが、人生が長期的にうまくいく最大の秘密だと述べています。

「アクセルの感情」は、あなたが「やりたいことをやる」ためにあります。
 だから、あなたをポジティブに楽観的にしてくれて、やりたいことやワクワクすること、夢みていることにたいして前向きに働きかける力をもっています。
「オセロゲームの白のほうがちょっと多い」、つまり、アクセルの感情がちょっと多い状態で物事を考えると、あなたの脳は自動的に「実現するための方法」を見つけ出してくれます。

 いっぽう、「ブレーキの感情」の役目は、「傷つかないようにすること」。
 生命を維持し、ダメージを受けることなく安全に生きていくことを目的にしています。そして、傷つかないためにいちばん有効なのは「今と変わらずにいること」です。新しい場所に行ったら危険かもしれないし、新しいことに挑戦したら失敗するかもしれない。だから、「ブレーキの感情」は、過去のデータベースにもとづいて、「いかに現状維持をするか」を考えています。
 それは生命を維持するためにはとても役に立ちますが、現状から変化を起こしたいときには、「ブレーキの感情」が強すぎると動き出すことができません。
 たとえば、会議で恥をかかないために、いちばんいい方法は何だと思いますか? それは、発言しないことです。大好きな人にフラれないための方法は、告白しないことです。失敗しないためにいちばんいい方法は、挑戦しないことです。
 多くの人はこのように、「ブレーキの感情」が多くなってしまっているがために、なかなか現状から抜け出せないのです。

 そうはいっても、「ブレーキの感情」は、不必要なものではありません。だって、いったい誰が、ブレーキのない車に乗って、人生という長い道路を走りたいと思うでしょう?
 感情を扱うのが難しいのは、これまで一度もやり方を習ってこなかったからです。
 車の教習所で、アクセルとブレーキの使い方を教えないことはありません。でも、人は感情の生き物なのにもかかわらず、学校でも会社でも、「感情の扱い方」については教えてくれないのです。

 アクセルの感情の扱い方が分かれば、もっとラクに行動することができるようになります。「いろいろなことがスムーズに進むので、びっくりした」という人たちもたくさんいます。
 また、ブレーキの感情の扱い方が分かれば、自分を否定したり、怒りに振り回されたり、感情の上下に疲れたりしなくなります。
 すべての感情には目的があって、あなたにサインを送っている。それに気づくと、感情を味方につけることができるようになります。そして何より、心配が減り、人生がどんどん好転していくようになるのです。

 『心配するな。』 心配しないで生きるためのギフト より  池田貴将:著  サンマーク出版:刊

「ブレーキの感情」を完全になくそうと努力する必要はありません。
 オセロゲームのように、白が黒を少しでも上回っていればよい。
 つまり、「アクセルの感情」が「ブレーキの感情」を少しでも上回っていればいいわけです。

 車も上手に運転するためには、アクセルとブレーキを使いこなす必要があります。
 同様に、「アクセルの感情」と「ブレーキの感情」を上手に扱うことが人生を好転させるコツです。

目標を決めたら「マイ呪文」をとなえる

 感情のオセロゲームを、白の石が多い状態(アクセルの感情が優位な状態)に保っておく。
 そのための方法のひとつが、『「マイ呪文」を唱える』です。

 池田さんは、その呪文をとなえると、それだけでスイッチが入り、気分が変わる。そんなキャッチフレーズを作るだけでいいと述べています。

 私の呪文は「アイ・アム・パッション!」です。
 暑苦しいと言われようが、うざいと思われようが、私にとって「情熱」は、一瞬にしてアクセルの感情を増やしてくれるマジック・ワードです。
 私はこれを毎朝、家を出る直前に3回となえることにしています。それからドアを開けて、仕事に出かけます。「私は情熱的だ!」と叫ぶことによって心のスイッチが入って、オセロの石が黒から白へパタパタと変わり、白の面積が多くなるのです。寝不足のときでも、テンションが低いときも、この呪文をとなえるだけで、あっという間に気力がみなぎってきます。

 あなたはいったい、どんな人になりたいでしょうか?
「アイ・アム・◯◯」の◯◯のところに「愛」「リラックス」「喜び」など、自分がこうありたい「感情」をあらわすキーワードを入れて作ってみましょう。
 こんな呪文を、つねに2〜5つくらい準備しておくと、「アクセルの感情」のスイッチが入りやすくなります。

 自分の目標や、進みたい道が変わったら、同時に「マイ呪文」を変えることをおすすめします。よく「言霊(ことだま)」といわれるように、言葉にはダイレクトに感情に働きかけるパワーがあるからです。

 『心配するな。』 心配しないで生きるためのギフト より  池田貴将:著  サンマーク出版:刊

 私たちは、自分の口から発せられる言葉をすべて聞いて過ごしています。
 それらが前向きな言葉なのか、後ろ向きな言葉なのかで、感情の状態は大きく左右されます。

 自分の気持ちに火をつける言葉を「マイ呪文」にして、毎日となえることを習慣にしたいですね。

噂話をする人に、あなたの未来を任せたいのか?

 ほとんどの人が心配していること。
 それは「人に悪く言われているんじゃないか」ということでしょう。

 池田さんは、この心配を忘れるためには、まず、あなたは「誰の」「どのような」噂が気になっているのかを考えてみることから始めるとよい、と述べています。

 あいまいに、「なんとなく、最近みんなに噂されている気がする」というところでやめてしまうのではなく、「〇〇さんが、自分のことをこんなふうに噂している」というところまで考えましょう。誰のことが気になっているのかさえ分かれば、対処の仕方はあるものです。

 自分が誰を気にしているかが分かったら、まず、その「◯◯さん」は、あなたが気にしたほうがいい人なのか、それとも気にしなくてもいい人なのかを決めましょう。
 決める方法はとても簡単です。
「◯◯さんの考えを、あなたの未来に影響させたいのか? させたくないのか?」と考えればいいだけです。
 もし関係させたいのであれば、その人の意見はあなたを成長させ、夢に近づけさせてくれるものです。感謝して学ぶと決めましょう。
 もし関係させたくないのであれば、そんな人のことを気にして心配しすぎてしまうのは、あなたの感情の「質」を格段に下げてしまいます。それはとてももったいないことだとは思いませんか?

 さあ、できるだけ合理的に、クールに、
「この人を、私の未来に影響させたいだろうか?」
 と考えてみてください。
 たとえば10年後、20年後、さらに長期に渡って影響を与えてほしい人物なのでしょうか? きっと、そうではないはずです。
 そうでないなら、気にしない。それでいいのです。

 『心配するな。』 心配しないで生きるためのギフト より  池田貴将:著  サンマーク出版:刊

 何ごとも、正体がわからないものには不安や心配を感じたりするものです。
 しかし、実際に正体がわかってしまうと、たいしたことではないことも多いです。

 人の噂も、しっかり目を見開いて、冷静に判断すれば恐れるに値しないもの。
 気にせずに、自分の感情に正直に行動したいですね。

迷ったら「目標」ではなく「感情」に戻る

 誰でも、自分がやっていることに自信がもてなくなって、迷ったり悩んだりすることはあります。
 そんなときに必要なことは、『「目標」ではなく、「感情」に戻ること』です。

「目標」とは、「何を」手に入れるのか? ということ。つまり、売上の数字や成績という「出したい結果」です。
「感情」とは、「なぜ」それを手に入れたいのか、自分はどんな人生送りたいのか? というあなたの初心です。楽しいから、幸せを感じたいから、好きだからなどの感情は、あなたにとって、いわば未来へのコンパスのようなものです。

 自分はなぜ、今これをやっているのか? ふとわからなくなってしまうとき、「目標」に立ち戻ってしまいがちですが、じつはそれはあまり意味がありません。なぜなら、手っ取り早く目先の「目標」から逆算していくと、やりたくないことや「ブレーキの感情」ばかりを引き寄せてしまうからです。
 たとえば、迷ったとき、「ノルマを達成しようと決めたから!」などと考えたとたんに、「でも、そんなことできないかもしれない」とか「達成なんて、自分には夢のまた夢だ」とか「達成したところで意味があるのかな・・・・・」などという思いが次々と出てきて、迷いが迷いを呼ぶ状態になってしまうのです。

 迷ったときには、「目標」ではなく、「当初の感情」に戻ってください。
 それは、「出したい結果」とは関係のない、自分が「何を大切に思っているのか」「何が好きなのか」という、あなた自身の「ホームの感情」のある場所です。
 たとえば、なぜ一生懸命営業をしているのか分からなくなったとき、「自分は営業で成績を上げて、家族を幸せにしたかったんだ」と思い出すのです。すると、再度アクセルの感情が増えて、また行動することができるようになります。
「ホームの感情」にいったん戻って、「なぜやりたいと思ったのか?」「そのために何をやるべきか?」をもう一度確認することで、迷いの正体が分かり、「目標」を見直すことができるようになるのです。

 『心配するな。』 夢をもつとつらくなってしまう人へのギフト より  池田貴将:著  サンマーク出版:刊

「目標」とは、“目的地”です。
 疲れてへとへとになったときに、遠い先にある目的地のことを考えても、逆効果ですね。

「当初の感情」とは、“前向きなエネルギー”です。
 それを思い出せば、また一步、前に踏み出す力が湧いてきます。

 迷ったら、「ホームの感情」に戻って仕切り直す。
 忘れないようにしたいですね。

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 人生を変えるのは、知識やノウハウではなく「感情」です。
 池田さんは、「何をするか」よりも、「どのような気持ちでするか」が結果を左右するとおっしゃっています。

 感情は、よくも悪くも人が行動を起こす“燃料”となります。
「アクセルの感情」を多く持てば前進することができ、「ブレーキの感情」が多ければ、その場に留まり続けます。

 感情は、すべての人がもっている武器です。
 ただ大事にしている感情の種類が人によって違うだけ。

 私たちも、感情を味方につけて、自分の望むような人生を送りたいですね。

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