本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『潜在意識をとことん使いこなす』(C・ジェームス・ジェンセン)

 お薦めの本の紹介です。
 C・ジェームス・ジェンセンさんの『潜在意識をとことん使いこなす』です。

 C・ジェームス・ジェンセンさんは、多数の企業や大学の取締役を務められるかたわら、潜在意識の重要性を説くセミナーを開講されるなど、幅広くご活躍されています。

潜在意識をとことん使いこなすには?

「思考は現実となる!」

 これまでさまざまな思想家や宗教家が口にしてきました。
 意識(顕在意識)に継続的に抱かれている思考は、潜在意識に落とし込むことで現実になります。

 潜在意識の力を使って、現実を創り出す。
 理屈はわかっても、実際にどうしたらいいのかわからない人も多いでしょう。

「潜在意識に発言力を与える」ためにもっとも重要なのは、以下の3つの方法です。

 変化を起こすための第1の方法は、願うことだ。すべての変化は願いから始まる。願いは、潜在意識の力を発揮させ、変化を起こすことを求めるもっとも純粋な潜在能力であり、獣の腹に潜む熱意なのだ。あのプラトンも、願いの重要性を認めて、こんな言葉で表現している――「飼いならした狂気によって魂を導け」。
 第2の方法は期待することで、これは願いの次の段階だ。期待すれば、我らが眠れる巨人、潜在意識が目を覚まし、すると期待したことが行動となって実現する。期待はプラシーボ反応の原因であり、必要不可欠なものでもある。そして、期待しなければ、決して成功することはない。
 潜在意識の顕在化の第3の方法は想像で、あなたが望む成功した未来像を、心で思い描けばいい。想像力は、あなたの目標に命を吹き込む。あなたにもっともふさわしい、輝かしい未来をつくり出す心のエネルギーなのだ。
 本書は、古来の知恵を取り入れ、それを心にわかりやすい言葉に換えて伝える、すぐれた心の工具箱だ。ここには、過去を手放し、思いがけない変化を引き起こす方法が書かれている。本書は私たちと、私たちの強靭(きょうじん)な内なる自己のすばらしい力を結び合わせてくれる。内なる自己は、その奇跡の力を発揮したくてうずうずしているのだ。

       リー・プーロス(アメリカ専門心理学委員会認定臨床心理学者)

 『潜在意識をとことん使いこなす』 読者のみなさんへ より  C・ジェームス・ジェンセン:著 大沢章子:訳 サンマーク出版:刊

 本書は、自己イメージ心理学の分野の研究や成果から得られた、「潜在意識を使いこなす」方法をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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あなたの思考が現実になるしくみ

 人類にもたらされた、最大にして最強の力。
 それは「潜在意識」の力です。

 心には、「意識」「潜在意識」の2つの働きがあります。

 意識(顕在意識)の中の思考が潜在意識に働きかけ続け、その結果が物質世界に現れる。
 私たちの心は、そのようなメカニズムで“現実”を創り続けています。

 ジェンセンさんは、この一連の思考の流れをコントロールすることを覚えれば、どんな問題や困難に出合っても、潜在意識の奇跡の力を使いこなせるようになると述べています。

 意識と潜在意識の大きな違いをわかりやすく説明しよう。意識は、船のブリッジにいる船長や航海長のようなものだ。船長は舵(かじ)を取り、機関室に入る乗組員に指示を出し、乗組員たちは指示に従ってボイラーや計器、メーターなどのすべてを調節する。
 機関室の乗組員たちは、自分たちがどちらに向かっているのかわからない。ただ命令に従っているだけだ。もしもブリッジにいる船長が、羅針盤や六分儀(ろくぶんぎ)から読み取った情報をもとに、不十分な、あるいは間違った指示を出せば、船は暗礁(あんしょう)に乗り上げてしまう。機関室の乗組員たちが船長の命令に従うのは、彼が船の責任者で、その命令には当然従うべきだからだ。彼らが船長に口答えすることはない。粛々と命令を遂行するだけだ。
 船長は船の主人であり、その命令は遂行される。それと同様に、意識はあなたという船の船長であり主人なのだ。ここでいう船は、あなたの身体、身の回りの環境、そこで起きる出来事をさす。そして、あなたの潜在意識は、あなたの意識的な心が現実だと受け止め、信じたことをもとに下した命令に従うのだ。

 この点について、もう少しくわしく考えてみよう。これはとても説得力のあるたとえだ。私たちの意識は、船の乗組員、つまり潜在意識に命令を飛ばす船長のようなものだ。このたとえでいうと、乗組員(潜在意識)は水面下にある船倉で働いている。彼らは、船がどちらに向かっているかわからないし、そもそもそんなことは気にもしていない。ひたすら船長の命令どおりに仕事をするだけで、船が他の船に衝突しようが、氷山に乗り上げようが構わない。船が目的地に無事着くかどうかさえ気にかけていない。乗組員は個人的な判断を全く差し挟まないのだ。船長(意識からの指示)に疑問を投げかけることもなく、別の提案をすることもない。ただ、命令(指示)どおりに実行するだけだ。私たちの潜在意識はつまり召使いであり、意識に仕えるのが仕事なのだ。
 だから、たとえば自分自身や他人に向かって「ぼくは人の名前が覚えられないから」といつも言っていると、潜在意識は言われたとおりに反応し、あなたが記憶の片隅から誰かの名前をたぐり寄せようとしても、「その名前を思い出せない」ようにあえて邪魔をする。なぜなら、意識的な心から繰り返しそう命じられてきたからだ。そう「ぼくはぜったいに人の名前を思い出せない」と。
 このように、潜在意識は強力なツールであり、これを意識的に使う方法を身につければ、望みどおりの質の高い暮らしを永遠に手に入れることができる。

 『潜在意識をとことん使いこなす』 第1章 より  C・ジェームス・ジェンセン:著 大沢章子:訳 サンマーク出版:刊

 私たちが普段「意識」と言っているのは、自分で知覚できる部分の意識(顕在意識)だけです。

 顕在意識は、意識全体のほんの一部に過ぎません。
 意識の中の、自分では知覚できない隠された部分、それが「潜在意識」です。

 潜在意識は、意識全体の90%以上を占めるともいわれています。
 この眠れる“奇跡の力”を使わない手はないですね。

 意識が「船長」で、潜在意識は「乗組員」

 船が目的地にたどり着くかどうかは、船長次第。
 いかに乗組員に的確な指示を与えられるかということです。

その「心の声」は正しいのか?

 潜在意識にもっとも大きな影響力を与えるのが、「心の声」です。
 ジェンセンさんは、心の声は、私たちの努力の結果の大半を決めていると指摘しています。

 心の声は、私たちの自己イメージをつくり上げ、今後もつくりつづけるものです。

 自分の頭の中にささやいてくる『声を見張る』こと。
 そして、不必要な心の声を取り除くことが重要になります。

 幼い子どもたちの日常に「権威者」(たとえば両親、コーチ、教師、兄や姉)として関わる私たちは、子どもの努力が私たちをがっかりさせる結果になったときにかける言葉に、十分気をつけなくてはいけない。ピアノの発表会、試験、スポーツ競技、その他の何でも同じ。子どもは非常に傷つきやすく、自分の頑張りに対する両親の「評価」をそのまま受け入れてしまうからだ。
 子どもがもっている力を発揮できていなかったり、ふだんどおりの力が出せなかったりしたとき、親、コーチ、あるいは教師はどう対応すればいいのだろうか? もちろん、大切なのは、私たちが子どもに期待する姿を、そっくりそのまま「イメージ」として子どもの心に刻みつけることだ。たとえばこんなふうに。「今日は実力が出せなくて残念だったな。お父さんにも経験があるよ。おまえは本当にすごい選手だから、来週はきっと最高の試合になるよ!」
 あるいはこんなふうに。「君は家では、とても上手にあの曲を演奏してたよね、何度も何度も。次の発表会で、みんなに君のすばらしい演奏を聞かせるのが待ち遠しくて仕方ないね」。
 子どもの頃は、私たちの心の声は、いちばん大好きで大切な人々言葉の影響を非常に受けやすい。そして、次章で説明するように、まさにこの心の声こそ、私たちの自己イメージをつくり上げているものなのだ。
「大人」に近づく頃(つまりティーンエイジャーになる頃)には、人は自分は何が得意で何が苦手か、何が好きで何が嫌いか、どんな人とつき合いたいか、どんな人とは近づきになりたくないか、といったことについて、確たる信念をもつようになる。これが自分で、「これからも変わらない」、ということを「事実」として受け止めるようになる。しかし実は、自分で集めた情報を誤って事実だと思い込み、それにしばられているにすぎないのだ。そして、たいていの人は、自分の行動に前向きな変化を起こす方法を教わっていないため、まるで自動操縦されているかのように人生を生きていくことになる。
 つまりこういうことだ。私たちの心の声が私たちの自己イメージをつくり上げ、そして自己イメージによって、私たちの努力の成果が決まる。私たちはたいてい、自己イメージどおりの成果を出し、すると心の声はその成果について私たちに話しかける。その結果、自己イメージがさらに強化されて、その後も同程度の成果を上げつづけることになる、というわけなのだ。
 心の声は、いわば脳の中のラジオ局だといえる。私たちは正しい選局ができているだろうか?

 『潜在意識をとことん使いこなす』 第3章 より  C・ジェームス・ジェンセン:著 大沢章子:訳 サンマーク出版:刊

 心の声は、自分でもほとんど気づかないまま、自動的に繰り返されます。
 その多くは、小さい頃に身近な人から聞かされ続けた言葉です。
 つまり、現在の自己イメージは、大昔の、しかも他人の評価を元に形づくられているということ。

 脳内のラジオ局をチューニングし、頭の中を流れる言葉をポジティブなものに切り替える。
 大事なことですね。

「健全な自尊心」をはぐくむ4つの練習

 潜在意識を使いこなすうえで、重要となるのが「自尊心」です。
 自尊心とは、自分でつくり上げた自分自身についての評価のこと。

 自尊心は、見た目などの外面からではなく、内面を変えることによってもっとも高まります。

 ジェンセンさんは、「自尊心を自分で高める方法」として、以下の4つを挙げています。

 まず、自尊心の高い人々は限度を決めるのがうまい。自分に合わないとか、適切でないと感じることには「ノー」と言える。つまり、自分の権限を放棄して他人に限度を示してもらうのではなく、自分で限度を決めることを選択している。
 2番目に、そしておそらくこれがもっとも重要なのだが、自尊心の高い人々はあらゆるものを批判しないと決めている。批判は洞察力の表れともいえるが、誰かを批判するとき、人は必ず相手の中に、自分にもある気に入らない部分を見つけてそこを批判する。つまり、すべての批判は実は自己批判であり、他人を愛せるようになれば、自分も愛せるようになるということだ。
 3番目は、前にも述べたとおり、心の中の会話、つまり心の声は、私たちが起きている間中、1分間に150語から300語、一日の思考の数にすると4万5000から5万個の思考を生み出している! そして、すべての思考は潜在意識によって「祈り」として受け入れられる(潜在意識は批判しない)。ということは、あなたは一日中何を「祈っている」のだろう? 自尊心の高い人は、自分の心の声を注意深く見守り、自分の心が、一日中よい思考の催眠をかけられているか、悪い思考の催眠をかけられているかを見極めている。さてあなたは、潜在意識という庭に雑草をはびこらせているのだろうか? それとも花を植えているのだろうか?
 そして4番目。自尊心の高い人々は、自分は人からしてもらう評価も、人にしてあげる価値もある人間だと感じている。一般に、自尊心の低い人は「他人を喜ばせたい」と感じやすく、自分の欲求を口にして断られるのを恐れるあまり、人に尽くしすぎる傾向がある。人を喜ばせたがる人々が、人からしてもらうことを肯定できる唯一の方法として、無意識に「病気になる」ことや事故に遭うこと選ぶ場合もある。そういう状況なら、大切にされたり慈しまれたりしても構わない、と思えるからだ。
 嬉(うれ)しいことにこの4つはどれも自分で意識的に調整することができる。心の声を注意深く見守り、心から人のために尽くし、自分のことも他人のことも、批判せずに慈(いつく)しめばいい。
 自分の限界を決める否定的な思考こそ、私たちが対決しなくてはならない真の敵だ。それらは私たちの元気を奪い、心をくじき、自分という感覚や自分自身への評価を――つまり自尊心を傷つける。

 『潜在意識をとことん使いこなす』 第10章 より  C・ジェームス・ジェンセン:著 大沢章子:訳 サンマーク出版:刊

「思考は現実となる」

 この言葉は、もちろん、自分自身についても当てはまります。
 自分を価値ある人、尊重されるべき人だと思えれば、実際にそのとおりになります。

 もっとも身近で大事な存在である「自分」を大切にすること。
 それが潜在意識の力を引き出すカギです。

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 本書は、今から50年ほど前に書かれたジョセフ・マーフィー博士の著書『The Power of Your Subconscious Mind(『眠りながら成功する』産業能率大学出版部)の内容に、ジェンセンさんが注釈を加えるという形式で書かれています。

 潜在意識についての研究は、50年前の当時と今では、比較にならないほど進歩しています。
 しかし、マーフィー博士の言葉は、色あせるどころか輝きを増しています。
 マーフィー博士の先見の明には、ただただ驚嘆するばかりですね。

「願って、期待して、想像する」

 潜在意識をとことん使いこなし、思いどおりの人生を送りたいですね。

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