本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『「背中呼吸」で体は老けない! 疲れない! 』(片平悦子)

 お薦めの本の紹介です。
 片平悦子先生の『「背中呼吸」で体は老けない! 疲れない! 』です。

 片平悦子(かたひら・えつこ)先生は、整体師です。
 5万人を超える治療経験からオリジナルの技術「パーフェクト整体」をプロの治療家に向けて指導されています。

なぜ、「インナーマッスル」を鍛えるのか?

 片平先生は、疲れない体、老化しにくい体を手に入れるためには、「インナーマッスル」を鍛えることが重要だと述べています。

 インナーマッスルとは、簡単にいうと体の中心に近い深層部にあって、肩関節や背骨、股関節(こかんせつ)についている筋肉のことです。これらの筋肉は私たちの姿勢にかかわる大切な役割を持っています。
 なかでも、姿勢を保つのに欠かせないのは、上半身と下半身をつなぐ腸腰筋(ちょうようきん)です。
 図1(下図1を参照)を見てください。腸腰筋は大腰筋と腸骨筋(ちょうこつきん)で構成されています。
 ちょっと専門的な話になりますが、筋肉の両端はそれぞれの骨についていて、付着部分を起始部と停止部といいます。基本的には体の中心部に近いほうは起始部、遠いほうが停止部です。
 大腰筋も腸骨筋も、停止部は大腿骨の小転子(しょうてんし)と呼ばれる部分です。起始部は大腰筋の場合、背中の彎曲(わんきょく)した部分(第12胸椎(きょうつい)〜第5腰椎(ようつい))です。ここを鍛えることで体をしっかり保てるようになります。腸骨筋の場合は、骨盤の内側が起始部なので、骨盤の位置を正しくセットすることが重要です。
 つまり、この2つができたら、いつまでも姿勢のいい体、疲れにくい、老けない体が手に入るということなのです。

 『「背中呼吸」で体は老けない! 疲れない!』 第1章 より 片平悦子:著 講談社:刊

腸腰筋はこうなっている 第1章P 21
図1.腸腰筋はこうなっている(『「背中呼吸」で体は老けない!疲れない!』 第1章 より抜粋)

 本書は、大腰筋を鍛えることで、骨盤を正しい位置にセットし、疲れにくく老けない体を手に入れる方法を解説した一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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座って行う「背中呼吸」のやり方

 大腰筋は、横隔膜の後ろ側とつながっています。
 そのため、大腰筋を鍛えるためには、「背中側を意識してゆっくり深呼吸をする」のが一番です。

 片平先生は、この深呼吸を「背中呼吸」と名づけ、具体的な方法を以下のように説明しています。

 背中呼吸は、椅子に正しく座って深呼吸しながら、せもたれに背中を押しつけるだけ。拍子抜けするほど簡単です。背中の横隔膜が動いているかどうか実感できない人は、風船を膨らませながら行うといいでしょう。背中に力がグーッと入るので、横隔膜を動かすコツがわかります。
(中略)
 私は、本当は筋肉を鍛えるのには回数ではなくて、「くたびれ感」が出るまでやるのかベストだと考えています。鍛えているわけですから、軽い筋肉痛になったり、くたびれたと感じたりするはずなのです。
 ですから、3回でくたびれる人は3回から、5回でくたびれる人は5回から始めて、徐々に回数を増やしていくのがいいでしょう。
 そうはいっても、どうしても回数の目安がほしいという人のために、状態別に回数を載せました。参考にしてくださいね。
 椅子に座った状態で深呼吸を1回行ったとき、どのようになるかによってご自分で判断してみましょう。
 3回:深呼吸すると肩が上がってしまう人
 5回:深呼吸すると肩が上がらず肋骨の前のほうが広がる人
 7回:深呼吸すると肩が上がらず肋骨の前も後ろも広がる人

 『「背中呼吸」で体は老けない! 疲れない!』 第1章 より 片平悦子:著 講談社:刊

背中呼吸の行い方② 第1章P53 背中呼吸の行い方① 第1章P52
図2.背中呼吸の行い方 (『「背中呼吸」で体は老けない!疲れない!』 第1章 より抜粋)

 
 ポイントは、背中を意識して呼吸することで「横隔膜を動かす」ことです。
 まずは正しいやり方を身につけること。
 確実にできる回数から、少しずつ増やしていきましょう。

姿勢が悪いと、骨は悪い姿勢のまま再生する!

 私たちの体を支えてくれる「骨」について。
 骨は、皮膚や血液と同じように、日々新陳代謝が繰り返され、古い骨から新しい骨へと入れ替わっていきます。

 骨の新陳代謝は、一方では破骨(はこつ)細胞によって骨が壊され、一方では骨芽(こつが)細胞ができて、新しい骨がつくられるという形で行われています。この2つの活動で、骨の中身は入れ替わっているわけです。1つの骨がまったく新しい中身に変わるのには3〜4ヶ月かかり、全身の骨は約3年でまったく新しいものに入れ替わるといわれています。
 じつは、腰が丸まっている人は骨密度が減少するだけではありません。正常な生理的彎曲のときと逆のことが起こります。その驚きの変化をご説明しましょう。
 図12(下図3を参照)を見てください。
 腰が丸いときは、5個ある腰椎の椎体の部分の厚みが、骨の代謝の過程で前が薄く後ろが厚くなっていきます。頭から重みが体の前側にあるおなかにかかるため、椎体が変形し、なおかつ骨の密度も要求されないからです。
 もし、腰の丸まった人が努力して正しい姿勢に変えたとしたら、どんな変化が起こるでしょうか? 生理的彎曲があるときは、腰椎を含む椎骨には頭から重みがかかってきます。すると骨は、その強度を高め強化する必要が出てきます。そこで、骨芽細胞が成長していくときに骨密度を高くするように働き、しっかりした骨ができていきます。
 丸まった腰から生理的彎曲のある背骨になるには、このように当然のこととして骨の形も変える必要が出てきます。椎体の前が厚く後ろが薄くならなければいけないわけです。いい姿勢を続けると、骨芽細胞が成長していくときに骨の形を変えつつ成長してくれるのてす。
(中略)
 これまで述べたように、いい姿勢を保つことができれば、約3年後のあなたはまったく別の体型になることができます。
 3年という期間を要するので、やる気がなくなるかもしれませんが、腰を丸くするのに数十年という歳月をかけたことを思えば、短い期間だと考えることができます。
 しかも、理論的には3年かもしれませんが、私は30代の人なら3ヶ月ですっかり変わることを診てきました。また、40〜50代の人では、程度にもよりますが、努力していただければ6ヶ月くらいで丸い腰が伸びてきます。60代以降の人は、1年努力していただければ変化がわかります。
 このように体型は姿勢で変わるものなので、腰が丸くて気になっている人は、正しい姿勢を意識して、頑張ったほうがお得だと思います。

 『「背中呼吸」で体は老けない! 疲れない!』 第2章 より 片平悦子:著 講談社:刊

腰が丸いと椎骨の形が変わる 第2章P78
 図3.腰が丸いと椎骨の形が変わる
(『「背中呼吸」で体は老けない!疲れない!』 第2章 より抜粋)

 
 姿勢によって、背骨の形自体が変わってしまうというのは驚きですね。

 長い期間かけて変わったものは、長い期間かけて直さなければなりません。
 根気強く取り組む必要がありますね。

 腰が丸まっている自覚のある人は、立っているときも座っているときも、普段から正しい姿勢でいることを心掛けたいですね。

坐骨の前方で座ると、生理的彎曲は保たれる

 正しい姿勢を保つ上で、とくに気をつけなければならないのは、「座る姿勢」です。
 座り方の善し悪しは、「背中に生理的彎曲があるかないか」で決まります。

 じつは、背中から腰の生理的彎曲(せいりてきわんきょく)をつくる決め手は、骨盤の位置にあります。
 立った姿勢では足が支持骨です。座った姿勢では骨盤が支持骨になります。支持骨とは、体を支える骨という意味です。
 立った姿勢のときは支持骨が足の骨なので、足関節(そくかんせつ)・膝(しつ)関節・股関節と大きな3つの関節が、背骨の生理的彎曲を保つための微調整に関与することができます。
 図21(下図4を参照)のように、たとえ、骨盤が後ろに傾いた垂れ尻で、下腹を突き出したような姿勢で立ったとしても、足関節・膝関節・股関節が生理的彎曲を保つために、精一杯協力してくれるわけです。
 ところが、座ったときの骨は骨盤です。足関節・膝関節・股関節が生理的彎曲を保つために、精一杯協力してくれる状況は排除されました。骨盤が単独で正しい位置を保つことが要求されるわけです。骨盤は腸骨・坐骨・恥骨・尾骨から構成されていましたよね。支持骨になるのは、その中の坐骨です。
 坐骨は、座面にゴツゴツと触れる骨なのでご自分でも触って確認できます。この坐骨は、前方から後方に向かってクリンと丸い形をしているので、丸い部分のどこででも座ることが可能です。
 図22(下図5を参照)のように丸い坐骨の前のほう、①の位置で座ったとき、正しい姿勢をつくることができ、生理的彎曲が保たれます。
 ところが、丸い坐骨の真ん中の②や後ろ側の③の位置で座ると、骨盤が後傾します。その状態で背骨はバランスを取ろうとして、腰や背中を丸めることになります。
 だからこそ、座ったときも意識して骨盤を正しい位置に置くことが重要です。生理的彎曲が保たれますから、胸郭が正しい位置になります。

 『「背中呼吸」で体は老けない! 疲れない!』 第4章 より 片平悦子:著 講談社:刊

立つと足の関節が微調整してくれる 第4章P128 坐骨の前方で座る 第4章P129
図4(左図).立つと足の関節が微調整してくれる  図5(右図).坐骨の前方で座る
(『「背中呼吸」で体は老けない!疲れない!』 第4章 より抜粋)


 正しい姿勢で座るには、骨盤の傾き、とくに坐骨が座面に当たる位置がポイントになります。
 最初は窮屈かもしれませんが、それもインナーマッスルを鍛えるトレーニングです。
 普段から意識したいですね。

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 姿勢を正しく保つためにインナーマッスルを鍛えるには、背中を意識した呼吸を行えばいい。
 そんなユニークかつ効果的で、誰でも手軽にできる方法があることに驚きます。
「背中呼吸」は、片平先生の人間の体についての造詣の深さ、それに、「苦しんでいる患者さんを助けたい」という熱意が合わさって生まれた傑作でしょう。

 仕事をしているとき、家事をしているときなど、ちょっとした合間にできる「背中呼吸」。
 腰痛、肩こりなどの症状にお悩みの方は、ぜひ一読頂き、その驚異の効果をお試しください。

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