本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『人生が変わる自分の愛し方』(イヴリン・リム)

 お薦めの本の紹介です。
 イヴリン・リムさんの『人生が変わる自分の愛し方』です。

 イヴリン・リム(Evelyn Lim)さんは、シンガポール出身のライフコーチです。
 自身のブログで健全な自己愛の大切さを主張し、世界中で大反響を巻き起こしています。

あなたは「自分」を愛していますか?

 友人と飲みに出かける。好きな料理を食べる。ショッピングを楽しむ。
 これらは、ストレスを発散して、精神的な苦痛をやわらげる手っ取り早い方法ですね。

 しかし、それらよりも効果的で永続的な喜びを得ることができる方法があります。
 それが、「自分を愛する」ことです。

 自分を愛することができない人は、精神的な栄養失調におちいっているようなもの
 リムさんは、自己愛は最高の心の栄養であり、究極のアンチエイジングだと述べています。

 本書は、「自己愛」とは何かをわかりやすく解説し、「自分を愛する」ための具体的方法をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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自分を愛して初めて、他者を愛することができる

 自己愛が欠如していると、人間関係、健康、成功、仕事、財産など、すべてにおいてうまくいかず、苦しみの連続になります。

 リムさんは、「他者を愛する前に自分を愛すること」の重要性を、以下のように説明しています。

 では、こんなふうに考えてみてください。愛とは、思いやりをもって相手に奉仕することです。しかし、もし自分に思いやりをもつことができなかったら、他者に奉仕することは困難になります。なぜなら、自分が精神的に疲れ果てているときに他者のために割くエネルギーはほとんど残っていないからです。
 飛行機に乗ったときのことを思い出してください。離陸時に次のような機内アナウンスを耳にしたことがあるはずです。
「緊急時には酸素マスクが降りてきます。小さなお子さんやお手伝いが必要な方の隣に座っておられる方は、相手を救助する前に自分の酸素マスクを確保してください」
 実を言うと、私はこの機内アナウンスをずっと無視してきました。いつも同じ内容なので、機内に備えてある雑誌を読みながら聞き流していたのです。ところが、あるとき友人が「これを重大なメッセージよ」と指摘しました。その理由を聞いて、なるほどと思いました。
 この機内アナウンスは、自分を大切にすることの重要性を説いているのです。とはいえ、この放送を初めて聞くと、違和感を覚えるかもしれません。小さな子どもやお手伝いが必要な人の隣に座っていたら、その人の安全を優先するのが良識ある態度のように思えたからです。
 しかし、この指示は理にかなっています。他の人が呼吸するのを助ける前に、自分が呼吸しなければならないからです。そうしなければ、他の人を救助する能力を失ってしまいます。自分が酸素不足で呼吸困難におちいっているのに、他の人に奉仕することはできません。
 他者より自分を優先するという原理は、自己愛についてもあてはまります。もし自分を愛していないなら、誰の役にも立ちません。自分を愛して初めて相手に積極的な働きかけができるからです。
 自己愛は心と体の糧(かて)であり、何をするうえでも不可欠です。あなたが自分を愛するとき、それはおのずと明らかになります。自分のすばらしさに目覚めることになるからです。自分のすばらしさを認めて初めて、他者のすばらしさを認めることができますし、他者が彼ら自身を愛する手助けもできます。

 『人生が変わる自分の愛し方』 第1章 より イヴリン・リム:著 弓場隆:訳 サンマーク出版:刊

 自分を愛して初めて、他者を愛することができる。
 つまり、自分を愛せていない人は、本当に他者を愛することはできないということ。

 よく考えれば、当たり前のことですが、おろそかにされることも多いです。

 最初に向かい合うべきは、他の誰でもなく、自分自身。
 この順番を間違えないことが、人生の苦しみから抜け出すためには、最も大切です。

あなたは唯一無二の価値をもっている

「自分を愛することはむずかしい」
 そう感じるのは、「自分には愛するべきものがほとんどない」と思い込んでいるから。

 リムさんは、自分を愛するためには、究極的に、自分のアイデンティー、つまり「ほかの誰でもない自分」、「ほかの誰にも代えられない大切な自分」という意義をもつことがきわめて重要だと述べています。

 あなたはその他大勢から抜け出したいという欲求を抱いていますし、他人と比べて「自分はもっと成功している」「もっとかっこいい」「もっと賢い」「もっと金持ちだ」と思いたがっています。たいていの場合、それはひそかに思っているだけですが、他人と比較するたびに自分の欠点を思い知らされてみじめな気分になっています。当然のことですが、自分より優れた人はいくらでも見つかりますから、比較すればきりがありません。
 あなたは心のなかで「自分にはこれがない、あれがない」とたえず悩んでいます。しかし、自分には何かがないと思いつめると、自分のよさを見落としてしまいます。あなたにはすばらしい資質がたくさんあるはずです。「あなたである」というだけで、あなたはすでに唯一無二の価値をもっているのです。あなたと同じ経験を積み、同じ才能をもっている人はほかにいません。
 私の言っていることが信じられないかもしれませんが、自然のなかでしばらく過ごせば、すぐにこの真実に気づくでしょう。まったく同じ葉、花、鳥、小川はありません。自然のなか、さらに宇宙のなかにはまったく同じものはふたつとないのです。この世に存在するすべてのものが、宇宙の多様性を構成する重要な一部なのです。そして、それはあなたにもあてはまります。
 あなたがほかのすべてのものと異なるのは、心をもっていることです。だから自分の現実に多大な影響を行使することができます。あなたは資質と才能と価値観の独特の組み合わせをもとに人生を構築する能力をもっています。どんな経験をするかを決定するのは、あなた自身です。あなたはつねに自分の思いを現象界に反映させています。意識を集中させることによって、自分の願望を現実にするエネルギーを方向づけています。
 自分の願望について自分よりよく知っている人はいません。実際、それは自分だけがよく知っていることなのです。あなたは自分の夢を追いかけ、潜在能力を存分に発揮するのを支援できる頼りになる存在だといえます。要するに、あなたを愛することができる最適な人物は、あなた自身なのです。

 『人生が変わる自分の愛し方』 第2章 より イヴリン・リム:著 弓場隆:訳 サンマーク出版:刊

 自分のもっている長所に焦点を合わせるのか、短所に合わせるのか。
 それによって、自分自身に対する感じ方は、180度変わってきます。

 ないものねだりをしても、仕方ありません。
 また、短所は長所の裏返しでもあります。

 大切なのは、他人と比較しないこと。
 そして、自分の持っている資質、才能、価値観を見いだして大切にすること。

『自分は存在するだけで、唯一無二の価値をもっている』
 いつもその事実は忘れないようにしたいですね。

自分の体をいたわってあげる

 リムさんは、「自分の体に対するネガティブなイメージは、抑うつや不安、自己破壊的な行動につながるおそれがある」と指摘します。

 拒食症などの摂食障害、タバコやお酒、薬物への依存。
 それらは、「自己愛の欠如」という根本原因の症状にすぎません。

 自分を愛するためには、自分の体を最大限にいたわる必要があります。それはバランスのとれた食事と定期的な運動を心がけ、自分の体に宿っている知恵を信頼するということです。ストレスに対して自分の体が発するシグナルをキャッチし、内面の調和を取り戻すために適切な手段を講じることが重要です。
 健康な体は健康な心の土台です。適切な食事と適度な運動を先延ばしにしてはいけません。体の欲求を無視すると病気になり、心の欲求を満たすことが困難になります。基本的な欲求を大切にすることによって初めて、人生のすべての分野で成功することができるのです。
 心の中で自分を嫌っているかぎり、どんなに着飾ろうと、あなたは美しく見えませんし、また、自分でも本当に美しいという自信はもてないでしょう。一方、ありのままの自分を受け入れて平和な気持ちで過ごしているなら、あなたの魅力は引き立ちます。心のなかが満たされていると、おのずと人を引きつけます。その結果、最新のファッションを追いかけたり完璧な体型をめざしたりすることは、それほど重要ではなくなります。
 あなたはありのままでいいのです。自分以外の人になろうとする必要はありません。まだ気づいていないなら、自分に自信をもつことが異性に対して魅力的になれる最大の条件であることを知ってください。新しい人間関係を築くための小手先の戦略はいりません。自分らしくふるまいさえすればいいのです。
 自分に自信をもてば、自分が愛される価値のある存在だと気づき、愛を受け取る心の準備が整います。

 『人生が変わる自分の愛し方』 第3章 より イヴリン・リム:著 弓場隆:訳 サンマーク出版:刊

 自分の体に対してネガティブなイメージをもってダイエットをしても、うまくいきません。
 逆に拒食症や過食症におちいって、深刻な健康被害を受ける可能性もあります。

 大切なことは、「他人が自分をどう見るのか」ではなく、「自分が自分をどう見るのか」です。
 自分を愛することの重要性をしっかり理解しておきたいですね。

自分を受け入れて自分を愛する

 自分を無条件で受け入れられないことは、自分を拒否することにつながります。
 自分を受け入れられない人がつまづくのは、「自分には根本的な欠陥がある」という思い込みです。

 子どものころに、愛されず、受け入れてもらえず、劣等感や自己不全感を抱いたまま生きてきたことが原因です。

 美しさとは自分らしく生きることです。他人に受け入れてもらう必要はありません。大切なのは、自分で自分を受け入れることです。
            ティク・ナット・ハン(ベトナム出身の平和運動家)

 あなたは自分を拒絶することを美徳だと考えてきたかもしれません。自分に不満をもっていることを人間的に成長するための発奮剤として利用してきたかもしれません。
 たしかに自分に不満をもつことは、一生懸命に努力し、新しいことに挑戦する原動力になります。しかし、それは愛よりも恐怖にもとづいています。馬を速く走らせようとしてムチで叩くようなものです。あなたは誰にも負けたくない一心で異常な速さで走ります。あなたを駆り立てているのは恐怖です。
 モチベーションを高めるために恐怖を使うのは危険をともないます。モチベーションを高めるために自分を拒絶することは裏目に出やすいからです。あなたは激しい自己嫌悪に苦しみ、自分を受け入れることができません。自分を愛し、慈しみ、大切にすることが困難になります。自尊心は低くなり、自分を受け入れられるかどうかは一定の目標を達成するかどうかかに左右されます。
 しかし、それよりもっといいのは自分を愛することです。愛は強さの源泉です。自分を拒絶しているかぎり、強くなることはできません。自分を受け入れて初めて強くなることができます。自分を全面的に受け入れようと、まずは自分自身で心に決めてください。それによって、自分を受け入れられるようになります。勇気を出して「私は自分を無条件に愛して受け入れる」と唱えましょう。愛は癒しの力であり、自分を受け入れるとすぐにその力を得ることができます。それは心の傷を修復する力をもっています。

 『人生が変わる自分の愛し方』 第5章 より イヴリン・リム:著 弓場隆:訳 サンマーク出版:刊

 いくら自分を拒絶しようとしても、自分以外の存在になることはできません。
 無条件に自分を受け入れ、はじめて人は強くなり、美しくなるということです。

 自己愛は、「自分」という人間の根本をなすものです。
 どんな雨風にも揺るがない、確固たる土台を築きたいですね。

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☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆

「自分」は、最も身近な存在です。
 にもかかわらず、多くの人は、その重要さに気づくことがないまま、日々過ごしています。
 とてももったいないことです。

「自分」は、どんなときも離れずに、つねに見守って力を与えてくれる、唯一無二のパートナー。
「自分」のすべてを受け入れることで、すべてが変わります。

 周囲の声に惑わされることなく、“内なる声”に耳を傾け、伸び伸びと充実した自由な人生を歩みたいですね。

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