本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『1日3食をやめなさい!』(内海聡)

 お薦めの本の紹介です。
 内海聡先生の『1日3食をやめなさい!』です。

 内海聡(うつみ・さとる)先生(@touyoui)は、消化器内科がご専門の医師です。

「1日3食」をやめれば、健康で長生きできる!

 現代の日本では、しっかり「1日3食」をとることが当たり前となっています。
 内海先生は、「1日3食」は“食べ過ぎ”で、じつは老化を促進し、さまざまな病気を引き起こしていると指摘しています。

 1日の食事を減らすだけで、老化のほか、以下のような病気を防ぐことができます。

  • 生活習慣病(糖尿病、脳卒中、心臓病、脂質異常症、高血圧、肥満)
  • アレルギー
  • 膠原(こうげん)病
  • 悪性新生物(ガン)

 つまり、「1日3食をやめる」ことで、健康で長生きできるということ。

 本書は、「1日3食」がなぜ、体に悪いかをわかりやすく解説し、健康的な生活を送るための具体的方法についてまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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体にとってしんどい「食べること」

 食べ過ぎると老化が促進されたり、さまざまな病気を引き起こします。
 内海先生は、その理由として以下の2つを挙げています。

  • “量”をとり過ぎること
  • “ある特定のもの”をとり過ぎること

 では、なぜ「“量”をとり過ぎると老化が早まってしまう」のでしょうか。

 私たちは、「食べること」で外から栄養素をとりいれ、体をつくり、エネルギーを得ています。
 その一方、食べ物を消化・吸収するには長いプロセスが必要です。消化・吸収とは、体にとって正直「しんどい」ことなのです。
 食べ過ぎるほどに、胃腸や肝臓をはじめ大半の内臓が働きっぱなし。こうして、どんどん内臓は疲れ、消耗し、老化していきます。

 ここで少し専門的な話をしましょう。
「活性酸素」という言葉を聞いたことはありませんか?
「活性酸素」は、体内で食べ物を栄養素やエネルギーに変える際に、どうしても生まれてしまう代謝物質です。極端な話、息をしているだけでも生まれてしまいます。
 これが細胞を傷つけることで、老化を招くとされます。
 もちろん、体には活性酸素を除去する機能も備わっているため、普通に生きている分には問題ありません。
 ただ、その働きにも限界かあります。活性酸素が出過ぎるようなことをすれば、たちまち除去が追いつかなくなり、どんどん、病気を招くこの物質が体内にたまっていくことになります。
 また、活性酸素そのものは単純に悪とはいえず、生体維持や感染防御などに重要な意味を持っています。出過ぎが問題なわけです。
 では、「活性酸素が出過ぎるようなこと」とは――もうおわかりでしょう。
「食べ過ぎ」です。
 もちろん「食べ過ぎ」ばかりでなく、過度の運動、喫煙や飲酒などもそれにあたります。
 ただ、食べることは、誰にも共通する毎日の習慣です。
 運動する人もしない人もいる。タバコを吸う人も吸わない人もいる。お酒も飲む人も飲まない人もいる。
 しかし、食べない人はいません。断食などを除いて、食事は毎日必ずするものです。
 それだけに食べることで体にかける負担の増減が、そのまま左右しやすいのです。
 健康を保つためには、消化・吸収にかける労力を必要最低限に抑えること、いいかえれば必要最低限だけ食べること。そこで「1日3食」にかける消化・吸収の労力が「必要最低限」かといえば、そんなはずはないと断言できます。
「1日3食」は、体に余計な負担を強いて老化を早める、きわめて不健康な習慣にほかならないのです。

 『1日3食をやめなさい!』 chapter 1 より 内海聡:著 あさ出版:刊

 食べることは、私たちの思っている以上に、体に負担をかける行為だということ。

 歴史的にみると、社会が豊かになり、大多数の人が「1日3食」食べるようになってから。
 たかだか400年です。

 一方、生活習慣病、アレルギー、ガンなどは、人間が「食べ過ぎる」ようになって以降、新たにあらわれたものです。

 この事実を、「偶然の一致」として片づけるのは、無理がありますね。

「朝食を食べないと・・・」のウソ

 内海先生は、理想的な食生活をする上で、「朝食はとるべきではない」と述べています。

 なぜ、朝食はとらないほうがいいのでしょうか。
 結論からいえば、体は朝一番に食べ物を受け入れるようにできていないからです。
 じつは、体は空腹を感じたときに、もっとも活動するのに適した状態になります。つまり朝、これから活動しようというときに「まず空腹を満たすべき」と考えること自体、大間違いなのです。
 食べ物が体に入ると消化・吸収のプロセスが始まります。簡単に言うと食べ物が分解されてブドウ糖になり、それが脂肪や筋肉に蓄えられます。この一連のプロセスが終わるのにかかる時間は、およそ4〜6時間。終わったころに、空腹感が生まれます。
 言い換えれば、そもそも空腹感とは「いますぐ食べ物をくれ」というサインではなく、「エネルギー補充完了」、つまり「活動する準備が整いました」というサインなのです。

 ここで人類の歴史をずっと遡(さかのぼ)って、古代狩猟民の生活に目を転じてみましょう。
 彼らには「獲物を捕って蓄える」という考え方も術(すべ)も、いまほどありませんから「おなかが空いた」という前提で狩りに出かけます。野生動物に近いわけです。
 人類が狩猟採集をしていた時代、食べ物の調達はかなり手間のかかることでした。食べる→消化・吸収→空腹感→食べる・・・・というように、空腹感を感じてから食べるまでの間に「活動」が組み込まれたサイクルが、自然とできあがりました。
 ちょうどエネルギーが蓄えられたときに、空腹感のサインが出て活動し、エネルギー消費するようになっていたので、余分なエネルギーを溜め込むこともありません。
 そして彼らは肉、魚食が中心だったので、糖分が少なく命をそのままいただいていました。
 だから古代狩猟民は肥満にもなりませんし、食べ過ぎによるさまざまな健康障害とも無縁だったのでしょう。

 ところが現代人は、空腹を感じたらすぐに食べ物が手に入ります。
 脳が空腹感を訴えるのは、「動け」という体からのメッセージが届いたからなのに、現代人は体の声を無視して、脳の訴えばかりに従っています。
 こうして「空腹→活動→食べる」という自然本来のサイクルが崩れ、「食べる→空腹→食べる」になってしまっている。これが食べ過ぎのもとといえるでしょう。

 『1日3食をやめなさい!』 chapter 2 より 内海聡:著 あさ出版:刊

 空腹感は、「活動する準備が整いました」というサイン。
 つまり、活動中は、お腹が空いている状態が普通だということです。

 お腹が「グー」と鳴ったら、体が食べ物を欲しているサインだ。
 私たちは、そう考えていますが、勘違いです。

 このとき、食べ物を欲しているのは「胃」ではなく、「脳」です。
 脳は、エネルギーをたくさん消費するため、エネルギーのもと(ブドウ糖)が足りなくなりそうだと感じると、すぐに空腹感のサインを出すからです。

 体を守るためには、“脳の声”ではなく、“体の声”を聞く必要がありますね。

世の中、「食べてはいけないもの」だらけ

 私たちの身の回りには、多くの食材、食品があふれかえっています。
 内海先生は、私たちのまわりは、「本当は食べてはいけないもの」だらけだと指摘します。

 たとえば、ファーストフード店でおなじみのハンバーガー。
 もし本物の肉を使ってミートパテを作り、本物の調味料を使ってソースを作り、これらを本物のパンにはさんで作ったとしたら、注文が入ってすぐに、しかもあんなに安く提供できるはずがありません。時間も手間もかかりますし、材料費だって高くつきます。
 それを、いつでも、すぐに、しかも安価で提供できるようにするために、何が行われているのでしょう。
 まず、いつでも、すぐに提供するには、たくさんの作りおきをしなければなりません。
 しかし食べ物は腐りますから、大量の防腐剤を添加することになります。
 また、安価で提供するためには、原価を低く抑えなければなりません。
 だから、クズ同然の安い材料を使い、その品質をごまかすために、大量のうま味調味料や人工甘味料を使うことになります。当然、栄養など一片も含まれていません。
 まずは非常にざっくりと説明しましたが、一事が万事。
 要するにこういうことです。
「いつでも、すぐに食べられて、しかも安価な食べ物」とは、本物といえる素材をほとんど使っていない食べ物――いわば毒まみれニセモノで埋め尽くされた、とうてい「食べ物」とはいえない代物なのです。

 そして恐ろしいことに、こうした毒は脂溶性なので体内で代謝されることもなく、どんどん溜まっていきます。当然でしょう。自然の産物である体が、不自然なものから栄養素を取り出し、活用するはずがないのです。
 もし病原菌やウィルスであれば、体は明確に「有害物質」と認識して排除しようとするでしょう。
 でも、自然界に存在しない毒は、どうしていいかわかりません。だから、活用もせず排除もせず、それが体を蝕(むしば)むことも知らぬまま、体内に溜め込んでいってしまうのです。

 『1日3食をやめなさい!』 chapter 3 より 内海聡:著 あさ出版:刊

 人間の手が加えられた加工食品の大部分は、「食べ物」以外の成分が加えられています。
 一説によると、私たちは1日に80種類もの食品添加物を食べているとのこと。

 安価で質の悪い、“毒まみれ”の食べ物を毎日、大量に食べること。
 それが体にとってどれほどの負担なのか、容易に想像がつきます。

 1日3食をやめることには、口にする「有害物質」を減らすというメリットもあります。

 健康的な食事は、「量より質」。
 できる限りの自衛策はとるように心掛けたいですね。

脂溶性毒は“雑巾を絞るように”排出する

 では、いったん体に取り込んでしまった“毒”は、どうすれば排出できるのでしょうか。

 内海先生は、現代の毒は「脂肪にたまる」と指摘しています。
 食品添加物や農薬、薬、トランス脂肪酸など、現代に特有の毒の多くは石油性製品であり、「脂溶性毒」――つまり油に溶けるものばかりだからです。

 内海先生は、脂溶性毒を抜くには、汗をかくのがもっとも効果的だと述べています。

 脂溶性毒を抜くには、汗をかくのがもっとも効果的です。
 なかでも強力なのは、低温サウナです。脂溶性毒の排出のほか、血流促進、免疫力向上などの効果が期待できます。強制的にたくさんの汗をかくので、脂溶性毒だけでなく、有害金属や放射性物質の排出にも効果的です。
 大事なのは低温という点。よく銭湯などにある一般的なサウナだと、温度が高過ぎて長く入っていられません。また、高温で急激に体が熱くなると、出る汗は水分が中心となり、肝心の脂肪の入れ替えができません。
 脂肪にたまった毒を抜くには、時間をかけて、じんわりと汗をかくのがもっとも効果的なのです。そうすると脂肪が燃えて、脂肪にたまっていた毒が汗と一緒に排出されます。
 実際、低温サウナに入ったあとのヘロイン中毒者の汗には、ヘロインが含まれているというデータもあります。それほど即効性がある解毒方法といっていいでしょう。
 最近は、スーパー銭湯など大型の施設だと、いくつか種類の違うサウナが設置されているところもあります。よく見るフィンランド式サウナは高温サウナですが、スチームサウナやミストサウナなら、低温サウナと同様の効果が得られるでしょう。

 私の入り方は、1回30分を目安にトータル2時間ほど。入って30分経ったらいったん外に出てたっぷり水分補給し、また30分入る、という具合に繰り返します。断薬の患者さんだと、毎日5時間を2、3週間続けて行う場合もあります。
 こうして悪いものを出すと同時に、いいものを入れることも重要です。
 低温サウナを続けた体は、カラカラの状態。いい油、いい塩、いい食事、いいビタミンサプリをとり、体を整えていきます。
 ただし、低温サウナは、重度の薬中毒の患者さんや放射性物質の解毒を行いたい患者さんに使用するぐらい強力な方法です。雑巾を絞るように毒を排出できる、もっとも効果的な解毒法ですが、いい物も悪い物も一緒に排出されるので注意が必要です。自分で行う場合は、必ずそのときどきの体調と相談しながら行ってください。

 『1日3食をやめなさい!』 chapter 4 より 内海聡:著 あさ出版:刊

 体内にたまった毒を抜くためのポイントは、「時間をかけて、じんわりと汗をかくこと」

 有害物質をなるべく取り入れない習慣とともに、定期的に毒を抜く習慣をつければ、大きな相乗効果が得られます。

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☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆

 子供の頃から、『健康的な生活の土台』として教えられてきた「1日3食」。
 その常識を根本からくつがえす、衝撃的な内容です。

 生活が豊かになり、食べ物が24時間365日、どこでも手に入るようになった日本。
 しかし、病気で苦しむ人は、減るどころか増える一方ですね。

 経済的に豊かになるほど、不健康になる。
 その因果関係の裏に隠されているキーワードが、“食べ過ぎ”です。

 食べ物から健康を考えるとき、私たちは、「何を食べるか」「いつ食べるか」に関心が向きがちです。 
 しかし、それ以上に大切なのは、「何を食べないか」「いつ食べないか」だということ。

 私たちもそのような観点から、食習慣を振り返ってみたいですね。

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