本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『今やる人になる40の習慣』(林修)

 お薦めの本の紹介です。
 林修先生の『今やる人になる40の習慣』です。

 林修(はやし・おさむ)先生は、予備校のカリスマ講師です。
 ご専門は「現代文」です。
 「いつやるか?今でしょ!」というセリフは、あまりにも有名ですね。

熱い気持ちが生んだ「今でしょ!」

「今でしょ!」

 この言葉は、ほとんど無意識に、自分の中の強い思いが言葉となって飛び出してきたもの。

 林先生は、この言葉通り、「今だ!」と思いが高まったときには、ためらうことなく行動に移して道を切り開いてきました。

 本書は、「今やる」熱い人になるための方法や考え方を「40の習慣」としてまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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努力は「ベクトル量」と考える

「努力は裏切らない」という言葉があります。

 この言葉そのものは、間違ってはいません。
 ただし、「正しい方向でなされた努力は裏切らない」という補足が必要です。

 努力は、単に「量」だけでなく、「方向性」をもっています。
 つまり、努力は、「ベクトル量」だということです。

 たとえば、就職活動において、エントリーシートの書き方自体に問題がある、そんなんじゃ、採用担当は評価してくれないよ、と言いたくなるようなエントリーシートを書き続けながら、送る会社を増やしたって、いい結果が出るわけはありません。
 恋愛だってそうです。君の欠点は無神経なところだ、少し相手を気遣わないと、と言われているのに、相手の都合も聞かない豪華なデートをプロデュースしたって、心を動かすことはできません。結局、なんでわかってくれないんだ、と不満をぶちまけることに。
 しかし結果を出す人は違います。まず方向を先に確かめ、これでいいと思ったらすぐ実行に移し、必要な量に達するまで努力を続けるというパターンを取ることが多いのです。
 こういう人は、この方向でいいかどうかという判断に迷いが生じた際には、ためらうことなくアドバイスを求めることができるのも特徴です。そう、ここでも「すぐ」に動くのです。逆に、先に書いたような不満をぶちまける人は、人のアドバイスをちゃんと聞かず、結局は自分の判断基準を押し通して、間違った方向での努力を続ける、当然の結果として上手くいかず、不満を抱く、これは悪循環以外の何ものでもありません。
 努力はベクトル量、だから量と方向性の両方に細心の注意を払わねばという意識をもっと強くもつ必要を感じます。まず、この方向でよいのか、もし、確信がもてなければ「すぐ」にアドバイスを求め、十分な量の努力を重ねていくのです。

 『今やる人になる40の習慣』 第1章 より 林修:著 宝島社:刊

 もちろん、結果を出すためには、努力は必要です。
 ただ努力さえすれば、結果が出るというわけではありません。

 ガムシャラに突き進むのではなく、進むべき方向を確認しつつ進む。
 そんな冷静さが大事だということです。

いつやるのか? 今でしょ!

 林先生といえば、「いつやるのか? 今でしょ!」というセリフです。
 ふざけていると思う人もいますが、そんなつもりはまったくありません。

 林先生は、人が、何かをしたい、あるいは何かをしなければ、そう思った瞬間以上に、思いが高まることはないと指摘します。

 そもそも、「今だ、今しかない!」と思いが熱く高まることは、実はそれほど多くはないのです。また、そうなったとしても、
①「熱い思い」は、なかなか持続するものではない!
②誰もが、やらなくてもいい理由、できない言い訳を探すことに関しては、豊かな才能に満ちあふれている
 という少し寂しい現実があります。だから、「今でしょ!」という思いが生じたときに、その思いのまま行動して、成功の実感を心に刻んでいかないと、その瞬間に動けない、いわば「冷めた」人になってしまうのです。もちろん、人はある程度順番を決めて物事をこなしていますから、そこに突然何かが飛び込んでくると、順番が狂ってほかに大きな影響が出かねません。しかし、たいていは何とかなるものです。何とかならないと思うのは、何とかならない理由を一生懸命探しだしたからに過ぎません。
 世の中には「熱い」と言われている元気な人が多数います。そういう人に共通しているのは、「今だ!」という熱い思いのままに行動する習慣が身についてしまっていることです。「今だ!」、いや「ムリだ」という葛藤が生じた際には、できない言い訳を探している自分がいないかどうかを確かめてください。そして「今やる」人として、熱く生きてください。たった一回の人生を冷めて生きていくのは、とても寂しいことに思われてなりません。

  『今やる人になる40の習慣』 第2章 より  林修:著  宝島社:刊

 この世界には、「過去」も「未来」も存在しません。

 あるのは、「現在」だけ。
 何かできるのは、「今」この瞬間だけです。

「何かしたい」という「熱い思い」は、長い期間、持続するものではありません。
「したい」と思ったそのときにしないと、やらないままとなります。

 出来ない言い訳を考えているくらいなら、まずはやってみる。
 そんな思い切りのよさを持って生きていきたいですね。

嫉妬心をプラスに転換できる

 周りの雑音に振り回されずに、目標に向かって進む。
 それには、「縦の視線」「横の視線」を使い分けることが大切です。

 縦の視線とは、目の前の取りくむべき仕事や勉強に注がれる視線のこと。
 横の視線とは、周囲に対して注がれる視線のこと。

 嫉妬の情に駆(か)られている人間は、実は視線の使い方に問題があるのです。もし、「縦の視線」だけで、不要な「横の視線」を発動させて、人がどうのこうのと言っているというのは、あまりにも情けないし、その姿は美しさからほど遠いのです。
 もっとも、「できる人」だってまったく嫉妬しないわけではありません。しかし、そのときの対処が上手なのです。
 もし、嫉妬している自分を見出した際には、こんなふうに考えます。今の自分は、自分のやるべきことに集中していないな、横を見てああだこうだ言っていても、何も解決しない。しっかり前を向いて、つまりは縦の視線のみを用いて、あとは努力をするだけだ、と。
 授業で受験生にいつも言うことですが、
「誰でもミスをする。そこに差はない。しかし、同じミスを二度と繰り返さないようにするためにはどうしたらよいかを工夫するにあたって決定的な差が出るんだ。優秀な人は、むしろミスが出ることを喜ぶ。なぜなら、自分が過ちを犯すポイントがわかって、その改善を図る機会を与えられたのだから」
 これはなにも受験生だけに当てはまることではないでしょう。もちろん、社会に出れば、ミスを喜ぶわけにはいきませんし、その責任の取り方は変わってくるでしょう。しかし、それでもミスから学ぶことはいつだってあるはずです。

 『今やる人になる40の習慣』 第3章 より 林修:著 宝島社:刊

 やるべきことや、目標に向かって集中して取り組まなければならいないとき。
 必要なのは、「縦の視線」です。

 周囲の雑音に惑わされずに、目標をしっかり見据えて、一歩一歩前進する必要があります。
 嫉妬心や失敗も、自分が前に進むための「追い風」として利用できます。

付き合ってはいけない人を認識している

 林先生は、「人間到るところ青山あり」という故事を取り上げています。

「人間」は「じんかん」と読み、世の中、世間という意味です。
「青山」も「せいざん」と読み、死んで骨を埋める場所という意味です。

 この故事は、『世の中には、どこだって骨を埋める場所があるのだから、故郷を離れて大いに活躍しなさい』という意味です。

 もともと世間という意味だった「人間(じんかん)」。
 それが、いつの間にか「人」そのもの、つまり「人間(にんげん)」を表すようになりました。

 林先生は、その変化の中に「人」という存在の本質が見える、と述べています。
 つまり、人は「世の中」に生きていて、人とのつながり、関わりにおいて存在している存在だということです。

 特に若いうちは、イヤな奴だと思う人間の懐に飛び込んでいく勇気が必要です。僕の経験で言っても、好きな人や一緒にいて居心地のよい人といる時間よりも、イヤな奴と一緒にいる時間のほうが、緊張感もあって得るところが大きかったように思われます。人も、食べ物も「偏食」をしないことが、成長には必要だ、ということではないでしょうか。
 それでも、こんな人からは離れたほうがよい、という人がいるのです。どんな人だと思いますか? それは、志の低い人です。こういう人といても、得られるものは何もありません。むしろ、そういう志の低さは伝染するものです。だから、退けねばならないのです。
 では、そういう「志の低い人」とはどのような人でしょうか。それは、何か心に決めた目標や目的に向かって強い意志をもたず、そのために努力をしない人のことです。この「志」という字をよく見てください。「士」(さむらい)の心、つまり武士道精神という内容が隠されているのです。現代という時代に欠けているのは、こういう志なのかもしれません。
 ただ、離れられればいいのですが、実際には不可能の場合も多いでしょう。たとえば志の低い上司の下で仕えなければならない、といった場合です。そういう時は、自分に「志の低さ」がうつらないようにしながら、どういう点がいけないのかを反面教師として学ぶ、いわば、修行の時間と割りきって、次の飛躍を目指してほしいと思います。

 『今やる人になる40の習慣』 第3章 より 林修:著 宝島社:刊

 気心の知れた人、気の合う人とだけ付き合う。
 それでは、考え方も狭く偏ったものになります。

 色々な人と交流し、いいところも悪いところも学んで、人間の幅を広げていく。
 そんな高い志は、忘れないようにしたいですね。

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 私たちの存在する世界には、「今」という時間しか存在しません。

「今」やるか、やらないか。
 突き詰めれば、何ごとも、そのどちらかしか選択できません。

 振り返ると、いたずらに時間をムダにしていることが多いことに気が付きます。

 やりたいことは、即実行。
 できない言い訳を考えない。

「いつやるのか?今でしょ!」

 その精神を忘れずに、有意義な人生を送りたいですね。

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