本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『自分の限界を超える方法』(高畑好秀)

 お薦めの本の紹介です。
 高畑好秀さんの『一流だけが知っている自分の限界を超える方法』です。

 高畑好秀(たかはた・よしひで)さん(@spokon)は、メンタルトレーナーです。
 20年間にわたり、数多くのプロ野球、Jリーグなどのプロスポーツ選手やオリンピック選手などのトップアスリート2000人のメンタルトレーニング指導をされるなど、第一人者としてご活躍中です。

一流になるためには「正しく負ける」こと

 一流の人とそうでない人を分ける決定的な違い。
 それは、才能、努力、環境のいずれでもありません。

 高畑さんは、これらがすべてそろっていたとしても、「ある要素」が欠けていれば決して一流になれないと指摘します。

 ある要素とは、「負けること」です。

 確実に勝てる勝負ばかり選ばずに、五分五分の真剣勝負に果敢に挑む。
 負けることを怖れない。

 一流の人は、そうして自分の限界を超えいきます。

 高畑さんは、一流になるためには「正しく負ける」ことが大切だと強調します。

「正しく負ける」というマインドをもつことで、人は日々強くなり、眠っていた才能が開花します。
 
 本書は、正しく負けることで「自分の限界を超える」考え方やアイデアを、具体的な実例を挙げてわかりやすくまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「勝って当然」の勝負ばかりしていないか

 近年、日本では野球やサッカー、その他のスポーツでも、「一流」と言われる選手が、世界の舞台に飛び出していく傾向が強まっています。

 あえて自分より実力が上の選手たちとの戦いに挑んでいく姿勢。

 高畑さんは、そんな彼らについて、ある意味で「負け」を求めているとも言えると述べています。

 勉強でも、足し算ばかり解いていては楽しくない。足し算が完璧にできるようになったら、かけ算や割り算などよりむずかしい問題に挑戦したくなるはずです。
 人は、飽きる生き物です。
 たとえば、発奮して高価なブランドバッグを買ってきてからしばらくは、大事に使います。しかし、数年たてばキズがついても気にならなかったり、タンスの肥やしになったりします。心理学ではこれを「心的飽和」と言いますが、繰り返される快適な刺激はやがて大したものとは感じられなくなり、飽きてしまうのです。
 勝ち続けることにさえ飽きてしまいます。レベルが低いところで勝負をしていても、満足感は得られないのです。
 好きだからこそ、ここがマックスだと思いたくない。むずかしいことに挑戦したい。もっと負けたい!と思うのです。
 高いレベルで戦えば、当然、負けるリスクは高くなります。
 しかし、あえてレベルを上げることで、歯が立たない自分を感じてみたい。どこかで負けを求めているのです。
 そうして勝ったり負けたりする中で、自然とレベルが上がっていき、自分の限界を超えることができるのではないでしょうか。

  『自分の限界を超える方法』 第1章 より  高畑好秀:著  中経出版:刊

 人は勝ち続けることにさえ飽きてしまう生き物ということ。
 やる前から結果が読めてしまう勝負ほど、つまらないものはありませんね。

「負けて悔しい」という気持ちが、眠っていた闘争心に火をつけ、自分の潜在能力を引き出します。

 より高いレベルの勝負に挑むことを怖れない。
「負けること」を喜んで受け入れる。

 そんなメンタリティを、持ち続けたいですね。

「他人ありき」ではなく「自分ありき」の人生

 多くの一流アスリートを身近に接してきた、高畑さんが実感していること。
 それは、本当に大事なのは、お金を求める生き方よりも、好きな仕事(スポーツ)に没頭する生き方だということです。

 真摯(しんし)に仕事に取り組み、納得のいく仕事をしていれば、まわりの人はその価値を理解し、評価してくれるはずです。それで十分、幸せではないですか?
 一流と言われるスポーツ選手達は、結果的に高い年俸を稼ぐ人も多いですが、お金に最大の価値を置いている人には会ったことがありません。好きなスポーツを続けることに一番の価値を置いているのです。
 ものを買って得られる満足は一瞬にすぎません。しかし、好きなこと没頭することで得られる満足は、過去から未来へとずっと続いていきます。
 重要なのは、お金を稼げるかどうかではなく、世間のイメージに惑わされないで自分の価値観を貫くこと。
 他人の目ばかりを意識した「他人ありき」の人生ではなく、世間から切り離し、「自分は何をしたら幸せか」を追求した生き方をすること。つまり、「自分ありき」の人生を送ることです。

  『自分の限界を超える方法』 第2章 より  高畑好秀:著  中経出版:刊

 プロスポーツの世界は、「お金を稼ぎたいから」という理由だけでは、とても生き残ることができないくらい厳しい世界です。

 そのような環境でも、「好きなことを続けることができる幸せ」を感じ続けられること。
 それが、さらに上のレベルの選手になるための秘訣ですね。

自分らしい個性を磨くことに徹する

 誰もが、失敗して恥をかくことを怖れて、挑戦することに二の足を踏んでしまいます。
 自分の人生ではなく、他人のための人生を生きようと考えているからです。

 高畑さんは、自分が自分を評価できるような納得できる人生を送ることを勧めています。

 人をうらやむなら、自分にしかないものを探してみましょう。
 人を妬むくらいなら、自分の魅力を輝かせてみましょう。
 人の足を引っ張るくらいなら、自分自身を高めるように全力で生きましょう。
 他人に意識を向けるのではなく、自分に意識を向ける。比較するなら他人とではなく、ほんの少しでも自分が自分自身を超えていくように、自分の成長や進化に意識を向けるのです。そういう人だけが自分の限界を超えて、成長していくことができるのです。
 他人と比較して無力感にとらわれたり、人の足を引っ張ったりするヒマがあるなら、自分らしい個性を磨き、その個性を活かしていくことを考えたほうが、はるかに幸せな一流の人生だと思います。

  『自分の限界を超える方法』 第3章 より  高畑好秀:著  中経出版:刊

 周囲の人と自分を比べて、ないものねだりをしてもどうにもなりません。

 周囲を気にせずに、自分自身に意識を向けること。
 自分自身の長所や魅力は何なのか。
 それをしっかり把握して、それを磨く努力をしていきたいですね。

「自信」は、日々の生き方の積み重ねから生まれる

 高畑さんは、「自信は日々の生き方の積み重ねの中から生まれてくる」と指摘します。

 いつ勝負をしても全力を出せるように、つねに「準備」をしておく。
 そうした毎日の積み重ねの中から自信が芽を出します。

 最近では、多くの一流スポーツ選手が、準備の大切さを口にするようになりました。

 本番に臨むために、しっかりとした準備が大切になるのは当然のことです。
 しかし、彼らが言う「準備」は本番直前にする準備ではありません。
 毎日、毎日、自分の中にある引き出しの数を増やしていく。それこそが本当の準備ではないでしょうか。
 直前にいくら慌てて準備しようとしても限界はありますし、そもそもそんなに慌てて準備したものなど、自分のものにはなっていません。借り物の単なる寄せ集めにすぎないのです。
 テストのために一夜漬けで勉強をしても、少しは点数が上がるかもしれませんが、それだけです。すぐに忘れてしまいます。
 普段から、勉強をしている人は、引き出しがたくさんできていきます。引き出しが無限にある人は、直前でも何ひとつとして特別な準備などいらないのです。すべてが自分の血となり肉となっているからです。
 本当の準備とはそのようなもので、日々地道に積み重ねていくものなのだと思います。準備という言葉を短絡的にとらえてしまうと、下手をすると逆に大失敗を招いてしまう可能性もあるのです。

  『自分の限界を超える方法』 第4章 より  高畑好秀:著  中経出版:刊

 練習でできていないこと、やったことがないことは、本番でもうまくいくことはありません。

 日々の練習から本番を意識したトレーニングを積む。
 そうすることで自信がつき、いつも通りの精神状態で本番に臨むことができます。

 本番で緊張するのは、自分の実力以上のものを出そうとするから。
 普段の練習以上にうまくやろうと思うからです。

 どんな状況にも対応できるよう「引き出し」をたくさん作っておく。
 そんな準備を日頃から怠らないようにしたいですね。 

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 人はどうしても失敗することを怖れ、リスクを避けてしまう傾向があります。
 負けることを怖れなくなれば、勇気を持って前に進むことができるようになります。

 勝負をしなければ、負けることはありません。
 しかし、それは単に勝つチャンスを失っているだけでなく、負ける経験から学ぶチャンスを失っていることになります。

 目先の「勝ち負け」よりも、「自分の成長」。
 より大きな視点から、自分の人生を考えていきたいですね。

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