本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『人生を思うように変える呼吸法』(パム・グラウト)

 お薦めの本の紹介です。
 パム・グラウトさんの『人生を思うように変える呼吸法』です。

 パム・グラウト(Pam Grout)さんは、米国のベストセラー作家です。
 これまで数多くの著書や有名雑誌への寄稿をされています。

人生が変わる鍵は「呼吸法」にあり!

 口にした食べ物や飲み物をエネルギーに化学変化させる。
 不要な細胞を燃やし、老廃物を無理なく排出させる。
 細胞を修復し、脳を働かせ、神経を鎮める。

 私たちの体の中で、それらの重要な働きを担っている物質が、「酸素」です。
 酸素は、脂肪を燃やすガソリンで、すべてのエネルギーの素で、体の中をうまく機能させるためのエンジン・キー

 酸素を取り込むために私たちが行なっているのが、「呼吸」ですね。
 私たちは、呼吸を意識することなく、生活を続けています。

 実のところ、私たちの多くは医師いわく、“酸欠”の状態である。つまり肺が本来取り込める酸素量の5分の1から4分の1程度しか取り込んでいないのだ。これは大きな問題だ。栄養を取り込み、エネルギーを生み出し、すべてを司(つかさど)る発電機の役割を必死で果たそうとしている細胞にとっては死活問題だ。
 十分に酸素を取り込まないと、細胞は窒息してしまう。首に縄を巻かれたようなもので、本来の役目を果たすのをほぼ不可能にされているようなものだ。これでは、どれだけがんばっても細胞は栄養を生み出せず、疲弊して老廃物が溜まってしまい、結果的に人間はエネルギー不足になる。
 酸素が不足していると、大げさではなく潜在能力の5分の1で活動することになる。体の働きは鈍り、体重が増え、変化に対していっそう頑(かたく)なになる。
 もう一つの驚くべき事実は、90パーセントもの人間が何らかの形で酸欠状態ということだ。10人のうち9人は十分な酸素を取り込んでいないのだ。
 平均的な両肺は、およそ8リットルの空気を保持できるのに、ほとんどの人びとはわずか1〜1.5リットルで妥協してしまっている。日に日に太っていくのも無理はない。
 あなたがそういった人なら、今ごろ鼻で笑っているだろう。そうでなければ頭をかきむしって、こんなふうに考えているはずだ。「つまり、痩せたかったら呼吸法を変えろとということ? 運動やサプリメントが効かなかったのに、こんなに単純なことでうまくいくの?」
 答えはイエスだ。もっとも奥が深い心理こそ、往々にしてもっとも単純なものだ。

 『人生を思うように変える呼吸法』 第1部 1 より パム・グラウト:著 小林玲子:訳 宝島社:刊

 私たちは、肺の最大容量の4分の1も、酸素を取り込めていないというのは驚きですね。
 取り込む酸素の量を増やし、体の隅々まで酸素を行き渡らすことで、多くのメリットを得ることができます。

 正しい呼吸法は、まさに、“人生を変える魔法”。

 本書は、呼吸が体と心に与える影響を解説し、正しい呼吸法を身につける方法をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「腹式呼吸」のやり方

 グラウトさんは、呼吸法の基本、「腹式呼吸」のやり方を、以下のように説明しています。

 呼吸法には数えきれないほど種類があるが、私たちはだいたい胸式(きょうしき)呼吸か腹式(ふくしき)呼吸のどちらかをしている。胸式呼吸は効果が薄く、腹式呼吸に比べて1分間により多くの回数、呼吸することが求められる。それが心臓に負担をかけ、血圧が上がる原因になり、神経系統も「赤信号」の状態に置かれる。そこで先へ進む前に腹式呼吸のコツをつかんでおこう。それがこの本のすべての土台だ。
 まずは仰向けになってリラックスしてみよう。
 肋骨(ろっこつ)のちょうど下あたり、お腹の上に本を1冊置く。ゆっくりと、鼻から深く息を吸い込み、お腹を風船のようにふくらませる。息を吸うたびに本が上昇するのを感じよう。
 次にゆっくりと鼻から息を吐いて、お腹がへこむのを感じよう。空気が追い出され、本が下降するはずだ。
 さあ、どうだろう? いい気分ではないだろうか。
 胸で呼吸するのが癖になっていると、最初は腹式呼吸に違和感を覚えるかもしれない。コントロール不能だとさえ感じるかもしれない。でも危険はないし、違和感もすぐになくなる。
 ずっと右手で歯を磨いてきたのに、左手で磨く練習をするようなものだ。コツをつかむにはしばらくかかる。
 暇さえあれば練習しよう。仰向けにならなくてもいいし、スーパーへ行く車の中でもできる。深く、リズミカルにお腹で息を吸うことに集中し、そのたびにお腹がふくらむのを感じよう。吸うときより吐くときのほうが少しだけ長くなるようにすると、体から老廃物が出せる。
 そのうち深い腹式呼吸がすっかり板につき、一呼吸ずつが深くなるだろう。すべての呼吸が飢えていた細胞に自然と酸素を供給するのだ。あなたの体内の細胞たちはすっかり機嫌をよくして、パーティでも始めるかもしれない!  できるだけひんぱんに、自分の呼吸を見直そう。お腹まで深く息を吸うこと。最初は変化を感じられないかもしれないが、やがてお腹がふくらむようになり、肋骨が広がるのがわかるようになる。意識して呼吸ができ、それがどう毎日に影響するか実感できる。呼吸の単純さに惑わされないようにしよう。

 『人生を思うように変える呼吸法』 第1部 1 より パム・グラウト:著 小林玲子:訳 宝島社:刊

 今まで、何十年と欠かさなかった呼吸のやり方を変えるのは、大変です。
 逆にいうと、一度、正しいやり方を身につけさえすれば、一生ものの宝物になります。

「お腹まで深く息を吸うこと」
 普段から意識したいでね。

「息をすること」の優先順位を引き上げる

 呼吸は、私たちの「心の状態」と密接に結びついています。
 呼吸をゆっくり、深くすることで、感情を落ち着いた状態に保つことができます。

 人間は肉体的、精神的な状態が変化すると、それにつられて呼吸も変わる。反対に呼吸のパターンが変われば感情も左右される。ちょっと試してみてほしい。背すじを伸ばして座り、両肩と鎖骨を上げ、体を前に倒して、呼吸してみよう。少し怖い感じがしなかっただろうか?  呼吸と感情が深くかかわっているのは明らかである。それは何千年も昔から知られていることで、世界中の病院や心理学の研究室で毎日のように再確認されていることなのだ。
 ささいな気分の変化も呼吸に反映される。世の中にはボディランゲージについて、また相手の姿勢から何を感じているか察する技術について、何十冊も本が出ているが、感情を読み取るのにもっと適しているのが呼吸のパターンだ。神経言語学の講座において、心理学者たちは信頼関係を築きたい相手の呼吸のパターンをまねるよう指導する。つまり、気になる相手を誘惑したり、上司を感心させたりしたいときは、相手の呼吸のパターンに耳を澄ませ、細心の注意を払ってなぞればいいのだ。人間は誰でも「指紋」ならぬ「呼気指紋(こきしもん)」を持っているのだ。
 残念なことに多くの人びとは「呼気指紋」に対してまったく無関心だ。呼吸は無意識でもできるから、「やることリスト」での優先順位は足の爪を切るのと同じくらい低い。そして無意識だから、息を吸うときにお腹がへこみ、吐くときにふくらむ「逆呼吸」をしていることにも気づかない。このことはかの有名なテノール歌手、ルチアーノ・パヴァロッティがよく言っていた。
 平均的な人間に、深呼吸をするようお願いしてみてほしい。仮にその人が訓練された一流のアスリートだとしても、お腹を引っ込め、胸を突き出して、おそらくはウォーターゲート事件の最中のニクソン大統領のように、肩を耳までいからせるのではないか。大半の人間は深い呼吸をしない。ごく小さく、浅く、弱い呼吸で満足してしまうのだ。それでも呼吸はできるが、肺を奥まで使わずにいると自分の精神的、肉体的な能力を十分に発揮できず、もっと言えば人生をフルに生きないことになってしまう。もちろん体重も増える。
 世の中の10人のうち9人は呼吸が足りていないが、あなたもご多分にもれないと言われたら? あなたは「なぜ、自分が?」とひどく混乱するのではないか。
 窓から飛び降りたくなるほどのパニックを起こす前に、呼吸は修正できることを知っておこう。注意を払って、息をすることの優先順位を引き上げるだけでいい。息をするのと足の爪を切るのとを同列に扱うのをやめ、食べたり寝たりするのと同じように見なすのだ。呼吸にはそれだけの価値がある。
 どんなときであれ、呼吸が途切れることはない。うまくいけば呼吸はゆったりと深くなり、落ち着いたリズムで肺に空気を送り込む。反対の場合、呼吸は浅くなり、犬がはあはあと息をしているようになってしまう。
 人びとがきちんと呼吸をしないのにはそれぞれ理由がある。呼気指紋と同じくらい、あなただけの事情もあるのだろう。

 『人生を思うように変える呼吸法』 第1部 4 より パム・グラウト:著 小林玲子:訳 宝島社:刊

 呼吸は、生きている限り、誰もが欠かさずしていること。
 あまりに自然に、つねにしていることなので、呼吸を意識して生活することはほとんどないです。

 イライラしやすい、怒りっぽい、落ち込みやすい。
 そんな人たちは、呼吸に原因があるのかもしれません。

 一度、自分がどんな息をしているのか、振り返ってみるのも大切ですね。

「老廃物の70%」は、呼吸を通して排出される

 呼吸が浅いと、体の中では、いくつもの大きな問題が起こります。
 グラウトさんは、一番大きな問題は、毒素が溜まることだと述べています。

(前略)いろいろなゴミが溜まってしまい、消化のペースは遅くなるし、そのうちがんや心臓病、そのほかあまり考えたくない事態がいろいろと起きてしまう。
 二酸化炭素や死んだ細胞といったゴミは処分しなければならない。老廃物の70パーセントは呼吸を通して外に出されるので(残りの排出のルートは腸と膀胱だ)、酸欠状態を放っておくとゴミが溜まってしまう。
 溜まった毒素は脂肪に変わる。排出が追いつかなければ、毒素はどこかに溜めておかなければいけない。人間の体は魔法の知恵をたくさん備えていて、大事な臓器の中や近くにゴミを溜めようとはしない――もちろん可能なかぎりだけれど。では、ゴミはどこに行くのだろう? 答えは太ももやお尻、腰や上腕部、そのほかの部分にある脂肪組織の中だ。
 この問題を放置しておくと、最終的には肥満だけではなく、全身のだるさや、命にかかわる倦怠感さえ起こってしまう。持てるエネルギーのすべてが毒素の排出に使われてしまうからだ階段をのぼりおりするエクササイズをするには疲れすぎているし、テレビのチャンネルを替えるのさえおっくうなのは当然だろう。リモコンに感謝しなければいけない。
 毒素が溜まった今の状態では、トイレに行くだけで巨大な象をまたいで入るようなものだろう。象がインドやアフリカといった本来の土地に帰ってくれたら、もっと早くトイレに行けるのに。
 それだけではなく、血液の化学反応がおかしくなるのだ。毒素は酸性なので、酸とアルカリのシーソーが酸のほうに傾き、体に水分が溜まってしまう。たっぷりの水は、酸を中和するのに使われる。こうなることでもちろん体重は増えるし、全身がむくんでしまう。すると人間はますます胸の上のほうで呼吸するようになり、酸欠状態がいっそう進む。それは果てしなく続く。でも毒素を排除すれば、再び栄養の生成が始まる。
 酸素が足りずにもう一つ起きる大問題は、細胞が脂肪を燃やす役割を放棄して、脂肪を溜める倉庫になってしまうことだ。体重を落としたいと思っている人間にとっては大きな悩みだろうが、それ自体は体の知恵の深さを示している。
 簡単に言えば、細胞は超優秀な工程管理のスペシャリストなのだ。あるものだけでどうしたらベストの成果が出せるのか知っている。酸素が足りないのなら代謝のシステムを変えて、脂肪を燃やさないようにするのは当然だ。脂肪を燃やすにはたくさんの酸素が必要だ。体に酸素が行き渡っていないのなら、肥満細胞を作るのが理に適(かな)っているだろう。それにある酸素を貯められるのだ。
 脂肪を燃やす機能のある細胞に酸素を与えないのは、薪をぎっしり積み上げるのと同じだ。火はぱちぱちと燃えたあと、すぐに消えてしまう。あるいはエネルギーをセーブするモードに切り替わる。
 体のしくみがわかったのだから、正しい呼吸を学ぶ重要性もわかっただろう。もうすでに最大限のレベルで呼吸をしているなら、まいったと両手を上げる必要はない。でもあなたはおそらく本来の力の5分の1でしか呼吸をしていないのだから、大きな希望がある。
 体のシステムを浄化して体重を落とすためにやらなければいけないのは、もっといい呼吸をすることだけだ。

 『人生を思うように変える呼吸法』 第1部 8 より パム・グラウト:著 小林玲子:訳 宝島社:刊

 私たちが活動することで生じる“ゴミ”を処分する役割を持っているのが「酸素」です。

「酸化」という化学反応により、文字通り、不要になったものを「燃やす」ための“燃料”になります。

 もし、溜まった毒素を燃やす“燃料”が足りないと、体の中でどのようなことが起こるか。
 容易に想像がつきますね。

早口言葉呼吸法

 グラウトさんは、正しい呼吸法をマスターするためのエクササイズを数多く紹介しています。
 その中のひとつが、「早口言葉呼吸法」です。

 私が知るかぎり、この呼吸法は体に酸素を満たし、エネルギーのレベルを上げ、体重を減らすのに絶大な効果がある。
 1日に3回、10回ずつ試すだけで人生ががらりと変わる。体重は落ちるし、頭は天才的に働くようになるし、自分の本を書きたいと思うようになる。方法は次のとおりだ。

  1. 立ち上がってこう言うこと。「私は最高!」――ただ声に出すのではなく、体でも表現しよう。体は心の声をよく反映するのだ
  2. ゆっくりと腹式呼吸(上記を参照)をし、鼻から息を吸い込む
  3. 空気を体の中に閉じ込めて、吸ったときの4倍そのままにしている。たとえば4カウントかけて吸ったら、16カウント息を止める
  4. 吸ったときの2倍の時間をかけて口から吐く。4カウントかけて吸った場合、8カウントかけて吐くことになる

 割合はいつも1対4対2だ。たとえば5カウントかけて吸ったら、20カウント息を止めて(5×4)、10カウントかけて息を吐く(5×2)。3カウントだとしたら12カウント止めて、6カウントかけて吐く――おわかりいただけただろうか。
 しばらくしたら、肺活量が増えていることに気がつくだろう。はじめは息を吸おうとしても3カウントしかもたないかもしれない。それがそのうち8カウントや10カウント、もしかしたらそれ以上になるかもしれないのだ。人間の肺は筋肉なので、使えば使うほど鍛えられる。
 なぜ空気を体の中に閉じ込めるかというと、健康になるエネルギーが細胞に行き渡るからだ。いつもより時間をかけて息を吐くと、毒素が絞り出される。
 どうせやるなら楽しくやったほうがいい。というわけで、ちょっと手直ししてみた。
 数字を忘れよう。7カウントを何度も数えるのが楽しいだろうか? 頭の中で「ナマムギ、ナマゴメ、ナマタマゴ」と言いながら、その間息を吸うのだ。
 それから息を止めて、「ナマムギ、ナマゴメ、ナマタマゴ。ナマムギ、ナマゴメ、ナマタマゴ。ナマムギ、ナマゴメ、ナマタマゴ。ナマムギ、ナマゴメ、ナマタマゴ!」と頭の中で繰り返す。次は息を吐きながら「ナマムギ、ナマゴメ、ナマタマゴ。ナマムギ、ナマゴメ、ナマタマゴ」だ。
 これを10セット、1日に3回行おう。
 早口言葉に飽きたら、自分でマントラを作ってもいい。「私はスリム、私を見て」とか「うらやましいでしょ、私は美人」とか。クリエイティブになって楽しもう。
 ただし、できるかぎり息を長く吸い込むこと。鼻から吸って口から吐く。体に力を入れてはいけない。たっぷりと緊張の和らぐ、気持ちのいい呼吸をするのだ。
 この呼吸はアンソニー・ロビンズから習った。これ一つで人生が変わったと彼は言う。1日3回忘れないように行おう。食後すぐやるのが特に効果的だ。代謝は食事のあとに仕事が増えて、活発になるのだから当然だろう。体内に多めに酸素を与えることで、代謝のスピードは何倍にもなる。

 『人生を思うように変える呼吸法』 第2部 11 より パム・グラウト:著 小林玲子:訳 宝島社:刊

 肺に息を送り込むのは、お腹や肺の筋肉です。
 今まで使わずに衰えた筋肉をいかに鍛えるかがポイント。とにかく訓練です。

 場所や時間を選ばず、すぐに実践できるのが呼吸法のいいところ。
 毎日欠かさずに続けたいですね。

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 私たちの生活に欠かすことができない「呼吸」。
 毎日、自然にしていることなので、ほとんど意識することがない人も多いでしょう。

 呼吸の役割は、「体に酸素を取り入れて、二酸化炭素を取り除くこと」
 つまり、体の中の不要なもの(毒素や老廃物)を燃やし、燃えカスを体の外に出すという行為です。

 一度、呼吸が担っている重要な働きとそのメカニズムを知ると、呼吸をおろそかにすることはなくなります。

 正しい呼吸は、人の体と心を本来あるべき姿に戻してくれます。
 一度、身につければ、一生ものの「呼吸法」。
 マスターして、思い通りの人生を歩んでいきたいですね。


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