本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『ゆるめる力 骨ストレッチ』(松村卓)

 お薦めの本の紹介です。
 松村卓先生の『ゆるめる力 骨ストレッチ』です。

 松村卓(まつむら・たかし)先生は、スポーツトレーナーです。

「骨(コツ)」をつかむと体も心もラクになる

 松村先生は、体が無駄なくスムーズに動くためには、「筋力の強さ」よりも「骨の動き」が重要だと強調します。
 骨の動きの重要性に気づいたきっかけは、「古武術」との出会いでした。

 古武術を通して知ったのは、日本に古くから伝わる体の使い方。それは、これまでの競技生活で身につけてきたトレーニング内容とは大きく異なり、「筋力」よりも「骨」の動きを重視したものでした。
 骨の動き? ピンと来ない方がいても仕方ありません。
 詳しくはこの本のなかでじっくりとお伝えしていきますが、骨を意識して使えるようになると、体の動きが見違えるように変化します。ケガをしにくくなり、少々のことでは疲れない持久力も身につきます。
 そう。コツをつかむの「コツ」とは、実は「骨」にほかならなかったのです。
 そのことに気づいたとき、これまでの常識が180度ひっくり返るくらいのショックを受けたのを覚えています。以後、それまでのトレーニングをいったん忘れ、体の使い方を一から見直していく、新たの探求が始まりました。
 その結果生まれたのが、体のコリや痛みをとり、心地よく動ける体をつくりだす「骨ストレッチ」なのです。

『ゆるめる力 骨ストレッチ』 第1章 より 松村卓:著 文藝春秋:刊

 本書は、松村流「骨ストレッチ」をわかりやすく解説し、「心地よく動ける体」を手に入れる具体的な方法をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「親指」と「小指」で押さえるのがコツ

 松村先生が開発した「骨ストレッチ」には、基本のポーズとメソッドがあります。

 まずは基本のメソッドから紹介していきましょう。
 両手の親指を使って、次のようなポーズをつくってください(下図1を参照)。

【基本ポーズ】

  1. 片方の手の親指と小指をつないで輪をつくる。
  2. もう片方の手の親指と小指で、手首の両側のグリグリした部分を押さえる。

 ちょっと変わっていますが、これで骨ストレッチの基本ポーズは完成! そのまま次の「手首ブラブラ」と呼ばれるメソッドを行ってみましょう(下図2を参照)。

【手首ブラブラ】

  1. 骨ストレッチの「基本ポーズ」をつくり、腕をお臍(へそ)の前に出す
  2. 押さえられたほうの手首を左右にブラブラと振る。

 この「手首ブラブラ」をリラックスした状態で7回ほど繰り返したら、腕をグルグルとまわしてください。
 普段よりもずっと腕がまわりませんか?
 手首をブラブラさせているだけなのに肩の一帯がほぐれ、滑らかに動くことにきっと驚かれるでしょう。
(中略)
 こうした「手首ブラブラ」の効果は、通常の手をブラブラさせる運動と比較するとより実感しやすくなります。
 運動前のウォーミングアップで手をブラブラさせている人も多いですが、ブラブラさせた後に腕をまわしてみると、かえって腕が重くなっていることに気づかされるはずです。
 しっかりほぐしたつもりなのになぜ? 他のストレッチにも言えることですが、手をブラブラさせたり、腕を伸ばしたり・・・・・そうやってほぐされるのは、「体の一部分」でしかありません。
 私たちの体は、腕、脚、頭、胴体・・・・どれも単独で動いているのではありません。それぞれが連動しながら、立ったり、座ったり、歩いたり、走ったり、様々な動作を生み出しています。
 バラバラではなく、すべてつながっているのです。
 体の一部だけを伸ばしたり、ほぐしたりしても、こうしたつながりが活かせなければスムーズな動きにはなりません。体全体のバランスが崩れ、かえって自然な動きが妨げられてしまうのです。
 体のコリや痛みを取り除き、自然な動きを取り戻すには、まずは体のパーツをつなげていく必要があります。
 そこでカギを握るのが「骨」なのです。滑らかな体の動きは、骨をうまく連動させることで初めて実現するのです。
 先ほどの「手首ブラブラ」を思い出してください。
 親指と小指で手首を押さえてブラブラさせると、腕から肩にかけての一帯も一緒に動き出すのが感じられたはずです。
 試しに、鏡の前で「手首ブラブラ」を行ってみてください。ブラブラと振るほどに、肩が下がっていくことに気づくでしょう。パートナーと向い合って確認すると、お互いの肩の変化がよくわかるはずです。
 手首をブラブラさせているだけなのに、肩が勝手にほぐれていく。つまり、骨を押さえることで刺激が肩の一帯にまで伝わっていき、こわばりを効果的にほぐしてくれるのです。

 『ゆるめる力 骨ストレッチ』 第1章 より 松村卓:著 文藝春秋:刊

基本ポーズ をつくってみよう① 巻頭 P8 基本ポーズ をつくってみよう② 巻頭 P9
  図1.基本ポーズをつくってみよう (『ゆるめる力 骨ストレッチ』 巻頭 より抜粋)

手首ブラブラ 巻頭 P11
図2.手首ブラブラ (『ゆるめる力 骨ストレッチ』 巻頭 より抜粋)

 親指と小指で反対側の手首をつかむ。
 思うように力が入らないので、最初は、難しく感じるかもしれません。

 肩の力を抜くためには、この「力の入らなさ」が重要です。
 何度も試して、コツをつかみたいですね。

「ダブルT」で立ち方が一変する

 松村先生は、心地よい立ち方を身につけるには、重力をうまく利用する必要があると述べています。
 そのような立ち方を身につける方法が、「ダブルT」の立ち方です(下図3を参照)。

【ダブルTの立ち方】

  1. 「T」の字を書いた紙を2枚用意し、床に並べる。
  2. 両脚を紙の上に乗せ、Tの縦のラインに足の中指を、横のラインにくるぶしの両側を合わせて立つ。

 Tの字を書いた紙を2枚並べて立つことから、私は「ダブルTの立ち方」と名づけていますが、そのポイントは縦のライン(中指)と横のライン(両くるぶし)の交点にある重心点です。
「ダブルT」で立つと体の重さが重心点にかかるため、無駄な筋力に頼らず、最小限の力で楽に立つことができます。
 これが、よく言われている力の抜けた「自然体」の状態なのです。
 余計な力の抜けたリラックスした状態なので、あらゆることにすぐに対応できるしなやかさが身につくはずです。

 『ゆるめる力 骨ストレッチ』 第2章 より 松村卓:著 文藝春秋:刊

ダブルT 巻頭 P19
図3.「ダブルT」の立ち方 (『ゆるめる力 骨ストレッチ』 巻頭 より抜粋)

 実際に、「T」の字を書いた紙の上に立ってみると、普段の立ち方との力の入り具合の違いに驚かされます。
 足に無駄な力が入らないので、外からの圧力も受け流せる。
 結果、安定した立ち姿勢をキープできるということですね。

ストレスに効く“究極のマッサージ”

 松村先生は、本書の中で、様々な「ほぐしのメソッド」を挙げています。
 その中の一つが、「烏口突起ほぐし」です。

 まずおすすめしたいのが、肩の付け根の出っ張った一帯を強く押すようにマッサージする「烏口突起(うこうとっき)ほぐし」です(下図4を参照)。

【烏口突起ほぐし】

  1. 烏口突起に指先を当てて、強く押すようにマッサージをする。
  2. 肩の付け根や鎖骨の近くまで範囲を広げ、痛みを感じる場所を重点的にほぐしていく。

 烏口突起は上腕と鎖骨をつなぐ場所にあり、ストレスがたまると痛みが出やすいことで知られています。
 ここを指先で強めにマッサージするだけで肩のコリがほぐれ、滑らかに腕がまわるようになります。
 肩や首のコリもとれて、ストレスケアにもなりますから、こまめにもむといいでしょう。ちょっと疲れている時などは、文字通り、「肩の荷を下ろす」ことができます。

 『ゆるめる力 骨ストレッチ』 第3章 より 松村卓:著 文藝春秋:刊

烏口突起ほぐし 巻頭 P29
図4.烏口突起ほぐし (『ゆるめる力 骨ストレッチ』 巻頭 より抜粋)

 肩や首のコリをほぐし、ストレスケアにもなる。
 まさに、一石二鳥のほぐしメソッド。ぜひ、試してみたいですね。

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「体を鍛える」というと、私たち体幹トレーニングなどを連想し、筋肉を強化することに意識がいきがちです。
 しかし、いくら筋力がついて、パワーがついても、体全体が硬くなって、動きがぎこちなくなってしまっては、意味がありませんね。

 松村先生の「骨ストレッチ」の発想は、まったく逆です。
 筋肉の力を抜くことで、骨の動きをスムーズにし、より少ない労力で体を動かせるようにしようというもの。
 大切なのは、いかに骨の動きを滑らかに連動させるかです。

「骨」は「コツ」。
 まずは、実践して慣れることからですね。
 毎日の習慣にして、「骨ストレッチ」で、疲れ知らずの体を手に入れましょう!



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