本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『とっさのしぐさで本音を見抜く』(トルステン・ハーフェナー)

 お薦めの本の紹介です。
 トルステン・ハーフェナーさんの『とっさのしぐさで本音を見抜く』です。

 トルステン・ハーフェナー(Thorsten Havener)さんは、世界的に有名なマインド・リーダーです。
 ステージショーの他、講演会やセミナーを開催し、テレビやラジオにも多数出演し、絶大な人気を誇っています。

「しぐさ」が読めれば、人生はスムーズにうまくいく!

 日常の生活において、しぐさなどの「身体言語」が、言葉以上に重要となる場面は多いです。
 ハーフェナーさんは、身体言語の正しい扱い方を得ていれば、人生はもっとスムーズにうまくいくと述べています。

 身体言語の活用法をマスターすれば、あなたは世界中のあらゆる場所で人々と本音と無意識のシグナルを読み解くことができるようになる。それだけではない。あなた自身のことも、周囲からよりよく理解してもらえるようになるだろう。人生において、それがプラスにならない場面などないはずだ。
 周りの人々と上手につきあうことは、これからの世の中で、ますます重要になっていく。他人に共感し、意識的にコミュニケーションできれば、僕たちはよりスムーズに目的を達成し、より幸せな人生を送ることができる。
 そのための鍵となるのが、良好な人間関係だ。自分の考えをうまく伝えられず、周りの人のことも理解できない――そうした状況では、どんなに高度な専門知識があっても役には立たないだろう。
 たとえば、異性の本心を見ぬくことができれば、あなたは大好きな人を高確率で射止めることができるようになるだろう。恋人や結婚相手の本音がわからなければ、肝心なところですれ違い、心が離れてしまいかねない。
 また、職場で同僚とわかり合えなければ、最悪の場合、いじめや人間関係のいざこざが起こってしまう。相手が本当に望んでいることや隠された本音がわかれば、ビジネスの場では有利に物事を動かすことができるようになるだろう。
 人生を豊かにするために必要なのが、「しぐさ」から相手の心を読む技術――「ボディー・リーディング」だ。
 本書を使えば、あなたも今日から「しぐさ」で人の心が読めるようになるのた。

 『とっさのしぐさで本音を見抜く』 はじめに より トルステン・ハーフェナー:著 柴田さとみ:訳 サンマーク出版:刊

 本書は、ボディー・リーディングにより、「しぐさ」から相手の心を読み取るための実用的な方法を解説した一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「言葉」の前の「動作」を見逃すな!

 私たちは、ほとんどのしぐさを無意識のうちに行っています。
 無意識のしぐさは当然、コントロールすることが難しいです。

 ハーフェナーさんは、言葉で嘘をつき通せても、身体にそれを出さないようにするのはかなり難しいと指摘しています。

 僕たちは口だけでなく身体全体を使い、絶えずコミュニケーションし、思考し、話している。
 では、ある感情が生じたとき、その次に現れるのは言葉と動作のどちらが先だろうか? 僕の観察によれば、その順序はどんな人でも共通している。
「感情→動作→言葉」という順序だ。
 例えば非常に腹が立ったとき、あなたの中で何がどんな順番で起こっているかというと、

1 脳が「自分はものすごく怒っている」と気づく
2 手がバンと机を叩(たた)く
3 「もう我慢できない!」と言葉が出てくる。

 あるいは、何かをうっかり忘れていた場合は、こうだ。
1 脳が何かを忘れていたことに気づく
2 手がパチンと額を打つ
3 「ああ、なんでこう忘れっぽいんだろう! ハーフェナーの本で記憶術を学んだはずなのに・・・・。アイロンの電源、ちゃんと切ったかしら」と言葉が出てくる。

 この順序は、特に意識していないかぎり、変わることは絶対にない。
 そして、さらに重要なことは、「言葉」は嘘をつくということだ。「動作」には本音が出てしまう。しかし、さらに重要なことは、そのあとに発する「言葉」は嘘をつける。つまり、相手の本音を見抜きたければ、「言葉」の前の「動作」を見逃してはいけない。
 たとえば街で偶然知人に出会ったとき、本当にその人に会えてうれしければ、反応は次のようになるはずだ。まず、知人がいることに気づく。次に、顔に笑みが浮かぶ(動作)。そのあと初めて相手に歩み寄って、声をかける(言葉)。
 もし、相手が自分のところに近づいてきて、「会えてうれしいよ」と言ったあとに笑顔を浮かべるようなら、それは喜んでいるふりということになる。

 『とっさのしぐさで本音を見抜く』 第1章 より トルステン・ハーフェナー:著 柴田さとみ:訳 サンマーク出版:刊

 人間の本心は、言葉よりもしぐさに先に出ます。
 態度やしぐさ、顔の表情に表れる感情は、信頼性の高いシグナルになりますね。

 わずかゼロコンマ何秒の間に発せられる、感情のシグナルをキャッチすること。
 それが、相手の本音を見抜くコツです。

本音は「変化」に表れる

 ハーフェナーさんは、僕たちは実際に目に映るものだけでなく、脳が「こうあるべき」と考えるものをみていると述べています。

 慣れとは恐ろしいもので、世界を見たいようにしか見なくなる。これの最大の問題は「変化」に気づかないことだ。これは「ボディ・リーディング」において致命的なことだ。なぜなら、ある状況でその人の身振りや姿勢が「変化」したときに初めて、身体言語は意味をもつのだから。ベテランのボディー・リーダーは、そうした変化を見逃さず、そこから人の心を読み取る。
 これは普通の言語でも通じる話だろう。文脈もなく単語だけをぽんと出されても、その意味は必ずしも明確にはわからない。たとえば、ドイツ語では「Bank」という単語には「銀行」と「ベンチ」の二つの意味がある。だから文脈がわからないと、どちらの意味か判断できない。具体的な意味をはっきりさせるには、その前後の文を知る必要がある。
 たとえば僕が「お金をBankに持っていく」と言ったら、銀行のことだとすぐにわかるだろう。「彼はBankに腰かけた」と言ったら、当然ベンチのほうだ。だが、ときには一文では判断がつかないこともある。「Bankを探しています」と言われても、あなたは銀行家かベンチかわからず困ってしまうだろう。こういう場合は、その文をとりまく全体的な文脈がわからないことには判断は下せない。
 身体言語も同じだ。ある身振りや動作を意味づけるためには、文脈、「違い」に気づくことが重要だ。たとえば、会話相手が手もみをしていたとしよう。あなたと話している間ずっと手もみしているのなら、その動作には特に意味はないか、あるいはあなたとは無関係な理由によるものだ。もしかしたら、その人は手もみが癖なのかもしれない。
 だが、もしあなたが話題を変えたとたんに手もみ動作が始まったのなら、そこには何らかの意味がある。たとえば話題が変わったことで興奮したか、不満を抱いたなどの理由が考えられるだろう。
 このように、文脈をふまえて相手の「変化」を読み解くことが重要になる。

 『とっさのしぐさで本音を見抜く』 第2章 より トルステン・ハーフェナー:著 柴田さとみ:訳 サンマーク出版:刊

 しぐさや顔の表情に表れるの感情のシグナルは、ごく小さいもの。
 さらに、おなじ動作でも状況によって意味合いが変わってくるものです。

 文脈をふまえて相手の「変化」を読み解くこと。
 微妙な「違い」を見逃さない注意力が必要だということですね。

「四つの距離」を使いこなせ!

 ハーフェナーさんは、人々は距離のとり方によってさまざまな身体シグナルを発しており、それによって自分のテリトリーを示して安全ゾーンを確保していると述べています。

 米国の文化人類学者、E・T・ホールは、他人に対する距離のとり方を、以下の四つの距離ゾーンに分けて説明しています。

  1. 密接距離
  2. 個体距離
  3. 社会距離
  4. 公共距離

 まず、「密接距離」は、パートナーや両親、子ども、親しい友人など、信頼のおける親しい相手のみに入ることの許されるゾーンである。ドイツではこの距離はおよそ50センチメートルといわれるが、これは文化や国によって大きく違う。一般的に北ヨーロッパにおける密接距離は南ヨーロッパよりも大きいようだ。南ヨーロッパの人たちは話すときも距離が近い。ドイツでは腕一本分ほどの距離をとって会話するのが普通だが、もっと南の地中海地域の国々では、その距離はひじ下の長さにまで縮まる。
 親しくない人間がこの密接距離に入ってくると、僕たちは無意識のうちに後ずさって距離をとろうとする。相手が一歩近づけば、こちらもさらに一歩下がる。
(中略)
 では次に、四つのゾーンの二つ目「個体距離」を見ていこう。これは握手ができるほどの距離で、50センチから1.5メートルほどといわれる。信頼のおける相手に許される距離だが、ある程度スペースがあるので、意図せず身体が触れ合うことはない。
 夫婦や恋人同士でパーティーに出席する場合、二人の距離はちょうどこれくらいになる。パーティーは公の場なので、ある程度の距離が保たれるのだ(パーティーが終わるころにはそのかぎりではないが)。仮に見知らぬ異性がこのゾーンに許可なく侵入してきたら、それは腹立たしい行為とみなされる。少なくとも、自分のパートナーへのそうした接近を脅威に感じる人にとっては。
 三つ目の「社会距離」はおよそ1.5〜4メートル。これは手を伸ばしても相手に触れられない距離である。店の店員や家の修理に来てくれた職人、デスク越しの上司などに対して、僕たちはだいたいこれくらいの距離をとる。
 このゾーンはもっぱら事務的なやりとりを行なうためのものだ。だからもし上司があなたの方をぽんと叩いたら、それは上司がゾーン3の「社会距離」からゾーン2の「個体距離」へと踏み入ってきたことを意味する。そしてこちらは、それを受け入れざるをえないわけだ。
 最後に、四つ目の「公共距離」。これは4〜8メートルほどのゾーンで、1対1の関係性はまったく存在しない。誰もがばらばらに行動している。ショーでの僕と観客との距離がまさにこれにあたる。そして僕は、この境界を消し去ってみせるのが大好きだ。ショーの中で僕は意識的にこの境界を破り、相手の「社会距離」や「個体距離」、ときには「密接距離」にまで入り込んでみせる。
(中略)
 距離に対する感覚は、「目線」を意識的に使うことで、ある程度コントロールできる。たとえば、あなたがカフェに座っていたとしよう。店内はほぼ満席で、唯一あなたのテーブルの椅子が一つだけ空いている。そこに誰かが近づいてきて、こう尋ねた。「ここ、よろしいですか?」。このとき相手が視線を下げたら、あなたはこころよく相席を了承するだろう。なぜなら、その視線によって相手は「あなたのテリトリーに入ってしまって申し訳ありません」というメッセージを発しているからだ。これこそポジティブな非言語コミュニケーションといえるだろう。

 『とっさのしぐさで本音を見抜く』 第3章 より トルステン・ハーフェナー:著 柴田さとみ:訳 サンマーク出版:刊

 相手との距離の取り方も、立派な非言語コミュニケーションです。
 四つの距離ゾーンの意味を理解することで、相手の自分への感情を読み取ることができます。

 逆に、相手に自分の感情を伝える効果的なツールにもなります。
 しっかり理解して、上手に使いたいですね。

「声をかけてOK」なのは、どんなとき?

 恋愛においては、女性のほうが男性よりも多くの非言語シグナルを発します。
 アプローチの成功率を上げるには、女性からのかすかなサインを正しく読み取ることが大切です。

 まず、男性へのルールその1は「視線が合うまで待つ」だ。パーティーで理想の女性を見つけると、相手がまだこちらに気づいてもいないのに声をかけようとする人がいる。だが先ほども言ったように、視線が合わなければ何も始まらない。どんなにその女性に語りかけようが、許可がなければ成功の見込みはないだろう。そして女性は視線によってのみ、その許可を出すものなのだ。
 道を歩いていて知らない他人と目が合ったら、通常1、2秒ですぐ視線をそらす。こうすることで相手の存在を認識したことを示しつつ、それ以上関わるつもりはないと伝えるわけだ。だが、女性が男性と目が合って、2、3秒以上見つめ返してきたら、それは視線によって「もっと近くに来ていいわよ」と伝えていることを意味する。
 ただし、にらめっこのように長く見つめてくるわけではないので注意が必要だ。通常よりほんの少しだけ長めに視線が合うだけである。さらに女性が上まぶたをわずかに持ち上げたら、かなり期待のもてるスタートといえるだろう。このしぐさは本当に一瞬しか表れず、しかも女性が本当に誘いをかけたい相手にだけ、そっと発せられる。このとき上まぶたと一緒に眉も引き上げられたら、許可のサインはさらに明確なものとなる。
 女性は男性に狙いを定めると、相手が視線に気づいて見返してくるまでじっと見つめる。このとき女性が数秒間目を合わせた後に、顔をわずかにそむけて視線だけを向けてきたら、それは男性にとって、自分が「誘われている」とわかる確かなサインだ。
 これでもまだ男性側がサインに気づかないと、女性は顔を元の位置に戻す。このかけひきは何回か繰り返されることもある。意思の固い女性たちは、ときには相手の男性が「アプローチするよう促されているんだ」と理解するまで、ひたすらこのやりとりを続ける。

 『とっさのしぐさで本音を見抜く』 第6章 より トルステン・ハーフェナー:著 柴田さとみ:訳 サンマーク出版:刊

 女性側から送られる“サイン”を、男性側が正確に読み取ること。
 それが、恋愛を成就させるための重要なポイントです。

 相手の本心を知りたければ、言葉よりもしぐさや表情を読む。
 恋愛や交渉など、1対1のやりとりで、とくに必要とされることですね。

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「目は口ほどにものを言う」
 そんな言葉もあるくらい、私たちは非言語コミュニケーションに多くを頼っています。
 ただ、シグナルを出すほうも受け取るほうも、無意識のうちにやりとりしているため、その影響の大きさに気づいていません。

 しぐさや表情は、世界全国、どこでもほぼ共通しています。
 身体言語を覚えることは、世界共通のコミュニケーション・ツールを身につけるということ。
 国際化が進む今の時代に必要な能力といえます。

 ボディー・リーディングも、外国語と同様に、使えば使うほど上達します。
 まずは、家族などの身近な人との関係を深める手段として利用するのもいいかもしれませんね。

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