本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『なぜ一流の人はみな「眠り」にこだわるのか?』(岩田アリチカ)

 お薦めの本の紹介です。
 岩田アリチカさんの『なぜ一流の人はみな「眠り」にこだわるのか?』です。

 岩田アリチカ(いわた・ありちか)さんは、快眠術の専門家です。
 睡眠環境、睡眠習慣のコンサルティング、眠りに関する教育研修など、幅広くご活躍されています。

日中のパフォーマンスは、「睡眠」で決まる!

 今、「より質の高い」睡眠への関心が、あらゆる年代に広がっています。
 とくに経営者やエグゼクティブなど一流の人ほど、その傾向は顕著です。

 彼らが睡眠にこだわるのは、睡眠の質が日中のパフォーマンスを決めると体験的にわかっているからです。

 過酷な超高度情報化社会の中でサバイバルしていくには、どんなにタフで優秀な人でも、眠らなければ必ずパフォーマンスが落ちて失速していまいます。
 最先端のハイスペックなスマートフォンやノートパソコンでも、充電が切れてしまえば、ただの使えないハコです。同じように、眠りによって心身にエネルギーをしっかりチャージしなければ、必ず充電切れになり、使いものにならなくなります。
「いかに疲れを翌日に持ち越さない睡眠のとり方をするか」
「いかにぐっすり眠って、翌日に備えるか」
 一流のビジネスパーソンほど、常にエネルギーをムダなくフル活用しているので、効率の良いエネルギーチャージを得るために、とても貪欲なのです。

 睡眠の時間は、単に「起きていない時間」ではありません。起きている時間のための、とても大切な充電時間なのです。ただ「目をつぶって、意識を失う」というのではなく、より戦術的に環境を整えるべきものです。
 1日の3分の1が眠りに使われるとすれば、人生の約3分の1は睡眠です。
 残り3分の2の覚醒している時間を有意義に使うために、いかに睡眠の質を上げるか−−これこそが、現代の一流ビジネスパーソンのキーワードです。

 『なぜ一流の人はみな「眠り」にこだわるのか?』 第1章 より 岩田アリチカ:著 すばる舎:刊

 本書は、睡眠習慣を改善するコツや快適な寝室環境など、最新の睡眠科学に基づく快眠の秘訣をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「寝る間を惜しんで働く」はもう古い!

 かつては、「睡眠時間を削ってでも、寝ずに働く」のが美徳とされていました。
 しかし今では、「睡眠時間はしっかりとる」という考え方が主流となっています。

 睡眠時間が短い=寝る間を惜しんで働いている=一流のビジネスマンの証

 そんな図式が成り立っていました。
 睡眠時間は人生のロスタイム。長々と寝ている人は、それだけ人生を損している。睡眠時間を削れないのは、仕事に対して本気ではないから・・・・。そんなふうにとらえられていたように思います。
 けれども、睡眠時間は決してロスタイムではありません。覚醒している時間に高いパフォーマンスを上げるために、絶対不可欠な充電期間です。
(中略)
 また、必要な睡眠の長さは人によって違います。
「1日5時間睡眠でも平気」というのは、持って生まれた性質。ショートスリーパーには、なろうと思ってもなれるものではないのです。
 反対に、どうしても9時間は寝ないと体力が持たないというロングスリーパーの人もいます。アインシュタインは10時間睡眠で有名です。
 ほとんどの人は、6〜8時間の睡眠を必要とする体になっているものです。毎日6時間以下という人は、たいてい日中に眠気に襲われているはずです。ナポレオンも実は昼寝をたっぷりしていたといわれています。

 仕事に対して本気であろうがなかろうが、7時間睡眠が必要な体の人は、7時間寝ないと心身ともに働きません。ムリをして5時間睡眠を続けても、パフォーマンスは下がっていきます。
 反対に、7時間しっかり眠れば、ベストな状態で仕事に臨むことができるのです。

 『なぜ一流の人はみな「眠り」にこだわるのか?』 第1章 より 岩田アリチカ:著 すばる舎:刊

 必要な睡眠時間は、持って生まれた体質で決まります。
 頑張れば短くできる、というものではありません。

「日中、どうしても眠気が襲ってくる」
 そういう人は、睡眠時間が足りていない可能性が高いです。

 自分に必要な睡眠時間はどれくらいか、把握することが重要ですね。

何時に寝ても、起きる時間を一定に

 睡眠時間について一番大切なのは、「毎日、寝る時間と起きる時間をほぼ同じにすること」です。
 つまり、生活のリズムを一定に保つことが、何より重要だということです。

 エグゼクティブに就寝・起床時刻を死守するひとが多いのは、体内リズムの重要性を体感としてわかっているからだと思います。
 11時に寝て6時に起きるのも、1時に寝て8時に起きるのも、たしかに睡眠時間は同じです。けれども、そうやって日によりまちまちだと、リズムが狂い、睡眠の質は下がってしまいます。目覚めもスッキリとはいきにくいでしょう。

 また、絶対に死守したいのは起床時間を大きくズラさないことです。
 仕事の都合や付き合いなどで就寝時間が乱れたとしても、睡眠時間を取り戻そうと起床時刻を延ばすことはしません。いつも7時に起きているなら、たとえ深夜2時の就寝でも、7時に起きます。
 日中は寝不足で眠いかもしれませんが、かわりにその日の夜に少し早めに眠れば、寝不足は解消されます。そして翌日もいつもどおり7時に起きれば、すぐにリズムは元に戻ります。
 これが、深夜2時に寝たからといって9時や10時に起きたり、日中に2時間以上も昼寝をしたりしたら、リズムが狂って取り戻すのに数日かかります。その間のパフォーマンスはだいぶ下がってしまうでしょう。

 起床時刻を決め、眠気を催したら寝床に向かう習慣を続けているうちに、自ずと就寝時刻も安定してきます。
 適切な睡眠環境が整っていれば、自然に眠りが訪れるようになります。
(中略)
 リズムができているなら、何時に寝るか、何時に起きるかはそれほどこだわる必要はありません。
 一般に、早寝早起きがよしとされていますが、毎日決まった時間に寝て、起きているなら、それでかまいません。
 現に私も、12時頃寝て7時に起きる生活を長年続けています。朝が特別早いわけではありませんが、リズムが整い、睡眠も足りているので、日中は眠くなることなく、最大限に時間を活用できていると思っています。
 もし、自分がなんとなく不規則型に偏っていると感じたら、就寝と起床の時刻を書き留めるようにしましょう。自分で就寝時刻と起床時刻を意識するだけでも、リズムを整えるきっかけになります。
 また、太陽の光を浴びたり、ランチタイムはできるだけ外に行き、日中は人とコミュニケーションする時間を増やすなど、昼夜のメリハリをつけるようにするのも大切です。

 『なぜ一流の人はみな「眠り」にこだわるのか?』 第2章 より 岩田アリチカ:著 すばる舎:刊

 睡眠は、「一にも二にも、リズム」です。
 規則正しい生活が、健康管理のうえで欠かせないのも、うなずけます。

 できる限り、就寝・起床時刻を一定に保てるよう、意識して習慣化したいですね。

夕方に体を動かしておくと、寝つきが全然違う!

「運動」と「睡眠」には、深いつながりがあります。

 岩田さんは、普段から運動をしている人と、まったく運動をしていない人を比べると、運動をしている人のほうが、睡眠に対する満足度が高い傾向があると指摘します。

 運動をするというと、スポーツクラブに通うとか、ジョギングをするとか、今までとは違ったことをしなければならないと思われる方がよくいますが、大げさに考える必要はありません。
 普段から運動不足の人が、いきなり心臓がバクバクするような激しい運動すると、筋肉を痛めたり、疲れすぎたりして、かえって眠れなくなってしまいます。
 快眠のためには、ハードな運動はなく、日常生活に負担のない範囲で、軽く体を動かすような運動を取り入れるのがポイントです。
(中略)
 運動するのにベストな時間は、夕方から宵の口にかけてです。
 眠りに入る数時間前に運動して体温を上げておくことで、ベッドに入る頃には体温は自然に下がってきます。
 眠気は体温が下がるときに訪れますから、スムーズに入眠できます。

 たとえば、まずは帰宅の際、最寄り駅のひとつ手前で下車して、一駅分歩いて帰るなどして、体を動かす習慣を身につけましょう。
「平日は忙しくてなかなか時間がとれない」という人は、休日の午後にゆっくり散歩を楽しむことから始めてみてはいかがでしょう。
 だんだん身体が慣れてきたら、ウォーキングやサイクリング、水泳などを、週に3日以上、夕方以降に20〜60分ほど、ムリのない範囲で続けられれば理想的です。
 一種類の運動だけでは飽きてしまったり、体の一部に負担がかかったりする可能性があるので、簡単にできる運動を多様に組み合わせるのが、運動を長続きさせる秘訣です。
 帰宅が遅くなって、夕方に運動ができなかった日は、就寝の少し前に簡単なヨガのポーズやストレッチをするだけでも、リラックスにつながります。
(中略)
 ただし、眠る直前に筋肉を使う激しい運動をすると、交感神経が活発になって、かえって目が冴えてしまい、寝つきが悪くなる可能性があるので控えましょう。
 また、朝起き抜けのときも、脳や身体が完全に目覚めておらず、筋肉や反射能力のレベルが低い状態なので、激しい動きを伴う運動は事故のもとになります。

『なぜ一流の人はみな「眠り」にこだわるのか?』 第3章 より 岩田アリチカ:著 すばる舎:刊

 夕方に、体が温まる程度の軽い運動をする。
 それだけで、眠りの質が大きく変わってくるのですね。

 忙しくて運動に時間が取れない人ほど、意識して体を動かす必要があります。
 通勤時間などを利用して、工夫しながら続けていきたいですね。

最初に就寝時刻だけ早め、翌週起床時刻も前倒しに

 会社の経営者などは、「朝型」の生活を人が多いです。
 実際に、朝型のほうが、年収が多い傾向が顕著に見られた調査結果もあります。

 ただ、無理やり早起きしても、睡眠不足で日中生あくびばかりしていては、意味がありません。
 岩田さんは、朝型のリズムを習慣化することで、1日の生産性を上げることが大切だと指摘します。

 長年の習慣で夜更かしが身についてしまった夜型生活の人が、朝型のリズムにうまく乗るには、どうしたらいいのでしょう?

 かりに1時間早起きにしたいというとき、一気に時間をズラすのは禁物です。
 医学博士の白川修一郎先生(一般社団法人睡眠改善協議会 常務理事)が提唱する「30分ずらし睡眠術」をおすすめします(『脳も体もガラリと変わる!「睡眠力」を上げる方法
』永岡書店刊)。
 これは、1ヵ月かけて起床・就寝時刻を1時間ズラす方法です。
 まず、最初の1周間で、今までより30分早寝をします。その際、起床時刻は同じです。まずは睡眠時間を30分増やすのです。
 次の1週間では、起床時刻を30分早めます。これで睡眠リズムが30分ズレたことになります。
 睡眠時間は元に戻っただけなので、寝不足にはなりません。
 翌週は、またさらに30分早寝をします。そして、次の週に起床時刻を30分早めます。
 これで、1ヵ月かけて1時間、睡眠リズムをズラすことができました。

 就寝時刻を早めるときには、「夕食の時間を早める」のがコツです。
 これまでどおりの生活リズムで、寝る時間だけ早めても、なかなか眠くなりません。夕食の時間を前倒しすることで、その後の入浴も前倒しとなります。結果として、就寝時刻も早められるのです。
 遅い時間の夕食は体にも負担ですから、夕食を早めることは健康管理上も好ましいことです。

 『なぜ一流の人はみな「眠り」にこだわるのか?』 第4章 より 岩田アリチカ:著 すばる舎:刊

30分ずらし睡眠術 の方法 第4章P156
図.「30分ずらし睡眠術」の方法 
(『なぜ一流の人はみな「眠り」にこだわるのか?』 第4章 より抜粋)

 体に沁みついた生活習慣は、すぐに変えることはできません。
 時間をかけて、ゆっくりと変えていくのがポイントです。

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 睡眠は、「何もしていない、無意味な時間」ととらえられがちですが、そうではありません。
 心身の疲れをとり、身体のメンテナンスをするための貴重な時間です。

 岩田さんは、睡眠時間を日中の活動時間と同じくらい、1日のコアタイムにしようと提案し、睡眠時間を一日の始まりにすることを勧められています。

「一日の疲れをとるために眠る」から、「一日の活力をとるために眠る」へ。

 私たちは、睡眠に対する意識を切り替える必要があります。
 日中のパフォーマンスを最大にする、“攻めの睡眠”で、充実した毎日を過ごしたいですね。

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