本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『未来を動かす時間術』(久瑠あさ美)

 お薦めの本の紹介です。
 久瑠あさ美先生の『メンタルトレーナーが教える未来を動かす時間術』です。

 久瑠あさ美(くる・あさみ)先生(@kuruasami)は、メンタルトレーナーです。
 トップアスリートや各界アーティスト、企業経営者など数多くのクライアントから絶大な信頼を得るなど、多方面でご活躍中です。

「未来を動かす達人」になる、三つの“心の業”

 私たちの人生にとって重要なこと。
 それは、これからやってくる未来を「どう動かすのか」ということです。

 過去の「やれなかったこと」を、未来の「やれること」に変えていく。
 それを可能にするのが、以下の『「時間術」の三つの“心の業(わざ)”』です。

  1. 自意識に麻酔をかける業
  2. 未来の記憶を創り出す業
  3. 未来をキャッチする業

「時間術」の三つの“心の業”は、並列的に行うことで効果を発揮します。三つの業を同時並行してマスターすることで、「時間のトリック」は無条件で外れていきます。
 逆に一つひとつマスターしようとすることで、進まなくなるのです。なぜなら、それはブレーキをかけたままアクセルを踏むようなものだからです。マインドにかかるブロックを一気に外すことで、動きようのなかったあなたの未来が動き出します。
 本書でお伝えする「時間術」は、ただ単に時間をコントロールするノウハウではなく、あなたの中に眠る潜在能力を引き出す実践的なメンタルトレーニングです。それはあなたの一生の武器となるマインドを創るための「最強の戦術」となります。
 例えば、「自意識に麻酔をかける業」は、誰もが苦手とする「感情コントロール」を容易にしてくれます。
 よく、「感情をコントロールすること」を、「感情を抑えること」だと誤解している人がいますが、感情は抑えようとすればするほど波立ちます。ネガティブな感情を無視するから暴れ出すのです。無自覚な心のサインである感情を押しつぶそうとするから、心が元気を失い、やがて心の「病(や)み」を生むのです。自意識に麻酔をかけ、曖昧な意識にすることで、あなたは現在どんな状況にあっても、過去に囚われることなく、ワクワクする未来を思う存分、描けるようになります。
 あたかも連続性があるかのように思える過去と現在、そして未来の鎖をいったんリセットするために、自らの意識に麻酔をかける必要があるのです。あなたが、あなた自身のマインドに麻酔をかけるのです。
「現在」にありながら「未来」を「いま」として捉えていくことができれば、「いま」に在りながら、「未来」にすでに起きたかのような記憶を創り出すこともできる。それが「未来の記憶を創り出す業」です。そして、「未来にこう在りたい」という強烈なビジョンは、あなたを前のめりに動かしてくれます。その瞬間、「やりたいこと」を実現するために必要な潜在能力を引き出してくれる。それが「未来をキャッチする業」です。
 この三つの業をマスターすることで、未来を動かす最強のマインドを創り上げることができるのです。

 『未来を動かす時間術』 Prologue より 久瑠あさ美:著 秀和システム:刊

 本書は、三つの“心の業”で時間を支配し、「未来を思うがままに動かしていく達人」になるための方法をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「未来」に希望を見出す

 人生には予想外のトラブルがいくらでも起こります。
 困難な状況の中で何より大切なことは、「自分自身と向き合うこと」です。

 久瑠先生は、どうにもならない現実の中で、いかにして未来に「希望」を見出だせるかどうか。そのわずかな意識の持ちようの差が、その人の未来を大きく変えていくと述べています。

 私にとって逆境と言える初めての体験は、高校生のときに起こりました。父の会社が倒産し、住む家も変わり、私の生活は一変しました。大学進学や海外留学、未来に思い描いていた、そうした一切のことが閉ざされていきました。
 今までそこにあるのが当然で、これからもずっと続くと思っていたことが、ある日突然に消えてしまう。そんなことが、人生には起こり得る。昨日まで在ったものや、未来に在るはずのものが、次々と消えていくことで、いっそう「失った」という感覚が生じました。
「すべてが無になる・・・・・」
 失望という一言では言いつくせない、様々な想いが日々湧き起こりました。
 その反面、「何とかなる」。そう感じられている自分もいました。
「いくら過去を懐かしんでも、もう元には戻らない・・・・」
「それなら自分は、これからどうする?」
 気がつくと、そう私が私に問いかけていました。すると、絶望的な思いは消え、「この現状を、何とかしたい」という勇ましい気持ちが内側から湧き起こってきたのです。
 その沈んだ感情の中にいて私の心が見出したのは、まぎれもない自分という存在でした。この先もずっと続くと思っていた未来が消え、すべてを失ったと感じたそのとき、私に残されていたもの−−それは、私の中のもう一人の「私」でした。
「何もなくたって、まだ私がいる。私はこの私で勝負する」
「何もない」をちゃんと見つめたら、「私」だけはそこに在ったのです。
「今は未熟だけれど、この身一つの「私」が未来に何をしでかすのか、自らの未来に期待して見てみよう」
 そんな状況においても、私はその先に在る未来に希望を抱いていたのです。
 何もかも失ったことで、そう腹をくくる想いが生まれてきたのだと思います。
「何もない」という状況は、捨て身でコトを始めるには、ベストのマインドの状態だったのです。
「今までの環境をすべて失ったということは、見方を変えれば自立する環境を整えられたということ。どうにもならない状況だからこそ、前に進むという選択を潔くだせる、絶好のタイミングなのかもしれない」
 自分の中のもう一人の自分が、そう背中を押してくれたのです。
 その瞬間、不安は微塵もなく消え去っていました。
 私の中には、「今から始めればいい」という未来を信じる勇気が生まれていました。意識が未来に向かうと、人は自分では信じられないほど力強く在れる。その力こそが未来を動かすのです。

 『未来を動かす時間術』 Chapter1 より 久瑠あさ美:著 秀和システム:刊

 今まで積み上げてきたものが崩れたとき、その事実をどう捉えるかで、その人の未来が決まります。

 無くしたものに執着し、過去を悔やみ続けるのか。
 次に進むためのステップとして、未来に希望を見出すのか。

 それが、まさに「人生の分かれ目」ですね。

時間の流れを逆流させるイメージトレーニング

 久瑠先生は、未来を掴める人間と、掴めない人間の違い、それは、「時間は未来からやってくる」という感覚を、未来がやってくる以前に持てるかどうかだけの違いだと述べています。

 実のところ時間というものはどちらにも流れてはいない。人間がそう感じていだけなのです。人は本来、「過去」に思いを馳せたり、「現在」に喜びを感じたり、「未来」を夢見たりと、自由自在に欲しい「時間」を選択することができる。誰もが「現在」に身を置きながら、「未来」に意識を向けることはできるのです。

 すべてはあなたの「意志」が決めること。人間のそういった感覚的な選択は、そもそも「時計の時間」や、ましてあなた以外の誰かに制約されるものではないのです。

 『未来を動かす時間術』 Chapter2 より 久瑠あさ美:著 秀和システム:刊

 時間がどのように流れるのかは、私たちの意識次第で変えることができます。

 久瑠先生は、自分の中に「未来→現在→過去」の時間の流れをつくり出すためのトレーニングを以下のように解説しています。

 まずは、時間を逆流させるために、1時間先に意識を持っていきます。
 そして、「1時間経つと、1時間先の未来が自分の元にやってくる」とイメージしてみてください。
 次に、今この瞬間に流れてきた時間は、1時間経つとあなたの過去へと流れていきます。時間は未来からどんどんあなたの元へやってきて、どんどん流れ去っていくイメージです。「未来→現在→過去」という時間の流れです。
 このようにイメージしてみると不思議なことに何の力みもなく、時間の流れの意識を瞬時に塗り替えることができます。
 もし、ここで「ちょっと難しいな」と感じている人でも、何度か繰り返しトレーニングすることによって、必ず「時間は未来から流れてくる」と意識できるようになります。
 世の多くの人はこのように意識が簡単に塗り替えられることを知りません。それゆえ、「時間のトリック」に縛られたまま不本意な人生を送るはめになるのです。
 これまでの「過去→現在→未来」という流れから、「未来→現在→過去」という時間の流れが自分の中に生まれると、過去の自分や、現在の自分に縛られることなく、未来の自分が「どう在りたいか」で、「いま」を生きられるようになります。

 『未来を動かす時間術』 Chapter2 より 久瑠あさ美:著 秀和システム:刊

「過去→現在→未来」と感じると、「現在や未来は過去の延長線上にある」と捉えてしまいます。
「未来→現在→過去」と感じると、「未来のために現在があり、過去があった」と捉えられます。

 時間の流れを決めているのは、自分自身の意識。
「時間のトリック」に騙されず、時間を思い通りにコントロールしたいですね。

「心のナビゲーションシステム」を作動させる

 まだ起きていない未来は、どんな人も変えていくことができます。

 うまくいくかいかないか。
 その可能性は、どんな場合でもフィフティ・フィフティです。

 それでも、何もしないうちから不安になるのは、「過去の根拠」を基準に生きようとするからです。

 根拠をつくりようのない「未来」に対して自信を持つ。
 そのために必要なのが、「未来の記憶」です。

 未来は想像しないと見えてきません。まだ体験していない非現実なことをリアルにイマジネーションすることが、「未来の記憶を創り出す業」の原点になります。
 未来に何が起こるかなんて、誰にも決められません。けれど、「こんなことが起きて、こんな気持でいたい」という未来のイメージは、今この瞬間に創り出すことができます。「こうなったらいいな、ああしたいな」と思い描いているうちに、ふわーっと意識が引き上がっていきます。その瞬間のワクワク、ドキドキといった感情の体験、それが潜在意識に強烈に作用するのです。
 人間の潜在意識のたとえとして、私はよく車のカーナビゲーションの話をします。カーナビゲーションは住所を何番地何号、そして建物の名称まで細かく入力すれば、正確にゴール地点へと連れて行ってくれます。ところが最後まできっちりと入力しないと、目的地付近でぐるぐる回り始め、ゴール地点にたどりつくことはできません。
 人間の潜在意識、つまり、脳の中のマインドシステムも同じこと。人生の行き先や目標が明確に設定さえされていれば、誰もが目指す場所にたどりつけます。人間の脳が正常に機能すれば、自らの内側にすでに持っているマインドシステム、つまり、心のナビゲーションシステムが作動して、潜在能力が発揮されるのです。
 心に明確なビジョンを入力すると、そのためのエネルギーが自然と生まれてきます。多くの人はこのマインドシステムを使わずにいて、物事を小難しく考えがち。自分を信じるどころか、自分の潜在的な能力を発揮することに抵抗するかのように、心のナビゲーションシステムを使わずにいるだけなのです。
 カーナビに行きたい場所をはっきりと入力する必要があるように、まずはあなたのビジョンを鮮明にイマジネーションし、未来記憶を創り上げることです。そうすれば、あなたの心のナビゲーションシステムが作動し、必ずそこにたどりつくことができます。「ついちゃった」という言葉で表現されるような感動体験をすることになるのです。
 人生のゴールを目指すのに、小難しい理屈や、苦々しい我慢などは必要ないのです。

『未来を動かす時間術』 Chapter3 より 久瑠あさ美:著 秀和システム:刊

 私たちがイメージすべきは、自分の望む未来。
 それだけです。

 大切なのは、「何を(WHAT)」であり、「どうやって(HOW)」ではありません。
 目的地さえ明確にイメージすれば、あとは潜在意識が自動的に最短のルートを導き出してくれます。

 驚異的な「心のナビゲーションシステム」の力。
 利用しない手をないですね。

「1日=24時間のフレーム」から自由になる

 1日は24時間、誰にも、いつでも平等に流れています。
 にもかかわらず、楽しい時間は短く、つまらない時間は長く感じられます。

 時間が“伸び縮みする”は、私たちの「心」が関与しているから。
 久瑠先生は、あなたが“あなたに流れる時間”をどう感じているのか、その感覚だけが“あなたにとっての真実”であるということ。それこそが「心の時間」を創り出すと述べています。

 24時間でやりきれないことも、72時間のフレームであれば、ゆったりと大きなフレームで受け止められる。それゆえ72時間で捉えれば、大概のことは「できる気がする」のです。「1日=24時間」というフレームを外して72時間に拡げるだけで、やれることは格段に増える気がしてくる。
「いま」に在りながら未来に意識を向けることで、あなたの心の中に「3日あればやれそうだ」という漠然とした自信が生まれてくるのを感じられます。
 すると明日という1日は“やり残しを取り戻す”ためのものではなく“まだやっていないことを実現する”ためのものとなります。
 明日という日を、目的を持って迎えることができるからです。
 そうして今日と明日の時間をつなげていくことで、「できそうもないこと」を「できそうなこと」と捉え直せる心のエネルギーが、自らの内側にあふれてくるのです。

 この365日=8760時間の1/121≒72時間をどう扱うかをマスターすることで、あなたは自分の1年先の時間を自由に扱えるようになるのです。

 例えば、仕事が立て込んでいるときに、どうしても会いたい人とのアポが入ったとします。普段のあなたは仕事を優先してアポを諦めるところですが、【72時間のメソッド】を取り入れると、「両方ともやる」という選択が楽々とできるようになります。「今日、明日と集中して仕事を片づけてしまい、3日目は定時できっちり帰ろう」というように、時間のフレームが24時間から72時間に拡がる分、選択肢が増えるのです。これなら、仕事が忙しいことを理由に、やりたいことを諦める必要がなくなります。
 もし、アポが今日なら、「今日は早く帰るけれど、明日と明後日は終電まで仕事をして間に合わせる」という選択肢だって生まれてきます。
「1日=24時間」というフレームに縛られることなく、未来から流れてくる時間を、あなたの意志で自由自在に“伸び縮み”させるようなイメージです。
 24時間のフレーム内にことを収めようとせず、72時間のフレームに拡げることで、大胆なスケールでことにあたることができます。
 その捉え方はあなたの自由です。例えば、1週間の過ごし方を、1週間=168時間として、「24時間×3日=72時間の2セット、あとの24時間は予備」という捉え方でもいいですし、ときに今週はゆっくりと過ごしたいといった場合は「36時間×4日で、あとの24時間は予備」という捉え方をすれば、同じ1週間でも「やるべきこと」と「やりたいこと」の区別が明確になります。
 このように「時計の時間」とどう付き合うかをあなたが決めることで、「心の時間」は伸び縮みします。あなたが自在に変えていくことで、生み出したい時間を過ごすことができるようになるのです。
 大事なのは、これまでの「1日=24時間」という「時計の時間」の概念から、いったん自由になること。未来の時間をどう捉え、どう扱うかは、まったくあなたの自由なのです。

 『未来を動かす時間術』 Chapter5 より 久瑠あさ美:著 秀和システム:刊

「1日24時間」と決まっているのは、あくまで便宜的の話です。
 その枠にすべてをはめ込まなければならないという決まりはありません。

 72時間のフレームの中で余裕を持って予定を考えることで、取りうる選択肢は大きく増えます。
「自由に時間を操っている」という感覚をつかむには、最適な方法ですね。

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「潜在意識」は、人間なら誰でも持っている普遍的な能力です。
 久瑠先生はその驚くべき力を、『千夜一夜物語(アラビアンナイト)』に出てくる「魔法のじゅうたん」や「魔法のランプ」に例えています。

「なりたい自分」を明確にし、強烈に望み続ける。
 すると潜在意識が、私たちを目的の場所まで導いてくれます。
 そんな能力を、ただ眠らせておくのはもったいないですね。

『「時間術」の三つの“心の業”』は、私たちの心の奥底に眠る、巨大な力を呼び覚ます“魔法の杖”です。
 ぜひマスターして、時間を自由に操る「未来を動かす達人」を目指したいですね。

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