本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『40代でグンと伸びる人 40代で伸び悩む人』(テリー伊藤)

 お薦めの本の紹介です。
 テリー伊藤さんの『40代でグンと伸びる人 40代で伸び悩む人』です。

 テリー伊藤(てりー・いとう)さんは、演出家、テレビプロデューサー、タレント、評論家です。

40代には、まだ「伸びしろ」がいっぱいある!

 日本人の平均寿命は、およそ80歳。
 だとすると、40代は『人生の折り返し地点』ともいえます。

 30代までと違い、人生経験を積んだ分だけ世の中のことも見えてきてきます。
 人生についても、つい、“先”が見通しがちになり、不安を感じることも多いかもしれません。

「40代でもまだ自分は伸びていけるんでしょうか。それとも、もうここで伸び悩みなんでしょうか」
 私は彼らのそういう不安や悩みに対して、迷わずこう答えた。
「大丈夫。まだまだ十分、行ける。勝負はこれからよ」
 それは私自身の経験上、確信を持って言える。私もちょうど40代に入るころ、「あれ? 俺って大丈夫か?」という不安にかられたこともあったが、そこからしっかり立て直して踏ん張ることができた。伊藤輝夫というテレビの裏方の人間が、テリー伊藤を名乗って表に出ていくようになったのもこの時期だ。いま振り返ってみると、「自分は40代で伸びた」という実感がある。
 そして、私の周りの人たちを見渡してみても、40代でグンと伸びた人たちがたくさんいる。まちがいなく、40代は仕事も人生も再び弾みをつけるターニングポイントになる時期なのだ。

 『40代でグンと伸びる人 40代で伸び悩む人』 はじめに より テリー伊藤:著 PHP研究所:刊

 テリーさんによると、40代はまだ“青年”であり、「伸びしろ」がいっぱいあるとのこと。
 その「伸びしろ」に気づくことが、40代でグンと元気になる秘訣です。

 本書は、テリー伊藤流の「40代で飛躍するための勝利の方程式」をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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才能がなくても体力があれば勝てる40代

 40代の強みは、知識と経験を重ねたことによって養ってきた「心」と「技」が、20代、30代のころに比べて圧倒的に増していることです。

 テリーさんは、40歳で充実を迎えた「心技」をいっそう強い武器にするためには、いまこそ「体」の充実が重要だと強調します。

「心技」の充実のために「体」が大事だということ。それは「仕事と同じくらいに肉体も大切」ということだ。肉体のダメージは仕事に直結する。それをケアするのが、40代で逆転できる人の条件だ。
 たとえば、単純な例をあげると、肩が凝ると、血のめぐりが悪くなって頭も固くなる。腰が痛くなると動きが鈍くなって頭の働きもシャープではなくなる。体力が落ちて疲れやすくなると、なんとか仕事はがんばれたとしても、家に帰ればグッタリしてしまって奥さんと会話もしなくなる。何か相談を持ちかけられても、「いま仕事が大事なときだから、勘弁してくれ」などと言ってしまう。そのうちに日常会話もコミュニケーションもなくなり、スキンシップも遠のいてしまう。そこには夫婦の愛もなければ家族の安らぎもない。
 夫婦や家庭がエネルギーの源ではなくなってしまうと、外で酒を飲む回数が増えたり、話も減るぐらいだから、スポーツやレジャーにも出向かない。体力は落ちるし、ストレスもたまる一方。健康状態も悪化。やがて訪れる健康診断の結果を見て、「ガ〜ン!」。ついには肝心の仕事にまで影響が及んでしまう・・・・。
 こうした中年の悪循環をどう断ち切って、どうやって「体」を保つか。そしてさらに強化していくか。その大事な分岐点40代というときなのだた。
「大丈夫、大丈夫。俺は体だけには自信があるから」というセリフが通用するのは30代までのことだ。私が長い間、この目で芸能界やスポーツ界、政治や経済の現場を見てきて確信していること。それは、生き残っている人たちは絶対的に肉体が強いということだ。それは「心技」の優劣に勝っているといってもいい。頭がいい人や技術的な能力の高い人、才能が旺盛な人はいくらでもいる。しかし、そこで勝ち残っているのは、まちがいなく肉体が強い人だ。
 私が知るなかでもっとも典型的なのは、石原慎太郎と石原裕次郎の差だ。才能などということ以前にあの兄弟二人の運命を分けたのは、「体」である。その点において、実は弟の何倍もスポーツマンであり、ずっと体を鍛えていた慎太郎さんに大きなアドバンテージがあったのだ。

 『40代でグンと伸びる人 40代で伸び悩む人』 第一章 より テリー伊藤:著 PHP研究所:刊

 テリーさんも、40歳の頃から二十数年間、週に2〜3度はジムに通い続けているとのこと。

 同年代の人たちが次々と病気や運動不足で後退していくのを尻目に、ギアをさらに上げて加速する。
 そうなれば、“人生の大逆転”も十分に可能です。

 40代は、一般的に、急に体力が落ち始める年代です。
 だからこそ、体のケアは、それまで以上に気を使う必要があるということですね

「リセット力」を武器にしよう!

 テリーさんは、40代には、20代や30代のときにはなかった能力がいつのまにか備わっていて、それが新たな楽しみを発見させてくれると述べています。

 たとえば、その一つは「リセットする力」だ。これは、簡単に言えば「まあ、いいか。もう一回やってみるか」と思えることだ。「まいっか。リセットしてやろう」と思い直すことだ。
 若いころと違って、40歳にもなれば、ずいぶん図々しさも身についている。恋愛でも、好きな人に告白して断られると、若いころだったら「もう立ち直れない」と落ち込んでいたのに、年齢と経験を重ねてくると、「ちぇ、またふられちゃった。しかたない。じゃあ、次、いってみようか」というふうに徐々にへこたれなくなってくる。リセット力の基本は、これだ。
 仕事で失敗したときに、落ち込むのは若い人もベテランも同じだ。でも、新人のときに失敗して落ち込んでいると、かならず先輩たちがこう言って慰めてくれる。
「みんな失敗して成長していくんだよ。また次のチャンスがあるから大丈夫。元気を出せよ」
 若い人というのは、傍から見れば「可能性に満ちている」けれど、本人はガラスのように傷つきやすい。ミスをすると「ああ、この世の終わりだ」と思い詰めてしまうほど、ピュアでモロいところがある。
 それが、先輩たちやベテランにもなると、失敗を重ねて経験を積んでここまできているから、失敗して落ち込んだとしても、「よし、また次にがんばればいい」と思い直すことができる。
 新人時代には、失敗したことをいつまでも引きずってしまったのが、経験を重ねていくうちに「いつまでも引きずっていてもロクなことがない。さあ、リセットだ」というふうに切り替えが上手になってくる。
 それが、リセット力なのだ。40代に身についている大切な武器の一つである。

 『40代でグンと伸びる人 40代で伸び悩む人』 第二章 より テリー伊藤:著 PHP研究所:刊

 積み重ねた経験は、財産です。
 とくに、大きな失敗や挫折は、これ以上ない宝物。
 多少の失敗も、「あのときと比べれば、大したことはない」と開き直ることができますね。

 経験を力に変えるための「リセット力」。
 大いに活用したいものですね。

「君臨しないリーダー」、中居正広から教わったもの

 テリーさんが、仕事をしていくうえで、もっとも大切にしていること。
 それは、その人のよさを引き出してあげることです。

 中居君は、けっしてSMAPのリーダーとして君臨しない。「一応、僕がリーダーだけど、本当の大将は木村です」と明言する。まちがっても「人気ナンバーワンは木村だけど、あくまでもSMAPは五人で一つ。それをまとめるのがリーダーである僕の役目」などと言わない。
 こんなにも、わきまえた人間がリーダーだからこそ、メンバーの一人ひとりが自分をわきまえている。それが「五人の個性が、それぞれに輝くSMAPの魅力」につながり、SMAPはずっとトップアイドルであり続けているのだ。
 それは一般の会社でも同じではないか。「トップは俺だから」と前に出ようとするリーダーは社員の個性を消してしまう。
「一応、俺が社長だけど、うちは、あいつの営業力で成り立っている」
「彼の才能のおかげで会社も伸びているし、社長の俺も飯が食える」
 そう公言できるリーダーのほうが、メンバーを伸ばしていけるのだ。私は中居君を見て、組織のトップとしてのあり方を教わった。
「俺の才能なんて、どうせたかが知れている。いかにスタッフのよさを引き出すかが俺の仕事なんだ。きっと、そういう意識があるリーダーのほうが、中居君とSMAPみたいに自分の組織を成長させることができるんだ」
 中居君の「引き出す力」は40代になって、さらに磨きがかかった。すでにトップスターであるキムタクのよさを引き出していくことがSMAPのさらなる未来につながり、同時に他のメンバーのよさをもっと引き出していくことがSMAPのマンネリを打破し、強化することになる。
 そのためには、自分が前に出ようとせずに、ひたすらメンバー個々の魅力を引き出してグループ全体の魅力を増していくということ。さらには、「SMAP以外のジャニーズのアイドルたちを盛り上げていくことによってSMAPも輝きを増す」という域にまで達していった。
(中略)
 考えてみれば、SMAPはいまや四十過ぎのおっさんのグループである。それが少しも老化せず、ずっとトップアイドルの場所にい続けるのは、キムタクのカッコよさ以上に、こうした中居君の姿勢に負うところが大きい。やはり、40代で伸びる人、40代でさらなる輝きを発していく人は「人のよさを引き出す力」を持っている人たちなのだ。
 中居君は、こうして常に視野を広げ続け、周囲を活かしていく力をアップし続けてきた。「自分よりもSMAP全体」ということから「SMAPだけではなくジャニーズ全体」と視野を広げ、「自分やSMAPだけでなく出演者全体」というふうに、周囲の人たちを輝かせることによって番組が盛り上がり、テレビも芸能界も面白くなり、結局は自分の仕事も広がっていく。それをずっと体現してきたのである。

 『40代でグンと伸びる人 40代で伸び悩む人』 第三章 より テリー伊藤:著 PHP研究所:刊

 人間、一人でできることはたかが知れています。

 いかに、周りの人の力を引き出して協力してもらうか。
 それが、物ごとをスムーズに進めるためのポイントです。

「周囲の人が引き立ててくれるからこそ、自分は力が発揮できる」
 リーダーこそ、そのような謙虚な気持ちを持っていたいものです。

「いい人」の殻を脱ぎ捨てて、本当の自分を取り戻せ!

 40代になると、「自分の人生、このままでいいのか」と感じる人も多くなります。
 テリーさんは、そんな人こそ、周りへの気遣いなどやめて、自分の幸せだけを考えて生きてみたらどうだろうと提案します。

「若いときなら思い切って無鉄砲なことでもやれたし、会社や上司に反抗してでも突っ走ることができた。でも、もうこの歳になったら、そんな無茶はできない」
 40代になると、そんなことを言い出す人が多い。「昔は俺もヤンチャだったけど、すっかり丸くなったよ」というパターンだ。
 しかし、そこが落とし穴だ。ものわかりのいい大人になろうとして、いつのまにか自分を殺してしまう。その結果、「俺の野望はどこへいったんだろう。こんなはずじゃなかった・・・・」などとつぶやく日が来てしまうのだ。
 たとえば、派閥の論理と自分の主義主張が相容れないというとき、若ければ自分を押し通すこともできたけれど、もうそんな青臭いマネはできない。派閥や組織全体の力学も熟知しているし、自分の保身や将来も計算できている。そうした賢い損得勘定に基づいて行動するのが大人というものであり、自分の主義や理想をむき出しにしても何の得にもならない・・・・。そういうことをずっと積み重ねてここまできたいま、もう一人の自分が「おい、本当にこのままでいいのか!」と声を上げているのではないか。ずっとものわかりのいい上司を演じていたり、派閥のボスに従順な部下のままでいたりすることへの欲求不満が、「自分はこのままでいいのか」「こんなはずじゃなかった」という思いの根っこにあるのかもしれないのだ。
 それならば、いまこそ分別をもう一度かなぐり捨ててみよう。自分の思いのままに、欲望のままに、野望のままに、もう一度、突き進んでみよう。

 『40代でグンと伸びる人 40代で伸び悩む人』 第五章 より テリー伊藤:著 PHP研究所:刊

 老いは「気持ち」からやってくるといいます。
 刺激のない人間関係、マンネリ化した仕事、決まりきった行動。
 そんな環境にいると、気づかぬまま「オジサン」「オバサン」の仲間入りです。

 人生の曲がり角である40代だからこそ、自分に正直に生きる。
 その決心ができるかどうかが、その後の人生を決めると言っても過言ではありません。

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 テリーさんは、いまどき、「40代」というラインを引いたり、自分で可能性を限定したりしてしまうほど愚かしいことはないとおっしゃっています。

 一昔前、40代といえば、「中年」というイメージがありました。
 しかし、今は違います。
 40代、50代でも、若々しく元気に活躍している人がたくさんいますね。

 その人が年老いたかどうかは、実際の年齢とはまったく関係がありません。
 結局、年齢を気にせずに目の前のことを楽しむことが、若さを保つ秘訣だということでしょう。
 私たちも、テリーさんを見習って、人生の後半戦を楽しんで生きていきたいものです。

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