【書評】『ONE 「1つになる」ということ』(加藤秀視)
お薦めの本の紹介です。
加藤秀視さんの『ONE「1つになる」ということ』です。
加藤秀視(かとう・しゅうし)さんは、元暴走族の異端児教育評論家、人材育成アーティストです。
「1つになる」ということ
加藤さんは、「人間関係」の本質を知らなければ、人生を台無しにしてしまう
と、その重要性を指摘しています。
人間関係において、もっとも重要なのが「つながること」です。
つながることは、究極のコミュニケーション
でもあります。
本書は、人と人がつながり、「1つになる」ための方法をまとめた一冊です。
本書を読むことで、人間関係による豊かさと人生の豊かさの両方を同時に手に入れ
られます。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。
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真剣に向き合えば、人は変わっていく
人間関係の基本は、「与えること」です。
加藤さんは、自発的に与えようと思える人間関係が、最高の人間関係
だと述べています。
人は真剣に向き合えば変わっていくもの
です。
相手が子どもであっても、例外ではありません。
加藤さんは、非行に走る子達は例外なく、周囲の大人が子どもと向き合っていない
と指摘します。
子どもがなぜ非行に走るのか? 問題行動を通して何を表現しているのか? 本音では何を思っているのか? 親も学校教員も全く分かっていない。相手のことを理解していないから、当然言葉も届かない。
子どもはよく大人のことを見ている。相手が自分にどれだけ本気で関わろうとしているのか、嘘をついているのか本音で言っているのか、言ったことを実際にやっているのか、事細かに感じているものだ。
だから、私が本気で向き合うと、他の大人には絶対に話してくれない本音を話してくれる。本音でぶつかり合うからこそ、子どもも変わっていくわけだ。子どももそんな風に本気で向き合ってくれる大人を求めている。
私のところに来る少年院に何度も出入りするような子どもでも、本音で語り合う仲になれば、みんな年相応の無邪気な表情を見せる。
彼らは自分のことを心の底から理解してくれる理解者がいなかったからこそ、私のように本気で向き合う大人には心を開き、慕ってくれるのだ。
(中略)
これは何も非行少年少女に限った話ではない。全ての人間関係において言える話だ。大人になると大抵が表面上の付き合いだけで、お互い深入りしない。
下手すれば友達や親友だと言い合っている仲でさえ、全くお互いのことを知らず、ただ一緒に遊ぶだけ、飲みに行くだけで、何かあったときは知らんぷり、ということも少なくない。
もし、あなたが良い人間関係を築きたいなら、しっかり相手と向き合うことだ。それが上司部下の関係だろうが、教師と子供だろうが、夫婦関係だろうが、恋愛だろうが、友人だろうが、相手が何を望んでいるのか?
自分が相手に貢献できることはないか?
相手はどんな欲求を持っているのか?それをしっかりと把握し、相手にギブしていくことが重要だ。
それは、相手が必要としている情報を教えてあげることかもしれないし、話を聞いてあげることかもしれないし、何か具体的に人脈を紹介したり、技術を提供することかもしれない。
ただ、相手に何かギブしようと思ったら、相手のことを知らないとギブすることはすらできない。だからまず、相手と真剣に向き合い、本音を言い合えるような信頼関係を築くことが重要なんだ。
結局、私が裏社会と表社会を経験して学んだのは、裏も表も関係ないということだ。世の中には、やたら善悪をつけたがる人がいるが、私からしてみたら、裏も表も、善も悪もない。『ONE 「1つになる」ということ』 第2章 より 加藤秀視:著 李白社:刊
インターネットやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などの普及が進み、人と「つながる」ことが、以前よりも格段に容易になりました。
しかし、つながる人の数が増えた分だけ、人間関係の密度が薄くなりがちです。
本音で語り合うことが難しくなった時代。
だからこそ、大切な人と真剣に向き合うことが、より求められています。
人生を根底から変える「自己変容の3段階」
アクションやマインド。
つまり、行動や考え方、成果やお金などに直接アプローチしても、本質的には変わりません。
なぜなら、これらは全て二次的な要因だから
です。
加藤さんは、このことを、以下の図を用いて説明しています。
図.自己変容の3段階 (『ONE「1つになる」ということ』 第3章より抜粋)
これは、人が変化していく過程を分かりやすく説明するために3段階に表現したものだ。細かく分ければ5段階や10段階にも分けられるが、ここでは分かりやすく3段階で分けている。
上に行けば行くほど粗くて、大きくて、感知しやすい。下に行けば行くほど細かくて、小さくて、感知しづらくなっていく。それぞれの段階について、簡単に説明していこう。ステージ①アクション
最も粗大で普段、五感を通して感知している部分。目で見えるもの、耳で聞こえる音、鼻で嗅げる臭い、舌で感じる味、手で触れられる物体、その全てがこの領域に属する。人間の体そのものである脳や神経系もここに含まれる。
私たちが普段行っている行動、例えば、何かを新しく学んだり、金銭管理をしたり、目標設定して行動計画を立てたり、そういった活動全て含めた「どう行動しているか?」という体や物質の世界がここだ。ステージ②マインド
体や物質よりも繊細で、五感で感知できない「心」を主に扱う領域。思考や価値観、哲学、思い、感情などがここに含まれる。
「お金を稼ぐのは難しい」だとか「人と違うことをしてはいけない」という思い込みや、「本音を言ったら嫌われる」だとか「何か成果を残さないと認めてもらえない」といった恐れの気持ちも全てこの部分から生まれる。
成功哲学や心理学、イマジネーションなども含めた「何を考えているのか?」という心の世界がここだ。ステージ③セルフラブ
心よりもさらに繊細な、人間の活動の基盤となっている生命の領域。体の活動も心の活動も、何らかのエネルギーなしに行うことはできない。そのエネルギーを与えるのが生命であり、存在そのものであり、愛であるこの部分だ。
この領域は全て愛で満たされていて、感情を超えた幸福感や至福感に包まれている。五感でも心でも知覚することが難しいほど繊細で、五感も心も超えた「魂」で体験することしかできない。
なかなか言葉で表現することが難しいが、それでも言葉にするなら、愛する人と無条件で愛し合える喜びや、無我夢中で好きなことに熱中しているときのワクワク感、両親やパートナー、大自然に対して静かに湧き上がってくる感謝の気持ち、理由なく直観によって導かれる使命感、絶対的な平安・安心感などが近い感覚としてあげられるだろう。
スピリチュアルな世界で語られるワンネスやハイアーセルフ、ヨガの世界で語られる純粋意識や真我、量子力学で語られる統一場などもここに含まれる。「どう在るか?」という魂の世界がここだ。『ONE 「1つになる」ということ』 第3章 より 加藤秀視:著 李白社:刊
加藤さんは、私たちが本当の意味で人生を変えるときは、ステージ3の領域から順番に変化していく
と述べています。
ステージ3の世界は、木に例えると、土に含まれている「養分」。
ステージ2は「根」や「幹」。
ステージ1は「枝」。
根や幹や枝を茂らせるには、その元になる養分から変えなければなりません。
逆はあり得ないということですね。
潜在意識を変えるトレーニング
人は、自分のことばかりを考え、自分にスポットライトが当たっているときに恐れが生まれ
ます。
反対に、誰か大切な人や何か好きなことにスポットライトが当たっているとき、人は愛を感じ
ます。
大事なのは、意識を変えること
です。
恐れにフォーカスを当てるんじゃなく、愛にフォーカスしていく
ことが必要となります。
考え方とか思考とかは二次的要因に過ぎず、無理に変えることできない。心の奥底では相手のことを思いやってもいないのに、「相手のために」だなんて言い聞かせて善意を押しつけても気持ち悪いだけ。そういう不自然なものは相手にも伝わるし、何より自分が一番苦しい。
自分には価値がない、と深層では思っているのに、「私はできる!」と力強く宣言しても意味なんてない。大事なのは、意識を変えること。
例えば、飲食店で食事するとき、「袖振り合うも多生の縁」という言葉を意識すると、初めて会う店員さんにも、「ありがとう」と一言添えられたり、片づけやすいようにしてお店を出てくることができる。
ホテルに宿泊してチェックアウトするときも、その後に部屋を掃除する人のことを意識すると、相手が知らない人であっても部屋を出来るだけ片づけて出てくることができる。
同じように、人生を変えるときも前提の意識を変えてみる。「もし、自分が人に愛されているとしたら」
「もし、自分に十分な時間とお金があったとしたら」
「もし、自分が心身ともに健康でエネルギーに満ち溢れているとしたら」こういった前提なら、あなたはどんな自分を想像できるだろうか。たとえ今そうじゃなかったとしても、そう意識してみる。
全ての現実は内側の意識が投影されたものだ。今目の前にある現実も全て、あなたの意識が創り出したもの。人間関係も仕事の成果もお金も全てだ。
だから、仮でもいいから前提を変えるトレーニングをしていけば、内側の意識も次第に変わっていく。大事なのは、外側の現象を変えることではなく、内側の意識を変えること。
内側の意識を変えることで、外側の現象も変わっていくんだ。そうやって意識が変わるから、思考も行動も変わり、心も結果も変わっていく。
上から覆いかぶせるような不自然な変わり方じゃなく、意識を変えていくと感じ方が変わり、自然と全てが“変わっていく”んだ。ここは重要なところなので、よく理解しておいてほしい。『ONE 「1つになる」ということ』 第4章 より 加藤秀視:著 李白社:刊
潜在意識に逆らって、考え方や思考だけを変えようとしても無駄です。
結局、元に戻ってしまいます。
考え方や思考は、「変える」ものではなく、「変わっていく」もの。
普段の生活でも、「前提の意識」を変える努力を続けたいですね。
自分の魂が喜ぶことをする
意識をステージ3まで高めるためには、「自己愛」が必要です。
なぜなら、ひとはまず自分を愛することができないと、他人を愛することができないから
です。
加藤さんは、「自分を愛するために押さえるべきポイント」をいくつか挙げています。
その中のひとつが、「自分の魂の喜ぶことをする」ことです。
自分を愛するためには、自分の本音の喜びを追求することが重要だ。毎日やりたくないことばかりをし、周りの人間関係や環境が自分と合わないようでは、自分を愛することは難しい。
そういう状況にある人は、「自分が喜ぶかどうか?」ではなく、損得や優劣、善悪といった塗り固められた常識で仕事や環境を選んできた可能性が高い。
自分を愛するために最も大事な判断基準は、「ホンネの喜びかどうか?」。いくら得するから、それが善い行いだから、立場や待遇が良いから、そういった理由で決めたことは、どれも自分を幸せにしてくれない。
なぜなら、私たちが幸せを感じるときというのは、心底喜びを感じているときだからだ。心底喜びを感じられるかどうか以外の基準で選んだものは、結局本気で打ち込むことができず、自分が苦しい思いを抱えることになってしまう。
本音の喜びと言うと少し分かりづらいかもしれないが、心が踊るようにワクワクすること、もっと知りたいと好奇心が湧いてくること、それに取り組んでいると時間の流れを忘れるようなことだ。それも、誰かに影響されて一時的にそう思っているのではなく、あくまで自分が主体で、自分の内側から生まれてくる気持ちであることが大事だ。
よく人に対する影響力の強い人の言葉に影響され、他人の思いや情熱を自分の気持ちと勘違いする人がいるが、それは外から啓発されて影響されていることが多い。
もちろん、あの人みたいになりたい、という憧れを持つことや、変化のきっかけを外からもらうのは大いに良いことだ。
だが、いくら外から火を分け与えもらっても、燃えるのは自分。自分の心が燃えないことは、いくら外から火をもらっても燃えないまま。
だから、自分の心の中に燃えるものがあるのかどうかを、しっかりと見極めなければならない。
外からの火で燃えている人は、アドレナリンがパッと出ているような興奮に近い状態にあったり、やりたいと言っているのに本人の表情が曇っていて楽しそうじゃなかったりするので、実は外から見ていても何となく違いは分かる。
自分が本音で喜ぶこととは、もっと静かで平穏の中でも抑えきれない衝動がこみ上げてくるもの。メラメラと燃え上がる赤い炎ではなく、静かに熱く燃えるような青い炎のイメージだ。『ONE 「1つになる」ということ』 第5章 より 加藤秀視:著 李白社:刊
周囲に合わせることばかり考えて生きていると、「自分は本当は何がしたいのか」がわからなくなってしまいます。
自分が本当にやりたいことは、誰かに「やれ」と言われなくても、自然とやってしまうもの。
「ホンネの喜びかどうか」
何か始めるとき、いつも自分の心に問いかけたいですね。
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☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
加藤さんは、世の中のものは全て2つで1つ
だとおっしゃっています。
光があるから、闇がある。
プラスがあるから、マイナスがある。
昼と夜、静と動、ポジティブとネガティブ・・・・。
全ては、相対するものがあって初めて成立します。
人についても同様です。
長所があるからこそ人を助けることができるし、短所があるからこそ人から助けてもらえるありがたみを感じる
ことができます。
あるがままの自分を愛し、あるがままの他人を愛すること。
それが、「1つになること=つながること」です。
私たちも、本書の「つながる技術」を習得し、豊かな人間関係を築いていきたいですね。
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