本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『「背中ゆるめ」ストレッチ』(岩井隆彰)

 お薦めの本の紹介です。
 岩井隆彰先生の『5回ひねるだけで痛みが消える! 「背中ゆるめ」ストレッチ』です。

 岩井隆彰(いわい・たかあき)先生は、メディカルトレーナー・フィジカルトレーナーです。

その痛みの原因は「背中」にあった!

 何をやっても治らない腰痛や首の痛み、肩のコリやハリ。
 そのような悩みを抱えている人は多いです。

 岩井先生は、痛みの原因は首や腰などの患部ではなく、「背中」にあることが多いと指摘します。

 背中には体を支える背骨が通っていて、その両脇には脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)という非常に大きい筋肉が添っています。この背骨と筋肉がバキバキに固まっていて動かないことが、体のあちこちに現れる痛みや不調の原因となっているのです。

 普段なかなか意識する機会がありませんが、背中というのは、体の中心を支えている非常に重要な場所です。
 また、背骨は全身を支えるのと同時に、脳から体の各所に通じる神経や血管の通り道でもあります。背骨や背中の筋肉がやわらかくなると、筋肉や関節が、内臓と脳をつなぐ神経や血管を圧迫することもなくなり、全身の調子がよくなっていくのです。
 つまり、背中の関節と筋肉に柔軟性があり、しなやかであれば、体の痛みに悩まされる機会が減るのはもちろん、全身が健康な状態になっていくのです。

 『「背中ゆるめ」ストレッチ』 はじめに より 岩井隆彰:著 青春出版社:刊

 背中の筋肉をゆるめるために、岩井先生が生み出した方法が、「背中ゆるめストレッチ」です。

 岩井先生は、健康の要となる「しなやかな背中」を手に入れることで、これまでよりも快適に体を動かすことができるはずと述べています。

 本書は、誰でも、いつでも手軽にできる「背中ゆるめストレッチ」のやり方を解説した一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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たった5回で痛みが和らぐ「背中ゆるめストレッチ」

 背骨ゆるめストレッチは、背中、つまり胸椎部分の関節と筋肉に焦点をあてるストレッチです。
 このストレッチの特徴は、「ひねる動き」を取り入れていることです。

 背中をひねる動きというのは、スポーツなどをしていなければ、なかなか行う機会がありません。しかし、筋肉を伸ばすときに「ひねり」を加えることは重要です。ひねる動きをすれば、普段運動などをしていない人であっても、最大伸長まで簡単に筋肉を伸ばすことができるのです。

 筋肉に柔軟性を持たせるには、筋肉を最大限まで伸ばすことが大切です。
 しかし、子供のころから運動経験がある方でも、自分の体や筋肉の性質・特徴については把握していないところも多く、「最大限に筋肉を伸ばす」とか「最大限に筋肉が伸びていると意識する」ことは難しいのではないでしょうか。
 また、普段運動を行わない方や、もともと体が硬い方であれば、単純に一方向に体を伸ばしキープするだけでは、伸ばしたときの痛みなどにより、最大伸長まで筋肉を伸ばし続けることが難しい場合も多いのです。
 しかし、「ひねる動き」をストレッチに組み合わせれば、簡単な動きで楽に最大伸長まで、背中の筋肉を伸ばすことができます。

 水分を含んだタオルを効果的に絞るとき、ただ縦に引っ張ったり、折りたたんだりする人は、ほとんどいないでしょう。ねじって絞る人がほとんどです。そのほうがタオルの繊維がよく伸び、水分を効果的に絞りだすことができるからです。
 これと同様に、筋肉も、ただ縦に伸ばしたり、折りたたむだけで最大伸長に到達するのは難しいものです。ひねる動きを加えることで、1本1本の筋繊維を簡単にギューッと伸ばしきることができます。
 硬くなっている背中の筋肉がしっかりゆるめば、胸椎の関節もほぐれてよく動くようになります。これによって、背中の可動域が広がり、首や腰にかかる負担を軽減していくことができるのです。

 『「背中ゆるめ」ストレッチ』 第1章 より 岩井隆彰:著 青春出版社:刊

 ただ単に伸ばすのではなく、「ひねる動き」を加えること。
 それが背中の筋肉をゆるめるためのポイントです。
 普段の生活ではしない動きをして、使われずに硬くなった筋肉をほぐしてあげましょう。

1分で体が変わる! 「背中ゆるめストレッチ」のやり方

「背中ストレッチ」をする上でのポイントは、以下の通りです。

  • ストレッチは全部で5つ。全部できなくてもOKです。できるストレッチを毎日行って、背中に刺激を与え続けていくことが大事です。
  • ストレッチは勢いをつけて、背中をひねります。ひねった状態をキープする必要はありません。
  • 体が硬ければ、ひねられるところまで動かしましょう。ここまでひねることが必要といったゴールはありません。
  • 「腕が上がらない」「手が届かない」といったストレッチがあったら、自分ができる範囲で動かして、ストレッチを行いましょう。
  • 朝と夕方の1日2回できればベスト。時間がなければ、1日1回でもOKです。
  • 肩に力を入れず、脱力した状態で行うようにしましょう。
  • ひねったところで息を吐くようにすると、楽に体をひねることができます。

 『「背中ゆるめ」ストレッチ』 第2章 より 岩井隆彰:著 青春出版社:刊

 ここでは、「背中の上部ひねりストレッチ」(下図1を参照)と「背中の下部ひねりストレッチ」(下図2を参照)の2つやり方をご紹介します。

 しっかり覚えて、毎日の習慣にしたいですね。

背中の上部ひねりストレッチ 第2章P75   背中の上部ひねりストレッチ 第2章P74
図1.背中の上部ひねりストレッチ (『「背中ゆるめ」ストレッチ』 第2章 より抜粋)


背中の中 下部ひねりストレッチ 第2章P77   背中の中 下部ひねりストレッチ 第2章P76
図2.背中の下部ひねりストレッチ (『「背中ゆるめ」ストレッチ』 第2章 より抜粋)

硬い背中が全身の不調につながる理由

 背中の硬さが引き起こすのは、痛みだけではありません。

 岩井先生は、疲れやすさやだるさ、冷え性、高血圧、不眠、胃腸などの内蔵不調、眼の疲れや乾き、自律神経の乱れ、免疫力の低下など、全身のさまざまな不調と関係していると指摘しています。

 背中はさまざまな部分とつながっています。まず、次のページのイラスト(下図3を参照)を見てください。

 背中の中心は空洞になっていて、そこを脳から延びている脊髄が通っています。
 脊髄からは、血管や神経がたくさん枝分かれして延びていて、手足や内臓の各部位へ栄養や運動命令などを送っています。
 つまり、脳という司令塔からのメッセージを体の末端まで届けるためには、脊髄から延びている神経や血管の通りをスムーズにすることが大事なわけです。また、体の各部位で起こっている「疲れた」「痛い」といったトラブルを、脳へ報告するためにも、神経や血管の通りがよいことが必要です。
 ところが、背骨が硬くなっていて、骨と骨の間の関節の幅が常に狭まっていると、この大事な通り道である神経を圧迫してしまうので、指令も体の各所からの報告もうまく流れません。
 どんな仕事でもサークルでも、伝達が悪くなると、みんなイキイキと働けなくなりますし、組織全体がうまく回っていきません。それと同じことが全身で起こってしまうのです。
 背骨が硬いことは、全身に痛みや不調といったさまざまなトラブルを生みます。逆に背骨がやわらかくなると、神経や血液の行き来がよくなるので、伝達事項も、栄養も、体の末端までよく行きわたるようになります。そのためには、背骨の両側に存在する脊柱起立筋をはじめとする背中の筋肉をやわらかく保つことが先決です。

 背骨と背中の筋肉が、常にやわらかくて、イキイキした状態であれば、全身にとって多くのよい影響がもたらされるようになります。
 実際に私の患者さんでも、このストレッチを始めて「胃腸の調子がよくなった」「風邪をひきにくくなった」という方が多くいるのです。
 背中ゆるめストレッチは単なる緩和のためのストレッチではなく、全身の健康を保つためにも有効なものだといえるでしょう。

 『「背中ゆるめ」ストレッチ』 第3章 より 岩井隆彰:著 青春出版社:刊

背骨と体の各所の関わり 第3章P92
図3.背骨と体の各所の関わり (『「背中ゆるめ」ストレッチ』 第3章 より抜粋)

 慢性的な体の不調を抱えている人は、その理由が「背骨の硬さ」にあることを疑ってみた方がいいでしょう。

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「背中」は、家に例えると“大黒柱”です。
 起きている間、黙々と体全体を支え続けています。

 デスクワークが多い現代人。
 長時間、椅子に座ったままの人が多く、とかく背骨を酷使しがちです。
 背中が硬い人は、以前よりも格段に増えているとのこと。

 腰痛や肩こりなどの慢性的な痛み。
 疲れ目や胃腸の不調などの慢性的な疲れ。
 これらは、酷使されてカチコチに凝り固まった背骨からのSOSサインです。

 背中の柔らかさは、その人の健康のバロメーターになります。
「背中ゆるめストレッチ」を朝と夜の日課にし、いつまでも健康的な生活を送りたいですね。

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