本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『髪は増える!』(山田佳弘)

 お薦めの本の紹介です。
 山田佳弘さんの『髪は増える!』です。

 山田佳弘(やまだ・よしひろ)さんは、育毛相談WEBセラピストです。
 メルマガ(育毛法を探る12のコツ)やブログ(育毛の道案内人が綴る事実・現実)で、育毛の事実現実に基づいた情報を発信されています。

育毛の一般常識は、事実と正反対!

 一般的に、「育毛に効果がある」と言われているのは、以下の4つです。

  1. 頭皮と毛穴に詰まっている脂(皮脂)と汚れを取り清潔にすれば髪は増える
  2. 抜け毛を減らせば髪は増える
  3. 発毛させれば髪は増える
  4. 効果のある育毛剤があれば髪は増える

 しかし、これら4つの常識では、頭皮を痛めて毛を無くす可能性がとても高いです。

 それまでの業界の常識に疑問をいだいた山田さんは、長年現場で培ったノウハウをもとに独自の育毛方法を確立しました。

 山田さんによると、髪の毛の問題は、初期であればあるほど改善しやすく改善率が高いとのこと。
 正しい知識、方法での、早めの予防、対応が肝心だということですね。

 本書は、「育毛」における、一般的に信じられていることの問題点と薬に頼らない改善法をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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皮脂では、毛穴は詰まらない!

 山田さんは、皮脂(皮膚を覆っている脂)を取るケアはマイナス面が大きく、頭皮の育毛環境を悪くすると指摘しています。

皮膚の構造 P27第1章
図1.皮膚の構造 (『髪は増える!』 第1章 より抜粋)

 なぜ皮脂(皮膚を覆っている脂)を取ると育毛環境が悪くなるのでしょうか? それは皮膚の構造をみると分かります。上の図(上の図1を参照)の通り、人の皮膚は何層ものバリア構造を作っていて、一番外側に角質層があり、その角質層の隙間を埋めるように細胞間脂質(セラミド)があって、それらを覆うように皮脂膜(皮膚を覆っている脂)で覆われているのです。お風呂に入った時お肌が水を弾くのは、この皮脂膜のおかげなんですね。
 健康な皮脂膜は、有害物質の侵入と細菌の感染を防ぎ、無駄な水分蒸発を防ぎ保湿作用があって角質層の水分保持に役立っているのです。また、汗と皮膚常在菌(善玉菌)の産生物質(排泄物)と混ざり合い、弱酸性に保つことで殺菌作用を持っています(弱酸性では善玉菌は増えない)。
(中略)
 こうして見ると、皮脂と汗と皮膚常在菌は、人の体を守るために必要なものだと分かります。皮脂は人が生きていくために必要な分泌物ですから、取ると再度分泌されます。週に1回程度皮脂を取るようなシャンプーをしても、再度分泌されるので皮膚のバリア構造はほぼ崩れません。
 皮脂は人が体の内部から分泌する脂=液体なので、詰まることもないのです。たとえ角質と混ざって角栓になったとしても、頭皮の毛穴は顔の毛穴の2倍か3倍あるので詰まりません。例えは悪いですが、ニキビ顔の高校球児でも頭皮がニキビだらけになっていないのは、頭皮の毛穴は詰まらないことの証明です。
 また、毛穴にも人が生きるための重要な働きがあります。皮脂の分泌にも必要ですし、体温調節にも必要な器官で、老廃物を排泄する器官でもあります。だから毛穴が詰まることはないのです。

 『髪は増える!』 第1章 より 山田佳弘:著 自由国民社:刊

 CMなどでは、悪者のように扱われている「皮脂」。
 実は、頭皮の環境を調えるうえで、重要な役割を果たしています。

 皮脂が毛穴に詰まって、毛が抜ける。
 これは、メディアによって作られた、単なる思いこみに過ぎないことは理解しておきたいですね。

「皮脂の分泌能力」と「髪の毛を育てる力」には法則がある

 これまで数多くの相談者の頭皮を見てきた山田さん。
 皮脂と髪の毛の量の関係について、皮脂の分泌能力の高い人は髪の毛を育てる力が強く、皮脂の分泌能力の低い人は髪の毛を育てる力が弱いという事実があると述べています。

 皮脂の分泌能力が高い人とは、素質として皮脂の分泌能力が高い人であって、頭皮の表面が皮脂でベタベタになっているのとは違います。見た目には、ベタベタではないのに、お湯で頭皮を洗うと毛穴から大量の皮脂が出てくるのです。
 こんな人の髪の毛は太くて硬くて本数も多いのです。育毛のケアをしても環境が整うと同時に増え始めるので、短期間(半年〜1年)で改善していきます。そりゃもう、信じられないくらいの回復力を見せます。育毛剤の効果だけで簡単に増えるのは、こんな人ではないかと思います。しかし、髪の毛のことで悩んでいる人はとても少なく例外的なので、ほとんどの薄毛でお悩みの方の参考にはなりません。
(中略)
 それに対して、皮脂の分泌能力が低い人とは、素質として皮脂の分泌能力が低い人であって、頭皮表面がテカっていても皮脂の分泌量が少ないのです。見た目にテカっているのに、お湯で頭皮を洗っても流れ出てくる皮脂の量は少ないです。中にはほとんど何も出てこない人もいます。
 こんな人の毛は柔らかくて細い毛をしています。所謂、猫毛というのでしょうか?育毛のケアをして環境が整ってもなかなか増える方に移行しません。髪の毛の状態が良くなるのに時間がかかるし、増えるようになるのにも時間がかかるのです(3年〜5年)。薄毛で悩んでいる方の多くが、皮脂の分泌能力が低い人です。

 『髪は増える!』 第2章 より 山田佳弘:著 自由国民社:刊

 皮脂の分泌能力が強いか、弱いか。
 それを知るためには、「皮膚の防御力」を見るとだいたい分かります。例えば、

  • 使う化粧品に気を使う
  • 何かを皮膚に付けるとすぐに赤くなる
  • 汗をかくと痒くなったり赤くなりやすい
  • 肌が乾燥しやすい

 などの症状がある人は、皮脂の分泌能力が低い可能性が高いです。

頭皮に余裕が出るヘアケア習慣

 毎日シャンプーをしないと痒(かゆ)くなる、フケが出る。
 山田さんは、その原因は、脂分を取り過ぎるシャンプー剤を使って毎日頭皮を綺麗にし過ぎていたからだと指摘します。
 正常な頭皮に戻ると、本来の血の巡りを取り戻して、髪の毛が育つようになります。

 毎日の髪のケアの具体的な方法は、以下の通りです。

 基本は湯シャンです。湯船のお湯と同じくらいのお湯で良いので、お湯のみで頭皮と髪の毛を洗います。お湯で髪の毛を濡らしたら、櫛で髪の毛を梳(と)かしておくと、髪の毛の絡みをある程度防ぐことができます。
 洗い方は、指の腹でなぜるように頭皮を洗います。優しくこすると言い換えてもよいです。ざっと1分程度お湯を流しながら頭皮を洗い、髪の毛は手櫛で梳(す)くように何度も洗えばよいでしょう。じっくりと何度も手櫛で髪の毛を洗わないと髪の毛に残っている皮脂はなかなか流れないのでベタつきが残ります。
 洗い終わった後は、タオルで拭き取り必ずドライヤーで頭皮を中心に乾かしてください。自然乾燥は頭皮が冷えるので毛の育ちが悪くなります。
 頭皮の痛み方や荒れ方、乾燥が激しい場合は、湯シャンを始めた当初は痒みを感じることが多いです。2ヶ月もすると痒みは軽減してくると思います。
 いろんな育毛剤を渡り歩いたり、毛穴掃除と称して皮脂を取るケアをしていたり、美容院で綺麗にし過ぎるヘッドスパを定期的に行ったりして頭皮に異常を抱えている人がいらっしゃいます。こんな場合、どうしても痒みが軽減しないことが多いので、通常のケアでは難しい可能性が高いです。有料になりますが、一度私のところにご相談ください。フケ・脂っぽい・匂い・赤いも同様です。
 脂漏性湿疹・皮膚炎になっている頭皮の場合も湯シャンだと痒みが激しくなるかもしれません。このような場合は、特殊なケアが必要だと思ってください。まずは皮膚科にて診察して貰ってください。その上で私のところにご相談ください。

 『髪は増える!』 第4章 より 山田佳弘:著 自由国民社:刊

 よかれと思ってやっていることが、逆に悪い方向に働いてしまう。
 毎日のシャンプー剤も、そのひとつです。

 洗髪の目的は、頭皮の緊張を緩めて日中弱くなっている血の流れを回復しやすい環境を取り戻すことです。
 頭皮を痛めず、優しくいたわる習慣を心がけたいですね。

マッサージはどうする?

 マッサージの目的は、以下の3つです。

  1. 頭皮の緊張を解す
  2. 血流を促す
  3. 少しでも毛細血管が増える手助けする

 頭皮が緊張して硬くなるのは、肩や首筋・背中島が緊張しているからです。頭皮だけを解しても肩や首筋・背中が緊張してるとすぐに元に戻ってしまいます。

①まず、肩の筋肉を5本の指でつかむようにして左右に動かしながら前後に揺らします。左肩は右手で・右肩は左手で行います。
首筋の筋肉を上から下に・下から上に左右に揺らすようにしてほぐします。右側は右手で、左側は左手で。
頭蓋骨周辺のツボを気持ち良いくらいの力で解します。ツボと言っても分かりづらいので、頭蓋骨の際の凹んでいる部分を指で押しながら解します。一番気持ちよく感じる凹み(首筋の右側と左側)を1分〜2分程度でよいので丹念に解してください。中指でもいいし親指でもいいです。
④楽になったところで肩甲骨を使って大きく腕を前後に5回程度ずつゆっくりと回します。筋肉が連動して動くので肩と首が解れて楽になり、頭皮の緊張が緩みやすくなります。
⑤最後に首筋に沿って手のひらで鎖骨までリンパを流します。これで少しは肩首が楽になっているでしょう。

 右の図(下の図2を参照)を参考にして頭蓋骨周辺のツボ・首筋・肩を気持ちのよい程度の強さで解してください。湯船に浸かっている時に行っても構いません。

(中略)
 その後、頭皮のマッサージを行いますが、必ずタオルを被って行ってください。
 タオルを被り両手の平で頭皮をつかみ、前後・左右・円を描くように動くだけ動かします。無理に動かすと失敗するので、あくまでも動くだけ動かして行います。
 頭皮の緊張が解れるように2分か3分行えばよいでしょう。やり方は左の図(下の図3を参照)を参考にしてください。生え際・頭のてっぺん・つむじ周辺・耳の上あたり・後頭部にかけて、順番に行うとよいでしょう。

 『髪は増える!』 第4章 より 山田佳弘:著 自由国民社:刊

首 肩のマッサージ P156 第4章
図2.首・肩のマッサージ (『髪は増える!』 第4章 より抜粋)

頭皮のマッサージ P157 第4章
図3.頭皮のマッサージ (『髪は増える!』 第4章 より抜粋)

 頭皮のマッサージは、やり方を間違えたり、やり過ぎたりすると逆効果になる、“諸刃の剣”です。
 適度な力、適度な時間、適度な頻度を守りましょう。

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 山田さんによると、東洋医学では髪の毛のことを「血余」と見る考え方があるそうです。
 血余とは、読んで字のごとく「血の余りもの」という意味です。

 つまり、全身に十二分に血が巡っていて、そのうちの余分な血が髪の毛になっているということ。
 髪の毛の発育を良くするには、全身の血の巡りを良くすることが一番です。

 豊かな髪は、心身の健康から。
 ウォーキングなどの軽い運動、野菜や果物中心の食事、ストレスの少ない生活など、普段の習慣を見直し、“髪に優しい”生活を送りたいものです。

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