本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

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【書評】『リーダーが身につけておきたい25のこと』(鈴木義幸)

 お薦めの本の紹介です。
 鈴木義幸さんの『リーダーが身につけたい25のこと』です。

 鈴木義幸(すずき・よしゆき)さんは、国際コーチ連盟マスター認定のコーチです。
 企業において管理職を対象とするコーチング研修、経営トップへのエグゼクティブ・コーチングを多数手掛けられています。

「リーダーシップ」は、誰もが持つ力

 鈴木さんは、リーダーシップとは、1人では実現できない何かを実現したいと思い、他者に働きかけ、協力を仰ぎ、その実現を目指す力のことであるとして、誰か特別な人に宿るものではなく、すべての人の中に必ずあるものなのだ、と述べています。

 たとえば、誰かを映画や食事に誘ったりすることも、ホームパーティを催すことも、リーダーシップの力です。
 したがって、リーダーシップをとった経験のない人は一人もいないことになります。

 リーダーシップが「力」である以上、それが大きい人と小さい人とがいます。
 より大きなことを実現しようと思えば、より大きなリーダーシップが必要になります。

 本書は、リーダーシップを大きくしていくために必要なことを具体的な方法も含めて、25の項目にまとめたものです。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「これがやりたい!」が人を動かす

 リーダーシップを発揮するためには、何よりもまず「実現したいこと」がなければいけません。
 協力者を惹きつけ、ワクワクさせる未来のビジョン。
 それがない人は、どう転んでもリーダーとして機能しません。

 経済状況の厳しい昨今でも、依然右肩上がりの成長を続けている企業があります。
 それらの企業と他の企業との違いについて、鈴木さんは以下のように述べています。

 業界特性はファクターのひとつではありますが、それよりも、いかにその企業が内部基準でビジョンを打ち出し、その実現に向けて社員を束ねているかということが大事なのではないでしょうか。
 要するに、「これがやりたい!」を持っている企業は不況に対して強いと私は思うのです。
 「これがやりたい!」があるということは、黒船が来る前に、自分からどんどん新しい手を打っていけるということだと思います。
 周りの環境がどうであれ、打って出たいことがあるのが大切です。
 昔、アニメ『宇宙戦艦ヤマト』で、ヤマトが波動砲というものを発射するシーンがありました。エネルギーを溜めに溜め、ものすごい勢いで発射します。実現したいことが内側にあるといのは、私にとって、あの波動砲が発射前にエネルギーを集約するようなイメージです。
 実現したいことが内側にないのでは、部下にエネルギーを伝えることは難しいでしょう。

 『リーダーが身につけておきたい25のこと』 PART1 より  鈴木義幸:著  ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊

 売上目標や利益目標ありきではなく、「これがやりたい!」というリーダーの熱意が会社を活性化させます。
 会社全体が「これをやりたい!」というビジョンが明確で社員一人ひとりにそのエネルギーが伝わっていると、それがお客さんにも伝わり、「ここで買いたい」という気持ちを起こさせるのでしょう。

「マジックワード」で言い訳を一掃する

 リーダーには、「逃げない力」が必要です。
 逃げないというのは、「外側の何か」に対してではなく、自分の中に生まれる「恐れ」から逃げないということ。
 逃げてしまうときというのは、内側からさまざまな「声」が聞こえてくるものです。
 自分の内側で展開する声のことを「セルフトーク」といいますが、逃げるときはたくさんのセルフトークがものすごいスピードで沸き起こり、逃げるほうが正しい選択であることを証明しようとします。つまり、言い訳をつくり上げてしまいます。

 この言い訳を一掃するため、時にとても有効に機能するものがあります。それは「格言」や「マジックワード(魔法の言葉)」と呼ばれるものです。
 「あの部下と、あの件について話をするのは面倒くさいな。また反発されるかもしれないし、自分や会社に対する不満を口にされるかもしれない」
 そんな声が内側から聞こえてきたら、「一番会いたくない人に、一番会いたくないときに、会いに行け」と自分の中で唱えるのです。それだけで、すべての言い訳が一掃され、逃げないで向かい合うことのメリットが蘇り、行動を起こすことができます。

 以前、私は「Fear into Power」という言葉を、よく唱えていました。
 恐れを力に、という意味です。
 恐れを越えようとするときこそ、人はものすごいエネルギーを生み出す。そのエネルギーによって多くのことが実現可能になる。そんな意味合いです。

 『リーダーが身につけておきたい25のこと』 PART1 より  鈴木義幸:著  ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊

 仕事上必要な、やりたくないことや面倒なことから逃げていても、やらなくてはならないことには変わりません。
 先延ばしにすればするほど、問題が大きくなってしまって、ますます手をつける気がなくなるということも往々にしてあります。

「一番会いたくない人に、一番会いたくないときに、会いに行け」

 いざというときに、思い出したい言葉です。

「人のために」を考え実行すること

 鈴木さんは、リーダーシップとはフォロワーのリーダーシップに灯を灯すことであると述べています。
 つまり、「輝いている人」です。
 では、どのような人が「輝いている」のかというと、「周囲の人のために」と、人々を生かすことを考えている人です。
 鈴木さんは、人々を生かすことを考えている人ほど輝くとして以下のように述べています。

 輝いている、輝いて見えるということが物理的に何を意味するのかはよくわかりません。しかし、「人のために」と思っている人が輝くのは、そういう人に近づけばきっといいことがあるはずと周りが認識できるからでしょう。
 その輝きは、いってみれば「協力関係が培いやすい」あるいは「人が生き延び進化するのに向いている」ということを示す目印です。
 自分の利益ばかり考えている人が輝いていたら、いまほど人々が協力しあう姿は見られなかったでしょう。自分本位の人が輝かないほうが、人類にとって好ましいのです。
 もちろん、人はその瞬間におけるさまざまな利害を考慮して行動を決めるものですから、輝いていない人に近づいてしまうこともあります。ただ、それはそうせざるを得ない理由があるからで、自然な判断が下せる状態であれば、人は輝いている人のほうに近づいていくだろうと思います。「自分にとってメリットが大きい」と、潜在意識が察するからです。

 『リーダーが身につけておきたい25のこと』 PART2 より  鈴木義幸:著  ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊

 たしかに、自分のことしか考えない利己主義的な人に、自ら近づこうという人はまずいないでしょう。
 「自分のため」が「人のため」になることは何か。そのような発想をすることが、その人が輝くための、リーダーシップの力を強めることのカギになるということですね。

「すべては自分次第」という感覚を持とう

 誰の中にもリーダーシップの芽があり、それを成長させることができる、持論を持っている鈴木さん。
 もし、リーダーにふさわしくない人を何が何でもリーダーにしなければいけないときにすべきは「退路を断つ」ことだ、と述べています。

 存在感のない私の友人がもし自分の部下なら、3~4人のチームをつくり、そのヘッドに彼を据え、「会社の未来を支える、いち早く戦力となる人を30人、採用してほしい」や「新規事業で収益を10億円あげてほしい」など、明快な半年後のゴールを提示する。予算を与え、「違法行為でなければ何をやっても構わない」と伝える。そして、「半年経ってゴールに到達しなければ辞めてもらうことになる」と告げる。以上。

 リーダーになるということは、最終的には、「すべて自分次第である」という感覚をもつことだと思います。一切の責任逃れを禁じ、あらゆることを自分に帰結させ、始まりから終わりまですべてを自分が握っていると思える感覚です。
 この感覚は、本では学習できません。MBAのクラスで学ぶことも絶対にできません。この感覚を体得するには、やはり「後がない」という状況に身を置く必要があります。
 リーダーの育成に成功している会社は、次期リーダー候補に対してこれを実践しています。

  『リーダーが身につけておきたい25のこと』 PART3 より  鈴木義幸:著  ディスカヴァー・トゥエンティワン:刊

 人間は、逃げ道があると、つい弱気になったり、甘えが出たりしてしまうものです。
 退路を断って、「すべては自分次第」という状況にまで自らを追い込んでしまうことが、自分の中のリーダーシップ力を最大限に発揮させるための一番の方法ということなのでしょう。
 常日頃から、逃げ道をあえてつくらずに自分にプレッシャーを掛ける、そんな意識を持つことが大事だということですね。 

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 人間は一人で生きていくことはできないし、一人でできることは限られています。
 自分のやりたいことをやるためには、周囲の人との協力は欠かせません。
 インターネットやソーシャルメディアが発達した現代社会は、より広い範囲からの協力を得るための道具が揃っています。
 それらの“武器”を生かすも殺すも、その人のリーダーシップ力次第といえるのかもしれません。

 リーダーシップは誰にでも備わっている「力」です。
 使わなければ花開くこともありませんし、逆に衰えてしまいます。
 日々の生活から、意識して鍛えていきたいものですね。

 
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