本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『とことんやれば、必ずできる』(原田泳幸)

 お薦めの本の紹介です。
 原田泳幸さんの『とことんやれば必ずできる』です。


 原田泳幸(はらだ・えいこう)さんは、大学卒業後、いくつかの企業を経てアップルコンピュータジャパンに入社、97年にアップルコンピュータ日本法人社長に就任されています。
 04年に「立て直しの切り札」としてヘッドハンティングを受けて日本マクドナルドホールディングスに入社、05年より会長兼社長兼CEOを務めてられています(2013年3月現在)。

キーワードは「成長」

 原田さんが、アップルコンピュータの社長からマクドナルドのCEO(最高経営責任者)へのヘッドハンティングを受けた理由は、パソコンよりもっと消費者に身近な、垣根の低い商品を売ってみたいという気持ちがあったから、とのことです。

 原田さんが大切にしているキーワードは「成長」です。

「仕事でも趣味でも、会社も個人もすべての面で成長したい」

 そう願い、その言葉通り、自らチャレンジを続けて多くの成功を収めてきた原田さん。

 本書は、“原田流”の夢や目標を必ず実現させるためのアイデアや方法が詰まった一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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自分の時間をブロックする

 原田さんが時間の使い方について、もっとも大切にしているのは、考える時間の確保です。
 とはいっても、時間の優先順を決めておかないと、ムダに消費する時間が増えています。

 つまり、自分自身にとって何をするのが一番重要なのかを考えて、かなり多くの時間をブロックしておかなければ、自分の時間は確保できません。

 スケジュールというのは、時間を投資に使えるようコントロールするものです。とくに優先順位の高い行動については、仕事だけではなくプライベートの予定も含めてブロックしておく必要があります。
 当然、仕事の時間は短くなるでしょうが、その枠のなかでいかに集中して仕事をし、成果をあげるかが工夫のしどころ。ビジネスマンの優劣を分ける点でもあります。
(中略)
「ビジネスとプライベートのメリハリをつけるのが大事だ」
 とよく言われますが、まさにその通り。ダラダラと仕事をしていると自分の時間がなくなります。そこで、自分の時間が取れるのは夜中だけとばかりに夜更かしを続けていると、仕事への集中度がますます低下し、悪循環に陥ります。
「仕事が忙し過ぎて、遊ぶ時間がない」
 とお嘆きの方は試しに、スケジューリングするときに前もって遊ぶ時間をブロックしてみてください。驚くほど、仕事時間の集中度が高まるはずです。それでもダラダラ仕事が続くようなら、それは遊ぶことや趣味への情熱が薄い証拠。仕事以外の熱中できる何かを探すことをお勧めします。

 『とことんやれば、必ずできる』  第一章 より  原田泳幸:著  かんき出版:刊

 仕事以外の熱中できる何かを探すこと。
 そして、その時間を確保すること。

 それが大きなモチベーションになります。

 今の時代、「仕事だけに生きる」というのは流行りません。
 趣味も仕事もとことん熱中して、集中力を高めていきたいですね。

やる気がない人にトラブルは起きない

 毎日、さまざまなことに挑戦して仕事している人は、必ず問題を起こします。
 逆に、何の問題も起こさない人は、ほとんど仕事をしていないということです。

 原田さんは、問題の数で社員を評価することはありません。
 起こしてしまった問題をどう乗り越えるか、そこにその人の真価が現れると考えるからです。

 問題を起こす人には大きく分けて、二つのタイプがあります。
 同じような失敗を何度も繰り返す人と、常に新しいものにチャレンジして失敗をするけど乗り越える人です。
 前者は、「考え」の足りない人。ミスを減点の対象にしていい問題児です。同じような失敗を何度も繰り返すということは、学習していない証拠です。つまりきちんと原因を分析して、次は別の方法でアプローチしようと考えるプロセスを怠けているのです。
(中略)
 他方、後者のタイプの問題児は、失敗を成功の糧にできる人です。ミスの原因を徹底的に分析して、次はどうしようと一生懸命に考えるところが、前者と大きく違う点です。私は長く技術者として仕事をしてきましたので、失敗に対する免疫はかなりあると自負していますが、前者に対しては同情できません。

『とことんやれば、必ずできる』  第二章 より  原田泳幸:著  かんき出版:刊

 失敗をすると誰しも落ち込み、自分のふがいなさに苦しい思いもします。
 さらに原因を分析するとなると、失敗の過程を反芻しなければならず、また悔しさがよみがえり、いっそう苦痛が増します。

 しかし、原田さんは、だからといって目をそむけていたら、その失敗は単なる失敗に終わってしまうと指摘します。

 苦しいけれど失敗を受け入れて、「いまこそ、自分を磨くチャンスだ」と思えるかどうか。
 それが、成長できるか、そこで止まってしまうかの分かれ目です。

「転んでもただでは起きない」

 そんなしたたかさも必要ということです。

成功体験を分析して、次の戦略に生かす

 成功したときに、「自分はなぜ勝てたと思うか」と成功の要因をきちんと分析できる人はあまりいません。
 これでは成功の価値も半減します。

 原田さんは、成功体験を分析することは、実は失敗から何かを学ぶ以上に重要だと指摘します。

 成功要因の影には必ず、自分の強みが潜んでいるからです。

 分析によってそこがわかれば、自分本来の能力を伸ばしていくことができます。失敗体験だけでは自分の弱みしかわからないので、成功体験が示唆する強みを知ることが必要だということです。
 仕事をしていて、どういうわけか、うまくいくときもあるでしょう。また自他ともに、「たまたま、うまくいっただけだ」と評価されるような成功に恵まれることもあります。しかし、成功に理由がないものも、「たまたま」もありません。必ず、理由があります。そこをきちんと分析せずに受け流していると、平凡な力しか発揮できません。成功体験から強みを発見してこそ、非凡な能力が開発されるのです。
「なんだか自画自賛めいていて、抵抗がある」
 と感じるかもしれませんが、別に誰かに自慢するために成功分析をするのではなく、自分自身のなかで自分の成長のために考えるだけですので、問題はありません。何も恥ずかしがることはありません。周囲には「たまたま成功しただけ」とサラリと言うほうがかっこいいと思うなら、そうすればいいでしょう。ただ、自分に対しては、「僕はここが強い。だから成功した。ほかにも生かす道があるのではないか」と考えることをお勧めします。

 『とことんやれば、必ずできる』  第四章 より  原田泳幸:著  かんき出版:刊

 これまでうまくいかなかったことがうまくいったとき。
 ただ、「運がよかっただけ」で片付けてはいけません。

 実際に、運だけでうまくいくことはありません。
 うまくいったのならば、それなりの理由は必ずあります。

 それを自分のなかでしっかり分析して、自分の強みとして理解したいですね。
 その積み重ねが、揺るがない自信となっていきます。

変化は自ら創り出す

 「変化に対応しよう」とは、よく使われれる言葉です。
 これを一歩進めた考え方が、「変化を先取りする」です。

 しかし、原田さんの感覚では「どちらも遅い!」とのこと。

 原田さんは、現代の企業およびビジネスマンは、世の中の変化を自ら創っていかなければならないと考えています。

「世の中はこう変化している。それに対応して行動しなさい。変化に遅れをとらないように、ついていきなさい。それよりももっと大事なのは、変化を誰よりも早く察知して行動することだ」
 と上司から言われたら、どう感じますか? たぶん、仕事をする前から、大きな疲労感に襲われるのではないかと思います。なぜなら、自分の意志通りに行動できず、変化に合わせて仕事をしなければならないからです。人は自分で考えて、自分で行動する分には疲れないけれど、何かに合わせなければならないと、本当に疲れるのです。
 だからこそ、自ら変化を起こしていく必要があるのです。
 企業の将来や自分の人生が、世の中の変化に左右されるなど、冗談ではありません。自分の意志を貫いて変化を創り出すように行動するところに、成功があるのです。

 『とことんやれば、必ずできる』  第五章 より  原田泳幸:著  かんき出版:刊

 受け身の姿勢よりも、自発的な姿勢で物事に取り組むべき、ということでしょう。
 チャレンジ精神が旺盛な原田さんらしい考え方です。

 自ら変化を起こせば、その変化の潮流の一番先頭に立つことができます。

 水面を波立たせるために投げられた最初の一石になる。
 自ら率先して変化を創り出していく存在になるべく、自分を磨いていきたいですね。 

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 長引く不況に震災のダメージが加わり、閉塞感が漂う日本。
 今必要なのは、原田さんのように明確なビジョンを持って、失敗を恐れずに目標や夢に向かってチャレンジし続けることができるタフで前向きな精神力です。

 現状に腐らず焦らず、どんな難題でも「とことんやれば、必ずできる」という信念を持って日々精進していきたいですね。

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