本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『性格は捨てられる』(心屋仁之助)

 お薦めの本の紹介です。
 心屋仁之助さんの『性格は捨てられる』です。


 心屋仁之助(こころや・じんのすけ)さん(@kokoroya)は、著名なカウンセラーです。心理療法・NLP(Neuo Lingustic Proguram:神経言語プログラミング)を取り入れた独自手法でのセラピーを展開されています。

性格は変えられる!

「自分の性格なんて、生まれつきのものだから、変えられない」

 多くの人は、そう思い込んでいます。

 しかし、心屋さんは、自身の体験から「性格は変えられる」と断言します。

 心屋さん自身、かつて“怒りっぽい”性格で、劣等感の塊でした。
 しかし、家族に起こったある重大事件をきっかけに、「自分自身を変えよう」と決意します。

 そして、NLPなどの最新心理学を応用した心理療法と出会い、それらを学んでいくうちにすべてが変わりました。

 性格までも、とても温厚で優しくなり、怒りの感情が生じたときでさえ、それらのすべてに意味を見出し、笑顔に変えていける性格になりました。

 本書は、心屋さんご自身の体験や最新の心理療法をもとに、意識的に「性格を変える」ための方法についてまとめられた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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変えられる「性格」、変わらない「個性」

 心屋さんは、人間のなかには、“変えられないもの”と“変えられるもの”の二つがあると述べています。

 “変えられないもの”とは、「個性(本質とよばれる先天的なもの)」で、その人がもって生まれた、その人だけのものです。
 “変えられるもの”は、いわゆる「性格」とよばれるものです。

 心屋さんは、この「個性」と「性格」の違いについて、以下のような例を用いて説明しています。

 私は料理をつくるとき、「なにをつくろうかな」と考えながら冷蔵庫を開け、「いまある材料」を確認します。そして、ひとまず鍋をとりだし、冷蔵庫のなかにあった、肉・玉ねぎ・人参をそのなかに入れて煮込みはじめます。
 その材料でカレーをつくる場合、甘いカレーにするのか、辛いカレーにするのか、それは料理をする私次第です。
 このときの、肉・玉ねぎ・人参が「個性」です。この材料でどんな料理をつくるとしても、使用した材料が変化することはありません。料理をしているうちに、肉が魚になったり、人参がキャベツになるのは、ありえないことです。
 それとは反対に、どんどん変えていけるのが味つけです。スパイスの配分や、好みの濃さ、さらには、煮込み時間や、調味料、水加減によっても味つけは変化します。
 そして、毎回同じ味ができるとは限りませんし、つくりかたをだれに教わるかによって、味つけも変わってきます。また、いろいろな人のリクエストを聞いたり、じゃがいもを入れるべきだといわれたり、焦がしてしまったり、またその焦げを誤魔化すためにたくさんの調味料を入れてみたり・・・・と、このように「料理の味つけ」が「性格」になるのです。
 そして、素材を生かした料理がいちばんおいしいのです。
 つまり、その人の「個性」にあった性格、その人の個性を邪魔せず伸ばしていける「その人だけの性格・味つけ」があるのです。そしてそれは、他の人の口にあわなかったり、もしかしたら見た目が悪いかもしれません。でも、そんなことにとらわれない、最高の味つけ(性格)を見つけることができるはずなのです。

 『性格は捨てられる』  第2章 より   心屋仁之助:著  中経出版:刊

 
「素材を生かした料理がいちばんおいしい」

 なるほど、納得です。

「性格」は、あくまでも「味つけ」です。
 余計なものを入れ込めば、逆に邪魔になります。

 まずは素材である「個性」をしっかり吟味して、それらを活かしたいですね。

心のかさぶたは「パート」になることがある

 NLP(Neuo Lingustic Proguram:神経言語プログラミング)の考え方によると、人の心のなかには「パート」(部分)といわれる個別のプログラムが、多数存在しているととらえられています。

 これが「性格」を形づくる要素となっています。

 人間は、「何度も繰り返されるもの」を大切だ、と判断するようにできています。

 よく使う/よく反応することが何度も繰り返されると、それはやがてパートというプログラムになって、その人の心に定着していきます。
 そして、同じような状況に出会うたびに、同じパート(プログラム)ばかりが反応するようになります。

 心屋さんは、「性格」とは、「パート」というプログラムの集合体であると指摘します。

 生まれたばかりの子供は、誰もが純粋無垢です。
 しかし、そのあとに親や周囲から教えてもらったことや、失敗したことや、つらい出来事を体験するたびに、その経験が「核」「傷」となり、それを包み込むようにして「かさぶた」がつくられます。

 その「かさぶた」が「パート」となって、自分の中に組み込まれてしまう場合があります。

「かさぶた」づくりは、それだけにとどまりません。あなたはつくられた「かさぶた」を見て、とても汚くて恥ずかしいものだと思います。ほかの人には決して見られたくはないと感じます。
 そこで、これを隠すために、その「かさぶた」の上に新たな「かさぶた」を重ねていくのです。新しい「かさぶた」とは、世間に認められたいという意図をもってつくられる、「これこそが私だ」というイメージのこと。
 本来の自分はどうあるかといったことにかかわりのない「見せかけの自分」です。

  このように、「人に見られたくない」部分(下層部分)と、「こんなふうに見られたい」という部分(上層部分)の二重のかさぶたで、あなたは守られているのです。
 こうして見てみると、どのように感じますでしょうか。かさぶたがどんどん折り重なっていて、とても息苦しく感じませんか。
 そうです。自分を守るためにどんどん「かさぶた」を重ねていってしまうと、そのうちに、いちばん奥にあるあなたの個性はまったく見えなくなってしまいます。
 個性はあなたが生まれながらにもっているものです。それが「かさぶた」によってびっしりと覆いつくされてしまうと、しだいに息苦しくなってきます。
 あなたの個性が訴えかけてくる、その「息苦しさ」は、やがては「問題」として伝わってくるようになります。それは、まるで骨から筋肉がはがれていくような痛みやしびれといった体からのメッセージかもしれません。またそれは、気持ち悪いといった心からのメッセージかもしれません。
 それでも、その「問題」を無視し、押さえつけ、我慢し続けて生きていると、そのうち、あなたは自分の個性のことを忘れてしまいます。あなたの個性とは、あなた自身であるはずなのに・・・・。

 『性格は捨てられる』  第2章 より   心屋仁之助:著  中経出版:刊

 生きていくのが息苦しいと感じる。
 自分自身が好きになれない。

 そういう人は、「かさぶた」で本来の自分である「個性」が完全に覆いつくされているのでしょう。

「かさぶた」の下で縮こまっている「個性」の小さな声に耳を傾けること。
 それが、息苦しさから逃れる第一歩となります。

性格を変えるには「勇気」と「決心」が必要

「かさぶたに守られた自分」でいる以上、本当の自分を抑圧しているため、息苦しさやイライラが収まることはありません。

 心屋さんは、もとの自分に戻るのに必要なのは、「本当の自分」に「戻る勇気」だけだと強調します。

 もとの自分に戻ることは、なんの苦労も努力も必要ありません。
 ただし、大切なのは、「人からこう見られたい」という仮面をかぶり続けるのではなく、仮面自体をはずし、「恥ずかしい」「つらい」と感じるかさぶたを取り除いて、「本来の自分」に「戻る勇気」が必要なのです。
 これは「努力」することで手にするものではなく、「気づいて、決める」だけなのです。
 あまりにも仮面やかさぶたが強力な場合、本来の自分を見失っていることも考えられます。
 しかし、自分と向きあって、つらさや「問題」、体の違和感を感じたときには、とりあえず自分が何かをしていることに気づき、我慢することをやめてみてください。これも勇気が必要です。
 頭で理解できなくても、勇気を出すと決めると、さまざまな偶然や、ラッキーな出来事が増えてきます。それは本当の自分が生き返ってきた、小さなサインなのかもしれません。
 心の世界では、そのような不思議な偶然を「シンクロニシティ」とよびますが、私はそれを意訳して「渡りに船」とよんでいます。

 『性格は捨てられる』  第3章 より   心屋仁之助:著  中経出版:刊

「かさぶた」はあくまでも「かさぶた」です。
 自分自身とはまったく関係ないものですから、取ろうと思えば取れるものです。

 必要なのは、努力ではなく、痛みに耐える勇気です。

 変わろうという勇気をもち行動を起こす人に、運も味方し、道が開けるということです。

自分の感情に向きあうセラピー

 性格を変えるためには、いくつかの手段があります。
 その中から、「自分の感情に向きあう」セラピーのひとつをご紹介します。

「怒り」「悲しみ」「嫉妬」などのネガティブな感情は、嫌がったり、押さえつけたりすると余計に暴れてしまいます。

 心屋さんは、ネガティブな感情の「使いかた」について、以下のような方法を試してみることを勧めています。

1 怒りや悲しみ、嫉妬などが湧きます。
2 それを抑えようとするのではなく、じっくり感じてみます。収まるまで感じてみます。「あぁ、いま私は怒っているんだ」「あぁ、いま私は悲しんでるんだ」「あぁ、いま私は自分のことをダメだと思っているんだ」

3 それだけで感情が鎮まってきます。

4 それでも鎮まらないときは、「くやし―――!!」「かなし―――!!」「さびし―――!!」「うらやましい―――!!」と、すっきりするまで大声で叫んでみます。

5 叫ぶ場所がないときは、それらの感情をこめて「ふ――――――っ!!!」と大きく息を吐きます。何度も何度も吐いてみてください。

 いかがでしたか?
 喜怒哀楽のエネルギーは、きちんと使わないとたまります。たまりすぎるとあふれ出したり、うつにつながることもありますから、こまめに出すことも大切です。

 『性格は捨てられる』  第5章 より   心屋仁之助:著  中経出版:刊

 どんな感情も「エネルギー」ですから、きちんと使わないとたまっていきます。

 心屋さんは、たまりすぎるとあふれ出したり、うつにつながることもあるので、こまめに出すことも大切だと述べています。

 余分なものはため込まず、発散させる工夫を忘れないようにしたいですね。 

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 心屋さんは、ネガティブな感情・思いを勇気もって表現することではじめて、喜びや楽しさという感情も開放することができたとおっしゃっています。

 そうすることではじめて、自分とは違う価値観、他人の弱さ、自分の弱さ、喜びや愛情のすべてを受け入れることができるようなったそうです。

 今の自分を否定せずに認めること。
 すべてはそこから始まります。

「他人につくられた性格」を捨て、自分本来の「個性を生かした性格」にアレンジしていけるようにしたいですね。

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