本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『お金が教えてくれること』(家入一真)

 お薦めの本の紹介です。
 家入一真さんの『お金が教えてくれること ~マイクロ起業で自由に生きる~』です。



 家入一真(いえいり・かずま)さん(@hbkr)は、起業家であり、現在は起業家を支援する投資家としてもご活躍中です。
 家入さんは、24歳で起業し、paperboy&co.(以下ペパボ)という会社を設立し、代表取締役社長に就任します。
 レンタルサーバ「ロリポップ!」が大ヒットし、29歳、最年少でのジャスダック上場を果たします。
 新しいことにチャレンジしたくなった家入さんは、ペパボの株式を売却し十数億円の大金を手にします。
 それを元手にカフェ業を営むpartycompany(以下パーティカンパニー)を2008年に立ち上げ次々と店舗を増やしていきます。
 しかし、次第に経営に行き詰まり、支払遅れ、スタッフの解雇、業務の整理などに追われるようになります。
 パーティカンパニーはつぶれずに済み、店舗規模を縮小したものの、家入さんの手元に残りました。
 しかし、上場後にあった大金は跡形もなくなってしまいました。

 本書は、短期間でネット起業によって大金を得て、それを瞬く間に使い切るという貴重な体験をした家入さんが、「お金」のいろいろについてまとめた一冊です。
 ビジネスでの失敗談や、子供の頃の話などを踏まえて、「お金」から学んだことがありのままに書かれています。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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月5万円×6=30万円という計算方法

 お金に向きあうために、絶対やっておかなければいけないこと。
 それは、最低限の生活維持コストを知るということです。
 自分の必要なコストがわからないままだと、収入と支出のバランスがおかしいことに気づきません。
 例えば一人暮らしの場合、実家に引っ越せば家賃はいらなくなるので、月に5万円ぐらい稼げば生活できます。
 養わなければならない家族がいるのなら、当然、その金額は大きくなります。
 家入さん自身は、22歳のときに勤めていた会社を辞め、ペパボの前身の会社を立ち上げた時に、自分の家族を守るために、生活していくために必要な金額を月30万円に設定しました。
 そして、この30万円を稼ぐために何をしたらいいかを考え、起業します。

 それに収入を得る「手段」もさまざまで、例えば、月に30万円必要なのであれば、就職して給与として30万円もらう、10万円稼げるような仕事を3つ請け負う、5万円の仕事を6つ請け負うなど、いろいろな手法があることがわかる。まず最低ラインを知ることで、とるべきアクションにバリエーションが出てくる。
 そうやって考えると、お金に対する不安なんてなくなる。不安というよりワクワクしてくる。「不安だ」だ、「リスクだ」と言うのは、何が本当にリスクなのか、何が本当の不安なのかを見極めずにただ闇雲に言っているだけ。それはもうやめよう。
 失敗しても死ぬわけじゃない。「お金がない」という状況に出くわしたら、まずは自分の最低コストを知って、そのお金を稼ぐためにどうするか、どう動くのかをじっくり考えてみる。人に相談するのもいいし、友達がいなければインターネットだってある。

  『お金が教えてくれること』 01 より  家入一真:著  大和書房:刊

 一口に月30万円の収入といっても、収入を得る「手段」はいろいろ考えられます。
 自分が生活していくために、最低限どれくらいの金額がかかるのか。
 しっかり把握していれば、必要以上に恐れることはなくなります。
 正体が分からないから怖いだけ、というのはお金にも当てはまりますね。

「やりたい」ことは、「今やる」べき

 人は、「時間」に対して、あまり何も考えずに過ごしてしまいがちです。
 しかし、「タイムイズマネー」というとおり、「時間」はある意味、「お金」と同価値です。
 無駄にしないためにどう動くか、考えなければなりません。

 例えば「学校を3年我慢してから起業しようと思っています」とか、「今の会社を3年間頑張ってから独立しますとか」って言う人が多いんだけど、その3年間ってすごく貴重。
 3年我慢して会社勤めをしてから起業する自分と、今すぐ起業して、会社経営を経験した3年後の自分。それぞれどうなっているか考えてみてほしい。スタート地点がそもそも違う。3年間我慢して会社に勤めて、3年後にゼロから始めるのと、今、立ち上げて未熟なりに頑張って3年やり続けた人では、経験値が違う。だったら今すぐやったほうがいいし、そのためにお金を借りたり、出資を受けたりというのは、全然悪いことじゃない。それは3年間という貴重な時間を買うということだ。
 今すぐ会社をやめて起業しろって言ってるわけではない。会社に勤めながらも、できることはたくさんある。やろうと思えば、なんだってできるよね。
 とにかく何かやりたいことがるなら借金をしてでもやれっていうのは、そういうこと。自分のために有意義な借金をしてほしい。

  『お金が教えてくれること』 02 より  家入一真:著  大和書房:刊

「いつかやろう」と思っていることが、延び延びになってしまい、結局やらないまま終わってしまった。
 そういうことは、誰にでもあると思います。
 まったくやらない「0」と、一歩でも前に進んだ「1」。
 それは、経験の差として大きく出てきます。
「時間をお金で買う」という考え方を、ぜひ身につけておきたいですね。

いろんな顔を持って、いろんな仕事をする

 家入さんは、最近はよく、昼だけの顔じゃなく、夜の顔や土日の顔などたくさんの顔を作ろうという話をしています。
「顔を作る」というのは、会社からだけ収入を得るんじゃなく、例えばブログでアフィリエイトを得るブロガーになったり、ウェブサービスを立ち上げてみたりと、複数の違う収入を得る顔を持ちましょうということ。

 たった一つの会社に、たった一つの出所のお金に依存しないこと。いろんな顔を持って、いろんな仕事を持つ。僕は一つの事業やプロジェクト、特定の人に依存したくないし、僕の周りにいる子たちも僕に依存してほしくない。依存するのも、されるのも、僕は嫌だから。人は簡単に依存する。依存は思考停止だ。
 あと、「給与」と「稼ぎ」の違い知ることも必要かな。給与は与えられるものだけど、稼ぎは自分から取りに行くもの。僕は周りにいる人に、稼ぐ人になってほしいと思っている。もちろん、安定した収入は人間として生きていくために必要だし、それを給与として与えてもらうのは悪いことじゃないけど、そこに依存して頼り切ってしまうと何かあった時に対応できなくなってしまう。
 仕事をしてもしなくても月々30万円がポンポン入ってくるような会社では、甘えも生まれやすいよね。だって成果がでなくても、給料が入るから。

  『お金が教えてくれること』 03 より  家入一真:著  大和書房:刊

 一つの会社に勤めていれば安泰で、定期的に給料も上がっていく。
 そんな時代はすでに終わりを迎えています。
 自分の身は自分で守る、という意味でも、収入源を複数確保することは重要になります。
 どんな状況でも、稼げる人間を目指していきたいですね。

バカにされたら「負けん気」で

 初めにレンタルサーバの「ロリポップ!」を立ち上げた時、サーバー業界の同業者から「あんなのうまくいくはずがない」とかいろいろいわれていたそうです。
 しかし、立ち上げることに必死だった家入さんは、周囲の野次は耳に入ってきませんでした。
 いつの間にかそれらの会社を全部追い抜いてしまうほどの大躍進を遂げます。
 家入さんは、もともとコンプレックスの塊で、家が貧乏だったとか、若い頃モテなかったとかで、プライドとか自信は常にない、と告白しています。
 そんな自分のことをプライドというよりも負けん気が強いと思うと述べています。

 勝者になると天狗になって、変なプライドもできそうだけなものだけど、会社のことでいくらか自身が持てても、さっきも言ったようにコンプレックスがあるせいで、僕は僕自身のことにずっと自信がないままだ。そういう意味では、おかげで勘違いせずに、いいバランスを持ててるのかもしれない。
 あと僕の場合、若くして立ち上げたからプライドもクソもなくて、とにかくがむしゃらにやるしかなかった。
 でも、キャリアを積んだ40歳とかで、「今までの経験をもとに起業します!」と力が入ってしまうと、周囲の目が気になって、多少は体裁を気にしちゃうこともあるのかな、とは思う。思い切った行動ができずにジリ貧でつぶれてしまうかもしれない。ある程度の年齢で何かを始める時は、自分が思っているよりもしがらみが付きまとっている可能性があるから、意識して取り払うことをおすすめしたい。もちろん本当は、何かを始めるのに年齢なんて関係ないんだけどね。
 最近では人脈も増えて、応援してくれる人も増えた反面、新しいことを始めるとバカにされたり、陰口を叩く人がいるのも事実。でも、それもまぁ話題になっているんだなと思うし、最初はバカにされるぐらいでちょうどいいと思う。バカにするやつはバカにさせとけ。
 僕は形だけのプライドはいらない。過去の栄光にすがるより、バカにされ続けながらでも新しいことをやりたい。コンプレックスを負けん気に変えながら。

  『お金が教えてくれること』 06 より  家入一真:著  大和書房:刊

 新しいことを始めようとするときには、必ず、それをバカにする人は現れるものです。
 変なプライドなど持たずに、「負けん気」の強さで乗り越えていきたいところです。

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 家入さんは、「お金というのは車を動かすガソリンみたいなもの」だとおっしゃっています。
 ビジネスを回していくために、お金というガソリンは絶対に必要で、走るうちに、さらに大きな動力が回り出してどんどん循環する。
 そんなふうにできているのだそうです。
 お金がないということは選択肢が狭まるということ。
 やりたいことをやるためには、やっぱりお金は必要になります。
「これからもずっと新しいことを探し続けたい」という家入さん。
「ガソリン探し」には苦労しても、それも一つの挑戦ととらえています。

「やめるのはいつでもできるから、それまで粘る。そして倒れるときは前のめりで」
 そうおっしゃる生粋の起業家・家入さんの、これからのご活躍にも期待したいです。

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