本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『必ず「頭角を現す社員」45のルール』(吉越浩一郎)

 お薦めの本の紹介です。
 吉越浩一郎さんの『必ず「頭角を現す社員」45のルール: 仕事にもっとハングリーになれ』です。

 吉越浩一郎(よしこし・こういちろう)さんは、長年トリンプ・インターナショナル・ジャパンの社長を務められた方です。
 同社の取締役在任期間中に19期連続増収増益を達成し、2004年には「平成の名経営者100人」に選ばれておられます。

 

「できる社員」と「できない社員」の差は?

 会社において、必ず頭角を現していく社員。
 その他大勢からなかなか抜け出せない社員。

 両者の間には、考え方や習慣、仕事への取り組み方など、明確な「違い」があります。

 その「違い」にいち早く気づけるか、いつまでも気づけないか。
 それが、ビジネスパーソンの一生を大きく左右します。

 本書は、吉越さんが、経営者として数多くの社員たちを見てきてわかった、「仕事ができる社員の条件」を45のルールにまとめたものです。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

社内に「ライバル」はいらない

「ライバル」というと、好敵手つまり、実力が拮抗しているフレンドリーな競争相手という意味で使われ、プラスのイメージがあります。

 しかし、英語の「rival」(ライバル)という言葉には、本来そうした含みはなく、あくまで「敵対関係」を意味します。
 つまり、競争における「ライバル」とは、すべて「敵」であるということです。

 吉越さんは、マラソンを例にとって、全ての競争は、相手と競っているものの。
 根本的には、「自分自身との戦い」だと指摘します。

 自分の中にある「弱気な自分」に決して負けないこと。
 吉越さんは、それこそが本当に意識すべき「戦い」であると強調します。

「社内にライバルをつくれ」「同期はライバルと思え」などと、まことしやかにいう人がいますが、これを真に受けるべきではありません。
 何度もいいますが、ライバルは「敵」なのです。敵は倒さなければいけないし、敵もこちらを倒そうとします。職場にそんな「敵」がいたらどうでしょうか。つねに「敵」のことを意識して、ときには足の引っ張り合いをしながら、いい仕事ができるでしょうか。
 会社という組織の中で、社員たちは一つの目標に向かって、同じ方向に全員で走っていかなければなりません。会社をいい方向に向かわせるために、足並みをそろえて、みんなで一つの大きなゴールに到達するために努力しなければなりません。
 職場の人間は「敵」ではなく無条件に「仲間」なのです。会社が目指す目標に向かってともに歩んでいく仲間です。
 もちろん仕事の結果として、成績や能力によって出世に差が出てくることはいうまでもありません。しかし、それは会社が評価することであり仕方のないこと。そのことに振り回されることなく、「自分が成すべきことを成す人」は確実に伸びていきます。

 『必ず「頭角を現す社員45のルール』  第1章 より  吉越浩一郎:著  三笠書房:刊

 同じ組織の中で競い合うと、往々にして、足の引っ張り合いになります。
 もちろん、組織の成長や発展という面では大きなマイナスです。

 また、競争相手を身近な人に置くことで、「あの人がこれくらいだから、自分もこれくらいでいいのでは」という甘えが生まれます。

 ライバルは「自分」です。
 周り惑わされず、「弱気な自分」に負けないよう、日々努力していきたいですね。

仕事ができる「忙しい人」になる

 会社でも、どこでも、仕事ができる人のところに仕事が集まるものです。

「あの人なら信頼できる」
「あの人に任せれば何とかしてくれる」
 
 周囲がそう思い、仕事ができる人と仕事をしたがるので、仕事ができる人はいつも忙しいです。

 仕事ができない人も忙しくしていますが、両者の忙しさの度合いには、歴然とした差があります。

 仕事ができる人は、仕事のありとあらゆることに対して素早く手を打ち、絶対に手抜きをしません。問題をすべてあぶり出し、すぐに判断して修正し、正しい方向へ軌道修正するために余念がありません。ですから、必然的に忙しくなります。
 忙しいけれど、仕事はうまくいきます。結果を出すから周りから信頼されて、さらに仕事が、それも往々にしてさらにレベルの高い仕事が回ってきます。仕事が増えれば当然もっと忙しくなりますが、仕事のプロセスには手を抜かないので、やはり結果を出していきます。それも仕事の効率を上げる進化をしながらです。
 仕事にこの「好循環」をつくり出せるのが、いわゆる「仕事ができる人」の仕事のやり方であり、「結果を出し続ける人」の共通点です。

 『必ず「頭角を現す社員45のルール』  第2章 より  吉越浩一郎:著  三笠書房:刊

 吉越さんは、「本当の忙しさ」とは、いかに生産性を上げて効率的に働くかということであり、そのうえで「抱えている仕事の数」と「出した結果の数」がどれだけあるかで決まると述べています。

「忙しさ=働いた時間」ではないということ。
「忙しい」と愚痴をこぼしている人の大半は、単なる「自称忙しい人」です。

 結果の出せる「忙しい人」になれるよう、日々意識して仕事をしていきたいですね。

仕事を「ゲーム感覚」で捉える

 吉越さんは、仕事を楽しむためには、仕事を「ゲーム」と考えればいいと述べています。

 仕事の場というのは、ゲームと同じ「架空の空間」であるということを認識すべきとしています。
 仕事を辞めてみると、仕事で知り合った人、培ったキャリア、スキルなどのほとんどはなくなります。 

 ゲームといえば、ギャンブルだってそうですが、のめり込み過ぎると痛い目を見ます。仕事も同じです。何事も楽しむには、そこからちょっと距離をおいて、客観的な目で見ながらつきあっていくほうがいいのです。
(中略)
 所詮、仕事はあなたの人生のほんの一部分です。人生をファイナンス的にサポートするための一手段です。寝ても覚めても仕事三昧で、そこに人生をまるごと捧げてしまい、それに振り回されるような生き方をしていると、仕事はどんどん楽しくなくなります。とるにたらない小さなミスが、人生を狂わせかねない大事のように思えてきます。
 今、日本では年間約3万人の自殺者が出ているといわれます。その中には、仕事にのめり込み、人生を捧げたために、自ら命を奪う選択をしてしまった人が少なからずいるでしょう。
 仕事とは、人生のほんの一部分にすぎません。
 それを決して忘れないことです。

 『必ず「頭角を現す社員45のルール』  第4章 より  吉越浩一郎:著  三笠書房:刊 

 もちろん、ゲームは勝ってこそ面白いものです。
 勝つためにこそ、「ゲーム感覚」をうまく利用したいですね。

 吉越さんは、「ゲーム感覚」を仕事に持ち込む具体的な方法として、「デッドライン」、つまり、締め切りを決めてしまうことを挙げています。

「この仕事を、いついつまでに仕上げることができれば、ゲームはクリア」

 そんなイメージです。
「ゲーム感覚」をうまく日々の仕事にとりいれ、自分から楽しく仕事をしたいですね。

「自分で習おう」と常に意識すること

 知識には、言葉で語ることができる「形式知」と、言葉で語ることができない「暗黙知」があります。

 形式知は、マニュアル化して人に教えたり、人から教えられたりすることが可能です。

 しかし、暗黙知は、人に教えたり、教わったりすることができません。
 自分で経験して、感覚として覚えるしかないものです。

 成長する人とは、仕事ができる人から技を盗み、真似し、練習して、自分で仕事を習っていく人です。

 その過程では、いろいろ失敗もするでしょう。
 ただ、吉越さんは、失敗しないのはいいことじゃないか、と思うようなら、その人はまだまだのビジネスパーソンだと指摘します。

 人間は、失敗することによって習います。
 失敗は成功のもと。
 失敗は金を払ってでもしろ。
 こうした先人達の言葉が現代にも伝わっているのには意味があるのです。
 人は失敗によって自分の力不足に気づき、再度失敗したくないという思いから、未熟な部分を練習して鍛えたり、うまくやれるように工夫したりするものです。失敗を知らない人は、成功もできません。
「仕事の基本」は他人から教えてもらえても、それ以上のことは自力で身につけていかなければなりません。その部分だけは、誰にも肩代わりしてもらえません。
 主体はあくまでも自分。「誰かに教わろう」とする気持ちを捨てて、「自分で習おう」とつねに意識する人が、頭角を現す社員に育っていくのです。

 『必ず「頭角を現す社員45のルール』  第5章 より  吉越浩一郎:著  三笠書房:刊 

 自転車でもスキーでも、転びながら上手くなっていくものです。

 修復可能な程度の小さな失敗を繰り返しておくこと。
 それが、取り返しのつかない大失敗を防ぐことにもつながります。

 「失敗を恐れず」というより、「失敗を歓迎する」。
 それくらいの意識で、様々なことにチャレンジしていきたいですね。

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 吉越さんは、他人に関係なく、自分自身に厳しくあろうとする。その姿勢を持つことが何よりも重要だとおっしゃっています。

 結局は、自分自身にどれだけ責任を持つことができるかにかかっているということ。

 仕事での結果でも何でも、自分に起こったことは全て自分に原因がある。
 そうしっかり受け止めて、更に改善して成長できる人が、一歩抜きんでた人になれるということです。

 吉越さんを見習って、「頭角を現す社員」を目指したいですね。

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