本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『「老けない体」は骨で決まる』(山田豊文)

 お薦めの本の紹介です。
 山田豊文先生の『「老けない体」は骨で決まる』です。



 山田豊文(やまだ・とよふみ)先生は、分子栄養学がご専門の医師です。
 全身の細胞の機能を極限にまで高める栄養素を供給するアプローチから、健康に生きることを考える「細胞環境デザイン学」という独自の理論を確立されています。

 

健康で最も大切なのは、「骨が健康であること」

 最近、「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」という言葉がよく使われます。

 筋肉や骨、関節といった運動器の機能を維持し、自分の思い通りに動かせること。
 それが、健康的に長生きするための条件のひとつとして注目を集めています。

 山田先生は、人間を含めたすべての動物にとって、もっとも大切なのは「骨が健康であること」だと述べています。
 生物の細胞に組み込まれた遺伝子は、骨の健康を最優先するように作用するからです。

 本書は、細胞レベルから健康を考えた、「骨から若返る」ための健康法についてまとめた一冊です。
その中からいくつかご紹介します。

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骨以外の「1%のカルシウム」の重要性

 体を支える骨格を構成し、大切な脳や内臓を守り、血液をつくる。
 骨は、生きていくために欠かせない役割を果たしています。

 もうひとつ、ミネラル(主にカルシウム)の貯蔵庫として、その出し入れをコントロールするという重要な役割があります。

 人間の体内にあるカルシウムの99%は、骨や歯に存在します。
 そして、残りの1%は、血液や体液の中に含まれています。

 このわずか1%のカルシウムが、全身60兆個の細胞の生命活動を維持するうえで、とても重要な働きをしています。

 血液中のカルシウムは、ホルモン分泌や筋肉の収縮や弛緩のコントロールなど、体内のあらゆる機能に関与します。
 血液中のカルシウムの量は1%より多すぎても少なすぎてもいけません。

 このデリケートなコントロールをおこなう上で中心として働くのが、副甲状腺ホルモン(パラソルモン)と甲状腺ホルモン(カルシトニン)、そして女性ホルモン(エストロゲン)です。

 甲状腺は、首の気道を取り囲むように存在する甲状腺の裏側にある、米粒くらいの大きさの組織である。そんな小さな組織から、とても重要なホルモンが分泌されている。
 血液中のカルシウム不足をいち早く発見すると、副甲状腺からホルモンを分泌して、カルシウムの補給を求める。このホルモンが出ると、骨のカルシウムが溶け出して血液中に流れ込む。
(中略)
 甲状腺ホルモンには、骨吸収を抑制する働きがある。つまり、骨からカルシウムが溶け出さないようにし、骨へのカルシウムの沈着を促すわけで、副甲状腺ホルモンとは正反対の働きを持つことになる。
 このため、甲状腺ホルモンと副甲状腺ホルモンのバランスが崩れると、骨自体のトラブルはもちろんのこと、血液中のカルシウムが持つ極めて重要な数々の役割にも支障をきたすことになる。

 骨からカルシウムが溶け出さないように働くもうひとつのホルモンが、女性ホルモンだ。女性ホルモンといえば文字通り「女性らしさ」にかかわるものというイメージが一般的だが、骨にとても重要なホルモンである。もう少し正確にいうと、女性ホルモンは甲状腺ホルモンの分泌を促進することで、骨からカルシウムを溶け出さないようにする。そして、男性の体内でも女性ホルモンがつくられていて、この働きを全うしている。

 『「老けない体」は骨で決まる』  第1章 より  山田豊文:著  青春出版社:刊

 骨粗鬆(しょう)症が男性より女性に圧倒的に多い理由は、閉経によって女性ホルモンの分泌量が一気に減少するためです。

 骨からカルシウムが溶け出すのを防ぐ働きをする甲状腺ホルモンのサポート役がいなくなる。
 そのため、骨からカルシウムが溶け出しやすくなるからです。

カルシウムが悪玉化する2つの要因

 血液中のカルシウム量が足りなくなると、骨に貯蔵していた分が引き出されます。
 この働きを、「脱灰」といいます。

 逆に、用の済んだカルシウムが再び骨に戻される働きを「再石灰化」といいます。

 通常は、「脱灰」と「再石灰化」のバランスがうまく保たれています。
 しかし、脱灰が過剰な状態が慢性的に続いたりすると、再石灰化が適切に行われなくなります。

 骨以外の場所にカルシウムが蓄積してしまうことを、「異所性石灰化」といいます。
 不健康な人の体では、この異所性石灰化が起こっています。

 軟組織の細胞内、あるいは血管内にカルシウムが蓄積することで、動脈硬化などを引き起こします。

 居場所を間違えて血液中にあふれでたカルシウム、すなわち「悪玉カルシウム」は、心と体にさまざまな病気をもたらします。

 カルシウムの悪玉化の要因は大きく分けて、2つあります。

 ひとつはマグネシウム不足である。マグネシウムは細胞内のカルシウムを汲み出すほか、再石灰化にもかかわっている。つまり牛乳は、マグネシウムが極端に少ないという理由だけでも脱灰の促進要因となるわけだ。
 もうひとつは、動物性タンパク質の過剰摂取である。タンパク質をとりすぎると、代謝産物として酸性物質が大量に生じる。すると、血液が酸性に傾き、それを中和するためにカルシウムがどんどん溶け出してしまう。
 血液中のカルシウムの役割のひとつに「PHの調節」というのがあったが、まさにこれが該当する。任務を果たすべく骨から溶け出したカルシウムが、悲しいかな、異所性石灰化の要因となる。牛乳はれっきとした高タンパク食品だから、この点でも脱灰を促進する。

 『「老けない体」は骨で決まる』  第2章 より  山田豊文:著  青春出版社:刊

 骨の健康には、カルシウムの摂取量だけではなく、マグネシウムやタンパク質の摂取量も大きく関わってきます。
 カルシウムとマグネシウムの比率は、「2対1」がもっともいい状態だとされます。

 現代人は、マグネシウムを消耗しやすい環境に置かれて不足しがちです。
 そのため、食物から摂取のする際の比率は、「1対1」が適切とのことです。

とるべきは「未精製」の「複合炭水化物」

 異所性石灰化による動脈硬化やその他の脳や内臓の異常を防ぐ。
 そのためにはどのような食事をすればいいのでしょうか。

 山田先生は、骨から内臓、脳までを含めた体全体の老化を防ぐ食事法、「穀菜食(こくさいしょく)」を勧めています。
 穀菜食とは、良質な炭水化物が豊富な食事のことを指します。

 山田先生は、タンパク質や脂肪に比べて、炭水化物がもっとも重要なエネルギー源だと強調します。 

 炭水化物は英語でCarbohydrateという。主に炭素(Carbon)と水素(hydrogen)でできた化合物、という意味である。炭水化物は「単純炭水化物」と「複合炭水化物」の2つに大きく分類される。砂糖などの精製された糖類が単純精製炭水化物で、穀物や豆類、イモ類などに含まれるでんぷんが複合炭水化物である。
 単純炭水化物が「とるべきでないもの」であることはすぐにおわかりだろうが、そうかといって、複合炭水化物なら何でもいいというわけではない。なぜなら、ひとくちに複合炭水化物といっても、精白小麦粉や白米のように精製された食品が摂取源となるものがあれば、全粒小麦粉や玄米などのように未精製のものや精製度合いの低いものもあるからだ。

 私たちがとるべきはもちろん、後者の「未精製の複合炭水化物」を含む食品である。これらには食物繊維が豊富に含まれるほか、ミネラルやビタミン、抗酸化成分の宝庫でもある。
 そして何より、体内でエネルギー源となるときに余計な「スス」や「ゴミ」を伴い、燃焼効率が決してよいとはいえない、いわば石炭のようなタンパク質や脂肪に比べ、炭水化物は非常にクリーンな燃料となる。つまり、ブドウ糖として血液から全身の細胞に運ばれ、脳や筋肉、中枢神経など、もっとも重要な器官や組織で直接的に働くのである。

 『「老けない体」は骨で決まる』  第4章 より  山田豊文:著  青春出版社:刊

 山田先生は、最近、炭水化物がやたらと悪者扱いされる背景に、単純炭水化物と複合炭水化物、さらには精製した複合炭水化物と未精製の複合炭水化物をごちゃ混ぜにしてきた「間違った栄養学」の蔓延があると指摘します。

 同じ炭水化物でも、体にいいものも悪いものもあるということは、頭の中に入れておきたいですね。

玄米+「マゴハヤサシイ」食材をとる

 山田先生は、「穀菜食」の具体的な食材は、以下の7種類から選ぶことを勧めています。

  • 「マ」・・・豆類、納豆、豆腐、味噌などの大豆加工品
  • 「ゴ」・・・ゴマやナッツなどの種実類
  • 「ワ」・・・ワカメや昆布などの海藻類
  • 「ヤ」・・・野菜や果物
  • 「サ」・・・魚(とくに小型の青背魚類)
  • 「シ」・・・シイタケやナメコなどのキノコ類
  • 「イ」・・・サツマイモ、サトイモなどのイモ類 

 それぞれの頭文字の語呂合わせから、「マゴハヤサシイ」と覚えましょう。

 一見すると何の変哲もないものばかりと思われがちだが、実はこれらの食材には、老けない骨と体をつくるのに欠かせない栄養や成分が満ち満ちている。
 大豆やソラ豆、エンドウ豆、レンズ豆はタンパク質が豊富だし、緑黄色野菜にはカルシウムやマグネシウムが豊富に、そしてバランスよく含まれている。また、豆類全般はファイトエストロゲンを豊富に含んでいる。体内で女性ホルモンのエストロゲンの生成が少ないときに代用として働くから、更年期を迎えて骨粗鬆症の懸念が浮かび上がってくる年齢では、必要不可欠だと思っていただいていいだろう。
 魚介類、とくに天然の青い背の小魚には、本書の中で骨を強くするという報告も紹介したオメガ3脂肪酸が多く含まれている。魚油がとれるEPA、DHAをサプリメントとしてとってもいいだろう。α‐リノレン酸もオメガ3の一種であり、これを多く含む亜麻仁油は一番のお勧めだ。

 『「老けない体」は骨で決まる』  第4章 より  山田豊文:著  青春出版社:刊

 玄米に加え、「マゴハヤサシイ」食材が毎日の食卓にのることが献立が理想的です。

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「体」という字は旧字体で「體」と書きます。
 これを分解すれば「骨」と「豊」になります。

「豊」という字には、「きちんと並べる」という意味があります。
 つまり、本来の体とは、「骨がきちんと並んでいる」状態のことをいいます。

 山田先生は、「豊」の一般的な意味から考えた方がわかりやすいとおっしゃっています。

 つまり、体とは骨が豊かな状態を保っているべきものであり、骨が豊かであってこそ、本来の体の健康が維持できるということです。

 健康的な「體」には、「豊かな骨」が欠かせません。
「豊かな骨」を作るためには健康的な食事をすることが必要となります。

 日々の食卓から見直していきたいですね。

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