【書評】『なぜ、明石家さんまは「場を盛り上げる」のがうまいのか?』(内藤誼人)
お薦めの本の紹介です。
内藤誼人さんの『なぜ、明石家さんまは「場を盛り上げる」のがうまいのか?』です。
内藤誼人(ないとう・よしひと)さんは、心理学者です。
社会心理学の知見をベースに、実際のビジネスへの応用を主に研究されておられます。
「明石家さんま」の人気の秘密は?
今回、内藤さんが取り上げるのは、明石家さんまさんです。
お笑いタレント、俳優、司会者などなど、いろいろな分野で幅広くご活躍中のさんまさん。
その聴くものを惹きつける面白トークや場を和ませる絶妙なボケやツッコミは、他の追随を許しません。
“好感度タレント・ナンバーワン”に何度も選ばれたこともあるさんまさん。
多くの人から好かれる理由どこにあるのでしょうか。
本書は、心理学者の目から見た「人間関係や話術の達人」さんまさんの生き方術の極意をまとめたものです。
その中からいくつかピックアップしてご紹介します。
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「人を喜ばせる」をモットーとして生きる
さんまさんは、人を喜ばせるのが大好きです。
「エンターテイナー」という言葉は、サンマさんのためにある言葉です。
内藤さんは、学校であろうが、職場であろうが、人気者になる秘訣はただひとつ。
“ひょうきん者”になることだと指摘します。
こちらがニコニコしていれば、相手もそれにつられて笑ってくれる。
こちらが不機嫌そうな顔をしていたら、相手も仏頂面になってしまう。
いつでも、どんなに苦しいときでも、ニコニコと笑顔を絶やさず、「人を喜ばせる」ということを自分の義務としよう。それを自分のモットーとして生きるようにしよう。それがさんまさん流の生き方であり、魅力を高めるコツである。
「マジメに仕事をしていないと、先輩や上司に怒られてしまうのでは?」
という心配をする人がいるかもしれないが、それも杞憂に過ぎない。
ニコニコとほほ笑んでいるみなさんのことを、本気で叱ったりする人はいない。笑顔の人は怒りにくいのである。
私も、小学生のころには、よく先生にいたずらをしたものだが、怒られてもニコニコしていたので、先生も怒るのがバカバカしくなってしまうのか、たいていは苦笑しながらも許してくれた。『なぜ、明石家さんまは「場を盛り上げる」のがうまいのか?』 第1章 より 内藤誼人:著 大和書房:刊
仕事でもプライベートでも、どうすれば会う人に喜んでもらえるかを考えること。
それが人間関係をうまく回すコツです。
「どんなに苦しいときもニコニコ笑顔を絶やさず」
簡単なようでいてなかなかできることではありません。
笑顔は、普段から意識して作るようにしないと上手にできません。
まずは、つねに人と笑顔で接するように意識することから始めたいですね。
「言葉づかい」だけは気をつける
言葉づかいは、その人自身について、雄弁に物語ります。
言葉づかいに気をつけるだけで、人間としての品格は、一段階も、二段階もアップして見えます。
逆に、汚い言葉は、どんな人にも不評です。
さんまさんも、先輩たちから厳しく指導されてきたので、言葉づかいにはうるさいとのこと。
自分ではなかなか気づかないかもしれないが、聞いている相手は、言葉づかいから、みなさんがどういう人間なのかが読めてしまうのだ。実際、海外の一流レストランなどでは、お客の言葉づかいから、その人の社会的な地位やステータスを推し量って、入店を拒否することもあるそうだ。
たかが言葉づかい、されど言葉づかい。
つまらないところで自分の評判を落としたくないのなら、とにかく自分が口にする言葉には、敏感になりすぎるくらい敏感になって、ちょうどいいのではないか。
丁寧な言葉づかいをしていれば、物腰も優雅になっていく。乱暴な言葉を使っていると、どうしてもガサツで下品な人間になっていく。私たちは、自分が使う言葉の影響も受けるのである。『なぜ、明石家さんまは「場を盛り上げる」のがうまいのか?』 第2章 より 内藤誼人:著 大和書房:刊
言葉づかいで、人柄や知的センスが表れてしまうのは間違いありません。
言葉づかいも習慣です。
乱暴な言葉を使っていても、なかなか本人は気づかないものですね。
普段から意識して、TPOをわきまえた言葉づかいを身につけたいものです。
「陰口は成功のあかし」と思えばいい
日本では、「出る杭は打たれる」といわれます。
ちょっとでも人より優れた業績を出すと、とたんに周囲から嫉妬され、陰口を叩かれます。
悪口を言われるのは気持ちのいいものではないし、精神的にもきついです。
さんまさんも、昔は週刊誌で散々悪く書かれましたが、まったく気にしていません。
「オレは何いわれても平気。ひがんどると思うもん。」
そんな言葉も残していますね。
心理学的に見ても、このやり方は非常に効果的だと思う。悪口を言われたら「ひがんでるんだな」、文句を言われたら「妬んでいるんだな」と思っていれば、少しも気にならなくなる。
オハイオ・ウェスリアン大学の心理学者ハリー・バーリックは、イヤな気分を感じたときには、それを「認知的に歪ませる」のが、不快にならないコツであると指摘している。さんまさんは、こういう心理学のルールを経験的に知っているのであろう。
悪口を言われたら、たいていの人はそれを真に受けてヘコんでしまう。
しかし自分についての悪口を聞いたら、すぐに認知的に歪んだ解釈を行なって、「悪口を言っているヤツらは、俺の成功が気に入らないだけ」とか、「負け惜しみで悪く言っているだけ」などと考えればいいのだ。
もちろん、人に悪く言われないように、普段から周囲に対して気遣いをするとか、謙虚さを見せるということも大事だ。
しかしどんなに注意しても、悪く言う人は、やはり悪く言うものである。そんなことでいちいち意気消沈するのもバカバカしい。だからこそ、そういうケースにおいては、「相手がひがんでるだけ」と思ったほうがいいのである。『なぜ、明石家さんまは「場を盛り上げる」のがうまいのか?』 第3章 より 内藤誼人:著 大和書房:刊
嫉妬深い人、すぐひがむ人というのは、どこの世界にも多いです。
そのような人たちの言葉を真に受けて気にしてしまうのは、バカバカしいですね。
陰口されるようになったら、一人前になった証拠。
むしろ喜ぶべきことなのでしょう。
小さなことで、いちいち大きく喜んでみる
「大きなこと」で喜んでいるうちは、まだ半人前です。
人生を豊かに生きる秘訣は、「小さなこと」でも喜べることです。
内藤さんは、さんまさんも、小さなことで喜ぶことができる人間だ
と指摘します。
いい人生をつくるには、日常のごく些細なことで喜べるように自分を条件づけてしまうのが有効なやり方だ。さんまさんの座右の銘である「生きてるだけで丸もうけ」の精神で喜んでしまえばいいのである。
コピーがきれいにとれればそれだけで幸せ。おいしいランチを食べれば幸せ。気持よくウンチができれば幸せ・・・。そんなことでも、大いに喜んでしまう人間になろう。「大きな夢が叶わなければ、意味がない」などと考えていると、いつまでも喜ぶことができない。なぜなら、大きな夢など、なかなか叶うものではないからである。それよりは、毎日、自分が喜べることをひとつでも、ふたつでも見つけておいたほうがいい。
私は紅茶を飲みながら、静かに本を読んでいられれば、それだけで幸せだ。息子と一緒に、携帯型ゲームを楽しめれば、それだけでもう十分に満足である。『なぜ、明石家さんまは「場を盛り上げる」のがうまいのか?』 第4章 より 内藤誼人:著 大和書房:刊
「幸せ」は、モノや出来事にあるのではなく、心の状態です。
同じ境遇、同じ状況にいても、幸せを感じることが出来る人とそうでない人がいます。
さんまさんのように、どんな「小さなこと」にでも幸せを感じることができる人。
そのような人が、本当に豊かで幸せな人生を送ることができます。
見習いたいですね。
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☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
内藤さんは、魅力的な人間になりたいのなら、人気があって、誰からも好かれるモデル(師匠)となる人物を決めて、その人物を徹底的に真似すればよい
とおっしゃっています。
声の出し方から表情のつくり方、歩き方からモノの考え方まで、そっくりコピーしてしまう。
そうすれば私たちも、自分が憧れている人のようになれるとのことです。
それは、心理学的にも認められている真実です。
人間関係をよくしたい、人気者になりたい。
そう思う人には、さんまさんはうってつけのモデルといえます。
さんまさんのよいところをたくさん真似して、「場を盛り上げる」達人、そして「人生を楽しむ」達人を目指したいですね。
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