本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『30代を後悔しない50のリスト』(大塚寿)

 お薦めの本の紹介です。
 大塚寿さんの『30代を後悔しない50のリスト 1万人の失敗談からわかった人生の法則』です。

 

 大塚寿(おおつか・ひさし)さんは、営業コンサルタントです。
 企業研修を中心に展開する会社を自ら立ち上げられ、その会社の代表取締役を務められています。

30代で「真の実力」を身につけるために必要なこと

 大塚さんは、出版社在籍中の20代の時に、営業マンという立場から、1万人以上へのインタビューしました。

 その貴重な体験から見えてきたこと。
 それは、先人たちがこれまでの過ごし方について、多くの「後悔」を持っていることでした。
 さらには、後悔の話には、必ず、「あのときこうしておけばよかった」というリアルな対処法がセットになっていました。

 大塚さんは、実際にそんな先人たちからの教えや後悔の弁を活かして30代を過ごし、その後の飛躍につなげました。

 30代は、現実と理想のギャップを知り、いったん自分の限界を知ることになるシビアな世代です。
 大塚さんは、腐らずに壁を乗り越えていった人に共通していたのは、「現実をきちんと受け止めたかどうか」ということだと述べています。

 イメージどおりにいかなかった場合に、その現実をどう受け止め、どう乗り越えるかに注力すること。
 そして、嘘偽りのない「真の実力」をつけること。

 それらが大事だということです。

 本書は、多くの先人たちのアドバイスから得られた、30代で「真の実力」を身につけるために必要なことをリストアップし、まとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「偶然」と上手に付き合うこと

 人生は数々の「偶然」によって成り立っています。
 偶然に対する反応は、人それぞれ。
 ほとんど気にしない人もいるし、何かのチャンスの前兆だと捉える人もいます。

 人は、想定外の突然の出来事に対して、簡単には行動できません。
 頭では理解していても、想定外の出来事に対しては、どうしても慎重になりがちです。

 しかし、大塚さんは、30代こそ、偶然と上手に付き合う必要があると強調します。

 すべてをあげたら、それで一冊の本が書けてしまうくらいに、私の人生を好転させたポイントには偶然があります。偶然には人生を好転させるチャンスがあると強く信じています。もっと言えば、「偶然は必然だ」くらいにさえ思っています。
 物事は理想どおりにはいきません。ですから、チャンスを逃さないためには、偶然の出来事や予想外の出来事にどう乗っかるかがポイントになるのです。走っている電車に飛び乗る予想外の連続が人生ですが、その中でもうまくいっている人の多くは、身構えずに大量行動し、偶然の出来事に対してアドリブ的に向き合い、いい結果を出していると言う共通点があります。
 高校時代に読んだ本の一節に「人生は『偶然』によって軌道修正される」というものがありました。当時そのフレーズが私に突き刺さっていて、今でもそのままの状態です。
 私が学んだ偶然と上手に付き合う方法は、まず偶然を肯定的に受け入れること、そして、反射神経でもって瞬時にその偶然からプラスを生み出す行動を起こすということでした。チャンスは誰にでも何回かは訪れます。偶然とともにやってくるそのチャンスをつかまえて、ぜひ人生にうまく役立てて下さい。

 『30代を後悔しない50のリスト』 第1章 より  大塚寿:著  ダイヤモンド社:刊

 人生は、理想どおりにはいかないものです。
 だからこそ、「偶然」によってもたらされたチャンスを活かし、新たな展開を呼び込みたいですね。

 行き詰まっているときほど、周囲のちょっとした出来事や会話に敏感に反応できる。
 それくらいにアンテナの感度を上げておきたいです。

 新たな人生の突破口は、そんなところから生まれるのでしょう。

仕事とプライベートは線引きしないこと

 できるビジネスパーソンは、仕事とプライベートの線引きがしっかりしているイメージがあります。
 しかし、現実にはそうではないようです。

 大塚さんは、同世代で昇進、昇格を果たし、プライベートでも充実した生活を送っているのは、きちんと線引きしている人たちではなく、仕事とプライベートが一緒くたの公私混同型の人たちだったと述べています。

 公私の線引きが曖昧というのは、仕事もプライベートも全力で立ち向かうという意味です。365日、24時間、仕事ばかりするという意味ではありません。30代で成果を出した人は、仕事だけしていた人では決してありません。プライベートでも全力で楽しんだ人たちです。彼らに共通するのは、両方に全力をかけたからこそ、プライベートでの経験が仕事に活きたり、仕事の経験がプライベートに活きるということを体験していることです。
 例えば、子育てでも、仕事のできる人ほど子育てを楽しんでいたりします。もちろん、それは大変な労力がかかりますが、子育てから仕事に役立つ考え方を学んだり、子供を通して地域の人と関わることで仕事にも活かせる人脈を手に入れたりしています。

 『30代を後悔しない50のリスト』 第2章 より  大塚寿:著  ダイヤモンド社:刊

 公私の線引きをするということは、どこかでブレーキをかけているということ。
 ブレーキをかけたとたん、「全力感」はなくなります。

 大塚さんは、「公私の線引き」より「メリハリ」の意識のほうが、日本のビジネス社会を生き抜く上で参考になると述べています。

 自分の血となり、肉となること。
 それは、仕事、プライベート関係なく、全力で取り組んだことです。

 その場その場で常にベストを尽くす。
 その意識は、なくしたくないですね。

人生をともに過ごす仲間を見けること

 自分自身を成長させるためには、互いを切磋琢磨するパートナーが不可欠です。

 仕事にかかわらずプライベートの仲間においても、自己完結型の予定調和の世界からはなかなか出会わない発見を手にすることができます。チャンスは他人が運んでくれますし、喜びや感動も仲間と味わうことでさらに増長されるのだと実感しています。
 仕事でも趣味でも、パートナーとシェアすることによって、モチベーションにドライブがかかったり、持てる力以上のものが発揮できたり、自分の存在意義が再確認できたりするものです。いいパートナーに巡り会えたからこそ、自分自身が光り輝けたということもあるでしょう。
 仲間やパートナーを見つけることができなかったと後悔している人に共通しているのは、何より相手への関心が希薄なことです。そのために相手の懐に入っていくこともできず、本音を引き出すこともできず、馬が合うかもわからない段階で止まってしまい、人間関係が深まっていきません。
 常に表面的な付き合いだけを繰り返していれば、当然お互いの気持ちを理解し合える関係を築くことは難しいといえます。仲間が見つからないのは、自分が相手に心を開いていないからです。非常に単純ですが、それ以上の答えはありません。

 『30代を後悔しない50のリスト』 第3章 より  大塚寿:著  ダイヤモンド社:刊

 人間関係を深めるには、まず相手に関心を持つ意識を高めることです。

 大塚さんは、ほんの半歩でいいので自分のほうから歩み寄って、相手の興味・関心を引き出すところから始めることを勧めています。

「半歩」を踏み出す勇気を持てるか、持てないか。
 それが、その後の人生の充実度を大きく左右します。

自分を磨き続けること

 50代、60代になったときに「カッコいい人」。
 彼らは、30代のときに現状に満足せず、「さらなる高み」にチャレンジした体験を持っています。

「さらなる高み」にチャレンジするというのは、聞き心地はいい言葉ですが、現実は磨かれる痛みに歯を食いしばり、できるかどうかのギリギリのところで常に憂鬱な気分に向かい合う、それはそれは苦痛に近い時間です。
 その負荷こそが私たちを磨き込むのであり、その苦役を乗り越えるからこそ、成長の手ごたえを我がものとして、次の段階へ進めるのです。
 苦役を乗り越えたときに人は輝くのではありません、悲痛な思いで、目の前の壁に挑もうとして七転八倒している姿に周りはオーラを感じ、輝きを見るのです。磨かれる痛みに挑んだものしか、輝くことはできません。

 『30代を後悔しない50のリスト』 第4章 より  大塚寿:著  ダイヤモンド社:刊

 今までの自分が到達したことのない、未知の領域に足を踏み込んでいく。
 それは、誰にとっても非常に大変なことです。

 大きな苦しみや苦痛、不安を抱えながら乗り越える必要があります。
 しかし、それを続けないことには成長することはできません。

 人を輝かせる光は、得られた結果ではありません。
 そこに至るまでの、逆風や苦難との摩擦によって生じるものです。
 逆風や苦難が大きければ大きいほど、輝きもまた大きくなります。

「磨かれる痛み」から逃げずに、困難やトラブルに敢えて飛び込んでいく。
 そんな前向きな意識を持っていたいですね。

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 過去の歴史上の人物や、大きな功績を遺した偉人たちに学ぶ 。
 それは、もちろん意義あることです。

 しかし、最も参考になるのは、私たちの身近な人たちの成功や失敗の具体的な体験談でしょう。

 先人たちが経験からつかみ取った「知恵」を吸収し、自らの人生に活かしてさらに前に進む。
 それも私たち、後の世代の務めといえます。

 学ぶべきことは学び、後悔しない人生を送りたいですね。

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