本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『「我慢」と「成功」の法則』(千田琢哉)

 お薦めの本の紹介です。
 千田琢哉さんの『「我慢」と「成功」の法則』です。

 千田琢哉(せんだ・たくや)さんは、文筆家です。
 大学卒業後、大手損保会社に入社され、その後大手経営コンサルティングを経て独立されました。

「我慢」という名の“現状維持”。

「我慢するのは、いいことだ」
「我慢すれば、いずれよくなる」

 よく聞かされる言葉ではありますが、果たして、真実でしょうか。

 千田さんは、これらをはっきりと否定し、我慢の先には更なる我慢が待ち構えているだけだと強調します。
 さらに、自分自身で、我慢からイチ抜ける決心をしない限り、永遠に他者から我慢を強いられるだけだとも述べています。

 本書は、そうした「現状維持の我慢人生」に終止符を打つために必要な、考え方や発想をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「逃げる」ことから逃げない。

 どこの世界にも、人に我慢を強制する人がいます。
 その人たちの表情は、一様に皆苦虫を噛み潰したようなものです。

 日本では、「辛いことでも我慢して最後までやり通すこと」が美徳とされています。
 他の国や地域と比べても、そのような人たちは多いのでしょう。

 その人の思想や行動パターンは、その人の風貌と人生を創り上げていく。
 我慢を強要してくる人は、自分が我慢人生を生きてきた人だ。
 自分が受けた苦痛に、あなたを通して復習しているのだ。
 しかし、本来「俺が我慢したんだからお前も我慢しろ」という理屈は通らない。
 やるだけやってダメなら、さっさと逃げることも大切だ。
 もし精神的にへし折られそうになったら、その前にあっさり逃げることだ。
 筋肉のトレーニング同様に、オーバートレーニングは何もしない運動不足よりも遥かに体に悪い。
 やめるという選択肢から逃げてはいけないのだ。

 『「我慢」と「成功」の法則』  第1章 より  千田琢哉:著  大和書房:刊

「過ぎたるは及ばざるがごとし」

 何ごとも、ほどほどが肝心です。
 自分の限界以上に、頑張ってしまう人が多いのでしょう。
 自殺者の多さや、うつ病などの精神疾患にかかる人の多さからもそれが裏付けられます。

「逃げる」勇気を持つ。
 自分の身は、自分で守りましょう。

人生から我慢した時間を引いた分が、本当の寿命

 千田さんは、人生に対する時間の優先順位で、あなたの人生の密度は決まると述べています。
 人生において、時間はダントツに大切なものであると強調します。

 生涯使いきれないお金を所有している大富豪が最後に望むのは、不老不死という時間なのだ。
 時間というのは命の断片であることに気づくだろう。
 どんなに偉い人でもどんなにお金持ちでも、1日は24時間しか与えられない。1日24時間という意味では、ビル・ゲイツも歴代総理大臣もあなたの会社の社長もあなたもまったく同じだ。
 ビル・ゲイツだからといって、1日に48時間与えられるわけではない。
 実にありがたい話だろう。
 そして忘れてはならないのは、あなたは時間とともに死に向かって進んでいるということだ。
 毎分毎秒、あなたは確実に死に向かって進んでいる。
 ふてくされたり、世間体を気にして我慢したりする時間はもったいない。
 本当のあなたの寿命というのは、死んだ時の年齢ではない。
 死んだ時の年齢から我慢した時間を差し引いた分が、あなたの「生きた時間」だ。

 『「我慢」と「成功」の法則』  第3章 より  千田琢哉:著  大和書房:刊

 我慢した時間は、何かしら外部から強制されたことに費やされた時間と考えることができます。
 つまり、自分自身がやりたいことをやれなかった時間だということです。

 私たちは、つい「時間はいくらでもある」という錯覚に陥りがちです。

 貴重なものほど、無くしたときでないと、そのありがたみがわからないもの。
 もちろん、時間についてもそうです。

「我慢」は、時間の浪費。
 その意識を強く持って生きていきたいですね。

眠くなる仕事は、「向いていない」という合図。

 眠くなるというのは、自分の意識では、制御できません。

 千田さんは、これは、あなたの脳が無意識に「あなたの遺伝子に背いていますよ」という合図を送ってくれているのだと述べています。

 才能の無駄遣いをすると、本能がそれをストップさせようとして眠くなる。
 だから、眠くなったら今やっていることは間違っているということだ。
 仕事だから我慢しなきゃという人は、仕事の選び方が間違っているのだ。
 あるいは仕事のやり方が間違っているのだ。
 仕事を変えるか、やり方を変えるか、考え方を変えるか、自分が何かを変えていかなければ、遺伝子に背いた人生を送ることになる。
 遺伝子を活かした人生とは、もう寝る時間なのにカーッと目が覚めてくることに没頭する人生だ。
 カーッと目が覚めてくることに没頭すれば、あなたは飛躍的に成長できる。
 眠くなるという合図は、あなたの人生の方向性を確認できる最高のリトマス紙なのだ。

  『「我慢」と「成功」の法則』  第3章 より  千田琢哉:著  大和書房:刊

 好きなこと、夢中になれることは、どんなに疲れていても、眠くなることはありません。
 逆に、どんなに休息十分のときでも、つい、ウトウトしてしまうときもありますね。

 眠くなるかならないかが、ムダな時間を過ごしているかいないかのバロメーターになる。
 この発想には、納得させられます。

 眠れなくなるほど、楽しいことで埋め尽くされた人生は理想的ですね。

好き嫌いのわかりやすい人になる。

 私たちは、小さい頃から「好き嫌いをしてはいけません」と教わってきました。
 学校の給食でも、嫌いなものを残すと、先生に怒られたものです。

 千田さんは、好き嫌いというのは人間の本質的な感情であって、抑制するものではないと述べています。

 好き嫌いがあったからこそ、人類はここまで文明を開いてきた。
 あらゆる科学技術の発展も、大都市に乱立する建築物も、すべては好き嫌いの賜物である。
 だからあなたは、もっと好き嫌いをハッキリさせていい。
 とはいっても無用の争いは避けるべきだ。
 故意に敵を作らないようにするためには、嫌いなものに対しては無関心を装うのがいい。
 無関心を装っておけば、嫌いなことに巻き込まれないから我慢の必要もない。
 その代わり好きなものに対しては、躊躇せず感情を剥き出しにするのだ。
 そうすれば、周囲にもあなたの望んでいるものが伝わりやすい。
 嫌いなものに対して無関心でいれば、必要以上に敵を作らず、周囲は応援してくれるようになる。

 『「我慢」と「成功」の法則』  第5章 より  千田琢哉:著  大和書房:刊

 好き嫌いをはっきりさせて、態度でもそれを示す。
 そうすれば、好きなことや好きな人を引き寄せ、逆に、嫌いなことや嫌いな人を遠ざけられます。

 嫌いな人や苦手な人に必要以上に関わらなければ、必要以上に敵を作ることもありません。

 我慢してつき合う人間関係は、いずれ破綻するし、時間と労力のムダです。
 まさに、「労多くして益少なし」の典型ですね。

 しがらみを断ち切る勇気も、ときには必要です。

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「我慢して、一生懸命頑張っていれば、最後には必ず報われるときがくる」

 私たちは、小さい頃から、そう教えられて育ちました。
 しかし、大人になっても、それをそのまま信じて生きていける人は、ほとんどいないでしょう。

 たしかに、我慢ができなければ、何をしても成功できません。

「頑張れば、いつか報われる時がくる」

 それも、真理の一面ではあります。
 問題は、どういう時に我慢をすべきか、どう頑張れば報われるのかを、教えられていないことです。

 教える側も、十分に理解していなかったと言うべきでしょう。

「我慢」も「努力」も美徳であることには変わりありません。
 問題は、その中身。

 間違っても、眉間にシワを寄せて、周りに我慢を強制する人間にはならないようにしたいですね。

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