【書評】『継続は、誰も裏切らない』(内藤誼人)
お薦めの本の紹介です。
内藤誼人さんの『継続は、誰も裏切らない』です。
内藤誼人(ないとう・よしと)さんは、社会心理学の知見をベースに、実際のビジネスへの応用を主に研究されている心理学者です。
「努力を継続する」ためには、テクニックも必要
何事かを成し遂げようとするとき、一番大切になるのは、「努力を継続する」ことです。
ただ、努力を続けるには、それなりのテクニックも必要です。
がむしゃらに突っ走るだけでは、壁にぶちあたったり、努力するのが面倒くさくなったりして、結局は努力をやめてしまうからです。
俗に言う、「三日坊主」です。
本書は、心理学者の視点からみた、誰にでもできる「諦めずに努力を継続するための方法」が詰め込まれた一冊です。
その中からいくつかご紹介します。
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若いうちに行動せよ
私たちは、何かを始めたい、と思っても、つい、行動を後回しにしてしまいます。
「ヒマができたら、やればいいや」
そう思っているうちに、やろうとしていたこと自体を忘れて、結局やらずじまいに終わってしまう。
そういうこともしばしばです。
内藤さんは、後回しグセをなくして思い立ったことをなるべくすぐに行動したほうがいい
と述べています。
定年を迎えてから、趣味として、あれをやろう、これをやろうと考えるのではなく、若いうちからやりたいことは、どんどんやってしまうクセをつけよう。定年を迎える頃まで元気でいられるという保証はないのだし、悔いのない人生を歩むためには、やりたいことは何でもやっておくという貪欲さが必要である。 若いうちには、何事にもアグレッシブに取り組める。 気力も、体力も、人に分けてあげられるほどにあまっているのが普通だ。 年齢が若いうちには、まことに都合のいい条件が整っているというわけである。 ところが、年をとってくると、次第に何をするのもおっくうになってきて、集中して物事に取り組めなくなる。 体力も落ちているから疲れやすく、長時間、何かに取り組むのが難しくなってくるのである。そういう意味でも、やるなら若いうちなのだ。(中略) やりたいことは、何でもやってしまったほうがいい。そのほうが後悔は絶対に少ない。「若いときに、あれをしておけばなぁ・・・・・」と繰り言ばかりの老人になりたくないのなら、今できることは、今やってしまうというクセをつけよう。
『継続は、誰も裏切らない』 1章 より 内藤誼人:著 PHP研究所:刊
「今できることは、今やってしまうというクセをつける」
大事なことですね。
年をとって時間とお金に余裕ができたとしても、肝心の「やろう」「続けよう」という気力がなくなっていたら、意味がありません。
たしかに、年をとっても元気で行動的なお年寄りはいます。
しかし、そういう人は、年をとってからいきなり元気になったのではありません。
若いうちからやりたいことを継続して続けてきたから元気だったのだということを忘れてはいけません。
バラ色の未来をイメージしながら邁進せよ
「どうせうまくいかないんだろうな」と思いながら努力する。
「絶対にうまくいくぞ」と信じながら努力する。
両者では、同じ努力するのでも、継続力に大きな差があらわれます。
内藤さんは、自分の将来に対しては、バラ色の未来を想像することが大切
だと述べています。
明るい未来を想像することは、一種の麻薬的な効果を発揮する。 楽しいことを考えると、脳内の快感神経が刺激される。そしてドーパミンという神経伝達物質が出される。ドーパミンを出すコツは、何でも楽しく感じることである。楽しくやろうと思えば快感神経を刺激し、創造的な仕事を行う大脳新皮質とか、やる気を起こさせる側坐核が活性化してくるのだ。 クウェート大学のH・ハッサン博士によると、物事の明るい面を見るとか、たえず明るいことばかりを考える人ほど、「意欲的」になれるそうである。こういう人は、悲観することなく、自分の努力を続けることができるらしい。 同じ努力をするにしても、暗い未来を想像していると、やる気がどんどん失せていく。 受験のとき、「どうせ落ちてしまう」とか、「浪人するのはカッコ悪い」などと、ネガティブなことばかり考えていると、勉強する気が失せるのと一緒である。だから、明るいことばかりを考えるのが合格するためのコツなのだ。
『継続は、誰も裏切らない』 2章 より 内藤誼人:著 PHP研究所:刊
受験勉強に限らず、資格取得の勉強や趣味の上達でも、同じことが言えます。
取得するスキルが身についたときの「バラ色の未来」をどれだけ想像し続けられるか。
それが、努力が実を結ぶか、結ばないかの分かれ目になります。
逆に、自分の中で「バラ色の未来」が描けないようなことに打ち込むのは、時間とお金の無駄です。
努力する対象についても、事前にしっかり吟味する必要があります。
身体を鍛えると、精神力もアップする
内藤さんは、人生のある時期で、本気でスポーツに取り組んだ経験の持ち主ほど、打たれ強いのである傾向がある
と指摘します。
いわゆる「体育会系」出身の人が精神的に強い理由を、以下のように述べています。
なぜ、体育会系出身の人ほど精神的に強いのか。 その理由は、体力があるからである。 実は、体力と精神力は密接に関係しているのであって、体力がある人は精神力も強く、体力のない人は精神力もなくて、落ち込みやすく、打たれ弱い傾向があるのだ。(中略) 体力のない人は、すぐに弱音を口にし、何でもすぐに諦めてしまうのだ。 だから、もし努力を継続する精神力を養いたいのなら、まずは体力をつけることが先決になってくる。 すぐにタクシーに乗るのではなく、自分で歩こう。エスカレーターではなく、階段をかけ上がろう。そいういうところで体力をつけておくと、精神力までアップする。体力がなく、肥満体で、ふぅ、ふぅ、と口で息をしているような人間は、気力や精神力までなくなってしまうのである。「健全な肉体には、健全な精神が宿る」と言うが、心と身体は密接に関係していることは間違いないのだ。不健康な生活を送っていて、体力も何もない人が、気力だけはものすごくある、ということはまずありえないのである。 とにかく毎日、身体を動かそう。そうすれば、体力だけでなく、精神力まで身につけることができて一石二鳥である。
『継続は、誰も裏切らない』 3章 より 内藤誼人:著 PHP研究所:刊
「体力と精神力は密接に関係している」
これは、多くの専門家が認めていることです。
ジムに通うにしても、定期的に続けるには、ある程度の意志の強さが必要です。
定期的な運動を続けて、体力や体型に変化が見られるようになる。
すると、自分に自信が持てるようになります。
そして、ますますやる気が起こる、という好循環が生まれます。
何をするにも、健康的な身体が、最も大事な資本です。
日頃からしっかり鍛えておきたいですね。
「自分はすごい人間なんだ」と、自画自賛せよ
ニュース州立大学のリチャード・フェルソン博士は、高校生2213人の3年間の追跡調査の結果から、学業の伸びを左右するのは、それぞれの生徒の「自己評価」であることを突き止めました。
フェルソン博士は、自己評価の高い人の方が伸びる理由について、「自己評価の高い人ほど、努力するから」だと結論づけています。
学業の伸びに直接的な影響を与えているのは、努力していること自体です。
ただ、その努力を支えているのは、「高い自己評価」です。
もし、読者のみなさんがあまり努力できない人なら、自己評価が低い、という原因が考えられる。「どうせ自分なんて・・・・・」という自己嫌悪が強くて、自分のことを好きではないことが、努力がつづかない原因である。 だとしたら、解決法はひとつしかない。 つまり、もっと自分を好きになるのだ。 どんなことをしていても、自画自賛し、自分のことをホメまくるのである。自分を好きになり、自分に陶酔し、ナルシストになるのである。 自分をもっと好きになれば、他ならぬ自分のための努力ができるようになる。努力をするのも、他人のためにするのではなく、大好きな自分のために頑張るのだ、と思えば、いくらでも努力できるようになる。 仕事に関して、死ぬほど頑張っているビジネスマンたちは、みなナルシストである。彼らは、「自分が一番」という意識を強く持っていて、だからこそ、努力できるわけである。自己嫌悪の強い人には、こういう努力はできない。 努力するための方法論とか、技術論うんぬんよりも、大切なのは、自分を好きになることだ。それさえうまくできれば、どんなやり方をしたって、自分のやりたいことを完遂できるはずだということを覚えておいてもらいたい。
『継続は、誰も裏切らない』 4章 より 内藤誼人:著 PHP研究所:刊
「誰かに自分を好きになってもらうために頑張る」のでも、「大好きな自分になるために頑張る」のではありません。
「大好きな自分のために頑張る」ということが努力を継続するためのポイントです。
自分を好きになるのに、理由や根拠は要りません。
“一流”と呼ばれる人、成功した人は例外なく自分自身のことを大好きです。
まずは、自分のことを褒めて褒めて、褒めまくってあげましょう。
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☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
世の中、成功するためのノウハウ本が溢れ返っています。
しかし、どの本に書かれた理論も、継続しないことには何も起こらないし、効果のないものばかりです。
結局、突き詰めれば、「とにかく頑張る!」しかないというのが本当のところかもしれません。
逆に、どんな方法でも身につくまで努力を継続する力さえつけば、成功が約束されたも同然ということも言えますね。
「継続は力なり」
その言葉をしっかり心に刻んで、一日一日、ちょっとずつでも前に進めるよう心掛けていきたいですね。
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