本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『「忙しい」「時間がない」をやめる9つの習慣』(和田秀樹)

 お薦めの本の紹介です。
 和田秀樹先生の『「忙しい」「時間がない」をやめる9つの習慣』です。

 和田秀樹(わだ・ひでき)先生は、精神分析学をご専門とする精神科医です。
 最難関の医学部に現役合格したご経験をもとに、受験勉強のハウツー本が多く書かれるなど、効率的な時間の使い方の達人としても有名です。

仕事ができないのは、時間の使い方が下手だから

 和田先生は、周りの人の勉強の仕方や仕事ぶりを見て、以下のように述べています。

「忙しい」「時間がない」と言う人の多くは、時間の使い方がわかっていないのではないか?
 これが私の信念のようになっています。
 これは、大学受験のときに、他の受験生を見ていて感じたものでもあります。
 長い時間考えてもできないような問題を考えることに長時間費やし、勉強すれば成績が上がる科目や単元をおろそかにしたり、受験に出ないようなことに教師の言いなりになって時間をかけ、自分の受験に必要なことに時間が十分使えなくなっているのです。
 勉強ができないのは、頭が悪いからでなく、時間の使い方が下手だからということです。
 
 仕事についても同じことが言えます。
 本書でいくつもその具体例を挙げていきますが、やるべきことの優先順位がわかっていなかったり、そもそもそれを考えずに仕事をする人が多すぎる気がします。
(中略)
 仕事ができないのは、能力がないからではなく、時間の使い方が下手だからなのです。

 『「忙しい」「時間がない」をやめる9つの習慣』  はじめに より  和田秀樹:著  大和書房:刊

 時間は、1日に24時間、誰にも同じだけ与えられています。
 しかし、そこから生みだせるパフォーマンスやアウトプットの量は、大きく異なります。

 時間が足りないことを、自分の能力のせいにする。
 それは、単なる言い訳に過ぎません。

 本書は、和田先生が長年追求し、自らが実践している時間の使い方の極意をまとめた一冊です。
 いくつかピックアップしてご紹介します。

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100%を求める真面目だけど頑固な人

 100点を目指す努力と、80点を目指す努力。
 両者の間には、雲泥の差があります。

 テストでは、100点満点を要求されることはありません。
 英語などのスキル習得でも、全部理解してから使い始めようとすると、ものすごい時間と労力がかかります。

 目標を達成できる点を80%地点に置くとするなら、80%を超えたところで「よし」とすれば、いちばん要領よく物事を乗り切っていくことができるからです。最初の段階で完全を目指すことはありません。何事も合格点というラインがあって、徐々に段階を追って改善されていくものです。
 小説でもテストでもいきなり100点満点でなければいけないとなると、それを完璧に仕上げるのに費やす労力は並大抵ではないでしょう。あとあと悪い部分を洗い出して、より良く調整し、体裁を整えたり実力を完成させていくことを思えば、何も最初から100点満点を目指すことはないのです。
 そこそこできたら満足、とするのが要領の第一歩といえるでしょう。

 『「忙しい」「時間がない」をやめる9つの習慣』  習慣1 より  和田秀樹:著  大和書房:刊

 日本人は、100点でないと気が済まない、「完璧主義者」が多いですね。
 目的を履き違えると、やらなくてもいいことまで、することになります。

 どんな勉強や仕事でも、はじめる前に、「これをする目的は何か」をしっかり定めること。
 必要以上の時間をかけないことを強く意識することが重要です。

簡単なものから片づけた方が早い

 作業をする順番、「優先順位」についてです。

 和田先生は迷わず簡単な仕事から手をつけると述べています。

 簡単な仕事をどんどんこなしていくうちに、リズムが出てきて大きな仕事に取り組むときには、気分を切り替えてじっくり長時間かまえるというスタイルができあがっているからです。

 もともと、大きな仕事をコツコツと小刻みにこなしていくことは時間的なロスにつながります。
 大きな仕事は、まとまった時間の取れるときに集中して取り組むことで、結局は効率よく完成することができるはずなのです。
 それに対して、簡単な仕事は短時間で完成できるので、少し空いた時間を有効に使おうと心がけるだけで、無理なく仕上げることができます。
 私は、前にも述べたように、仕事用のカバンのなかには、毎日その日の短時間用の仕事を常に準備して携帯するようにしています。簡単な仕事をするためだけに、わざわざ書斎に帰ってパソコンを開いたりはしません。自然に発生する空き時間を活用するだけで、いつのまにか簡単な仕事はいくつか終了しているといった具合です。
 ですから、こまぎれの空き時間といえども軽視してはいけないのです。準備さえ怠らなければ、1日のうちでぼんやりしている時間は発生しません。

 『「忙しい」「時間がない」をやめる9つの習慣』  習慣5 より  和田秀樹:著  大和書房:刊

 どんな空き時間も見逃さずに、有効活用する意識を持つ。
 それが、時間を上手く使う大きな秘訣です。

 空き時間ができた場合の備えをしておく。
 そうすれば、待ち合わせの相手が遅れても、すべきことがあるので、イライラせずにすむというメリットもありますね。

「集中力のない人」のすごい集中力

 時間を有効活用するには、必ずしも、長時間集中しなければならないわけではありません。

 和田先生自身、机にじっと向かっているのが大の苦手でした。
 家の中を歩き回って暗記したり、気が散ったらすぐにコーヒーを入れにいったりして、上手く気分転換を図りました。

 つまり、散漫な集中力や持続力のなさを嘆く必要はないわけです。集中力を無理に高めようとせず、他人より長続きできないことをうまく生かすことを考えればいいのです。
(中略)
 集中力を持続できないという人は、それを改善しようとするよりも、短い時間をいかに充実させるか、どう積み重ねていくかを工夫するほうがよほど生産的です。
 もちろん、こういう人は、長時間拘束される会議などは苦手かもしれません。ですから、なるべく1人で時間配分ができる仕事を選んだほうがいいと思います。

 『「忙しい」「時間がない」をやめる9つの習慣』  習慣1 より  和田秀樹:著  大和書房:刊

 自分の集中できる時間が、どれくらいなのか。
 それをきっちり把握して、勉強や仕事のスケジュールを立てることが大事です。

人生をより楽しむためにも上手に時間を使う習慣を!

 時間を上手く使うことは、習慣であり、スキルです。
 一度、体にしみついてしまえば、一生ものの財産です。

 和田先生は、歳をとってからこそ時間を上手く使う習慣が真価を発揮すると述べています。

 受験生であれば、合格を最優先の目標にして、時間を上手に使えばいいでしょう。遊びの時間や睡眠の時間が必要なのも、そのほうが合格に有利だからです。
 またビジネスマンであれば、時間を有効に使って能力を上げたり、資格試験の勉強をするのもよいでしょう。この時期も遊びや楽しみは必要だと信じていますが、やはり主たる目的は、自分の成長のためです。ここで能力をつけておくことで、将来の生き残りが可能となり、また老後の資金のもとを得やすくなるのです。
 しかし、ある程度以上、円熟期に入ってくると、自分のために自分が本当に楽しめるために時間を使うことが大切になってきます。ある大実業家が、死ぬ直前に全財産を使い切るのが理想的な生き方と言ったのが印象的でしたが、そのためには使う時間も必要なのです。
(中略)
 実は、最近の老化研究や脳科学の研究でも、歳をとって知的レベルが高い人が健康で長生きであることがわかると同時に、笑ったり楽しんだりしている人が免疫機能も高く、健康長寿でいられることがわかりました。

 老いてこそ、「よく遊び、よく学べ」が必要なのです。

 『「忙しい」「時間がない」をやめる9つの習慣』  習慣9 より  和田秀樹:著  大和書房:刊

 人生の後半を、余裕をもって過ごすことができるか。
 それとも、時間に追われて、せわしないまま過ごすのか。

 時間の使い方を身につけることが、その分岐点となります。

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☆    ★    ☆    ★    ☆    ★    ☆

 良い習慣を身につけるには、まず、意識を変えることが大事です。

 時間も、貴重な資源です。
 健康などと同様、なくなってから、その重要性に気づくもの。

 後悔しないように、上手な時間の使い方をマスターして、充実した人生を過ごしたいですね。

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