本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『「感情の整理」の上手い人下手な人』(和田秀樹)

 お薦めの本の紹介です。
 和田秀樹先生の『「感情の整理」の上手い人下手な人』です。

 和田秀樹(わだ・ひでき)先生は、精神科医です。
 メンタルヘルス関係の本を多く書かれています。

「感情の整理」ができないことのデメリット

「感情の整理」ができない人は、多くデメリットを抱え込んでしまいます。

 自分の感情をコントロールできず、いつも不機嫌です。
 そのため、周りから遠ざけられ、嫌われます。

 また、周りから、何を考えているのか分からない、と幼稚に見られます。
 社会的に、無能の烙印を押されてしまうことさえあります。

 和田先生は、さらにもう一つ、以下のことを付け加えています。

 不機嫌な人は不幸な人生、運のない人生を送っているように思われることです。
 これはみなさんも実感として納得できるでしょう。
 いつも気むずかしい顔をして、他人の批判や悪口ばかり言い、かといって自分にも自信を持てないのが不機嫌な人たちです。そういう人たちの人生が幸福だとは誰も思いませんし、ツキに恵まれた人生だとも思わないでしょう。もっと付け加えれば、異性にモテるとも思われない人たちなのです。
 これは対人関係を考えたときに大きなハンデキャップになります。
 なぜなら、仕事であれ遊びであれ、不機嫌な人と組んでもいいことは一つもないと判断されるからです。
 機嫌のいい人は違います。その人の実力が未知数であっても、「一緒に組んでみたい」「応援してあげたい」「周囲の協力が得られそうだ」「新しい友人ができそうだ」「楽しそう」といった期待感が持たれます。それによって、日常生活のさまざまな場面で、小さなチャンスが無数に広がっていくのです。

 『「感情の整理」の上手い人下手な人』 序章 より  和田秀樹:著  新講社:刊

 仕事でも、プライベートでも、自分の「感情」とうまくつき合うと、いかに得するかということですね。

 本書は、心理学の見地からみた、実用的な「感情の整理術」や「感情とのつき合い方」をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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敵をつくらない感情生活、敵をつくる感情生活

 悪感情(怒りや不満や嫉妬、劣等感などの感情)を抱え込むと、ふだん気にならないようなことまで気になります。

 それがエスカレートすると、悪感情の泥沼に、はまり込んでしまいます。
 すると、周囲へのうらみや不安が、ふくらむ一方となります。

 ついには、誰かに声をかけられても冷淡な態度を取ったり、相手の好意にも素直に応じなかったりする「不機嫌な人」となります。
 このような態度は、自分から進んで敵をつくる態度です。

 一方、感情コントロールの上手な人は逆になります。
 

 自分の中に生まれた悪い感情を早い段階で処理することができますから、誰かに声をかけれれば気軽に返事をし、何かを訊かれれば気さくに答え、他人の好意は素直に受け止めることができます。
  こういう人は、かりに一部の人間から悪感情を持たれたとしても、その場その場で自分を立ち直らせることができます。すると大部分の人間にとっては好感の持てる人であり続けるのです。わたしたちに共通する感情として、他人の噂や評判がどうであっても、自分に対して朗らかで好意的な人間にはこちらも好感を持ちます。
「AさんはBさんのことを悪く言うけれど、わたしはBさんの味方をしたいな」
 そう考えて、むしろBさんの理解者でありたいと考えるのです。
 そして当然の心理として、Bさんの悪口を言うAさんには距離を置こうと考えます。
 ここでは非常に単純な例を出しましたが、Bさんは敵をつくらない感情生活を、Aさんは敵をつくる感情生活を送っていることがおわかりいただけるでしょうか。

 『「感情の整理」の上手い人下手な人』 第1章 より  和田秀樹:著  新講社:刊

 酒の席で出る、他人の悪口や中傷も、ほとんどが、悪感情によるもの。

 人が、個人の悪口を、他人にもらす。
 それは、その人への嫉妬やうらみなどが根底に流れている、もしくは相手へのこび、へつらいの裏返しの感情によります。

 悪感情をコントロールできず、他人にもらしてしまう。
 そのことが、自分では気づきにくいですが、結果的に周囲に敵をつくります。

 心に留めておきたいですね。

「他人が察してくれる」という甘えが不機嫌の原因

 不機嫌な人に共通する心理に、「なぜわかってくれないのか」があります。

 自分から素直に感情を表現しないくせに、他人のほうで「分かってくれるべきだ」と考える。

 和田先生は、彼らがそのような考えを抱く理由を、以下のように分析しています。

 一つには、ふだんから自分の感情より他人の思惑を気にしているからです。相手がどう思うかをいつも気にしている。それなのに、相手は自分のことを少しも気にしてくれない。それが理解できないし、我慢できなくて、不機嫌になっていくのでしょう。
 つまり不機嫌な人にとって、周りは鈍感な人間だらけなのです。わがままで自分勝手な人間ばかりだと思っています。
 けれども周囲の人から見れば、不機嫌な人のほうこそを理解できません。「言いたいことがあるなら、はっきり言えばいいじゃないか」と思ってしまいます。わがままで自分勝手なのは、むしろ不機嫌な人のほうだと思ってしまうのです。

 『「感情の整理」の上手い人下手な人』 第2章 より  和田秀樹:著  新講社:刊

 日本人は、自分の感情を伝えるのが苦手な人が多いです。

 相手が不機嫌なのはわかるけれど、何が原因で不機嫌なのか全く見当がつかない。
 そんなことは日常茶飯事です。

 不機嫌な本人にしてみれば、不機嫌になって当然の理由があります。
 ただ、「そこまで相手に察しろ」というのは、無理があります。

 いずれにしても、社会生活上、大きなハンデとなることは間違いありません。

「忘れ上手」は「感情の整理」が上手

 感情コントロールの上手な人は、「忘れ上手」な人です。

 腹が立つことがあっても、すぐに忘れる。
 他人の言葉に傷つくことがあっても、すぐに忘れる。

 気持ちのリセットをできる人は、悪感情が心に長くたまらず、快活な感情生活を送れます。

 忘れ上手になるためには、「嫌なことを忘れられるようなことをたくさんする」ことです。
 具体的には、以下のとおりです。

 好きな人や気の置けない友人と会う。
 好きなことや夢中になれるものに熱中する。
 趣味や娯楽などを無心になって打ち込む。

 つまり、忘れ上手な人はふだんの生活の中に気持ちのよい時間をたくさん持っている人です。身近な人間関係に恵まれ、好きな世界を持っている人なら、どんなにいやな感情が生まれてもすぐに忘れることができるのです。
 いやな感情にとらわれているとき、わたしたちもしばしば「気分を変えたいな」と思います。けれども同時に、「こんなときは何をやっても楽しくないだろう」と諦めたりしないでしょうか。
 あるいは会いたい人も思い浮かばず、やりたいことも考えつかず、結局いつまでもいやな気分とつき合ってしまう。そういうケースがしばしばあるものです。
 けれどもそれが感情の老化なのだと思ってください。会いたい人が思いつかないなら、電話一本、葉書一枚、あるいはメール一通でもいいです。「どうしてるかな?」と気になる人に、こちらから連絡してみるだけでも気分が変わります。
(中略)
 忘れ上手な人というのは、その意味でフットワークが軽快な人でもあるのです。前の章でもふれましたが、身軽であることは若々しい感情生活を維持するためには大切な条件でした。いやなことをすぐに忘れるためには、この感情の若々しさが何より大事になってくるのです。

 『「感情の整理」の上手い人下手な人』 第4章 より  和田秀樹:著  新講社:刊

「何をやっても楽しくない」と思うことは、「感情の老化」です。

 感情の劣化は、「頑固で意固地な不機嫌お爺ちゃん」への一本道です。

 そうならないためにも、軽快なフットワークで、いろいろなことにチャレンジしていたいですね。

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 自分の感情とうまくつき合えない人は、他人ともうまくつき合えません。
 自分を好きになれない人が、他人を好きになれないのと同じです。

 すべては、まず、自分自身としっかり向き合うことから。
 自分自身と「いい関係」を築くことから始めたいですね。

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