本一冊丸かじり! おいしい書評ブログ

本を読むことは、心と体に栄養を与えること。読むと元気が出る、そして役に立つ、ビタミンたっぷりの“おいしい”本をご紹介していきます。

【書評】『人生を変える行動科学セルフマネジメント』(石田淳)

 お薦めの本の紹介です。
 石田淳さんの『人生を変える行動科学セルフマネジメント~自分を変化させるたったひとつの方法』です。

 石田淳(いしだ・じゅん)さん(@Ishida_Jun)は、コンサルタントです。
 行動分析を基にしたマネジメント手法を独自の手法でアレンジし、「行動科学マネジメント」として確立されてます。

結果は「意志」ではなく、「行動」でもたらされる

 私たちは、自分が思い通りの行動がとれないのは「意思が弱いから」と考えがちです。
 しかし、石田さんは、その考え方自体が、あなたが変わることを邪魔していたと指摘します。

 良い習慣を身につけ、悪い習慣を断ち切るための重要なポイント。
 それは、「意志」という不明瞭で捉えどころのないものではなく、目に見えてわかりやすい「行動」にフォーカスすることです。

「結果」は「行動」によってのみもたらされます。

 行動が変われば、結果も変わるということ。
 結果として表れることで「できる」という自信がつきます。
 そして、本当に「できる」人間に生まれ変わることができます。

 本書は、「行動科学マネジメント」の手法を活かし、自己コントロールできるようになるための考え方や方法をまとめた一冊です。
 その中からいくつかピックアップしてご紹介します。

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「人間の認知」は常に事実とズレる

 石田さんは、ポジティブな性格やアグレッシブな態度などは、必ずしも成功者の絶対条件ではないと述べています。

 優秀な人でも、自分の気持ちだけで物事をこなすには限界があります。
 気持ちだけでやり遂げようとして挫折するのは、「認知のゆがみ」が原因です。

 実は、何につけ気持ちでやろうとすればするほど、「認知のゆがみ」という人間ならではのワナにはまります。あなたは「自分は真実をありのままに認知している」と思っているかもしれませんが、人間の認知はそれほど立派じゃありません。
 たとえば、禁煙しようとしている人なら、一日タバコを我慢できたら「自分の意志は強い」と思い込み、その翌日1本吸っただけで「どうしようもなく意思が弱い」と自分を責めたりします。
 そして、そこからいろいろなつくり話を始まります。
「こんなだから、仕事も失敗するんだ」
「周りの人たちから、だらしない人間だと軽蔑されているに違いない」
 そして、「だから、禁煙なんて試みたってしょうがないさ」となるのです。
 こうした認知のゆがみから、人間特有のやっかいなしろもので、人間以外の動物にはありません。私は何かにつけ、認知のゆがみによって事実とは異なった思い込みをしています。
 しかし、落ち着いて考えてみてください。事実はもっとシンプルです。
「一日ずっとタバコを吸わない人があった。その翌日は1本だけ吸った」
 ただ、これだけのことです。
 あなたがすべきのは、事実に正しく目を向けて、小さな行動を起こすことです。行動には一つのウソもごまかしもありません。

 『人生を変える行動科学セルフマネジメント』 第1章 より 石田淳:著 大和書房:刊

「他人を知ることより、自分自身を知ることの方が難しい」

 よく言われることです。
 周りことは、客観的に観られても、自分自身のことは、どうしても主観的になります。

「認知のゆがみ」を小さくする。
 そのためには、自分自身を一歩引いて客観的に観ること。

「自分の行動を外から観察するもう一人の自分」

 そのような視点が重要になりますね。

「できなかったこと」にフォーカスしない

 人は、頭の中で一日に7万回も「頭の中での会話(マインドトーク)」をしています。
 そのほとんどがネガティブなもので、負の側面を過大評価するクセがあります。

 そのクセを放置すると、できなかったことばかりに意識がフォーカスされる。
「認知のゆがみ」がどんどん大きくなり、さらに自分を強く責めてしまう。

 そんな悪循環が生まれます。

 問題は「できないこと」ではなく、「できない自分を許せないこと」にこそあります。できない自分を許せないという偏狭な態度で物事に臨むから、無用のプレッシャーがかかって、本来できることもできなくなってしまうのです。
 変わりたいのに変われなくて悩む人は、往々にして自分を攻撃しては苦しんでいます。でも、できない自分を許せる寛容さがあれば、心折れることなく何度でもチャレンジができるでしょう。
 もっと自分を許しましょう。
 ジョギング習慣を身につけようと張り切っていたのに、雨が続いたらすっかり嫌になってしまった?
 当然です。私も雨の日に走るのは嫌いです。
 英会話の勉強を三日続けただけで放り出してしまった?
 なるほど、まさに「三日坊主」というやつですね。しかし、「三日坊主」という言葉があるくらいなのだから、誰でもそうなるということでしょう。
 私たちには、「仕切り直し」という選択肢が残されています。何度でもその宝刀を抜いていいのです。これまであなたが変われずにいたのは、その宝刀を抜くときに「また今度もダメなんだろう」などと認知をゆがめていたからです。
 これからは、正しく自分を許してあげましょう。そこから、すべてのセルフマネジメントが可能になると言ってもいいでしょう。

 『人生を変える行動科学セルフマネジメント』 第3章 より 石田淳:著 大和書房:刊

 1回チャレンジしてダメだった、だから、「自分にはできない」。
 そう思い込むのは、もったいないですね。

 できなかったのは、自分の意志が弱かったからではなく、環境が整っていなかったから。
「やろう」と思ったときが、いつでもスタート地点です。

「できなくても、また、仕切り直せばいい」
 そんな楽な気持ちで始めたいですね。

新しいことは3つずつ始める

 行動科学マネジメントの優れた点は、「再現性の高さ」です。
 この特性を生かすためには、「一度に多くのことをやり過ぎないこと」が重要です。

 行動科学マネジメントでは、「新しい行動を身につけるときは、せいぜい3つから」としています。たとえば、新入社員に仕事を教えるときも、簡単なことを3つずつやってもらって、それが確実にできるようになったら次の3つに移るという具合です。
 あなたが始めようと考えていることにも、この法則を当てはめてみてください。
 英語の勉強をしようというなら、一日に覚える単語は3つまで。
 運動習慣を身につけたいなら、せいぜい週に3回ずつ。
 もちろん、厳密に3つずつというわけにはいかない分野もありますが、「物足りないと感じるくらい」と考えてもらえばいいでしょう。
 ここで大事なのは、小さなこと1つひとつについて「できた!」と達成感を味わうということです。達成感の心地よさを、自分に知らせてあげてください。自分を褒めて、有能感に浸ってみましょう。こうして「いい結果」を自らに与えることで、次の行動が簡単にとれるようになります。

 『人生を変える行動科学セルフマネジメント』 第4章 より 石田淳:著 大和書房:刊

 習慣を身につけるために最も大事なことは、「継続すること」です。

 一日に1個ずつでも、三年間欠かさずに続ければ、1000個になります。
 欲張らずに、「物足りないと感じるくらい」を心掛けたいですね。

「優先順位」よりも「劣後順位」を大切に

 新しい行動を習慣化するまで継続する。
 そのためには、「周囲の環境を整えること」が大切です。

 環境を整えるにあたり重要なのは、『「優先順位」よりも「劣後順位」を念頭に置くこと』です。

 劣後順位とは、捨てるものを先に決めるやり方です。私たちは何事も優先順位で決めようとしがちですが、「何を取るか」より「何を捨てるか」を先に決めたほうが効率的に行動できます。
 たとえば、あなたに10個の仕事があったとき、優先順位で考えると順番は振ったにしろ最終的に10個のことをやろうとします。でも、実際には10個をやる時間はないから、「やり残してしまった」という思いが募ります。だから達成感も得られにくいし、いつももやもやした気分が晴れません。
 劣後順位なら、できない分は先に捨ててしまいます。どう考えて6個やる時間しかないなら、まず4個を捨て、残った6個に順番をつけます。だから、非常に明確で動きやすくなります。

 『人生を変える行動科学セルフマネジメント』 第6章 より 石田淳:著 大和書房:刊

 何気なく過ごしていると、やる必要がないことを多く抱えてしまうことが多いです。

 時間は限られた資源です。
 これまでと同じことをしていても、決して増えることはありません。

 やる必要のないことには見切りをつけ、最初から手を付けない。
 そんな思い切りのよさを身につけたいですね。

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 なりたい自分に変わっていく。
 そのために必要なのは、「意志の強さ」ではなく「小さな行動の積み重ね」です。

 石田さんは、それを実現するために「明日から」という言葉を禁句にしてほしいとおっしゃっています。

 この世界に存在するのは「今」だけです。
「過去」も、「未来」も存在しませんね。
「明日」は、永遠に「明日」のままということです。

「やる」と決めたそのときに、小さくても確実な一歩を踏み出せる行動力。
 私たちもぜひとも身につけたいですね。

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